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18年/2時間半ぶりの再会
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やはりこういうものを見せられると人間のテクノロジーがいかに発達しているかを改めて実感させられる。
手首足首からのびたコードの先には、おびただしく連なり並ぶ十数台のスーパーコンピュータ。そこから天井伝いに戻ってきたコードが行き着く先、薄型の液晶パネルに映っていたのは、オンラインゲームとかでよく見るキャラメイクのプレビューのような映像で、その顔は完全に俺だった。
「こりゃ気付かないわけや。」
そう漏らしたのは俺の隣で一緒になって見ている白衣姿の隆二で、それはなんとなく馬鹿にしているような言い振りでもあった
「何が悪い?」
「いや、悪くはないし実際こういうプレイヤーも結構いるんやけどさあ、俺的にはやで、別人として生きられるというまたとない機会やっていうのになんで性別どころか顔のパーツまで一緒にしてまうかな・・・って。」
プレイヤー、別人として生きる・・・
ついさっきまでそんなことをやっていたと思うとゾッとする。
よくファンタジー物のテレビゲームなんかをやっていると、いつの間にか夢中になってその世界に入り込んでしまったような感覚に陥ることがある。とはいえそれは一時の現実逃避でしかなく、セーブポイントだのメニュー画面だのといった要素もあり、結局プレイヤーとしての意識を忘れてしまうほどではない。
だがさっきのはどうだ。というかもう既にあれを『さっき』の一言で置き換えられてしまう時点で恐ろしい。確かにプレイ時間だけで言えば一時間半、一時間半前、『さっき』だ。しかしここで重要なのはあくまで体感的な時間の方であり、俺があの真っ白なポットに一時間半入って得た情報量はというと、ズバリ人の十八年に相当していた。
「コレが必要ない客とか居るん?」
俺は先程から握りしめていたちょっと高級そうなUSBメモリを突き出して尋ねた。表面には整理番号と俺の氏名『四条慎士』が印字されている。
「ああ、極稀に。向こうで前世の記憶が・・・みたいな設定あったやろ?ああいうのはだいたいそれ。」
設定、ねえ・・・
「まあ、大体の人は赤ん坊として生まれた時点で記憶無くすんやけど。」
そのためのメモリースティック。まったく、一体どこの誰が人間の記憶をこんな小さな電子端末に保存するなんてぶっ飛んだ発想に行き着くどころか形にしてしまったのだろうか。十年前じゃ考えられなかっただろう。
「ちなみにおばけやUFOの正体って何やったん?」
「バグ。」
どうしてだろう、現実だったら絶対通用しないはずの理屈なのに、今すごく納得している。
・・・あ、そうかあれは現実じゃないんやった。
未だに整理がつかない。つい十分前までは中学来のダチだった隆二の顔も名前も忘れた『三上慎士、十八歳、高校生』だったところに、メモリースティックに保存されてある『四条慎士、二十五歳、編集者』の記憶を再ダウンロードさせられたことにより、実質四十三年分の記憶を保持したことになるのだが、しかしそれにより記憶が平行に存在する部分があるというわけのわからない状態が仕上がってしまった。
「そういえばお前、目覚めていきなり俺にタメ口やったやろ?記憶なかったんとちゃうん?記憶あるならまだしも、実質初対面の俺にタメ口やったのはこの仕事やって以来お前が初めてやわ。みんな俺のこと医者か神様と思って敬語つこうてくるのに。」
「いや、俺は目覚める前ホームで人に突き落とされて殺されてんねん。穏やかにいられるわけ無いやろ。」
「まあ確かにそうか。そうや、お前はそういう意味でもちょっと異例の客やってん。」
「そういう意味?」
「まあ、こっちも商売でやってるから、大金を払ってもらった以上、お客様には満足して帰ってもらわんとあかんやろ?」
確かこの五感搭載型オンラインリアル人生ゲーム(正式名称は知らないが)の一回、三時間のプレイ料金は税込み一万六千円と、最新のテクノロジーを用いているだけあってやはり高い。
「だからうちでは、プレイヤーがコンピューターに他殺される、自然災害に巻き込まれて死亡するといった仕様を今のところ取り除いてる。」
「そんなこと出来んの?」
「何言ってんねん、ゲームやぞ、そもそも人が作ってんの。」
「ああ、そうやった。」
だが、それならどうして俺は死んだ?という疑問が浮き上がる。あれは明らかな他殺だ。確か隆二は『コンピューターによる他殺は無い。』、と言っていた。じゃあコンピューター以外はどうなんだ?
