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26章
ドラゴンの谷⑤
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グリムレインが「嫁~ッ!!」と、泣き言をピィピィ言い始めたので、杖で叩かれた所を撫でて「痛いの痛いの飛んでいけー」と、子供達にするようにやってあげると、ドラゴン達は自分も自分もと列を作って甘えてきた。
ここまで甘えるのも珍しいくて笑ってしまったのだけど、どうやらこのドラゴンの谷はドラゴン達にとって、童心に帰ってしまうような作用があるらしい。
テーブルの上にルーファスが物珍しそうに眺めていたクリスタルが幾つか並べられ、これはなんなのか聞けば、このクリスタルは『魔法を閉じ込めたクリスタル』なのだそうだ。
「使うクリスタルは【探知】【目印】【警報】の三つでいいかのぅ」
「爺様、警報は要らなくない?」
「突然、目印の魔法を付けられたら驚きゃせんか?」
「ドラゴンハーフに警報は要らないの!」
エデンが頬をぷぅと膨らませて、ウォルベクスさんが並べた警報のクリスタルを壁際に戻してしまう。エデンもドラゴンハーフに関しては、割り切れていないようだ。
「でも、凄いですね。魔法を閉じ込めて自由に使えるなんて」
「アカリの【眠れる散華】も同じ物だっただろう?」
「そういえば、あの杖も魔法色々覚えさせたよねぇ」
エルシオンの赤ちゃんの頃に散々魔法を放たせるのに使って……あれから何処に置いてしまったやらだけど……魔法が使えない人しか使えない物だから、放置してても大丈夫だけど、きっと三つ子の玩具にされて庭にでも転がってそうだわ。
今は魔法がコントロール出来るようになって、私も三つ子達も使わないから存在自体忘れてたわね。
「グリムレイン、地図を持ってこい」
「なんで我が……」
コンッとウォルベクスさんに杖で叩かれ、グリムレインがむぅーと口を尖らせながらスピナと一緒に大きな巻物の世界地図を持って来てテーブルに広げる。
「随分と古い物だな」
「そりゃあ、儂はこの谷から出んからのぅ。この地図はドラゴン達の土産で貰った物じゃわ」
「なるほど。しかし、資料としてはとても良い物だとオレは思う」
「最新の地図を貰えるなら交換しても良いぞ」
「本当か! それなら直ぐに交換だ!」
ルーファスが嬉々として異空間収納から大きい世界地図を出して、古い地図と交換してもらっていた。
ああ、これがトリニア家の収集癖だわ……まぁ、ルーファスが尻尾をブンブンさせて喜んでいるから、いいかな……? 私もルーファスに甘いけど、私が甘い分、リュエールが『父上―ッ!! また余計な物を蔵に置いて!!』と、怒るんだろうけどね。
リュエールの怒りっぽいところ誰に似たのかしら? 不思議だわ。あの子には収集癖は無くて、シュトラールが妙に収集癖がある気がするから、トリニア家の収集癖は次はシュトラールに受け継がれているかもしれない。
シュトラールが集めた物は、やはり【刻狼亭】の蔵にシレッと置いてあるから、リュエールの頭の痛い所かも?
時代が過ぎれば、16代目の収集した物とか思われたら、きっとリュエールは草葉の陰から吠えそうよ。
ちなみにシュトラールは昔の手術器具や治療法の本を集めている感じかしらね。
「さて、世界地図の上にクリスタルを置いて、エデンは【探索】儂が【目印】を唱えるぞ」
「はいなのー!」
エデンがクリスタルを持って【探索】魔法を放ち、地図に幾つか小さな光が出ると、ウォルベクスさんが【目印】魔法を放って地図には紫色の点がポツポツとある。
温泉大陸にも一つ。
これはエスタークさんに付いた目印なのだと思う。
「数が多いの……」
「エデン、子孫に引き継がれてばらけてしまった……と、いう事じゃろう」
「皆を、皆を助けたいの……爺様、分離しても、こんなに引き継がれてバラバラじゃ、どうなるか分からないの」
ポロポロと泣き出したエデンの頭をウォルベクスさんが撫でて、エデンをウォルベクスさんに任せ、私達は地図の点のある場所を見る。
覚えのある場所に点が多く、そこは竜人の国、過去に私が召喚で攫われ捕らえられた場所だった。
「竜人の国か……あのトカゲもどきの亜人共め、我らの同胞にまで手を出していたのか!!」
「竜人の国のこの数……十人以上はいるよ……最悪、あたしは許せない」
「兄者もスピナも落ち着け。ここまで多いという事は、かなり引き継がれているが、竜人は長生きだ。代替わりは早々無いかもしれない。そう思えば、少しは希望があるのではないか?」
確かに……それに、あの沼がずっと竜人の遺体を沈めているとすれば、ドラゴンもその中に溶けだして分離出来ているかもしれない。それをどうにか集められたら……
「……カリ、アカリ。大丈夫か?」
「え? ああ、どうかしたの?」
「いや、アカリが心配になっただけだ。竜人の国はオレが何とかしよう。アカリは待ってくれれば良い」
「あ、ううん。大丈夫。少し怖いのは残っているけど、アクエレインとエデンが居れば、一気に分離させられるかもしれないし……」
心配そうなルーファスに大丈夫と親指を立てて、ハガネ直伝の「とりあえず笑っとけ」で歯を見せて笑う。
他にも地図には十四ヵ所点があり、ドラゴンハーフの少なさに驚いてしまう。
