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第五章 過行く日々の・・・
大中編 ニャルラトえもんとノビラータの幡ヶ谷グルメ紀行 1
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「――ふん」
そいつは俺の顔を見もせず、ただ鼻を鳴らし横を素通りした。一見して、プライドが歩いているようにしか見えないその男はとても高そうな格好をしていた。整えられた短めの金髪に、高級そうな鷹の刺繍の入った白いマント、カツカツと良い音のなる赤い靴。
そう、今回俺がニャルラトホテプに特別に案内を頼まれたお客はこいつである。
「――どうも、初めまして。藤間伸介と申します」
追いかけながら俺は名を名乗る。
「ここは、何だ?」
彼は居間の真ん中に突っ立ちながら目を細める。
「ええと、ここが宿泊施設の家、ですね」
「――これが、家? 冗談であろう? 他の場所はないのか?」
少し高めの中性的な声で彼はこの家に文句を言った。
「冗談も何も、ここにお泊めする以外ありませんけど……」
「……ちっ。あやつめ、謀ったか?」
舌打ちと同時に彼は恐らくニャルラトホテプに対する文句を口にした。
「あのぅ……」
「我が許可するまでしゃべりかけるな、下郎」
俺も文句言われた。てかこの人来てから文句しか言ってない。職業モンクかもしれない。
「――仕方ない。ここで過ごすしかないのか」
諦めたように彼はため息を吐く。案外諦めや物分かりがいい――。
「ならば、作り替えるまでだ」
「はい?」
そう言うと彼は居間から出て縁台に出る。右手を上げ彼は何事か唱える。すると右手が光り――。
バチィ!
「――え」
一瞬にして屋敷の景色が一変した。まじで、どこのオリエント?
屋敷の中が、中世ヨーロッパの宮殿のように、畳天井壁すべて磨かれた大理石に、家具も豪華に煌く中世風調度品へと変貌する。
俺が驚いたのはその変化を目の当たりにしたから、だけではない。『変化させた』からである。
なぜなら、この家には設計したドワーフによって『自己防衛』『自己保存』の魔術印が仕組まれているからである。
「どうやって? もしかして、幻影?」
「そのようなことがあるか。これが、我れが異界の神より与えられた祝福(ギフト)である。どのような防御手段も関係ない、ただ、その場のものを臨む形に変容させるのだ」
ニャルラトホテプの仕業かよ! てかとんでもない力を勝手に人に与えるな。チートや! そういうのは異界に転生した現代人のおっさんが身に着けるものだぞ。俺に寄こせ。
「あのう、戻せるんですか?」
「――必要あるのか?」
「いや、勝手に変えられても困るのですが……」
「我は望むものすべてをこの手で変えてきた。我を止めるということは、我の命を奪うのと同義である。……その覚悟か?」
やっぱりニャルラトホテプの知り合いなんてろくなもんじゃない。何だこの専制君主様は。
「――はい、その通りです」
「――何?」
「少なくともここへおいでのうちは私がこの屋敷の主人です。勝手な真似はしないでいただきたい。他のお客様とあくまで、同列に扱わせて頂きます」
俺は目線を外さずに彼にそう伝える。
「貴様――我を他の下賤な者と同列に扱うと申すか?」
静かな怒りの波動を感じる。それでも、俺は引く気はない。
「はい。そもそもこちら側の世界には身分の上下などありません。……まあ名目上ですけど。日本には『郷に入っては郷に従え』という言葉があります。こちらも最大限持て成そうと努力はしますが、しきたりや決まり事を守れない人をお泊めするつもりはございません。即刻お帰り下さい」
言った。言ったった。よーしガツンと言っちゃったぞー。我儘野郎がなんぼのもんじゃーい!(震え声)
「――ふふ、そうか、帰れと申すか……」
彼は静かに、怖いぐらい静かに呟く。次に続く言葉はを想像して俺の背筋は凍っていく。
『ならば死ね』『では死ね』『とりあえず死ね』『いいから死ね』……うん、全部死んでるな俺。
死刑宣告を待つ俺に次に浴びせられた言葉は――。
「や、やだもん」
「ん?」
「やーだー! 絶対帰りたくなーい!」
手足をジタバタとさせて、泣きながら大理石の床をローリングし始めた。
「ええ……と?」
「やだもん! やだもん! 絶対に異世界(こっち)の飯を食べて帰るんだもん! やーだーもん! やーだーもん!」
いきなりキャラ崩壊した男を見て俺は固まってしまった。ええ……どうしたらいいの?
