ゴミ箱の男の話

kappa

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由美子の話

21話 雨の再会

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由美子は、いつも帰りバスだが、病院からフラフラしながら道を歩く。
外は土砂降りの雨が地面を強く打ち付けていた……。
その中をずぶ濡れになりながら、傘刺さずにフラフラ歩く。
そんな道中でも男達の感触が忘れられない。
由美子(もう嫌だ、なんでこうなるの……)
そう考えて歩いていると、涙が溢れて、しゃがみこみ俯く。
由美子(匠さんに相談しよう…)
由美子は首を振る。
由美子(ダメだ……。誠也さんの事、子供の事バレちゃうから……)
下を向いて身体を震わせている。
男「由美子さんやないか。どないしたんや?」
その声に、勢いよく振り返る由美子。
そこにいたのは幸田だった。
由美子「……幸田さん。」
幸田は黒塗りのベンツに乗っていて、病院に定期検査の帰りだった。
幸田「びしょ濡れじゃないか?」
心配そうに話しかけるが、下を向いたまま返事がない。
そんな様子を怪しみながらも車から出て、傘を由美子の上に傾けてかける……。
幸田「送るよ?近くまででも……。」
由美子は、顔をグシャグシャにして涙を必死に堪えながら答える。
由美子「……すみません……大丈夫です……。」
由美子は歩いて行く。
幸田は、由美子の腕を掴む。
すると腕には拘束されたアザや掴まれて赤くなっている所もあった。
幸田「なんやこれ。」
由美子「なんでもないですから……。」
腕を払いのけて、前に歩こうとした。
幸田「なんでもないてなぁ…、おい、ちょっと待たんかいなぁ。」
由美子「……。」
肩をグッと掴まれ振り返る。
由美子は顔を歪ませて涙を拭き、震えた声で答えた……。
由美子「幸田さん……、言う事は変わりませんから……。」
幸田「あかん。このまま放っておく分けにはいかんよ。」
そう言って強く抱きしめる……。
由美子「嫌あぁ……。」
身体を震わせて必死に離れようとする由美子をより強く抱きしめる幸田……。
由美子は、優しさに負ける。
由美子「ゔぅっ……!助けて…助けて下さい……。」
由美子は、嗚咽しながら幸田にお願いする。
幸田は優しく頭を撫でて安心させる。
幸田「大丈夫や、大丈夫や。」
由美子は下を向いたまま上を向く事はできず、幸田の胸に抱かれてただ泣き続けるのであった。

………………………………………………………………

翌週。
院長と婦長は、横領の罪で捕まった。
島の大きなニュースになった。
私を強姦した男達は、誠也の妻水無月さんが破門した人を雇って実行させたらしい……。
水無月さんは私と誠也の関係を知って許せなかったようだ……。
水無月さんは、男達が幸田さんに捕まってから、水無月さんは自殺未遂した。
命に別状はなかったが、水無月は誠也さんに問い詰めても、知らないの一点張りだったそうだ。
誠也は、妻を責められず、幸田さんに頭を下げるしかなかったようだ。
男達は、幸田さんに制裁を加えられ、私に関わらない事を約束して、怯えながら島を出ていった。
それから、誠也さんから一度連絡があり、落ち着いたら会おうと言われた。
でも私はあんな事があって会う気にはなれない。

………………………………………………………………

匠「病院、大変だったなぁ。由美子は大丈夫なのか?」
由美子「大丈夫よ。被害にあった人は気の毒よね。」
匠さんには、バレずに済んだが、また同じ事が起こってしまいそうで怖い。

………………………………………………………………

それから、院長と婦長は変わり、病院も改革をすることになった。
私は事件の当事者であるため、休職して、復帰するように言われた。
幸田さんとは休職中にご飯に一緒に行ったりした。
幸田「誠也といい加減蹴り付けや。」
由美子「わかってはいるんです……。」
幸田「まあ、子供まで産んだんやから、蹴りつけるんもまぁ、難しいのかもしれんけどな……。」
由美子「子供はね……。」
うつむきながら淡々と喋り続ける由美子。
幸田「匠や誠也や、厄介な奴と関係持ってしもて、まぁ、簡単には抜け出せんわな……。」
由美子「私…最低ですよね…。」
幸田「ワシもな。」
それから幸田は、由美子の手を握る。
私はその手を握り返した。
この手を握り返すという事は、そう言う事だ。
由美子「私、これくらいしか……幸田さんに…対価払える物ないから……。」
幸田「ええのに……。」
由美子「ちゃんと……お礼させて下さい。」
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