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第一章 開業 異世界民泊
2人目 吸血姫 エリザベート 2
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俺は彼女と新宿へと向かった。
向かった、というか――気が付けば一瞬でついていた、というか――。
「ついた」
「――はぁ」
俺の場所の説明を聞いた彼女は徐に俺を担ぐと漆黒の翼を広げ、一瞬で闇夜に俺と共に浮かび上がった。物凄い風を感じたかと思ったら気が付けばもう体はヤマダ電機の屋上の駐輪場にあった。
この駐輪場、お客様用駐輪場なのだが比較的利用客が少ない。ここを利用することがあれば外の有料より断然ここに止めるべきだろう。誰もいない無人の屋上に僕らは降り立ち、エレベーターで1Fまで戻る。そして俺は目的の場所まで歩き出した。
俺の命運がこれから行く飲食店にかかっている。まさか俺の行きつけの店が俺の命を預かることになるなんて思わなかった。しかしまあ――最後の晩餐になるならあそこは悪くない。
その店の出会いは高校生の時だ。知り合いに連れられ訪れたその店は高校生からでも非常にリーズナブルで、かつ美味しく、腹いっぱいに食えた。
一度大学生になった時に友人にこう尋ねられたことがあった。
「とんかつ茶漬けの店って知らない?」
俺はそんな店知らなかった。なんだそのおしゃれそうな食いもん? と頭にはてなマークを浮かべていた。
「そんな店は知らないが、旨いとんかつ屋なら知ってる」
当時俺が知っているとんかつ店は一店だけだ。他に知らないが、だからと言ってそこが劣っているとは到底思えなかった。
「ずいぶん、とんちんかんな店名だなあ」
友人はそう言ったあと自ら探し当てとんかつ茶漬けを食べたらしいがそっちではなく、俺の教えた店の常連になっていた。そう、健康な男子なら、当然たらふく食えるほうだろうよ。気が付けば俺のクラスの男子の知り合いはすべてその店の常連になっていた。――今頃、あいつらどうしているかな?
「――はぁ――」
深淵まで届くような深いため息が俺の背後から漏れる。もう限界だ、と言わんばかりに――。
「着きましたよ」
俺は目的の店の前にいた。薄暗い路地の横にある二階まで伸びた細い階段。その上が目指すべき場所だ。
「急なので、お気を付け下さい」
登りきると威勢のいい掛け声が飛んできた。
「はい二名様! 何にします!?」
店内は満席のようだ。先に注文を取ってくるのはこの店の常だ。先に用意し、時間ロスを減らす。この店は回転が命だ。ゆっくり談笑するような場所ではない。ただ満足するまで喰らい、素早く出る。それがここでの流儀――だと勝手に思っている。
「とんかつ、二つで」
「はい、とん二丁!」
先ほどと変わらぬ元気な声が響く。
――ゴロリとした肉を食いたい。
この欲求に俺は従った。この欲求を満たす店は俺は二つしか知らない。ただ、もう一軒は早々に諦めた。何しろこちらよりも、並ぶのだ。彼女の堪忍袋の緒は早々に切れてしまうからそちらは断念せざるを得なかった。別に味がこちらが劣っている、というわけではない。単に回転率の問題だ。なにしろこちらは早い。手慣れた百戦錬磨のおばちゃんがパパっと回してくれる。注文して5分と待ったことはない。とにかく、新宿という場所柄、スピード感を大事にしている。
「はい、先にごはんとトン汁!」
席に案内され俺と彼女は並んで座ると早速もうごはんとトン汁が運ばれてきた。相席上等の狭さである。俺たちは密着するほど近くになる。彼女の吐息が間近に聞こえる。
「――どうぞ、おかわり自由ですから」
「――これが、血よりも旨いの?」
怪訝そうな顔を俺に向ける。
「メーンはまだですが、先に一口ずつ、食べて見て下さい」
俺の言葉に彼女は恐る恐るトン汁を啜ってみる。
「――旨い」
「でしょう?」
次に彼女は上手に箸でご飯を一口口に運ぶ。
「箸、お上手ですね」
「覚えた。吸血でその所作もある程度記憶できるからな」
まじかよ。便利だな吸血。
「――これも旨い」
「でしょう?」
「ああ、だが、血には程遠い」
彼女はジロリと俺を睨む。
「約束は覚えているか?」
