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しおりを挟む私の発言で重苦しい空気になってしまった。
どうしよう…この空気をどうやって変えれば…。
「エマは……俺と愛し愛される関係にはなれないのか…?」
「え…?」
ん?今のは私の幻聴?
私とエリオット様が愛し愛される関係になれるかどうか?を聞かれた気がしたんだけど?
「どんな男なら、エマは愛し愛される関係になれるの?」
「へ?私?私ですか?」
おやおや?雲行きが怪しいぞ?
どうしてそんな質問をされているのかな?
そして耳元で囁くように言うのは止めてください!
過剰ファンサはお断り!もう、恥ずかしいやら嬉しいやら感情が行方不明になるんです!
「ねぇ、俺じゃどうしてダメなの?」
はわわわわ!
み、耳が!耳に吐息が…!
「だ、ダダダダダメなんかじゃないです!ただただ、ただ!私にエリオット様はもったいな過ぎるお方で!むしろ私なんかが愛される気が微塵もしないと言いますか!」
「なるほどね…じゃあ、俺が君を愛せるかどうか、試してみようか?」
「た、ためす?何をどうやって…?」
「まぁ、それはお楽しみってことで」
珍しく妖艶に笑う推しが眼福過ぎる!
じゃない!お楽しみって何!?具体的にどうするとかは教えてくれないんですか!?
というか、これも指を舐められた時みたいにからかわれてる!?
うーん…そう思うとそんな気がしてきたかも。
私なんかを愛せるか試してもなんのメリットも無いもんね。
うんうん。私がお嫁に行けないとか変なこと言っちゃったせいで空気がおかしくなったから冗談を言って話題を変えようとしてくれたのかな?
なんて優しいの私の推し!
私の失言を無かったことにしてくれようとするなんて!推しとしてじゃなくても雇用主として最高だ!
こんな人の下で働けるんだから、私も今以上にしっかりと働かないといけないよね!
「あ、そういえば先程、私には大事な仕事があると仰っていませんでしたか?それは一体どういう仕事でしょうか?」
私に任せようと思っていただいたのなら、全力でお応えせねば!こんなホワイトで優しい雇い主なんてそうそう居ないんだから!
「あれ?さっきまで恥ずかしがってたのに…俺の魅力ってそんなになかった?」
「いえ!エリオット様は魅力の塊のような方です!ですけど、空気を変えるためにあんな本気かと思う様な声で冗談を言うのはやめてくださいね。私じゃ無ければ勘違いされてますよ」
表情は見えなくてもあんな真剣な声を聞いちゃえば、誰だって勘違いしちゃいそうになるよ。
私はエリオット様の心が誰に向いているのかを知っていたから良かったものの、そうじゃなければ今頃大変なことになっていたよ。
見た目も中身も地位も能力も1級品な自分の魅力をもっと理解してもらわないと本当に困っちゃうよ。
「冗談………エマには冗談に聞こえたのか」
「エリオット様…?」
後ろから抱き抱えられているので顔が見れないけど、なんだか声のトーンが低くなった気がする。
一体どうしたんだろう?
顔を見ようとしてもがっちりホールドされてて振り返れない。
エリオット様も無言になってしまってどうしようかと考えていると、耳の近くで感じられていたエリオット様の吐息が少し下がり、首元へと移動する。
どうしたんだろう?と思っていると、突然首元に柔らかくて暖かいものが触れる。
それが何なのかと気付く前にチクッとした痛みが走る。
「痛っ、」
「………、まぁ、こんなものかな」
「こんな物って何がですか?あの、今首元がチクッとしたのですが…」
首にチクッとした痛みが走ったと同時に腰に回っていた腕の力が緩められて、何事かと後ろを振り向く。
そうすれば、少し怒ったように笑うエリオットと目が合う。
「エマが鈍感過ぎるからお仕置き。隠したらもっと激しいお仕置するからね。分かった?」
「えっと……はい」
語尾にハートマークが付きそうな口調なのに、何故か有無を言わせないような圧を感じる。
お仕置きって何に対して?
隠すって何を?
もっと激しいお仕置きとは…?
聞きたいことは山ほどあったけど、聞ける雰囲気ではなかったので頷く事しか出来ませんでした。
私が頷いた後は、いつも通りの彼になって終業まで特に変わったことはなかった。
変わったことといえば、用意して頂いた部屋に設置された鏡を覗けば、自分の首元に虫刺されがあったくらい。
はて、一体いつ刺されたんだろう?
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