「こらあ、駄目じゃないか泣かせたら」
「あ」
虚空からニャルラトホテプが現れた。
「にゃ、ニャー君!?」
「やあやあ、しょうがないなあ。そんなことじゃ立派な王様になれないよ?」
「だ、だって、わ、我はまだそんな上手く立ち回れないもん! この人が意地悪ばかりいうから!」
「――あのお……何ですかこれは?」
「え? 単なる友人同士の交流だけど?」
ニャルラトホテプは真顔でそう答える。
「いや、色々疑問に思ってたけど訊ねるだけ無駄だから聞かなかったんだが……質問良いか?」
「その質問に答えるのは良いけれど、とりあえず、謝ってくれない?」
「やだよ。人間我儘が通らない場所もあるって学んでくれないかな」
「ハハハ、でもしょうがないじゃないか。彼はそういうところでしか学べなかったんだから」
――ねえ『未来の皇帝陛下』。
ニャルラトホテプは悪戯な笑みを浮かべ、そう言った。
◆
「皇帝陛下、ねえ……」
「あれ~信じてないの?」
この金髪の優男、一応皇帝候補、つまり皇太子である。礼儀をもって答えないとあかんよなあ。
「傍目からみて幼女の膝に縋り付いて泣いている優男が皇帝とか片腹痛いわ」
「な、なにおう!?」
あかん、めっちゃ本音出た。彼が目を剥いて俺を睨む。
だってさ、俺の中の皇帝って言ったらギルがメッシュする人だもの。こんなヘタレじゃなくてさ。実力、胆力、見た目、全部そろった傲慢さの塊、あと金髪、それが皇帝だと勝手に思っている。
「そもそもどうして皇太子さまがこっちに来たのさ? この屋敷はもそっと普通の異種族の方々がご利用なされてるんですがね」
「アハハハハ! そうだね、僕も普通の神様だしね!」
「わ、我は普通の皇太子だぞ!」
「そんなに普通がいてたまるか!」
街を歩いていて普通にこいつらが歩き回っていたら嫌すぎる。
「――この子とはねえ、ちょっといろいろあったんだけど」
懐かしむ――という表現をこの億年を生きているであろう神に使うのも変な気がするが、彼女(?)は彼との馴れ初めを語りだした。
「――元々僕は多元宇宙を彷徨って、それぞれ強い『物語』のある場所を渡り歩いているのだけれど。理由は――言わなくてもわかるかな?」
「……暇つぶしで?」
「そうそう! 単なる暇つぶしだよ。実際暇だからね!」
本音かどうかもわからないが、たとえ本心からの神様の行動原理を知ったところで人間になんて理解できないだろう。
「それで僕はね、ある時帝国――あちらの世界の一番大きな国だね。そこを観光していたのだけれど、そこでこの子と出会ったのさ」
「このお坊ちゃんか」
「ぼ、坊ちゃんじゃない!」
見た目は大人、中身は子供、どうみても坊ちゃんです本当にありがとうございました。
「この子はね、ちょっと訳ありでね。皇帝として育てられてたわけじゃないんだ」
「……ふうん?」
「元々皇帝の血統では傍流、皇位継承権に絡むこともない、穏やかな日々を送っていたわけだよ。でもそれが王権の争いが始まって、十人もの皇子同士が争い始めてしまった。そして骨肉の争いの末――生き残ったのがこの子さ」
俺は改めてこのしょぼそうな皇子様を見つめる。実は結構、すごかったりするのか?
「――ふ、ふん! どうだ、我の凄さを実感したか?」
「……お前が手を廻したんじゃないの?」
「やだなあ、人の世に手を貸すほど落ちぶれちゃいないよ~」
千の顔を持つ神はケラケラと嗤う。
「ただ、この子は強い星の力を宿している。それだけは確かだよ。だから僕も仲良くしているのさ」
人と神の友情なんてたいていまやかしである。何か裏があるような気がしてならないが、当人がいいなら突っ込むのも野暮だろう。俺は気にしないことにした。
「と、言うわけであとは宜しく頼むよ。僕はちょっと出かけないといけないから」
「い、行っちゃうのニャー君?」
「そんな泣きそうな顔をするなよ、僕がいなくても君は立派にやっていけるさ」
「う……うん。でも君がいなくなったら我はまたこの男に虐められるかも……」
しねえよ。てかいつまでも異界神(ドラえもん)に頼るな。てかこれ俺のポジション完全にジャイアンじゃないですかね?