「あっ。」
「気付いたか、そういうことや。仕事上、俺たちにプレイヤーの行動まで制限する権限は無い。」
つまり俺を殺ったのはどこかのプレイヤー。この大阪第二店舗に限らず、日本全国で約三十店舗、そのうちのどこかにあいつも居るってことか。
どういう感情になるのが正しいんだ、これ。
確かに告白を邪魔され、ホームから線路へ突き落とされて殺された。憎む理由としては十分過ぎる程であるのだが、でもそれは全てゲームの中の話なのだ。
よく、十八禁のオープンワールドゲームをプレイしている小学五年生くらいの子が、三十路近くの自称プロゲーマーおじさんにしつこくキルされてボイスチャットや掲示板で誹謗中傷しまくるというケースを見るが、ここで俺が怒るのはそれと同じことではないだろうか。
「ちなみに、この店におる。」
「それ以上は個人情報やから言われへん。」と付け加える隆二だったが、いや、それも言わない方が良いと思うぞ、俺は。
そんなこと知るとますますモヤモヤしてくるではないか。どうしよう、帰る前に一発ぶん殴ってやろうか。それぐらいなら許されるはず・・・
コンコンコン。
ふいに軽めの柔らかいノックが鳴り、病院の診察室にありそうな横開きのドアが開いて、隆二と同じ白衣を纏った女性がカルテを持って入ってきた。
「りゅうじっ・・・桐島さん、1205の樋口紗綾様がお目覚めになられました。」
今、俺の存在に気付いて言い直したよな・・・ってか、そうだ、ここへは紗綾と来ていたんだった。
「わかりました。すぐ行きます。」
隆二が応えると、女性スタッフは軽く会釈して扉を閉めた。
「彼女か?」
足音が遠ざかるのを待って尋ねると、隆二は少し考えるような素振りを見せた後、「候補の一人、かな?」と答えた。
「それよりさっきの名前、お前の彼女やんな?」
他にどんな候補があるのか気になったが、あまり触れられたくないのかすぐに話題を変えられてしまった。
俺は仕方なく頷く。
「このあと彼女にもお前と同じように記憶の復元を行うから、ここ出て二つ隣にある控室で待ってろ。」
「いや、俺もここ居るわ。」
「ここ狭いねん、居られたら作業の邪魔や。」
そう言われては去る他ない。
保管されてあった荷物類を受け取り部屋を出た俺は、同じような部屋がずらっと並んだ病棟みたいな廊下の、一番端にあるプレイヤー休憩所に入った。
部屋には誰もいなかった。焦げ茶のテーブルに、高級そうな黒い革のソファ、部屋の角に自動販売機と観葉植物が設置されてた閑静な部屋に、空調の音だけが虚しく響いている。
特にやることもなく、空いた手が落ち着かなかった俺は、意味もなくテーブル上に置かれた冊子を開いた。
『世界初、全身体感型ヴァーチャル・リアリティゲーム、「VRライフ」。一プレイ一万六千円(税込)。プレイ最高時間三時間。
ルール: 生まれた瞬間(0歳)~死に際(最長百二十歳)までの人生を悔いなく過ごしましょう。
終了条件: 死亡(寿命を迎える、病気、交通事故、他殺、自殺など)。
アバターカスタマイズについて: プレイスタート前に性別、顔、体型、体質など細かい設定が行えます。そのままの姿でプレイするもよし、性別も変えて全くの別人としてアナザーライフを過ごすもよし、コンプレックスだけを修正して理想の姿になるもよし。全てはあなたの思うまま。
オンライン通信について: 全国各地の店舗(それぞれ二十名)がオンラインで繋がります。また、プレイヤー同士のエンカウント率を上げるため、出生地はマップの一部分に集結させています。
