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計画通りです

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「醜い君とは婚約破棄させてもらう!そして私は、この美しいミリアンヌと婚約する!」


 自身が主役の誕生日パーティで声高らかと宣言するのは、私の幼少期からの婚約者。
 本日17歳を迎えるこの国の皇太子、ビーキト様。


「私もよくここまで耐えたと自分を褒めてやりたい。皇太子の婚約者だと言うのに、その醜い姿はなんだ!それに比べて、ミリアンヌ嬢は美しく、思慮深い。皇太子の婚約者としてこれ程適任はいないだろう」
「ありがとうございますわ、ビーキト様。ですが、ビーキト様、私には婚約者がいますの…」
「なんだと!」


 私のまるまると太った体型を嘲笑いながら、芝居がかった様にビーキト様とミリアンヌ嬢が話し始める。


「しかし、君の婚約者というのは、あそこにいる醜い男のことだろ?」


 ニヤニヤと笑うビーキト様が、これまたまるまると太ったミリアンヌ嬢の婚約者ーーアンソンを指さす。


「ええ、そうです。ですが、1度結ばれた婚約はそう簡単に破棄することが出来ないんです…」
「ああ、なんて哀れなミリアンヌ嬢。いいだろう、この私があの醜い男から君を解き放ってやろう」
「ビーキト様…!」


 なんだがすごく盛り上がっているようだ。
 そんな2人を私とアンソンは冷静に見守る。


「皇太子の名のもとに、ミリアンヌ嬢と現婚約者の婚約を破棄する!」



 皇太子だとしても、婚約は家と家との契約だ。
 普通ならそんなことは出来ないのだが、アンソンは顔色を変えず返事をする。


「承知致しました」
「見た目は醜いが、潔良い所だけは認めてやる」


 馬鹿にしたようにビーキト様がアンソンに言い、今度は私に向き直った。


「そういうことだ、カイラ。私はミリアンヌ嬢と婚約する。今から君は私の婚約者でもなんでもないんだ、今すぐその醜い男と一緒にここから出ていってくれ。私は綺麗好きでね、醜いものは視界に入れたくないんだ」
「ビーキト様の仰せのままに」


 勝ち誇ったように言い放つビーキト様に淑女の礼を取って、アンソンと共に会場を後にする。


「カイラ」
「なに?アンソン」
「家も同じ方向だし、一緒の馬車で帰らないか」
「いいわね、そうしましょう」


 アンソンの言葉に同意して、一緒の馬車に乗り込む。
 

そしてーーー。


「アンソン」
「ああ…」
「やったぁぁああああ!!やっと婚約破棄された!」
「ああ!長かったな!身体が重くて辛かったが、太ったかいがあったな!」
「ええ、ホントに!これであのアホ皇太子から開放される!」
「俺もやっとあのわがまま令嬢のお守りから開放される!」


 馬車に乗った瞬間、アンソンとハイタッチして喜びを分かち合う。
 だって、やっと婚約破棄がかなったんだもの。


「10年か…長かったな…」
「ええ、本当に…」
「でも、やっと言える。カイラ、俺と婚約してくれないか」
「もちろんよ。その言葉をどれだけ夢見てたか」


 お互いかなり体型は変わってしまったけど、気持ちをずっと変わらなかった。
 あの皇太子と令嬢がいなければ、こんなに太ることも、時間がかかることもなかったのに。



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