【完結】異世界転生したら女になっていました!

しぇいく

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第7章 六英雄編

多くは語らず、親友へ乾杯

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 《21:00》

 ジュワァッ……という美味しそうな音に目を覚ます。

 「……」

 師範が気がつくと、そこは静かな部屋の中。柔らかいベッドには、どこか魂まで安心する香りが漂っている。(アオイの体臭)

 目線を向けると、部屋の奥。仕切りもない簡素な空間のキッチンで、アオイが背を向けて料理をしていた。
 どうやら調理に集中していて、こちらにはまだ気づいていないようだ。

 「…………」

 しばしその後ろ姿を見ていると──アオイがくるりと振り返った。

 「起きましたか、師匠!」

 「……あ、あぁ」

 「ちょうど今、全部できたところなんですよ」

 ベッド脇のテーブルには、香ばしい香りを漂わせる肉料理がずらりと並べられていた。
 そしてアオイは、揚げたての皿を最後に置く。

 「これは……儂の弟子がよく作っていた“唐揚げ”に似ておるが……」

 狐色に揚がったそれを不思議そうに見つめながら、師範が尋ねる。

 「えーっと……トンカツ、じゃないか……《ピグカツ》って言って、メルピグのお肉を揚げた料理です!」

 「ほほう?」

 「師匠、どうぞ!」

 アオイは椅子を丁寧に引き、師範を座らせる。そして自分も、そっと対面に腰を下ろした。

 「アオイ──」

 「ちょっと待ってください、師匠。何か言う前に……これを」

 アオイがどこからか取り出したのは、年季の入った酒瓶。そして、小さなお猪口を二つ。

 「これは……」

 「知ってますか? けっこうマニアックなお酒で、見つけるの大変だったんですよ」

 「……なぜ、それを探そうと?」

 「うーん……理由はですね……昔、この辺りに住んでた方に、お世話になったことがあって……その人から、初めてもらったお酒がこれだったんです」

 「……………そいつは、今……どうしておる?」

 「………」

 アオイは答えず、少しだけ目を伏せた。

 「そうか……」

 師範は静かに頷くと、アオイの前に置かれたお猪口をそっと取る。

 「──一杯、もらおうかの」

 「はいっ!」

 お互いの器に酒を注ぎ合う。

 「……かんぱいです」

 「かんぱいじゃな」

 ふたりは言葉少なに、お猪口の中を飲み干した。

 
 
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