でも、アルビーが昔「いつかドラゴンハーフは淘汰される」と言っていたけど、こう少ないと淘汰されてしまう前にどうにかしなくてはと焦りも出てくる。
ここまで甘えるのも珍しいくて笑ってしまったのだけど、どうやらこのドラゴンの谷はドラゴン達にとって、童心に帰ってしまうような作用があるらしい。
テーブルの上にルーファスが物珍しそうに眺めていたクリスタルが幾つか並べられ、これはなんなのか聞けば、このクリスタルは『魔法を閉じ込めたクリスタル』なのだそうだ。
「使うクリスタルは【探知】【目印】【警報】の三つでいいかのぅ」
「爺様、警報は要らなくない?」
「突然、目印の魔法を付けられたら驚きゃせんか?」
「ドラゴンハーフに警報は要らないの!」
エデンが頬をぷぅと膨らませて、ウォルベクスさんが並べた警報のクリスタルを壁際に戻してしまう。エデンもドラゴンハーフに関しては、割り切れていないようだ。
「でも、凄いですね。魔法を閉じ込めて自由に使えるなんて」
「アカリの【眠れる散華】も同じ物だっただろう?」
「そういえば、あの杖も魔法色々覚えさせたよねぇ」
エルシオンの赤ちゃんの頃に散々魔法を放たせるのに使って……あれから何処に置いてしまったやらだけど……魔法が使えない人しか使えない物だから、放置してても大丈夫だけど、きっと三つ子の玩具にされて庭にでも転がってそうだわ。
今は魔法がコントロール出来るようになって、私も三つ子達も使わないから存在自体忘れてたわね。
「グリムレイン、地図を持ってこい」
「なんで我が……」
コンッとウォルベクスさんに杖で叩かれ、グリムレインがむぅーと口を尖らせながらスピナと一緒に大きな巻物の世界地図を持って来てテーブルに広げる。
「随分と古い物だな」
「そりゃあ、儂はこの谷から出んからのぅ。この地図はドラゴン達の土産で貰った物じゃわ」
「なるほど。しかし、資料としてはとても良い物だとオレは思う」
「最新の地図を貰えるなら交換しても良いぞ」
「本当か! それなら直ぐに交換だ!」
ルーファスが嬉々として異空間収納から大きい世界地図を出して、古い地図と交換してもらっていた。
ああ、これがトリニア家の収集癖だわ……まぁ、ルーファスが尻尾をブンブンさせて喜んでいるから、いいかな……? 私もルーファスに甘いけど、私が甘い分、リュエールが『父上―ッ!! また余計な物を蔵に置いて!!』と、怒るんだろうけどね。
リュエールの怒りっぽいところ誰に似たのかしら? 不思議だわ。あの子には収集癖は無くて、シュトラールが妙に収集癖がある気がするから、トリニア家の収集癖は次はシュトラールに受け継がれているかもしれない。
シュトラールが集めた物は、やはり【刻狼亭】の蔵にシレッと置いてあるから、リュエールの頭の痛い所かも?
時代が過ぎれば、16代目の収集した物とか思われたら、きっとリュエールは草葉の陰から吠えそうよ。
ちなみにシュトラールは昔の手術器具や治療法の本を集めている感じかしらね。
「さて、世界地図の上にクリスタルを置いて、エデンは【探索】儂が【目印】を唱えるぞ」
「はいなのー!」
エデンがクリスタルを持って【探索】魔法を放ち、地図に幾つか小さな光が出ると、ウォルベクスさんが【目印】魔法を放って地図には紫色の点がポツポツとある。
温泉大陸にも一つ。
これはエスタークさんに付いた目印なのだと思う。
「数が多いの……」
「エデン、子孫に引き継がれてばらけてしまった……と、いう事じゃろう」
「皆を、皆を助けたいの……爺様、分離しても、こんなに引き継がれてバラバラじゃ、どうなるか分からないの」
ポロポロと泣き出したエデンの頭をウォルベクスさんが撫でて、エデンをウォルベクスさんに任せ、私達は地図の点のある場所を見る。
覚えのある場所に点が多く、そこは竜人の国、過去に私が召喚で攫われ捕らえられた場所だった。
「竜人の国か……あのトカゲもどきの亜人共め、我らの同胞にまで手を出していたのか!!」
「竜人の国のこの数……十人以上はいるよ……最悪、あたしは許せない」
「兄者もスピナも落ち着け。ここまで多いという事は、かなり引き継がれているが、竜人は長生きだ。代替わりは早々無いかもしれない。そう思えば、少しは希望があるのではないか?」
確かに……それに、あの沼がずっと竜人の遺体を沈めているとすれば、ドラゴンもその中に溶けだして分離出来ているかもしれない。それをどうにか集められたら……
「……カリ、アカリ。大丈夫か?」
「え? ああ、どうかしたの?」
「いや、アカリが心配になっただけだ。竜人の国はオレが何とかしよう。アカリは待ってくれれば良い」
「あ、ううん。大丈夫。少し怖いのは残っているけど、アクエレインとエデンが居れば、一気に分離させられるかもしれないし……」
心配そうなルーファスに大丈夫と親指を立てて、ハガネ直伝の「とりあえず笑っとけ」で歯を見せて笑う。
他にも地図には十四ヵ所点があり、ドラゴンハーフの少なさに驚いてしまう。
でも、アルビーが昔「いつかドラゴンハーフは淘汰される」と言っていたけど、こう少ないと淘汰されてしまう前にどうにかしなくてはと焦りも出てくる。
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