・・・』
冊子をもとあった場所に返し、ソファーに仰け反った。血が登って頭がジーンとする。
俺が死んだのは十八歳で、プレイ時間は一時間半。二十歳だったとしても、三時間ってことは倍で四十歳。どう考えても最高齢の百二十歳と最高プレ時間の三時間が釣り合わない気がするのだが・・・
別にどうでもいいけど。
それにしても誰も来ないな。紗綾はもうすぐ記憶を取り戻してやってくるとして、二十人もいれば早死するやつがもう一人や二人いてもおかしくないはずだ。・・・とんでもないセリフだな。
ああ~、なんかぼーっとしてきた。
プレイヤー同士のエンカウント率が高くなるように一部分に集結していたと書いてあったけど、つまりそれは、あの時俺の周りにも少なくとも何人かはCPUでないプレイヤーが居たってことだ。殺人犯もその一人。
もしかしたら悠斗や颯太達もこっちに存在しているかもしれない。
白河だって・・・
まあ、居たとしても合うことは無いだろう。全国三十店舗ある中から見つけ出すのは至難の技だし、第一見た目も違っているかもしれないのだ。あまり高望みはしないでおこう。
紗綾、遅いな・・・
もう俺が目覚めてから一時間近くが経っている。今寝ている奴らのプレイ時間はだいたい二時間半になる。歳で言うなら、七、八十はいってるんじゃないだろうか?
ちょっと喉が乾いた。
席を立って角にある自動販売機の前まで移動する。ディスプレイには青地に白の文字で『つめたい』と書かれた札が三段全ての端から端までずらっと並んでいた。そうか、空調が整いすぎていたから気付かなかった、いや忘れていた。今は夏だ・・・
チャラン、チャラン、チャラン・・・ピッ、ゴトンッ。
・・・プシュッー。
「グッグッグッ・・・はぁあー。」
ガチャ。
「ん?」
隣のドアが開いた。
コーラのペットボトルに口をつけたまま横目に見ると、女性が一人立っていた。紗綾ではない。大人びた彼女とは違いまだあどけなさの残る女性。どこかで会ったことがあるだろうか?正直俺は知らないのだが彼女の目はそう語っている。俺の顔を覗き込んだまま動かない。
「あの、つかぬ事をお聞きしますが、あなたのお名前は?」
やっぱり俺のことを知ってるのか?とはいえほんとに見覚え無い、はずなんだが。
「四条です。」
「下の名前は?」
ああ、そうか。これは名前じゃなくて名字だな。
「慎士。」
「あっ、やっぱり。慎二やんな。」
いきなりタメ口になるのか。人のことは言えないけど・・・
でも、そのぐらいの関係ってことか。じゃあ高校か中学の同級生・・・いや、こんな女子いた覚えがない。
「すいません、あなたは一体誰ですか?」
俺が本当に分かっていないのを見て、女性はわざとらしく肩を落として少ししょんぼりした声音で言った。
「そうやんな・・・やっぱりこの姿じゃあ分からんよな。」
なんだか申し訳なく思えてきたが、ともかくそろそろ正体を言ってもらえないだろうか。言ってくれないと思い出すものも思い出せない。
「この姿じゃってことは、もしかしてゲームの中で知り合った・・・」
もしかしてというか、もはやそれしか無いだろう。ゲームの中でも俺はこの姿をしていたから、俺が分からなくて向こうが分かるのもそれだと納得がいく。
だとしたら誰だ? 『三上慎士』の知り合いで、かつ下の名前で呼び捨てだった人間は・・・
もしかして、母親か?