「――さて、のび太殿、本日の御用命は?」
「――のび太とは誰だ? 我の名は シングラス=ノビオ=ノビラータである。きちんと呼べ」
やっぱのび太でええやん。と思ったが一応切り替えることにする。
「ノビ様、でいいですかね? こちらの世界で長々と名前を読み上げるのも面倒なので」
「……特別に許す」
俺らのやり取りを横目で見ていたニャルラトホテプは満足そうな笑みを浮かべると、どこかに消え去っていった。
「――ふう。ところで、ご飯を食べに来た、と仰いましたね? ご希望などありますか?」
そいつは俺の顔を見もせず、ただ鼻を鳴らし横を素通りした。一見して、プライドが歩いているようにしか見えないその男はとても高そうな格好をしていた。整えられた短めの金髪に、高級そうな鷹の刺繍の入った白いマント、カツカツと良い音のなる赤い靴。
そう、今回俺がニャルラトホテプに特別に案内を頼まれたお客はこいつである。
「――どうも、初めまして。藤間伸介と申します」
追いかけながら俺は名を名乗る。
「ここは、何だ?」
彼は居間の真ん中に突っ立ちながら目を細める。
「ええと、ここが宿泊施設の家、ですね」
「――これが、家? 冗談であろう? 他の場所はないのか?」
少し高めの中性的な声で彼はこの家に文句を言った。
「冗談も何も、ここにお泊めする以外ありませんけど……」
「……ちっ。あやつめ、謀ったか?」
舌打ちと同時に彼は恐らくニャルラトホテプに対する文句を口にした。
「あのぅ……」
「我が許可するまでしゃべりかけるな、下郎」
俺も文句言われた。てかこの人来てから文句しか言ってない。職業モンクかもしれない。
「――仕方ない。ここで過ごすしかないのか」
諦めたように彼はため息を吐く。案外諦めや物分かりがいい――。
「ならば、作り替えるまでだ」
「はい?」
そう言うと彼は居間から出て縁台に出る。右手を上げ彼は何事か唱える。すると右手が光り――。
バチィ!
「――え」
一瞬にして屋敷の景色が一変した。まじで、どこのオリエント?
屋敷の中が、中世ヨーロッパの宮殿のように、畳天井壁すべて磨かれた大理石に、家具も豪華に煌く中世風調度品へと変貌する。
俺が驚いたのはその変化を目の当たりにしたから、だけではない。『変化させた』からである。
なぜなら、この家には設計したドワーフによって『自己防衛』『自己保存』の魔術印が仕組まれているからである。
「どうやって? もしかして、幻影?」
「そのようなことがあるか。これが、我れが異界の神より与えられた祝福(ギフト)である。どのような防御手段も関係ない、ただ、その場のものを臨む形に変容させるのだ」
ニャルラトホテプの仕業かよ! てかとんでもない力を勝手に人に与えるな。チートや! そういうのは異界に転生した現代人のおっさんが身に着けるものだぞ。俺に寄こせ。
「あのう、戻せるんですか?」
「――必要あるのか?」
「いや、勝手に変えられても困るのですが……」
「我は望むものすべてをこの手で変えてきた。我を止めるということは、我の命を奪うのと同義である。……その覚悟か?」
やっぱりニャルラトホテプの知り合いなんてろくなもんじゃない。何だこの専制君主様は。
「――はい、その通りです」
「――何?」
「少なくともここへおいでのうちは私がこの屋敷の主人です。勝手な真似はしないでいただきたい。他のお客様とあくまで、同列に扱わせて頂きます」
俺は目線を外さずに彼にそう伝える。
「貴様――我を他の下賤な者と同列に扱うと申すか?」
静かな怒りの波動を感じる。それでも、俺は引く気はない。
「はい。そもそもこちら側の世界には身分の上下などありません。……まあ名目上ですけど。日本には『郷に入っては郷に従え』という言葉があります。こちらも最大限持て成そうと努力はしますが、しきたりや決まり事を守れない人をお泊めするつもりはございません。即刻お帰り下さい」
言った。言ったった。よーしガツンと言っちゃったぞー。我儘野郎がなんぼのもんじゃーい!(震え声)
「――ふふ、そうか、帰れと申すか……」
彼は静かに、怖いぐらい静かに呟く。次に続く言葉はを想像して俺の背筋は凍っていく。
『ならば死ね』『では死ね』『とりあえず死ね』『いいから死ね』……うん、全部死んでるな俺。
死刑宣告を待つ俺に次に浴びせられた言葉は――。
「や、やだもん」
「ん?」
「やーだー! 絶対帰りたくなーい!」
手足をジタバタとさせて、泣きながら大理石の床をローリングし始めた。
「ええ……と?」
「やだもん! やだもん! 絶対に異世界(こっち)の飯を食べて帰るんだもん! やーだーもん! やーだーもん!」
いきなりキャラ崩壊した男を見て俺は固まってしまった。ええ……どうしたらいいの?
