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災いは何食わぬ顔でやってくるのです
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バイプレーヤーとは・・・ 脇役
映画・テレビドラマ・舞台演劇などで、主役に副次的に関わる役のこと
和製英語で、 byplay(劇でのわき演技)をする人というような意味
胡 秀鈴は今日も黙々と地味な仕事をこなしている。
起床時間は夜明け前の5時半 側妃である鄭妃の住まう水晶宮の主人の一番近くの部屋で寝泊まりしている。
後宮に参内する前からの侍女で鄭妃の一番傍にはいるが、だからと言って元々の家柄や身分が高いわけではないので、侍女長みたいな役職に立っているわけではない。
幼馴染の延長で鄭妃の強い希望があって一番の側近をしているだけだ。もちろん、主人を守る任務もあるから、交代で夜勤みたいな任務も回ってきたりもする。
「 ふわぁ~~~ 」
欠伸をしながら首を左右にコキコキと揺らしながら身支度を素早く済ませて、鄭妃の寝所へと向かう。
最近、なぜか仕事が倍増してなかなか疲れが取れなくなっている。
( あれもこれも余分なのよ )
治薬院での漢方薬の仕分け仕事と大皇太后の認知症予防訓練(談話するだけだけど)のことを思い浮かべて顔をしかめる。
それもこれも、元をたどればあの皇太子暗殺未遂事件の時に偶然その場に居合わせて光偉の傷の応急手当をしたことから始まった。
異世界に来る前でも、聖職としての看護師を選んだ自分なのに、実際にはできるだけ目立つことなく必要最低限の仕事をしワークライフバランスを第一にしてきた。
まさか、この世界に転生してこんなにこき使われるとは予想できなかった。それも地味で下働き的なことばかり・・・
ルーチン通りに起床時の飲み物、最近気温が上がってきているので冷たいお茶の中に香り付けに果汁を混ぜた物を用意する。
あとは洗面、身支度のお手伝いをして、朝食の準備と続いていく。
( 何かいる? )
鄭妃の朝食が済み、下膳をしていた。食器ののったお盆を持ち、鄭妃の部屋から出たときに微かに違和感を感じた。
今まで霊感が強いと思ったこともないし、元々鈍感な秀鈴が気がつくのは珍しいことだ。
「 気のせいか 」
その気配はすぐに無くなる。疲れが溜まって変な空気を感じるだけだと思ったが、その気配は日増しに強くなる。
その気配に初めて気が付いたのは、大皇太后に拝謁した日の帰り道だ。視線を感じて振り返ったけど誰も何にもなかった。気のせいだと思い視線を前に戻すと先を歩いていた宋先生が不意に振り返っていて一瞬だけ目が合った。結局彼は何も言わずにいつも通り秀鈴をガン無視するだけだった。
( 自意識過剰なんだな、私 )
そのことは誰にも言ったり相談したりすることはなかった。それは今のところ秀鈴に害があるわけではなかったからだ。
モブキャラの秀鈴にこんなに時間を費やして何かしてくるとは思えないし、偶然?気のせい?だと思おうとしていた。
せっかく生まれ変わった(転生)したのだから、目立たずひっそり平穏にのんびり長生きしたい。そのためにできたら、治薬院のお手伝いも大皇太后の御話相手もキャンセルさせていただきたい。
( ムリだ~ )
治薬院の仕事は薬の成分がなんとなく分かってくるし、東洋医学について亮に教えてもらっていると興味も沸いてくる。大皇太后の御話相手も行けば珍しいおやつが食べられる。今のところ悪いことはないからだ。
「 今日は、宋先生のところへ行く日だったわね 」
考え事をしてぼんやりしていると鄭妃に言われる。
「 はい。お昼からですけど 」
「 がんばってね 」
秀鈴の悩みなど吹っ飛ぶほどの満面の笑みで鄭妃は励ましてくれる。幼く可愛らしさが残る彼女はあと数年経てばこの国1~2を争うほどの美姫になるだろう。そんな自分の主人を誇らしく思う。
主人に天下一の笑顔で送り出された秀鈴は方向音痴でも覚えられるほど通いなれた道を行く。水晶宮を出て左折、100mほど行って右折、今度は50mほどで左折、回廊を抜けて・・・何度も頭の中で目標物を思い出しながら歩いていく。
そして、真っ白なくちなしの花が咲き誇る通路が出てくる。
( くちなしの実は・・・確か山梔子とか言って、消炎、利尿、止血、鎮静、鎮痙に効果があるんじゃなかったかな? )
低木のくちなしは八重咲の真っ白な花を咲かせて、強い芳香が周囲に漂っている。昼を過ぎ天気もいいせいもあり、むせ返るほどの臭気を放ち足を止めて花を見ていた秀鈴を包み込んでいく。
( あかん。なんかこれ変だよ )
嗅覚はもちろん、視覚聴覚すべての感覚がなにかに囚われるようだった。体は全くいうことを聞かず動けない上に助けを求めようにも声も出ない。その場に蹲る様に膝をつく。耳鳴りみたいにキーンという高い音がしてくるため吐き気まで催してきた。
・・・ お・・・おまえ・・・おまえは・・・だれだ・・・・