「ええ、でも――」
「はいお待ち!」
俺たちの前にドン、と2つの皿が並べられた。
「結論は、これを食べてからにしましょう」
俺の命運をかけたとんかつが、今まさに目の前にやってきた。
皿の上には大きなカツと大盛りのキャベツ。シンプルな盛り付けには「とにかく食え」という自己主張が溢れている。
「このたれを掛けてお食べ下さい」
二種類のたれがテーブル横に備え付けられている。もう一つサラダ用のドレッシングもあるのだが――。
「それも美味しいですが……キャベツはたれを掛けて食べる方をお勧めします。俺はそっちの方が好きです」
味の一体感を俺は大事にしている。キャベツもとんかつもたれも同じ味で楽しみたい。
「たれはドロッとした甘口とサラッとした少し辛口のものですが……甘口にしましょう。それをお好みでかけます」
俺は手本を見せるようにそれをまずカツに、次に千切りのキャベツに、備え付けのたれかけでまんべんなくかけ回す。
「量は好みですけど、俺はたっぷり派です。ま、最初はこの程度、で」
俺は動こうとしない彼女のカツにそれを廻し掛けて上げる。
「さ、後はご自由にどうぞ、好きなだけ食べて下さい」
俺は彼女にそれを食べるように促し、その反応を見るでもなく、自分のカツに向き合った。そう、『失礼』だからだ。
――冷めたら、な。
揚げ物を出された熱いうちに食わない奴は死んだほうが良い。特にとんかつはそうだ。
溶けて閉じ込められた油と肉汁が今まさにその断面から滴り、たれと混ざり合う。そう、今がまさに、一番美味いのだ。
「いただきます」
そういうと猛然と一切れを己の口に放り込み、噛む。
――ザクッ ジュワ モニュッ
口の中にまだ噛み途中の肉があるのに関わらず飯を――次にキャベツを放り込む。
――ザク――シャク――モニュ――ごきゅん。
「かっ……はぁ――」
――うめえ!
同じローテーションをもう一度、そして出されたトン汁ともに流し込む。そしてもう一度――。
肉だ。そう、これが肉だ。
決して質だけだったら、もっと高く旨い肉がこの世にあるだろう。しかし、それを最後の晩餐にしたいとは思わない。これが、この一瞬が今まさに至高だと俺は思う。
手早く熟練で揚げられた大ぶりのカツの肉の甘さ――それを甘いたれが殺すことなく相乗効果で更なる旨味へと転化し、キャベツがそれを受け止め変化を加え、飯が甘さを薄め旨味を更に際立出せる。
それを最後にトン汁が押し流し、全てを胃に収めた瞬間に訪れる得も言われぬ満足感――そうここの揚げ物は、飲み物だ。
「トン汁おかわりします?」
空になったトン汁の器を見た瞬間にあうんの呼吸で店員が声を掛け、俺は頷く。
「お嬢さんも?」
「え?」
隣を見ると、彼女のトン汁も空になっている。
彼女の瞳は――赤かった。
「勿論だ――それと、カツのお代わりを一つ、頼みたい」
見ればもうカツがない。キャベツも綺麗に平らげられている。
もう彼女は俺を見ていない。空になった器をただじっと見つめている。
「すいませんが、カツを追加で、あとキャベツも別盛りを下さい」
回転重視の店だ。あまり我々だけの注文で――というのはマナー違反だろう。彼女は一つ、と言ったのだから一つだけだ。もう一度食べたければ入りなおすといいだろう。
別盛りのキャベツもこの店ではよく出るメニューだ。というか沢山肉を食うならキャベツも必然的に大量に欲しくなるものだ。
「――なあ、これは何だ?」
彼女は俺に赤い細かい物体の入っている小さな器を持って訊ねる。
最初から横にちょこんと置かれていたのだが、敢えて説明しなかった代物だ。
「それは細かく刻んだ福神漬けだね。味の変化――箸休め、みたいなもんだけど。俺は一緒に食べるのが好きだよ」
そういうと俺はそれを一口箸で掬い口に放り込む。
甘じょっばい味にぷちぷちとした食感。単体じゃあ好きじゃない人間もいるかもしれないが――これはとんかつと飯の間に入れれば――。
――ザクリ――プチ――モニュ。
甘いとんかつと飯の間にさらに甘じょっぱい塩気がアクセントで忍び込む。それは細かく砕かれているからこそ味の邪魔をせず、食感を更に楽しませ、味を引き立たせる。
それを見せている間に彼女の追加とんかつがやってきた。彼女は俺に倣い、猛然と食べ始めた。