「こらあ、駄目じゃないか泣かせたら」
「あ」
虚空からニャルラトホテプが現れた。
「にゃ、ニャー君!?」
「やあやあ、しょうがないなあ。そんなことじゃ立派な王様になれないよ?」
「だ、だって、わ、我はまだそんな上手く立ち回れないもん! この人が意地悪ばかりいうから!」
「――あのお……何ですかこれは?」
「え? 単なる友人同士の交流だけど?」
ニャルラトホテプは真顔でそう答える。
「いや、色々疑問に思ってたけど訊ねるだけ無駄だから聞かなかったんだが……質問良いか?」
「その質問に答えるのは良いけれど、とりあえず、謝ってくれない?」
「やだよ。人間我儘が通らない場所もあるって学んでくれないかな」
「ハハハ、でもしょうがないじゃないか。彼はそういうところでしか学べなかったんだから」
――ねえ『未来の皇帝陛下』。
ニャルラトホテプは悪戯な笑みを浮かべ、そう言った。
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「皇帝陛下、ねえ……」
「あれ~信じてないの?」
この金髪の優男、一応皇帝候補、つまり皇太子である。礼儀をもって答えないとあかんよなあ。
「傍目からみて幼女の膝に縋り付いて泣いている優男が皇帝とか片腹痛いわ」
「な、なにおう!?」
あかん、めっちゃ本音出た。彼が目を剥いて俺を睨む。
だってさ、俺の中の皇帝って言ったらギルがメッシュする人だもの。こんなヘタレじゃなくてさ。実力、胆力、見た目、全部そろった傲慢さの塊、あと金髪、それが皇帝だと勝手に思っている。
「そもそもどうして皇太子さまがこっちに来たのさ? この屋敷はもそっと普通の異種族の方々がご利用なされてるんですがね」
「アハハハハ! そうだね、僕も普通の神様だしね!」
「わ、我は普通の皇太子だぞ!」
「そんなに普通がいてたまるか!」
街を歩いていて普通にこいつらが歩き回っていたら嫌すぎる。
「――この子とはねえ、ちょっといろいろあったんだけど」
懐かしむ――という表現をこの億年を生きているであろう神に使うのも変な気がするが、彼女(?)は彼との馴れ初めを語りだした。
「――元々僕は多元宇宙を彷徨って、それぞれ強い『物語』のある場所を渡り歩いているのだけれど。理由は――言わなくてもわかるかな?」
「……暇つぶしで?」
「そうそう! 単なる暇つぶしだよ。実際暇だからね!」
本音かどうかもわからないが、たとえ本心からの神様の行動原理を知ったところで人間になんて理解できないだろう。
「それで僕はね、ある時帝国――あちらの世界の一番大きな国だね。そこを観光していたのだけれど、そこでこの子と出会ったのさ」
「このお坊ちゃんか」
「ぼ、坊ちゃんじゃない!」
見た目は大人、中身は子供、どうみても坊ちゃんです本当にありがとうございました。
「この子はね、ちょっと訳ありでね。皇帝として育てられてたわけじゃないんだ」
「……ふうん?」
「元々皇帝の血統では傍流、皇位継承権に絡むこともない、穏やかな日々を送っていたわけだよ。でもそれが王権の争いが始まって、十人もの皇子同士が争い始めてしまった。そして骨肉の争いの末――生き残ったのがこの子さ」
俺は改めてこのしょぼそうな皇子様を見つめる。実は結構、すごかったりするのか?
「――ふ、ふん! どうだ、我の凄さを実感したか?」
「……お前が手を廻したんじゃないの?」
「やだなあ、人の世に手を貸すほど落ちぶれちゃいないよ~」
千の顔を持つ神はケラケラと嗤う。
「ただ、この子は強い星の力を宿している。それだけは確かだよ。だから僕も仲良くしているのさ」
人と神の友情なんてたいていまやかしである。何か裏があるような気がしてならないが、当人がいいなら突っ込むのも野暮だろう。俺は気にしないことにした。
「と、言うわけであとは宜しく頼むよ。僕はちょっと出かけないといけないから」
「い、行っちゃうのニャー君?」
「そんな泣きそうな顔をするなよ、僕がいなくても君は立派にやっていけるさ」
「う……うん。でも君がいなくなったら我はまたこの男に虐められるかも……」
しねえよ。てかいつまでも異界神(ドラえもん)に頼るな。てかこれ俺のポジション完全にジャイアンじゃないですかね?
「――さて、のび太殿、本日の御用命は?」
「――のび太とは誰だ? 我の名は シングラス=ノビオ=ノビラータである。きちんと呼べ」
やっぱのび太でええやん。と思ったが一応切り替えることにする。
「ノビ様、でいいですかね? こちらの世界で長々と名前を読み上げるのも面倒なので」
「……特別に許す」
俺らのやり取りを横目で見ていたニャルラトホテプは満足そうな笑みを浮かべると、どこかに消え去っていった。
「――ふう。ところで、ご飯を食べに来た、と仰いましたね? ご希望などありますか?」
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