いや、そうだとしたら今ものすごくややこしい状態になっているじゃないだろうか。見るに現実の彼女は俺より若そうなまである。年下の母、何だこれ。
「悠人。」
ああ、悠人。すごく馴染み深い名前だ。
「あいつと何か関わりがあるんですか?」
「いや、だから・・・ウチやねん。」
『ウチ』、というのは関西女子特有の一人称の方の『ウチ』だよな。『家来いよ。』の『ウチ』じゃなくて・・・いや、後者だと意味が成り立たなくなるからこの場合前者一択なのだが。
で、何がウチなんだ? という愚問はよそう、ホントは最初からうすうす気付いていたんだ。ただなんとなく、納得がいかなかった。
「本当にお前、あの悠人なのか?」
俺の幼馴染。気さくで誰とでもすぐ仲良くなれて、学園のアイドルともひっそりお付き合いをしていた男。その本当の姿が今目の前に居る若い姉ちゃんだと言われてもいまいちピンとこない。
「六十年くらい前・・・今となってはついさっきのことやけど、慎士が死んで、ウチらの学年は文化祭どころやなかった。」
遠い昔のことを顧みるような、外見に似つかわない口調で彼女はそう切り出した。
彼女いわく、俺を殺った犯人はその後すぐその場に居た駅員たちに取り押さえられ捕まったらしく、二人目の、つまり俺の隣に立っていた白河にまで被害が及ぶことはなかったそうだ。
しかし、俺が電車に轢かれる瞬間を彼女は見てしまった。生身の人間が鉄の車輪に巻き込まれて血肉と化す瞬間なんて、想像しただけでも血の気が引けるだろう。ましてやそんな絵面をまともに見てしまった彼女がその場で気を失い、以降トラウマで家に引きこもるようになり学校にも顔を見せなくなることは当然と言えば当然であろう。
それ以外の俺をよく知る人間も文化祭には参加することなく、高校三年は散々だったみたいだ。それでも高校卒業以降は徐々に立ち直りそれぞれの道へ歩み始めたらしいのでまだ良かったのだが、白河だけは、結局最期まで家から出て来なかったそうだ。
「ほんとに、悠人なんだな・・・」
「だから言ってるやん。」
身近な人間にプレイヤーがいる、説明書にはそう書いてあったが、まさかこんな形で悠人と再開するとは・・・
立ち話もなんだしということで先程からソファーに隣り合わせで座っているのだが、男同士の会話であるはずなのに隣から確かな女性を感じるというのは、いったいどういう気持で受け止めれば良いのだろうか。
「ちなみに悠人の・・・」
いや、確かに向こうの世界では悠人なのだが、現実の彼女を悠人と呼ぶのはなにか違う気がする。
「ちなみに、本名は?」
本名という聞き方が正しいのか分からないが、それ以外に手頃な言い方も見つからないし良いだろう。
「西野悠。」
なんと、『人』という字が取れただけで一気に女性らしい名前になった。これは分かりやすくて助かる。
「俺と悠以外には居らんのか?」
「ウチら以外はまだ・・・あっ。」
「なんや?」
「いや、ほら・・・」
突然、悠がドアのある方へ指を指した。なんだか分からないまま振り向くと、ドア枠越しに誰か立っている。それも不機嫌なしかめっ面で。どうしてそんな顔をするんだ。俺がなにか悪いことしたか? 俺はただ、ゲームの中で知り合った友達と男同士仲良く・・・
冷や汗が吹き出た。
「ちょっとまってくれ紗綾。これは浮気とかそういうんやなくて・・・そうや、ゲームの中で知り合った友達で、ゲームの中ではこいつ男やってん。」
慌てて弁解する俺。紗綾はと言うと、「それがどうしたんや。」と言わんばかりの鋭い目つきをしていた。
「ああっ、彼女さんですか。はじめまして、西野と言います。三上、じゃなくて、四条さんとはあちらの世界で、男友達として仲良くさせてもらいました。さっきはそれを思い出して話していただけですので。」
間に割って入った悠がそう言い置いて出ていこうとした。
「じゃあな。」
俺が別れの言葉を述べても、彼女は何も言うことなく軽く会釈だけして出ていった。
なんとも言えない空気が漂っていた。
「座るか?」
「いい。」
「そうか。」
「ここに居る必要ないやろ、私らも出よ。」
紗綾の言う通り、なにもここで話す必要もない。ここを出て、どこか喫茶店かにでも入ればいい。その方がデートっぽいし、今日はデートなのだ。
俺は低反発のソファーに埋まった腰を引き上げ直立二足歩行でマイ・ファーストレディのもとへ歩み寄った。立ち上がった際、さっきまで空っぽだったポケットの中で紙切れが折れるような音がしたことは彼女には内緒にしておこう。