「――!!!」
彼女の瞳がより赤く――福神漬けのように煌き始める。
俺はもう大体食べ終えているから今は彼女の様子を眺める余裕がある。彼女はそう――俺の血を求めた時のように、艶めかしく、貪るように、カツを、トン汁を、飯を、そして福神漬けを交互に飲み込んでいく。
「――かはぁ――」
彼女の鋭い犬歯にべっとりと茶色いソースがこびりついているのが見える。それを彼女の赤い舌が舐めとり、次々と目の前の肉を片付けていく。
俺も負けじと最後のトン汁と飯をお代わりし、それに続く。
お互いの熱量が高まっていくのが分かる。そう、肉を食うことは――SEXに近い。
お互いが貪り、喰らい、飲み下す。肉欲を満たそうと目の前のものにただ集中する。気持ちよくなろうと全力を尽くす。そこに言葉は要らない。ただ、食うのだ。
「――はぁ」
お互いが同じタイミングで皿を空にし、茶を啜る。
「――ご馳走様」
彼女の瞳は赤く濡れ、どこかトロンとしたままだった。そのまま俺は彼女の手を引き共に外に出た。
「――美味だった」
「お粗末様でした」
「――ああ、でもまだ」
彼女は赤い瞳を俺に向け怪しく微笑んだ。
「――食べ足りぬ」
俺は一歩、後ろに引く。
「――だが、約束は守らねばな」
「それなら、この後もう一軒のほうにご案内しますよ。ステーキ何ですが、少し並ぶのです。でも今なら待てますよね?」
「ふふ、それは楽しみじゃ――」
「お楽しみのところすみませんがね」
その時裏路地に聞き覚えのある声が鳴り響いた。
「ドリスコル!?」
シルクハットのエルフがいつの間にかそこに立っていた。
「何でここに?」
「何でも何も、仕事ですよ、仕事」
「仕事?」
「ええ、理由は分かってらっしゃいますよね?」
そう言ってドリスコルはエリザに向き合う。
「――別にいいではないか。予定にない同行者ぐらい」
「いやいいわけないので。お帰り下さいませお嬢様。異世界旅行は父上のリカルデント大公だけの契約なんですから」
「え!?」
まさか、この娘勝手についてきてたの!?
「母上が父のことを心配してたのだ。だから私も」
「はいはい、理由はどうあれ契約違反はまずいんですよ。契約魔術で縛ってあるものなので、そんなことすると困るのはリカルデント大公ですし。今頃きっと――」
その時何か歌舞伎町の方で光の柱が立ったのが見えた。
「あーだから言わんこっちゃない」
「――大丈夫なのか?」
「ああ、ちょっと爆発するだけですよ?」
「大丈夫じゃないよなそれ!?」
人死にが出たらまずいだろうに。
「大丈夫ですよ。リカルデント大公だけが消滅したように見えたはずです。そしてそれは――」
空から何か粉のようなものが降ってきた。これは――灰か?
その灰はドリスコルの持つガラス瓶に自然と入り集まっていく。
「はい。お父様とご一緒にお帰り下さい」
その瓶は封をされ娘の手に渡された。
「仕方ないな」
「――というか、元々それが目的でしょう?」
「まあ、そうだが」
そう言って瓶を懐に忍ばせた彼女は俺に向き直る。
「世話になった。また今度――私だけでお邪魔しよう」
「は、はい」
「次は――」
彼女は俺の傍に近寄り――。
「もう一度、吸わせてくれ」
その言葉と共に忽然と闇夜に消えた。
「なあ、さっきのあれ――」
彼女が消えた後、俺はドリスコルに質問した。
「ああ、彼女の目的ですね。あれはそう、母親の差し金です。『浮気防止』の」
「ああ、やっぱそうか」
彼女が契約違反を犯せばそれによって父のリカルデント大公は灰になる。そしてそれを持って早めに帰る、そういう算段だったのだろう。
「やっぱり人族のお嫁さんですからね。夫が他の女性を抱くのは嫌でしょう」
「ま、そらそうだよな」
「ところで――先ほど『もう一度吸わせて』と聞こえたのですが。もしかして、血を吸われましたか?」
今度はドリスコルが俺に質問してきた。
「――なんかまずいのか?」
前のミリアルの件が頭をよぎる。また何か変な呪いにでも掛けられたらたまらないのだが。
「いえ――まあ、直接は――ない、かなあ?」
「はっきり言え。もう覚悟は大体できてる」
「そういう悟った顔は本当におじい様似ですねえ。安心できます」
ドリスコル、お前絶対爺さんにも無理難題押し付けて困らせてただろ?
