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古代の悪魔
36話 甦る悪魔
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考古学研究所では、今日からの棺の調査をするため、関係者が集まってきていた。1階の待合いロビーで座っている棺の発見者モーリスは考古学者ミッシェルに
「全く、昨晩の赤い球体には驚きました、もう今日は、特に変わったことも起きていなし、
ホットしましたよ、いったい誰のいたずらですかね。ハハハ・・・」
「そうですね」
ミッシェルは昨晩の出来事はフランス政府から絶対に口外しないように言われていたため
モーリスには何も言えないでいた。その様子を近くにいたレモンド中佐にしっかりと
見られていた。
「おはようございます。お二人とも早いですな。これからの調査では何が出るかたのしみですな」
「どちらの方かな?」
モーリスは初対面のレモンド中佐を見て首をかしげた。
「これは、これは、大変失礼しました。フランス軍特殊科学部隊のレモンドと言います。
よろしくお願いします」
「モーリスです。国はもう棺の発見について、見張り役を立ててきたわけですな。しかし、なにがあっても、これは人類史上重大な発見ですから、軍が介入するようなことにはなりませんよ。それに棺を開ける時はテレビ局の生中継の手配もしていますから、隠しようもないですがね」
「テレビ局?」
「はい、これはもう、スポンサーになっていただいた企業からの要望でもありますし、なにしろこの棺はフランス国の領内から発見された物でないし、国際海域からの発見ですから、特にフランス国の許可など必要ありませんから」
レモンド中佐はまた、昨日と同じような赤い球体でも飛び出したら、世界から、昨日の騒ぎはフランスからだということがばれてしまうと心配になったが、上層部も世界でこれといった被害もでていないし、しばらく様子をみることになっているから、あまり、気にすることもないだろうと考えた。
そのころ、調査分析室でも準備を始めるため、昨日、球体に触れた若い女性の調査助手ジャンヌが棺のある調査分析室にセキュリティカードと手の静脈認証を行い、室内に入った。その時だった。扉を開けた時、金髪の180cmぐらいの大柄な若い女性が古代人のような服装をして立っていた。
「あなた、誰?どうやってここに入ったの?」
ジャンヌが大きい声を出した。
「すみません。今日はテレビ局の生放送の出演者なんですけど、待合室を探していて、迷ってしまって、そしたら、ここの扉が開いていたので、中に入ったら出れなくなってしまったんです」
「開いていた?そんなことは絶対にないわ。この部屋は24時間監視付きの厳重なセキュリティで守られているんだから」
「でも、私が入る前にあなたと同じ上着を着た方がここから出て行きましたよ」
「そうなの?」
「はい、なにか慌てているみたいで、急いで出ていきましたから」
「アランかしら、全く扉を開け放しにするなんて、そそっかしいんだから」
「それでは、開けてくださり、ありがとうございます」
そう言って、その女性は笑いながら外に出ていった。ジャンヌは調査開始まで時間がなく、慌てていたため、その女性のことはあまり気にせず、準備作業に集中した。
その金髪女性はゆっくりと出口に向かって、ひんやりとしたうす暗い通路を歩いていき、1階出入り口で待機しているレモンド中佐たちのそばを風のようにすり抜けて行った。その時、レモンドは
「モーリス、テレビ局の関係者を入れるにはまだ早いんじゃないですか。しかし、やっぱり、
これだけ大騒ぎしている、歴史的発見だから、出演者もきれいな女性を起用しますな」
ミッシェルも驚いた様子で
「いやあ~、あの服装も古代の女神をイメージされたんですね、全く完璧な容姿ですよ、テレビ局にも古代文明に明るい方もいるんですね」
モーリスはテレビ局には早くても午後になるから、自分が連絡してから、来るように言っておいたのに、もう来ているのかとその女性を追いかけて注意をしにいった。
