転生した私はバイプレイヤーで満足です

柚木 倫太郎

文字の大きさ
6 / 25

この世界の医師は呪術使いなのか

しおりを挟む
(目の前に綺麗なお姉さん・・・もとい、お兄さんがいる)



簡素であるが品のある住まいには、どこか懐かしいような、いやちょっと違う感じか?
独特なお香のような匂いが立ち込めていた。

もう数刻この場所で放置され立たされている秀鈴は、飽きることなく自分に背を向けて何か作業している人物を見つめていた。



腰までの銀色の長い髪、色白な肌は陶器の白磁のように透き通り、赤みのかかる黒色の瞳は手にした書物に向けられていて部屋に通された秀鈴を見ることは全くなかった。



(妖精? 聖人? 仙人?)



いつまで見ていても癒される。
こんな人間がこの世界には存在するのだと感心するし、こんな機会があって得した気分だ。
なんとなく手を合わせて拝んでいた。





大皇太后の窒息回避に尽力したにもかかわらず、秀鈴は丸2日牢屋に監禁されていた。まあ、助けようとしたとはいえ、大皇太后の背中を叩いてしまったのだから打ち首になってもおかしくなかった。



だから、急に牢から出されて連れてこられたところがここで、もしかしてすでに処刑されて天国に来てしまったのかと錯覚を起こしそうになっている。





「 先生 」



元気な声が響いて部屋に飛び込んできたのは、見たことがあるけど自分なんかが見たことがあると言っちゃいけないお方だった。



(で? 殿下?)



そう、彼は杜 光偉と初対面の時にお見掛けした皇太子様、王 雲陽おう うんようだ。光偉と雲陽のお付きの宦官も彼の後に続いて部屋に入ってくる。



「 雲陽様 このようなところへお越しいただき恐悦至極にございます」



皇太子から「先生」と呼ばれた綺麗なお兄さんは、柔らかい笑みを浮かべて右手を胸に当てお辞儀しながら跪く。



「 楽にしてくれ 」

「 はい ありがとうございます 」



2人の仲は良好みたいで、秀鈴の存在が全くないみたいに2人の世界に入っている。

雲陽は皇帝の血筋を引き継ぎ、瞳の色はエメラルドグリーンだ。皇帝というよりも母の皇后に似たのか二重の大きな瞳で童顔のため、鄭妃の4歳上で19歳のはずだが実年齢よりも幼く見える。(ということは秀鈴の1つ年下)



「 胡 秀鈴 久しいな 」



秀鈴は雲陽が部屋に入ってきてから跪き礼を取る姿勢で控えていた。



「 は・・・はい 」



俯いたまま返事を返したが、こんなときになんと返事していいのか分からず曖昧に言葉を濁す。

高貴な身分の彼から『久しぶり』と言われるほど仲良しな関係ではない。雲の上の身分の人とどう話せばいいのか分からない。尊敬語?謙譲語?丁寧語?・・・使い方をネット検索しておけばよかったと後悔しても遅い。



「 先生、秀鈴があの時、光偉の手当をした侍女だよ 」



童顔に満面の笑みを浮かべて自慢気に綺麗な先生に胸を張って紹介する。



「 そうですか、あの時の・・・ 」



先生の視線が初めて秀鈴に向く。でもそれは一瞬に過ぎない。視線は秀鈴を通り越し雲陽の背後に控える光偉へ移る。



「 光偉殿、その後傷の方はどうですか? 」

「 はい、そう先生の御蔭でほとんど元のようになっています 」



いつも秀鈴と話をする時の砕けた無礼な物言いではない余所行きの光偉が、宋と呼ぶ私をガン無視する人に答える。



「 診てみましょう。こちらに 」



雲陽に視線を向けた光偉は、診てもらうように頷き促す彼に一礼をした後、宋先生の前に進み出る。

私がこの前見た光偉の傷は、傷跡がミミズ腫れにはなってはいたが異常はない感じだった。受傷したときに見た時はかなりの大きさで深い傷だったけど、出血の仕方を見ても大きな動脈を損傷しているわけではなさそうだった。でも、あれだけの傷を負い回復するためには化膿する危険性もあるし、現代であれば抗生剤投与して時間もかかった筈だ。



( あの短期間でどうやって治したのかしら? )



秀鈴がそんなことを考えている目の前で、宋先生は光偉の負傷した腕に手をかざす。



( なんかのおまじない? )



訝って見ている秀鈴の前で、信じられない光景が繰り広げられる。現代ならそんなのあり得ない光景。

漫画やアニメの世界でしかあり得んでしょ。



宋先生の手のひらから不思議な光とそれと共に蜃気楼のように空気が揺れるような、今までに見たこともない超常現象を見てしまった。



( これはなんなの!? 呪術ですか?これは!! )





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...