「あのですねえ。吸血鬼の女性はその――というかリカルデント一族だけが特殊なのですが」
「うん」
「体液を取り込むことで、記憶や、能力を受け継げるのですが」
ああ、確かにそんなことして器用に箸使ってたな。
「それが生む子にも――その要素が残る場合があります」
「う――はあ?」
「つまり、彼女が子をなすときに多少貴方の顔に似るかもしれません」
「――ほ、ほう。でも遺伝的には関係ない――んだろ?」
「まあそれはそうですけど、あの一族は純潔であればあるほど強い子が産まれると信じられているのです。つまり、混じり気を嫌います。仮に別の人と子を成した場合、貴方の顔に似てたりしたらそれはそれで、異世界間問題に発展――いや、まあ、はい」
俺とドリスコルは無言で見つめ合い、お互いが勝手に合意した。
――なかったことにしよう。俺たちが黙っていたら誰も気付かない、と。
いや、待てよ。
リカルデント大公は俺の顔をその時に――覚えているだろうか?
かわいい孫の顔が、異世界で一度見た男に似ているなどと――。
恐ろしい想像をして俺の顔は引きつる。
「まあでも、そこまで悪そうな人には見えなかったし、な」
「ああ、一つだけ言っておきますね。あの方ここにいらっしゃるときに大分力を弱めさせて頂きましたが、平時だとその――一万の大軍を全員血祭りに上げ全滅させた『殲血大公』と呼ばれたお方ですのでお気を付けを」
今日から俺は暫く吸血鬼の出る映画は見ない。そう心に誓った。
※※
お店紹介「豚珍館」
知る人ぞ知る、新宿西口において安く美味しくいただけるとんかつ屋であり、食事時は列が出来ている。でも回転が速いのでそこまで待たない。筆者は学生時代まじでよくお世話になりました。美味しい。
向かった、というか――気が付けば一瞬でついていた、というか――。
「ついた」
「――はぁ」
俺の場所の説明を聞いた彼女は徐に俺を担ぐと漆黒の翼を広げ、一瞬で闇夜に俺と共に浮かび上がった。物凄い風を感じたかと思ったら気が付けばもう体はヤマダ電機の屋上の駐輪場にあった。
この駐輪場、お客様用駐輪場なのだが比較的利用客が少ない。ここを利用することがあれば外の有料より断然ここに止めるべきだろう。誰もいない無人の屋上に僕らは降り立ち、エレベーターで1Fまで戻る。そして俺は目的の場所まで歩き出した。
俺の命運がこれから行く飲食店にかかっている。まさか俺の行きつけの店が俺の命を預かることになるなんて思わなかった。しかしまあ――最後の晩餐になるならあそこは悪くない。
その店の出会いは高校生の時だ。知り合いに連れられ訪れたその店は高校生からでも非常にリーズナブルで、かつ美味しく、腹いっぱいに食えた。
一度大学生になった時に友人にこう尋ねられたことがあった。
「とんかつ茶漬けの店って知らない?」
俺はそんな店知らなかった。なんだそのおしゃれそうな食いもん? と頭にはてなマークを浮かべていた。
「そんな店は知らないが、旨いとんかつ屋なら知ってる」
当時俺が知っているとんかつ店は一店だけだ。他に知らないが、だからと言ってそこが劣っているとは到底思えなかった。
「ずいぶん、とんちんかんな店名だなあ」
友人はそう言ったあと自ら探し当てとんかつ茶漬けを食べたらしいがそっちではなく、俺の教えた店の常連になっていた。そう、健康な男子なら、当然たらふく食えるほうだろうよ。気が付けば俺のクラスの男子の知り合いはすべてその店の常連になっていた。――今頃、あいつらどうしているかな?
