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1話 開けた場所
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ここはどこかの星のどこかのジャングルの奥深く。
息を切らせながらジャングルの中を走ってきたその男は、火山灰を多く含んだ土壌のせいで灰色に濁った、幅100mはある大河がそばを流れ、他の3方向を木の背が高いために昼間でも薄暗く視界の悪い今来たジャングルに囲まれた、すこし開けた場所に出て来た。
彼は自分がどこからきたかすらわからない。何かに追われ、ここにとっさに逃げてきた。今は頭が十分に回らない。
とりあえず彼は不安でしかたがなかった。ここには何もないからだ。寝床もないし、武器もない。このままではレガティに喰い殺されてしまう。
彼は少なくとも自分を追っていた何かが自分の匂いや足跡でここにたどり着いた時のために、とりあえず武器を作る必要があると考えた。
とりあえず彼は石を拾い、木をひたすらに殴り始めた。広いジャングルにはそのカンッ、カンッという乾いた音がこだましている。
彼は必死に殴り続けた。この音でここにいることがバレてしまうかもしれないという考えは断ち切って、手を石と木に挟んでも、いくら腹が減っても、何があっても表情を変えることなく殴り続けた。
時折ジャングルの中から聞こえてくるかすかな音に耳をすませ、時たま顔をあげてはアムーの鳴き声を真似て、大きな声あげた。
喉が乾けば灰色の川のそばに行き、すこし水分補給をした。
最後の春の日になった時、ここにきた時から彼の目つきは変わっていた。そのおどおどとした目つきはみるみるうちに獣の目つきへと変わっていった。
彼は3日間続く昼の間、ずーっと木を殴り続けた。石は何度も割れ、鋭くなったその先で何度も自分の指を傷つけた。ジャングルから走ってきた時に負った多くの傷はすでに膿みはじめていた。
彼は熱を出してしまい、意識が朦朧としていた。だが、最後の力を振り絞り、1本の枝の先端を何度も割れた石で研いだ。鋭く、さらに鋭く、研いだ。
綺麗に先端が研ぎ追えられる前に、彼は意識を失ってしまった。
彼は深い夜に目を覚ました。まだすこし青い星が空の真ん中にある。夜空はすこし青く、綺麗で、その真ん中を赤い光の帯が、空を2つに分けるように、横切っていた。とても大きな、綺麗な星の帯だ。
それを見た時、彼は我に帰ったのだ。彼は初めて自分が何者だったかを思い出した。どこで産まれ、誰に育てられ、何をしてきたのか。何故逃げていたのか、何から逃げていたのか。
その瞬間彼は涙が止まらなかった。彼は木を登り、自分が来た方向を望んだ。
ジャングルのはるか奥の山の麓に大きな火柱が立っているのを見つけた。
彼は深呼吸をすると、泣くのをやめ、澄んだ顔ですこし手前で光る赤い光を見つめた。
彼は木を降りて、気絶する直前まで研いでいた木の枝を手に取った。そして、夜の暗い、背の高い木に囲まれたジャングルの中へと入っていった。
彼の腕にはフトゥエのナムフと、粗く深く刻まれた傷によって書かれていた。
息を切らせながらジャングルの中を走ってきたその男は、火山灰を多く含んだ土壌のせいで灰色に濁った、幅100mはある大河がそばを流れ、他の3方向を木の背が高いために昼間でも薄暗く視界の悪い今来たジャングルに囲まれた、すこし開けた場所に出て来た。
彼は自分がどこからきたかすらわからない。何かに追われ、ここにとっさに逃げてきた。今は頭が十分に回らない。
とりあえず彼は不安でしかたがなかった。ここには何もないからだ。寝床もないし、武器もない。このままではレガティに喰い殺されてしまう。
彼は少なくとも自分を追っていた何かが自分の匂いや足跡でここにたどり着いた時のために、とりあえず武器を作る必要があると考えた。
とりあえず彼は石を拾い、木をひたすらに殴り始めた。広いジャングルにはそのカンッ、カンッという乾いた音がこだましている。
彼は必死に殴り続けた。この音でここにいることがバレてしまうかもしれないという考えは断ち切って、手を石と木に挟んでも、いくら腹が減っても、何があっても表情を変えることなく殴り続けた。
時折ジャングルの中から聞こえてくるかすかな音に耳をすませ、時たま顔をあげてはアムーの鳴き声を真似て、大きな声あげた。
喉が乾けば灰色の川のそばに行き、すこし水分補給をした。
最後の春の日になった時、ここにきた時から彼の目つきは変わっていた。そのおどおどとした目つきはみるみるうちに獣の目つきへと変わっていった。
彼は3日間続く昼の間、ずーっと木を殴り続けた。石は何度も割れ、鋭くなったその先で何度も自分の指を傷つけた。ジャングルから走ってきた時に負った多くの傷はすでに膿みはじめていた。
彼は熱を出してしまい、意識が朦朧としていた。だが、最後の力を振り絞り、1本の枝の先端を何度も割れた石で研いだ。鋭く、さらに鋭く、研いだ。
綺麗に先端が研ぎ追えられる前に、彼は意識を失ってしまった。
彼は深い夜に目を覚ました。まだすこし青い星が空の真ん中にある。夜空はすこし青く、綺麗で、その真ん中を赤い光の帯が、空を2つに分けるように、横切っていた。とても大きな、綺麗な星の帯だ。
それを見た時、彼は我に帰ったのだ。彼は初めて自分が何者だったかを思い出した。どこで産まれ、誰に育てられ、何をしてきたのか。何故逃げていたのか、何から逃げていたのか。
その瞬間彼は涙が止まらなかった。彼は木を登り、自分が来た方向を望んだ。
ジャングルのはるか奥の山の麓に大きな火柱が立っているのを見つけた。
彼は深呼吸をすると、泣くのをやめ、澄んだ顔ですこし手前で光る赤い光を見つめた。
彼は木を降りて、気絶する直前まで研いでいた木の枝を手に取った。そして、夜の暗い、背の高い木に囲まれたジャングルの中へと入っていった。
彼の腕にはフトゥエのナムフと、粗く深く刻まれた傷によって書かれていた。
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