「お~い、あんた、早いじゃないか。今日は午後の約束だろう」
女性は振り向き、困った様子で
「すみません。早く来てしまって。どうしても、トイレをお借りしたくて」
女性の困った顔にモーリスは
「失礼、トイレではしょうがないですね。また連絡をいれるから、テレビ局の人には良く伝えといてください」
「わかりました」
笑いながら、その女性は歩いて行った。そして、建物の外扉をあけた瞬間、澄み切った空と太陽の日差しがこうこうとその女性をつつみこんだ。女性は両手を高々と上げ、太陽と空に向かって、開放感にあふれた笑顔で喜びに沸きあがった。
「はあ~なんてすばらしい景色」
研究所のまわりは森と遊歩道になっており、その女性の足元には芝生も一面に広がっていた。
空やその周辺を見渡しながら、最高の気分になった。
『さっき、眠りについたと思ったら、こんな時代で目覚めるなんて、あれから1万2千503年も経ったなんて信じられないわ。それにしてもあの原始人達がここまでの文明を築き上げるなんて驚きだわ』
少し考えた様子で
『だけど、アトランティスの人たちは調和の取れたすばらしい人種だったけど、ここの人種はやはり、原始人の末裔ね。文明こそ築き上げたようだけど、環境破壊や人口の異常な増加、これじゃあ、私がなにもしなくても、100年以内に地球の環境異常や食糧難で間違いなく絶滅するわね、どうやら、アトランティスもこの世界に存在していない、私が眠りに入ってから、地殻変動により海底に消滅したようね』
そんなことを思いながら
『わが、母星と銀河系に広がるすべてのわが種族に亜空間送信をしたが、何も返信がない、この星系にいた、宇宙船や月の裏側の前哨基地からも返信なし、どうやら、わが種族も絶滅したようね。この銀河系において、あれだけ繁栄していたわが種族が・・・・』
これから、どうしたものかと、その女性は少し考え
『わが種族がいないのであれば、わたくしの破滅への使者としての使命も何も意味をなさない、それならば、この世界を渡り歩き、思い切り楽しもうではないか、ここはフランス国パリ、芸術やこの国の文化にでも触れてみるのも悪くないな』
そんなことを考え、笑いながら、パリ中心地に向けて、その女性は歩いて行った。
「全く、昨晩の赤い球体には驚きました、もう今日は、特に変わったことも起きていなし、
ホットしましたよ、いったい誰のいたずらですかね。ハハハ・・・」
「そうですね」
ミッシェルは昨晩の出来事はフランス政府から絶対に口外しないように言われていたため
モーリスには何も言えないでいた。その様子を近くにいたレモンド中佐にしっかりと
見られていた。
「おはようございます。お二人とも早いですな。これからの調査では何が出るかたのしみですな」
「どちらの方かな?」
モーリスは初対面のレモンド中佐を見て首をかしげた。
「これは、これは、大変失礼しました。フランス軍特殊科学部隊のレモンドと言います。
よろしくお願いします」
「モーリスです。国はもう棺の発見について、見張り役を立ててきたわけですな。しかし、なにがあっても、これは人類史上重大な発見ですから、軍が介入するようなことにはなりませんよ。それに棺を開ける時はテレビ局の生中継の手配もしていますから、隠しようもないですがね」
「テレビ局?」
「はい、これはもう、スポンサーになっていただいた企業からの要望でもありますし、なにしろこの棺はフランス国の領内から発見された物でないし、国際海域からの発見ですから、特にフランス国の許可など必要ありませんから」
レモンド中佐はまた、昨日と同じような赤い球体でも飛び出したら、世界から、昨日の騒ぎはフランスからだということがばれてしまうと心配になったが、上層部も世界でこれといった被害もでていないし、しばらく様子をみることになっているから、あまり、気にすることもないだろうと考えた。
そのころ、調査分析室でも準備を始めるため、昨日、球体に触れた若い女性の調査助手ジャンヌが棺のある調査分析室にセキュリティカードと手の静脈認証を行い、室内に入った。その時だった。扉を開けた時、金髪の180cmぐらいの大柄な若い女性が古代人のような服装をして立っていた。