「――はぁ――」
深淵まで届くような深いため息が俺の背後から漏れる。もう限界だ、と言わんばかりに――。
「着きましたよ」
俺は目的の店の前にいた。薄暗い路地の横にある二階まで伸びた細い階段。その上が目指すべき場所だ。
「急なので、お気を付け下さい」
登りきると威勢のいい掛け声が飛んできた。
「はい二名様! 何にします!?」
店内は満席のようだ。先に注文を取ってくるのはこの店の常だ。先に用意し、時間ロスを減らす。この店は回転が命だ。ゆっくり談笑するような場所ではない。ただ満足するまで喰らい、素早く出る。それがここでの流儀――だと勝手に思っている。
「とんかつ、二つで」
「はい、とん二丁!」
先ほどと変わらぬ元気な声が響く。
――ゴロリとした肉を食いたい。
この欲求に俺は従った。この欲求を満たす店は俺は二つしか知らない。ただ、もう一軒は早々に諦めた。何しろこちらよりも、並ぶのだ。彼女の堪忍袋の緒は早々に切れてしまうからそちらは断念せざるを得なかった。別に味がこちらが劣っている、というわけではない。単に回転率の問題だ。なにしろこちらは早い。手慣れた百戦錬磨のおばちゃんがパパっと回してくれる。注文して5分と待ったことはない。とにかく、新宿という場所柄、スピード感を大事にしている。
「はい、先にごはんとトン汁!」
席に案内され俺と彼女は並んで座ると早速もうごはんとトン汁が運ばれてきた。相席上等の狭さである。俺たちは密着するほど近くになる。彼女の吐息が間近に聞こえる。
「――どうぞ、おかわり自由ですから」
「――これが、血よりも旨いの?」
怪訝そうな顔を俺に向ける。
「メーンはまだですが、先に一口ずつ、食べて見て下さい」
俺の言葉に彼女は恐る恐るトン汁を啜ってみる。
「――旨い」
「でしょう?」
次に彼女は上手に箸でご飯を一口口に運ぶ。
「箸、お上手ですね」
「覚えた。吸血でその所作もある程度記憶できるからな」
まじかよ。便利だな吸血。
「――これも旨い」
「でしょう?」
「ああ、だが、血には程遠い」
彼女はジロリと俺を睨む。
「約束は覚えているか?」
「ええ、でも――」
「はいお待ち!」
俺たちの前にドン、と2つの皿が並べられた。
「結論は、これを食べてからにしましょう」
俺の命運をかけたとんかつが、今まさに目の前にやってきた。
皿の上には大きなカツと大盛りのキャベツ。シンプルな盛り付けには「とにかく食え」という自己主張が溢れている。
「このたれを掛けてお食べ下さい」
二種類のたれがテーブル横に備え付けられている。もう一つサラダ用のドレッシングもあるのだが――。
「それも美味しいですが……キャベツはたれを掛けて食べる方をお勧めします。俺はそっちの方が好きです」
味の一体感を俺は大事にしている。キャベツもとんかつもたれも同じ味で楽しみたい。
「たれはドロッとした甘口とサラッとした少し辛口のものですが……甘口にしましょう。それをお好みでかけます」
俺は手本を見せるようにそれをまずカツに、次に千切りのキャベツに、備え付けのたれかけでまんべんなくかけ回す。
「量は好みですけど、俺はたっぷり派です。ま、最初はこの程度、で」
俺は動こうとしない彼女のカツにそれを廻し掛けて上げる。
「さ、後はご自由にどうぞ、好きなだけ食べて下さい」
俺は彼女にそれを食べるように促し、その反応を見るでもなく、自分のカツに向き合った。そう、『失礼』だからだ。
――冷めたら、な。
揚げ物を出された熱いうちに食わない奴は死んだほうが良い。特にとんかつはそうだ。
溶けて閉じ込められた油と肉汁が今まさにその断面から滴り、たれと混ざり合う。そう、今がまさに、一番美味いのだ。
「いただきます」
そういうと猛然と一切れを己の口に放り込み、噛む。
――ザクッ ジュワ モニュッ
口の中にまだ噛み途中の肉があるのに関わらず飯を――次にキャベツを放り込む。
――ザク――シャク――モニュ――ごきゅん。
「かっ……はぁ――」
――うめえ!