「お茶でもするか。」
「うん。」
手首足首からのびたコードの先には、おびただしく連なり並ぶ十数台のスーパーコンピュータ。そこから天井伝いに戻ってきたコードが行き着く先、薄型の液晶パネルに映っていたのは、オンラインゲームとかでよく見るキャラメイクのプレビューのような映像で、その顔は完全に俺だった。
「こりゃ気付かないわけや。」
そう漏らしたのは俺の隣で一緒になって見ている白衣姿の隆二で、それはなんとなく馬鹿にしているような言い振りでもあった
「何が悪い?」
「いや、悪くはないし実際こういうプレイヤーも結構いるんやけどさあ、俺的にはやで、別人として生きられるというまたとない機会やっていうのになんで性別どころか顔のパーツまで一緒にしてまうかな・・・って。」
プレイヤー、別人として生きる・・・
ついさっきまでそんなことをやっていたと思うとゾッとする。
よくファンタジー物のテレビゲームなんかをやっていると、いつの間にか夢中になってその世界に入り込んでしまったような感覚に陥ることがある。とはいえそれは一時の現実逃避でしかなく、セーブポイントだのメニュー画面だのといった要素もあり、結局プレイヤーとしての意識を忘れてしまうほどではない。
だがさっきのはどうだ。というかもう既にあれを『さっき』の一言で置き換えられてしまう時点で恐ろしい。確かにプレイ時間だけで言えば一時間半、一時間半前、『さっき』だ。しかしここで重要なのはあくまで体感的な時間の方であり、俺があの真っ白なポットに一時間半入って得た情報量はというと、ズバリ人の十八年に相当していた。
「コレが必要ない客とか居るん?」
俺は先程から握りしめていたちょっと高級そうなUSBメモリを突き出して尋ねた。表面には整理番号と俺の氏名『四条慎士』が印字されている。
「ああ、極稀に。向こうで前世の記憶が・・・みたいな設定あったやろ?ああいうのはだいたいそれ。」
設定、ねえ・・・
「まあ、大体の人は赤ん坊として生まれた時点で記憶無くすんやけど。」
そのためのメモリースティック。まったく、一体どこの誰が人間の記憶をこんな小さな電子端末に保存するなんてぶっ飛んだ発想に行き着くどころか形にしてしまったのだろうか。十年前じゃ考えられなかっただろう。
「ちなみにおばけやUFOの正体って何やったん?」
「バグ。」
どうしてだろう、現実だったら絶対通用しないはずの理屈なのに、今すごく納得している。
・・・あ、そうかあれは現実じゃないんやった。
未だに整理がつかない。つい十分前までは中学来のダチだった隆二の顔も名前も忘れた『三上慎士、十八歳、高校生』だったところに、メモリースティックに保存されてある『四条慎士、二十五歳、編集者』の記憶を再ダウンロードさせられたことにより、実質四十三年分の記憶を保持したことになるのだが、しかしそれにより記憶が平行に存在する部分があるというわけのわからない状態が仕上がってしまった。
「そういえばお前、目覚めていきなり俺にタメ口やったやろ?記憶なかったんとちゃうん?記憶あるならまだしも、実質初対面の俺にタメ口やったのはこの仕事やって以来お前が初めてやわ。みんな俺のこと医者か神様と思って敬語つこうてくるのに。」
「いや、俺は目覚める前ホームで人に突き落とされて殺されてんねん。穏やかにいられるわけ無いやろ。」
「まあ確かにそうか。そうや、お前はそういう意味でもちょっと異例の客やってん。」
「そういう意味?」
「まあ、こっちも商売でやってるから、大金を払ってもらった以上、お客様には満足して帰ってもらわんとあかんやろ?」
確かこの五感搭載型オンラインリアル人生ゲーム(正式名称は知らないが)の一回、三時間のプレイ料金は税込み一万六千円と、最新のテクノロジーを用いているだけあってやはり高い。
「だからうちでは、プレイヤーがコンピューターに他殺される、自然災害に巻き込まれて死亡するといった仕様を今のところ取り除いてる。」
「そんなこと出来んの?」
「何言ってんねん、ゲームやぞ、そもそも人が作ってんの。」
「ああ、そうやった。」
だが、それならどうして俺は死んだ?という疑問が浮き上がる。あれは明らかな他殺だ。確か隆二は『コンピューターによる他殺は無い。』、と言っていた。じゃあコンピューター以外はどうなんだ?