「あなた、誰?どうやってここに入ったの?」
ジャンヌが大きい声を出した。
「すみません。今日はテレビ局の生放送の出演者なんですけど、待合室を探していて、迷ってしまって、そしたら、ここの扉が開いていたので、中に入ったら出れなくなってしまったんです」
「開いていた?そんなことは絶対にないわ。この部屋は24時間監視付きの厳重なセキュリティで守られているんだから」
「でも、私が入る前にあなたと同じ上着を着た方がここから出て行きましたよ」
「そうなの?」
「はい、なにか慌てているみたいで、急いで出ていきましたから」
「アランかしら、全く扉を開け放しにするなんて、そそっかしいんだから」
「それでは、開けてくださり、ありがとうございます」
そう言って、その女性は笑いながら外に出ていった。ジャンヌは調査開始まで時間がなく、慌てていたため、その女性のことはあまり気にせず、準備作業に集中した。
その金髪女性はゆっくりと出口に向かって、ひんやりとしたうす暗い通路を歩いていき、1階出入り口で待機しているレモンド中佐たちのそばを風のようにすり抜けて行った。その時、レモンドは
「モーリス、テレビ局の関係者を入れるにはまだ早いんじゃないですか。しかし、やっぱり、
これだけ大騒ぎしている、歴史的発見だから、出演者もきれいな女性を起用しますな」
ミッシェルも驚いた様子で
「いやあ~、あの服装も古代の女神をイメージされたんですね、全く完璧な容姿ですよ、テレビ局にも古代文明に明るい方もいるんですね」
モーリスはテレビ局には早くても午後になるから、自分が連絡してから、来るように言っておいたのに、もう来ているのかとその女性を追いかけて注意をしにいった。
「お~い、あんた、早いじゃないか。今日は午後の約束だろう」
女性は振り向き、困った様子で
「すみません。早く来てしまって。どうしても、トイレをお借りしたくて」
女性の困った顔にモーリスは
「失礼、トイレではしょうがないですね。また連絡をいれるから、テレビ局の人には良く伝えといてください」
「わかりました」
笑いながら、その女性は歩いて行った。そして、建物の外扉をあけた瞬間、澄み切った空と太陽の日差しがこうこうとその女性をつつみこんだ。女性は両手を高々と上げ、太陽と空に向かって、開放感にあふれた笑顔で喜びに沸きあがった。
「はあ~なんてすばらしい景色」
研究所のまわりは森と遊歩道になっており、その女性の足元には芝生も一面に広がっていた。
空やその周辺を見渡しながら、最高の気分になった。
『さっき、眠りについたと思ったら、こんな時代で目覚めるなんて、あれから1万2千503年も経ったなんて信じられないわ。それにしてもあの原始人達がここまでの文明を築き上げるなんて驚きだわ』
少し考えた様子で
『だけど、アトランティスの人たちは調和の取れたすばらしい人種だったけど、ここの人種はやはり、原始人の末裔ね。文明こそ築き上げたようだけど、環境破壊や人口の異常な増加、これじゃあ、私がなにもしなくても、100年以内に地球の環境異常や食糧難で間違いなく絶滅するわね、どうやら、アトランティスもこの世界に存在していない、私が眠りに入ってから、地殻変動により海底に消滅したようね』
そんなことを思いながら
『わが、母星と銀河系に広がるすべてのわが種族に亜空間送信をしたが、何も返信がない、この星系にいた、宇宙船や月の裏側の前哨基地からも返信なし、どうやら、わが種族も絶滅したようね。この銀河系において、あれだけ繁栄していたわが種族が・・・・』
これから、どうしたものかと、その女性は少し考え
『わが種族がいないのであれば、わたくしの破滅への使者としての使命も何も意味をなさない、それならば、この世界を渡り歩き、思い切り楽しもうではないか、ここはフランス国パリ、芸術やこの国の文化にでも触れてみるのも悪くないな』
そんなことを考え、笑いながら、パリ中心地に向けて、その女性は歩いて行った。
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