同じローテーションをもう一度、そして出されたトン汁ともに流し込む。そしてもう一度――。
肉だ。そう、これが肉だ。
決して質だけだったら、もっと高く旨い肉がこの世にあるだろう。しかし、それを最後の晩餐にしたいとは思わない。これが、この一瞬が今まさに至高だと俺は思う。
手早く熟練で揚げられた大ぶりのカツの肉の甘さ――それを甘いたれが殺すことなく相乗効果で更なる旨味へと転化し、キャベツがそれを受け止め変化を加え、飯が甘さを薄め旨味を更に際立出せる。
それを最後にトン汁が押し流し、全てを胃に収めた瞬間に訪れる得も言われぬ満足感――そうここの揚げ物は、飲み物だ。
「トン汁おかわりします?」
空になったトン汁の器を見た瞬間にあうんの呼吸で店員が声を掛け、俺は頷く。
「お嬢さんも?」
「え?」
隣を見ると、彼女のトン汁も空になっている。
彼女の瞳は――赤かった。
「勿論だ――それと、カツのお代わりを一つ、頼みたい」
見ればもうカツがない。キャベツも綺麗に平らげられている。
もう彼女は俺を見ていない。空になった器をただじっと見つめている。
「すいませんが、カツを追加で、あとキャベツも別盛りを下さい」
回転重視の店だ。あまり我々だけの注文で――というのはマナー違反だろう。彼女は一つ、と言ったのだから一つだけだ。もう一度食べたければ入りなおすといいだろう。
別盛りのキャベツもこの店ではよく出るメニューだ。というか沢山肉を食うならキャベツも必然的に大量に欲しくなるものだ。
「――なあ、これは何だ?」
彼女は俺に赤い細かい物体の入っている小さな器を持って訊ねる。
最初から横にちょこんと置かれていたのだが、敢えて説明しなかった代物だ。
「それは細かく刻んだ福神漬けだね。味の変化――箸休め、みたいなもんだけど。俺は一緒に食べるのが好きだよ」
そういうと俺はそれを一口箸で掬い口に放り込む。
甘じょっばい味にぷちぷちとした食感。単体じゃあ好きじゃない人間もいるかもしれないが――これはとんかつと飯の間に入れれば――。
――ザクリ――プチ――モニュ。
甘いとんかつと飯の間にさらに甘じょっぱい塩気がアクセントで忍び込む。それは細かく砕かれているからこそ味の邪魔をせず、食感を更に楽しませ、味を引き立たせる。
それを見せている間に彼女の追加とんかつがやってきた。彼女は俺に倣い、猛然と食べ始めた。
「――!!!」
彼女の瞳がより赤く――福神漬けのように煌き始める。
俺はもう大体食べ終えているから今は彼女の様子を眺める余裕がある。彼女はそう――俺の血を求めた時のように、艶めかしく、貪るように、カツを、トン汁を、飯を、そして福神漬けを交互に飲み込んでいく。
「――かはぁ――」
彼女の鋭い犬歯にべっとりと茶色いソースがこびりついているのが見える。それを彼女の赤い舌が舐めとり、次々と目の前の肉を片付けていく。
俺も負けじと最後のトン汁と飯をお代わりし、それに続く。
お互いの熱量が高まっていくのが分かる。そう、肉を食うことは――SEXに近い。
お互いが貪り、喰らい、飲み下す。肉欲を満たそうと目の前のものにただ集中する。気持ちよくなろうと全力を尽くす。そこに言葉は要らない。ただ、食うのだ。
「――はぁ」
お互いが同じタイミングで皿を空にし、茶を啜る。
「――ご馳走様」
彼女の瞳は赤く濡れ、どこかトロンとしたままだった。そのまま俺は彼女の手を引き共に外に出た。
「――美味だった」
「お粗末様でした」
「――ああ、でもまだ」
彼女は赤い瞳を俺に向け怪しく微笑んだ。
「――食べ足りぬ」
俺は一歩、後ろに引く。
「――だが、約束は守らねばな」
「それなら、この後もう一軒のほうにご案内しますよ。ステーキ何ですが、少し並ぶのです。でも今なら待てますよね?」
「ふふ、それは楽しみじゃ――」
「お楽しみのところすみませんがね」
その時裏路地に聞き覚えのある声が鳴り響いた。
「ドリスコル!?」
シルクハットのエルフがいつの間にかそこに立っていた。
「何でここに?」
「何でも何も、仕事ですよ、仕事」
「仕事?」
「ええ、理由は分かってらっしゃいますよね?」
そう言ってドリスコルはエリザに向き合う。
「――別にいいではないか。予定にない同行者ぐらい」
「いやいいわけないので。お帰り下さいませお嬢様。異世界旅行は父上のリカルデント大公だけの契約なんですから」
「え!?」
まさか、この娘勝手についてきてたの!?