人と思えないような声?音?が小さく頭の中に木霊するのだった。
映画・テレビドラマ・舞台演劇などで、主役に副次的に関わる役のこと
和製英語で、 byplay(劇でのわき演技)をする人というような意味
胡 秀鈴は今日も黙々と地味な仕事をこなしている。
起床時間は夜明け前の5時半 側妃である鄭妃の住まう水晶宮の主人の一番近くの部屋で寝泊まりしている。
後宮に参内する前からの侍女で鄭妃の一番傍にはいるが、だからと言って元々の家柄や身分が高いわけではないので、侍女長みたいな役職に立っているわけではない。
幼馴染の延長で鄭妃の強い希望があって一番の側近をしているだけだ。もちろん、主人を守る任務もあるから、交代で夜勤みたいな任務も回ってきたりもする。
「 ふわぁ~~~ 」
欠伸をしながら首を左右にコキコキと揺らしながら身支度を素早く済ませて、鄭妃の寝所へと向かう。
最近、なぜか仕事が倍増してなかなか疲れが取れなくなっている。
( あれもこれも余分なのよ )
治薬院での漢方薬の仕分け仕事と大皇太后の認知症予防訓練(談話するだけだけど)のことを思い浮かべて顔をしかめる。
それもこれも、元をたどればあの皇太子暗殺未遂事件の時に偶然その場に居合わせて光偉の傷の応急手当をしたことから始まった。
異世界に来る前でも、聖職としての看護師を選んだ自分なのに、実際にはできるだけ目立つことなく必要最低限の仕事をしワークライフバランスを第一にしてきた。
まさか、この世界に転生してこんなにこき使われるとは予想できなかった。それも地味で下働き的なことばかり・・・
ルーチン通りに起床時の飲み物、最近気温が上がってきているので冷たいお茶の中に香り付けに果汁を混ぜた物を用意する。
あとは洗面、身支度のお手伝いをして、朝食の準備と続いていく。
( 何かいる? )
鄭妃の朝食が済み、下膳をしていた。食器ののったお盆を持ち、鄭妃の部屋から出たときに微かに違和感を感じた。
今まで霊感が強いと思ったこともないし、元々鈍感な秀鈴が気がつくのは珍しいことだ。
「 気のせいか 」
その気配はすぐに無くなる。疲れが溜まって変な空気を感じるだけだと思ったが、その気配は日増しに強くなる。
その気配に初めて気が付いたのは、大皇太后に拝謁した日の帰り道だ。視線を感じて振り返ったけど誰も何にもなかった。気のせいだと思い視線を前に戻すと先を歩いていた宋先生が不意に振り返っていて一瞬だけ目が合った。結局彼は何も言わずにいつも通り秀鈴をガン無視するだけだった。
( 自意識過剰なんだな、私 )
そのことは誰にも言ったり相談したりすることはなかった。それは今のところ秀鈴に害があるわけではなかったからだ。
モブキャラの秀鈴にこんなに時間を費やして何かしてくるとは思えないし、偶然?気のせい?だと思おうとしていた。
せっかく生まれ変わった(転生)したのだから、目立たずひっそり平穏にのんびり長生きしたい。そのためにできたら、治薬院のお手伝いも大皇太后の御話相手もキャンセルさせていただきたい。
( ムリだ~ )
治薬院の仕事は薬の成分がなんとなく分かってくるし、東洋医学について亮に教えてもらっていると興味も沸いてくる。大皇太后の御話相手も行けば珍しいおやつが食べられる。今のところ悪いことはないからだ。
「 今日は、宋先生のところへ行く日だったわね 」
考え事をしてぼんやりしていると鄭妃に言われる。
「 はい。お昼からですけど 」
「 がんばってね 」
秀鈴の悩みなど吹っ飛ぶほどの満面の笑みで鄭妃は励ましてくれる。幼く可愛らしさが残る彼女はあと数年経てばこの国1~2を争うほどの美姫になるだろう。そんな自分の主人を誇らしく思う。
主人に天下一の笑顔で送り出された秀鈴は方向音痴でも覚えられるほど通いなれた道を行く。水晶宮を出て左折、100mほど行って右折、今度は50mほどで左折、回廊を抜けて・・・何度も頭の中で目標物を思い出しながら歩いていく。
そして、真っ白なくちなしの花が咲き誇る通路が出てくる。
( くちなしの実は・・・確か山梔子とか言って、消炎、利尿、止血、鎮静、鎮痙に効果があるんじゃなかったかな? )
低木のくちなしは八重咲の真っ白な花を咲かせて、強い芳香が周囲に漂っている。昼を過ぎ天気もいいせいもあり、むせ返るほどの臭気を放ち足を止めて花を見ていた秀鈴を包み込んでいく。
( あかん。なんかこれ変だよ )
嗅覚はもちろん、視覚聴覚すべての感覚がなにかに囚われるようだった。体は全くいうことを聞かず動けない上に助けを求めようにも声も出ない。その場に蹲る様に膝をつく。耳鳴りみたいにキーンという高い音がしてくるため吐き気まで催してきた。
・・・ お・・・おまえ・・・おまえは・・・だれだ・・・・
人と思えないような声?音?が小さく頭の中に木霊するのだった。
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