「あっ。」
「気付いたか、そういうことや。仕事上、俺たちにプレイヤーの行動まで制限する権限は無い。」
つまり俺を殺ったのはどこかのプレイヤー。この大阪第二店舗に限らず、日本全国で約三十店舗、そのうちのどこかにあいつも居るってことか。
どういう感情になるのが正しいんだ、これ。
確かに告白を邪魔され、ホームから線路へ突き落とされて殺された。憎む理由としては十分過ぎる程であるのだが、でもそれは全てゲームの中の話なのだ。
よく、十八禁のオープンワールドゲームをプレイしている小学五年生くらいの子が、三十路近くの自称プロゲーマーおじさんにしつこくキルされてボイスチャットや掲示板で誹謗中傷しまくるというケースを見るが、ここで俺が怒るのはそれと同じことではないだろうか。
「ちなみに、この店におる。」
「それ以上は個人情報やから言われへん。」と付け加える隆二だったが、いや、それも言わない方が良いと思うぞ、俺は。
そんなこと知るとますますモヤモヤしてくるではないか。どうしよう、帰る前に一発ぶん殴ってやろうか。それぐらいなら許されるはず・・・
コンコンコン。
ふいに軽めの柔らかいノックが鳴り、病院の診察室にありそうな横開きのドアが開いて、隆二と同じ白衣を纏った女性がカルテを持って入ってきた。
「りゅうじっ・・・桐島さん、1205の樋口紗綾様がお目覚めになられました。」
今、俺の存在に気付いて言い直したよな・・・ってか、そうだ、ここへは紗綾と来ていたんだった。
「わかりました。すぐ行きます。」
隆二が応えると、女性スタッフは軽く会釈して扉を閉めた。
「彼女か?」
足音が遠ざかるのを待って尋ねると、隆二は少し考えるような素振りを見せた後、「候補の一人、かな?」と答えた。
「それよりさっきの名前、お前の彼女やんな?」
他にどんな候補があるのか気になったが、あまり触れられたくないのかすぐに話題を変えられてしまった。
俺は仕方なく頷く。
「このあと彼女にもお前と同じように記憶の復元を行うから、ここ出て二つ隣にある控室で待ってろ。」
「いや、俺もここ居るわ。」
「ここ狭いねん、居られたら作業の邪魔や。」
そう言われては去る他ない。
保管されてあった荷物類を受け取り部屋を出た俺は、同じような部屋がずらっと並んだ病棟みたいな廊下の、一番端にあるプレイヤー休憩所に入った。
部屋には誰もいなかった。焦げ茶のテーブルに、高級そうな黒い革のソファ、部屋の角に自動販売機と観葉植物が設置されてた閑静な部屋に、空調の音だけが虚しく響いている。
特にやることもなく、空いた手が落ち着かなかった俺は、意味もなくテーブル上に置かれた冊子を開いた。
『世界初、全身体感型ヴァーチャル・リアリティゲーム、「VRライフ」。一プレイ一万六千円(税込)。プレイ最高時間三時間。
ルール: 生まれた瞬間(0歳)~死に際(最長百二十歳)までの人生を悔いなく過ごしましょう。
終了条件: 死亡(寿命を迎える、病気、交通事故、他殺、自殺など)。
アバターカスタマイズについて: プレイスタート前に性別、顔、体型、体質など細かい設定が行えます。そのままの姿でプレイするもよし、性別も変えて全くの別人としてアナザーライフを過ごすもよし、コンプレックスだけを修正して理想の姿になるもよし。全てはあなたの思うまま。
オンライン通信について: 全国各地の店舗(それぞれ二十名)がオンラインで繋がります。また、プレイヤー同士のエンカウント率を上げるため、出生地はマップの一部分に集結させています。