「母上が父のことを心配してたのだ。だから私も」
「はいはい、理由はどうあれ契約違反はまずいんですよ。契約魔術で縛ってあるものなので、そんなことすると困るのはリカルデント大公ですし。今頃きっと――」
その時何か歌舞伎町の方で光の柱が立ったのが見えた。
「あーだから言わんこっちゃない」
「――大丈夫なのか?」
「ああ、ちょっと爆発するだけですよ?」
「大丈夫じゃないよなそれ!?」
人死にが出たらまずいだろうに。
「大丈夫ですよ。リカルデント大公だけが消滅したように見えたはずです。そしてそれは――」
空から何か粉のようなものが降ってきた。これは――灰か?
その灰はドリスコルの持つガラス瓶に自然と入り集まっていく。
「はい。お父様とご一緒にお帰り下さい」
その瓶は封をされ娘の手に渡された。
「仕方ないな」
「――というか、元々それが目的でしょう?」
「まあ、そうだが」
そう言って瓶を懐に忍ばせた彼女は俺に向き直る。
「世話になった。また今度――私だけでお邪魔しよう」
「は、はい」
「次は――」
彼女は俺の傍に近寄り――。
「もう一度、吸わせてくれ」
その言葉と共に忽然と闇夜に消えた。
「なあ、さっきのあれ――」
彼女が消えた後、俺はドリスコルに質問した。
「ああ、彼女の目的ですね。あれはそう、母親の差し金です。『浮気防止』の」
「ああ、やっぱそうか」
彼女が契約違反を犯せばそれによって父のリカルデント大公は灰になる。そしてそれを持って早めに帰る、そういう算段だったのだろう。
「やっぱり人族のお嫁さんですからね。夫が他の女性を抱くのは嫌でしょう」
「ま、そらそうだよな」
「ところで――先ほど『もう一度吸わせて』と聞こえたのですが。もしかして、血を吸われましたか?」
今度はドリスコルが俺に質問してきた。
「――なんかまずいのか?」
前のミリアルの件が頭をよぎる。また何か変な呪いにでも掛けられたらたまらないのだが。
「いえ――まあ、直接は――ない、かなあ?」
「はっきり言え。もう覚悟は大体できてる」
「そういう悟った顔は本当におじい様似ですねえ。安心できます」
ドリスコル、お前絶対爺さんにも無理難題押し付けて困らせてただろ?
「あのですねえ。吸血鬼の女性はその――というかリカルデント一族だけが特殊なのですが」
「うん」
「体液を取り込むことで、記憶や、能力を受け継げるのですが」
ああ、確かにそんなことして器用に箸使ってたな。
「それが生む子にも――その要素が残る場合があります」
「う――はあ?」
「つまり、彼女が子をなすときに多少貴方の顔に似るかもしれません」
「――ほ、ほう。でも遺伝的には関係ない――んだろ?」
「まあそれはそうですけど、あの一族は純潔であればあるほど強い子が産まれると信じられているのです。つまり、混じり気を嫌います。仮に別の人と子を成した場合、貴方の顔に似てたりしたらそれはそれで、異世界間問題に発展――いや、まあ、はい」
俺とドリスコルは無言で見つめ合い、お互いが勝手に合意した。
――なかったことにしよう。俺たちが黙っていたら誰も気付かない、と。
いや、待てよ。
リカルデント大公は俺の顔をその時に――覚えているだろうか?
かわいい孫の顔が、異世界で一度見た男に似ているなどと――。
恐ろしい想像をして俺の顔は引きつる。
「まあでも、そこまで悪そうな人には見えなかったし、な」
「ああ、一つだけ言っておきますね。あの方ここにいらっしゃるときに大分力を弱めさせて頂きましたが、平時だとその――一万の大軍を全員血祭りに上げ全滅させた『殲血大公』と呼ばれたお方ですのでお気を付けを」
今日から俺は暫く吸血鬼の出る映画は見ない。そう心に誓った。
※※
お店紹介「豚珍館」
知る人ぞ知る、新宿西口において安く美味しくいただけるとんかつ屋であり、食事時は列が出来ている。でも回転が速いのでそこまで待たない。筆者は学生時代まじでよくお世話になりました。美味しい。
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仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
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