平和への使者

Daisaku

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アメリカ1

第114話 使い走りの軍人

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「ふ~、ジョージのお願いとはいえ、なんで私がこんなところで貴重な時間を費やして監視任務なんてしているのかしら、見たところ普通の高校生じゃない、あの子達」

マリアはCIAから頼まれた、治安情報局の特にマリやユウキ、イブの事前調査に疑問を感じていた。

「今日も特に変わったことはないわね。さて、勤務時間になったし、基地に戻ろうかしら」

マリアが車内でそうつぶやいた瞬間、8人の治安情報局の者達がマリアの車を囲うように瞬間的に現われた。マリアはびっくりして周囲を見つめた。

「みんな~発砲しちゃ、だめだよ」

マリは大声で指示した。

「おい、車内にいるスパイ、おとなしく外にでろ!」

カミーユ大尉は車内にいる女性に怒鳴るように声をだした。車内にいるマリアは驚いた様子で、
静かに車から外に出てきた。

「なにか、ご用ですか?」

マリアはすっとぼけた様子で答えた。

「イブ、お願い」

「了解、マリ」

イブはそういうと、マリアに近づき、頭に手を置いた。

「おい、お前は誰に頼まれてここにいる」

「私は、ちょっとここで休んでいただけよ」

「5日間も連続で急にここで休むようになったのか。お前の所属と部署はどこだ?」

「あなたに、そんなことを答える義務はないわ」

「どう?イブ」

「フフフ、わかったぞマリ、やっぱりこいつはアメリカのスパイだな」

ユウキはそうだろと言った顔で

「イブ、やっぱりCIAだろ」

イブはユウキが先にしゃっべたことに少し苛立ちながら

「マリ、こいつはフランス陸軍マリア中尉でアメリカCIAテロ対策室を統括しているジョージから頼まれて我々を調査しているようだ。絶対にばれないと思っているようだが、我々を甘く見すぎているな」

「フランス軍に所属している者がなぜ、こんなことをしたんだろ?」

「このマリアは3年前から、さまざまな情報をアメリカに流している、理由は単純、
お小遣い稼ぎだ」

「そうなんだ、なんか、この人、安っぽい人なんだね」

「そういうことだ、自分がいいように使われていることや、いつでも切り捨てることができる、クズ人間だと思われていることにすら気づけないバカだ、こいつを、どうするマリ?」

「そうだね、我々はどうしてもアメリカから来てほしいと言われたから、来月から行く予定をしていたけど、こんな人に調査させ、しかも、我々をスパイすることが、どれだけ失礼な行為かわかっていないんだから」

マリはため息をついて

「な~んか、ドイツの時も一緒だったけど、もう行くのやめようかアメリカ」

ユウキは、驚いて、

「マリ、大統領をはじめ、各閣僚などとも、予定がびっちり入っているけど、本当にやめるのかい」

「だって、こんな、まるで、犯罪者を尾行して調べるような態度をするんだから、このマリアとそのジョージの通話記録もイブの技術ですべて取り出して、証拠も揃えられるし、ジョージとマリアはフランスはもちろん、アメリカでも、とんでもないことになるでしょうね」

「ハハハ、そうですね。この二人はとんでもないことになりそうですね」

「いいんじゃないんですか。こんな、適当に生きている奴は処分された方が世の中のためですよ。なにしろ、自分が使いパシリの人間だと気づいていないんですから」

「そうね。私、このフランスのように、きちんとした国に協力したいわ」

「全く、バカな国ですよね。我々が行くことで、数えきれない人がその恩恵を受けるし、その費用対効果だって、ものすごいというのに」

「まあ~、所詮、こんな人の集まりなのかもしれないね」

「ダニエル中尉、イブからこのマリアの所属を聞いて、証拠となる通話記録をもらって、フランス軍の上官または、その部署の責任者に適切に報告してくれる」

「了解」

マリアは、皆が話しているスキに逃げ出そうとしたが、マリに一撃を入れられ、体がケイレンしているところを手錠をかけられ、逮捕された。

「ねえ、マリア、あなた、フランスとアメリカとどちらの味方なの?」

マリアはマリを睨みつけるように

「どっちでもいいのよ。私は、日々の生活ができれば、いいんだから」

「ねえ、イブ、マリアは重大な犯罪や人をおとしめるような情報を送っていたのかしら?」

「いやあ~こいつはただの使い走りのどうでもいいような奴だ。こんなやつに重大な作戦や情報は扱いさせてないようだ」

「ふ~ん、じゃあ、簡単な仕事ばかりで、本当に使い走りなんだね」

イブがニヤニヤして、

「マリ、もしかして、こいつを逆に利用して、何かするのか」

「せっかく、捕まえたんだもの。利用もしないで、軍に引き渡したくないな~と思って」

「それならば、ダイスケが言っていた、宇宙人を拘束する秘密の部署を呼び出して、
壊滅させるのはどうだ」

ユウキも隣で頷きながら、

「そうだね、エリア51には、宇宙人から盗んだ部品など、いっぱいあったしね。全く、おかしなものだよね。個人で盗みを働けば、犯罪者、国で盗みを働き、価値ある物を収めれば、国の功労者だなんて」

「そうだね。もしかしたら、もっと他にもあるかもしれない」

「局長、じゃあ、こいつはどうしますか?」

ダニエル中尉はマリに確認した。

「う~ん、一度、情報棟に戻って、エマや大介さんに知恵を借りよう。
中尉、マリアを局まで連行して」

「了解」

マリアを連行して、全員で情報棟へ戻って行った。
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