平和への使者

Daisaku

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倭国大乱

138話 タイムジャンプ

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西暦241年、日本国蝦夷地、深々とした森と汚れのない空気、生きる者すべてが共生できる空間がそこにはあり、天然の大自然が広がっていた。そんな中を二人の姉弟が走っていた。

「ハッ、ハッ」

二人の子供は盗賊の一味に捕まらないように必死に逃げていた。

「たっきし、急げ、捕まるぞ」

二人の子供がいた村は盗賊の襲撃に合い、全員捕まったが、そこから何とか逃げだしていたが、周辺を見張る斥候に見つかり、追いかけられていた。

「ワハハ、かわいい嬢ちゃん、たまらんな~」

ヨダレを垂らしながら追いかけてくる盗賊の斥候はとても汚い息を吐きながら二人を追いかけた。そして、石と石を縄でつないだ捕獲用の武器を投げ、それが女の子の足に巻き付いた。

「よしっ、いただき」

息も臭く、服もちぢれている、やせ細った男は倒れた女の子に襲いかかった。

「うひょう、これは上玉だ。親分に差し出す前に、オイラが味見しておくか」

弟は姉の足に絡まった縄をほどこうとしたが、なかなか取れず、近づいてきた男に思い切り蹴られ飛ばされ、血を吐いて倒れケイレンを起こした。
男は、女の子を押さえつけ、服を脱がした。

「イヤ~やめて」

「さわぐな、さわぐな、こんな森深くに人などいるものか、それにしても良い乳をしておるな、はあ、はあ」

倒れた弟は犯されそうになっている姉を助けようと起き上がろうとしたが、足が両方とも折れており、動くことができなかった。

「やめろ~」

必死に弟は残り少ない力を振り絞って声を出した。だが盗賊の男は気にもせずに女の子の上にかぶさり
「もう、かんねんしろ、おとなしくしてれば、おれの女にしてやる」

女の子はこんな無知で汚く、下品な男に犯されることが、がまんできず、大声で

「神様~助けてください。助けてくれたら、どんなことでもします~」

女の子がそう、叫んだ途端、太陽がまだまぶしい時なのに、その光以上に辺りが真っ赤に輝いた。

「シュ~」

と空気が揺らめき、その音が森に響き渡った。その瞬間

「ブワン」

と音が鳴り、ものすごい風が巻き起った。盗賊の男や姉弟たちもその凄い光と風に思わず目をつむった。
そしてしばらくしたら、5人がそこに倒れていた。盗賊の男は倒れている人が不思議な服を着ているのを見て驚いたのと、金のような髪の美しい女性と黒髪のかわいい女性を見て、すぐさま、かぶさっていた女の子を蹴飛ばし、まず、黒髪の女の子に触ろうとした。

「うひゃひゃ、今日はついてるのお、また、こんなきれいな子をおれの女にできるなんて」

そして、その黒髪の女の子の服をはぎとろうとした瞬間、その男は一瞬で空高く吹き飛んだ。
眠そうな顔をした少女は辺りを見渡して

「ここどこ?どうなってるの?」

小さな言葉を発した。そして、そばで服が切れて倒れている女の子を見つけ

「あなた大丈夫?」

そう言って、女の子に自分が着ていたカーディガンを着せてあげた。

女の子は言葉よくわからないようで首をかしげていた。そのことに気づいた少女はポケットに入っていたクリスタルを出して、ここの言葉が話せるように念じた。しばらくして

「ねえ、言葉わかる?」

女の子はうれしそうに

「うん、わかる、助けてくれて、ありがとう」

「どういたしまして、あなた名前は?」

「ん?ひみゃこ」

「ひみゃこ?」

「うん、あんたは?」

「私はマリ・トビシマ」

「まりとびしま?むずかしい名だ」

「そうかしら?ねえ、あなたここの場所はなんてところなの」

「ここは石森だ」

「え~と国はどこなの」

「国、なんだそれはよくわからん、でも、じっちゃんが倭の石森とよく言うてた」

「ワのイシモリ?」

「なんかよくわからないね」

「いけない、たっきし!」

ひみゃこは倒れている弟を見て泣きながら

「どした、大丈夫か?」

「姉ちゃん、オイラはもうだめだ。足が折れている、死ぬまで、もう歩くことができねえ」

「そんな~」

ひみゃこは弟の足をさすりながら、一生歩くことができなくなった弟を見て泣きまくった。それを見ていたマリは

「ちょっとどいて」

たっきしの足をさすって見て

「なによ、足の骨が折れてるだけじゃない。大丈夫よ。治るから」

そういうと慣れた手つきで足をさわり、

「いい、今から折れてはずれた骨をもどすわ。ひみゃこ、そっちで体を押さえていて」

ひみゃこは足の骨が折れたら、一生、歩けなくなるのが普通なのに直せるわけがないと思ったが、弟のことを思う気持ちがとても強く、マリの言う通りにした。

「じゃあ、引っ張って骨をもどすよ。ものすごく痛いけどがまんしてよ。せ~の」

「バキ!」

「じゃあ、もう1本」

「バキ!」

マリは足をさすりながら、骨がちゃんとはまったのを確認して

「よし、元の位置に戻った。ひみゃこ、あそこから、これくらいの棒を持って来て」

「わかった」

マリは自分の着ていた長いスカートを引きちぎり、紐状にしてたっきしの両足に木の棒を巻き付けた。

「よし、これでしばらく1か月ぐらいすれば治るわ」

「1か月ってなんだ」

ひみゃこは暦がわからないようで

「え~とね。この昼間が30回きたら治るということよ」

「なんかよくわからんが、とにかく、しばらく動かないでいれば治るんだね」

ひみゃこは弟の九の時に曲がっていた足が元のように戻り、とてもうれしそうだった。

「ねえ、ひみゃこ、この辺に町はないの?」

「まち?まちってなんだ」

「人がたくさんいるところよ」

「それなら、オイラの村があるけんど、盗賊一味に襲われ、みんな捕まってしまった。他の村もあるけんど、とんでもなく遠い」

「盗賊?」

「そうだ。とても恐ろしいやつらだ。いい女はみんな奴隷にして、村の大事な食物をみんな巻き上げていく」

「なんか、とんでもないやつら」

そんな話をひみゃことしている中、マリはまだ起きない4人を見て、近づき、声をかけたが、皆、息はしているが、ここに飛ばされた時の衝撃でまだ、意識が全く回復しなかった。

「たっきし~、ちょっと、ひみゃこと村を見てくるから、あなた足をけがしているから、ここを動いてはだめよ。ここにいる男、ユウキが目覚めたら、マリにこの足を直すように言われたと言って、足を見てもらって、それと、近くの村に行ったことも伝えて」

「うん、わかった。でも、マリ、村はたくさんの盗賊がいるよ。とてもおそろしいやつらだよ。見つからないように気を付けてね」

マリはきょとんとした顔をして、たっきしを見た。

「ひみゃこはだいたいの場所まで教えてくれれば、あとは私一人で行くから、そしたら弟のところに戻って、村には私一人で行った方が動きやすいから」

「わかった。マリ、こっちだよ」

姉のひみゃこは弟のことが気になるようで心配そうに弟を見て

「たっきし、ここから動くなよ、姉ちゃんすぐに戻ってくるからな」

マリもたっきしを見てニコっと笑って、ひみゃこと歩いて村に向かって行った。
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