・・・』
冊子をもとあった場所に返し、ソファーに仰け反った。血が登って頭がジーンとする。
俺が死んだのは十八歳で、プレイ時間は一時間半。二十歳だったとしても、三時間ってことは倍で四十歳。どう考えても最高齢の百二十歳と最高プレ時間の三時間が釣り合わない気がするのだが・・・
別にどうでもいいけど。
それにしても誰も来ないな。紗綾はもうすぐ記憶を取り戻してやってくるとして、二十人もいれば早死するやつがもう一人や二人いてもおかしくないはずだ。・・・とんでもないセリフだな。
ああ~、なんかぼーっとしてきた。
プレイヤー同士のエンカウント率が高くなるように一部分に集結していたと書いてあったけど、つまりそれは、あの時俺の周りにも少なくとも何人かはCPUでないプレイヤーが居たってことだ。殺人犯もその一人。
もしかしたら悠斗や颯太達もこっちに存在しているかもしれない。
白河だって・・・
まあ、居たとしても合うことは無いだろう。全国三十店舗ある中から見つけ出すのは至難の技だし、第一見た目も違っているかもしれないのだ。あまり高望みはしないでおこう。
紗綾、遅いな・・・
もう俺が目覚めてから一時間近くが経っている。今寝ている奴らのプレイ時間はだいたい二時間半になる。歳で言うなら、七、八十はいってるんじゃないだろうか?
ちょっと喉が乾いた。
席を立って角にある自動販売機の前まで移動する。ディスプレイには青地に白の文字で『つめたい』と書かれた札が三段全ての端から端までずらっと並んでいた。そうか、空調が整いすぎていたから気付かなかった、いや忘れていた。今は夏だ・・・
チャラン、チャラン、チャラン・・・ピッ、ゴトンッ。
・・・プシュッー。
「グッグッグッ・・・はぁあー。」
ガチャ。
「ん?」
隣のドアが開いた。
コーラのペットボトルに口をつけたまま横目に見ると、女性が一人立っていた。紗綾ではない。大人びた彼女とは違いまだあどけなさの残る女性。どこかで会ったことがあるだろうか?正直俺は知らないのだが彼女の目はそう語っている。俺の顔を覗き込んだまま動かない。
「あの、つかぬ事をお聞きしますが、あなたのお名前は?」
やっぱり俺のことを知ってるのか?とはいえほんとに見覚え無い、はずなんだが。
「四条です。」
「下の名前は?」
ああ、そうか。これは名前じゃなくて名字だな。
「慎士。」
「あっ、やっぱり。慎二やんな。」
いきなりタメ口になるのか。人のことは言えないけど・・・
でも、そのぐらいの関係ってことか。じゃあ高校か中学の同級生・・・いや、こんな女子いた覚えがない。
「すいません、あなたは一体誰ですか?」
俺が本当に分かっていないのを見て、女性はわざとらしく肩を落として少ししょんぼりした声音で言った。
「そうやんな・・・やっぱりこの姿じゃあ分からんよな。」
なんだか申し訳なく思えてきたが、ともかくそろそろ正体を言ってもらえないだろうか。言ってくれないと思い出すものも思い出せない。
「この姿じゃってことは、もしかしてゲームの中で知り合った・・・」
もしかしてというか、もはやそれしか無いだろう。ゲームの中でも俺はこの姿をしていたから、俺が分からなくて向こうが分かるのもそれだと納得がいく。
だとしたら誰だ? 『三上慎士』の知り合いで、かつ下の名前で呼び捨てだった人間は・・・
もしかして、母親か?
いや、そうだとしたら今ものすごくややこしい状態になっているじゃないだろうか。見るに現実の彼女は俺より若そうなまである。年下の母、何だこれ。
「悠人。」
ああ、悠人。すごく馴染み深い名前だ。
「あいつと何か関わりがあるんですか?」
「いや、だから・・・ウチやねん。」
『ウチ』、というのは関西女子特有の一人称の方の『ウチ』だよな。『家来いよ。』の『ウチ』じゃなくて・・・いや、後者だと意味が成り立たなくなるからこの場合前者一択なのだが。
で、何がウチなんだ? という愚問はよそう、ホントは最初からうすうす気付いていたんだ。ただなんとなく、納得がいかなかった。
「本当にお前、あの悠人なのか?」
俺の幼馴染。気さくで誰とでもすぐ仲良くなれて、学園のアイドルともひっそりお付き合いをしていた男。その本当の姿が今目の前に居る若い姉ちゃんだと言われてもいまいちピンとこない。
「六十年くらい前・・・今となってはついさっきのことやけど、慎士が死んで、ウチらの学年は文化祭どころやなかった。」
遠い昔のことを顧みるような、外見に似つかわない口調で彼女はそう切り出した。
彼女いわく、俺を殺った犯人はその後すぐその場に居た駅員たちに取り押さえられ捕まったらしく、二人目の、つまり俺の隣に立っていた白河にまで被害が及ぶことはなかったそうだ。
しかし、俺が電車に轢かれる瞬間を彼女は見てしまった。生身の人間が鉄の車輪に巻き込まれて血肉と化す瞬間なんて、想像しただけでも血の気が引けるだろう。ましてやそんな絵面をまともに見てしまった彼女がその場で気を失い、以降トラウマで家に引きこもるようになり学校にも顔を見せなくなることは当然と言えば当然であろう。
それ以外の俺をよく知る人間も文化祭には参加することなく、高校三年は散々だったみたいだ。それでも高校卒業以降は徐々に立ち直りそれぞれの道へ歩み始めたらしいのでまだ良かったのだが、白河だけは、結局最期まで家から出て来なかったそうだ。
「ほんとに、悠人なんだな・・・」
「だから言ってるやん。」
身近な人間にプレイヤーがいる、説明書にはそう書いてあったが、まさかこんな形で悠人と再開するとは・・・
立ち話もなんだしということで先程からソファーに隣り合わせで座っているのだが、男同士の会話であるはずなのに隣から確かな女性を感じるというのは、いったいどういう気持で受け止めれば良いのだろうか。
「ちなみに悠人の・・・」
いや、確かに向こうの世界では悠人なのだが、現実の彼女を悠人と呼ぶのはなにか違う気がする。
「ちなみに、本名は?」
本名という聞き方が正しいのか分からないが、それ以外に手頃な言い方も見つからないし良いだろう。
「西野悠。」
なんと、『人』という字が取れただけで一気に女性らしい名前になった。これは分かりやすくて助かる。
「俺と悠以外には居らんのか?」
「ウチら以外はまだ・・・あっ。」
「なんや?」
「いや、ほら・・・」
突然、悠がドアのある方へ指を指した。なんだか分からないまま振り向くと、ドア枠越しに誰か立っている。それも不機嫌なしかめっ面で。どうしてそんな顔をするんだ。俺がなにか悪いことしたか? 俺はただ、ゲームの中で知り合った友達と男同士仲良く・・・
冷や汗が吹き出た。
「ちょっとまってくれ紗綾。これは浮気とかそういうんやなくて・・・そうや、ゲームの中で知り合った友達で、ゲームの中ではこいつ男やってん。」
慌てて弁解する俺。紗綾はと言うと、「それがどうしたんや。」と言わんばかりの鋭い目つきをしていた。
「ああっ、彼女さんですか。はじめまして、西野と言います。三上、じゃなくて、四条さんとはあちらの世界で、男友達として仲良くさせてもらいました。さっきはそれを思い出して話していただけですので。」
間に割って入った悠がそう言い置いて出ていこうとした。
「じゃあな。」
俺が別れの言葉を述べても、彼女は何も言うことなく軽く会釈だけして出ていった。
なんとも言えない空気が漂っていた。
「座るか?」
「いい。」
「そうか。」
「ここに居る必要ないやろ、私らも出よ。」
紗綾の言う通り、なにもここで話す必要もない。ここを出て、どこか喫茶店かにでも入ればいい。その方がデートっぽいし、今日はデートなのだ。
俺は低反発のソファーに埋まった腰を引き上げ直立二足歩行でマイ・ファーストレディのもとへ歩み寄った。立ち上がった際、さっきまで空っぽだったポケットの中で紙切れが折れるような音がしたことは彼女には内緒にしておこう。
「お茶でもするか。」
「うん。」
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連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
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