スマートシステムで異世界革命

小川悟

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序章 異世界転移

第5話 転生とその後の神々

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新たなスキルであるスマートシステムが出来上り盛り上がる転生の間。

「アタル様、ノバへの転生を承諾して頂けますでしょうか?」

生命の女神はアタルの前に来てそう尋ねた。

アタルはスマートシステムを創るのに夢中になり、本来の用件を忘れていたのだ。
もう一度冷静になり、考え始めそして答えを出す。

転生の間にはスマートシステムを創るのに呼ばれた神々がそのまま残っていた。アタルを囲むように何重もの輪になっていた神々が息を飲み沈黙した。

「ダメですね」

アタルは生命の女神の目をみて話を続けた。

「スマートシステムだけじゃダメですね。
各種耐性のスキルは生きるのに必要ですし、土魔法は物造りに必要ですね。身を守るためには身体強化、できれば体術もあると助かります。
あっ、あと言葉とか大丈夫でしょうか? 言語理解とかスキルにありましたよね?
最低限の服や着替え荷物もお願いします。お金や食料はどうなのでしょうか?」

「もちろん大丈夫なのじゃ!それぞれの担当する神よ、大丈夫であろう!」

ダメと言われたときに泣きそうになった転生の女神であったが、その後の話で顔を笑顔に変え叫んだ。

「もちろん授けるわよ!」「限界まで授けてやるよ!」「果物をたくさん渡すわよ!」

「いやいや、無理のない範囲でいいですよ!」

「アタル様、必要と思われるスキルや荷物、着替えを神々の皆さんと相談させて下さい。お金は金貨100枚分までしかお渡しできないことになっています。価値的には大体100万円ぐらいと考えて頂ければ……少なくてすみません」

生命の女神はそういうと他の神々と相談を始めた。

「ありがとうなのじゃ~!」

転生の女神はそういうと目をウルウルさせてアタルのそばに来た。

「転生の女神様、もう一つお願いがあります」

「なんでも言ってくれなのじゃ~!」

「文化交流で地球に行ったら家族の様子を見てもらえませんか?
母は2度目の再婚をしましたが、再婚相手は非常にまじめで優しい方なので大丈夫だと思います。でも、妹の美優には幸せになって欲しいんです。困っていたら可能な範囲で手助けしてもらえると助かります」

「任せてほしいのじゃ! どこまでできるか分からないのじゃが、地球の主神様にも相談するのじゃ!」

「よろしくお願いします」

「任せるのじゃ~!!!」

そう言ってアタルの腕に抱きついてきたが、胸に膨らみがなく胸骨が当たって痛いと思うアタルだった。

それから追加のスキルを授けてもらい、たくさんの荷物を受取り、着替えをして準備が整った。

「神々の皆様! 親切にして頂きありがとうございます。神々の皆様を見ているとノバが好きに成れると感じます。
どこまで使命を果たせるか判りませんが努力はしようと思います。
では転生の女神様お願いします!」

転生の女神は目に涙を溜めながら手を差し出し、

「ずっと神界《ココ》から見守っているのじゃ! 転生!」

差し出された手から光がアタルに注ぎ、その光がアタルの姿をすべて包むと光と共にアタルの姿も消えた。

すべてが終わると転生の女神は溜められた涙を零した。

「ハイハイ、転生の女神様は感傷に浸っている時間はないですよぉ。すぐにアタルさんに今いる場所の情報を神託で送ってください!
それが終わったら地球の主神様へ謝罪と報告に行きますよぉ~。
他の神々の皆様は一度お帰り下さ~い! 地球から戻りましたらお知らせしま~す」

生命の女神はそう話すと、ぞろぞろと神々は転生の間から帰って行った。

転生の女神はその変わり身の早い生命の女神に呆気に取られていた。

「お主は少し冷たいのじゃ!」

駄々っ子のように転生の女神は生命の女神に不満をぶつける。

「転生の女神様、転生に時間が掛かったので地球の主神様への謝罪と報告は急がないとまずいと思います。違いますでしょうか?」

「わ、わかっておるのじゃ! 少し待つのじゃ!」

転生の女神はそう言うと急いで神託を出し始めた。

   ◇   ◇   ◇   ◇

それからすぐに地球の神界に転生の女神と生命の女神が姿を現した。

「ノバの神《もの》じゃ。地球の主神様にお会いしたいのじゃ」

転生の女神がそこにいた女性に申し込むと、

「先ほどからお持ちです。どうぞ案内します」

「そ、そうか、よろしく頼むのじゃ!」

待っていると言われ、動揺する転生の女神。

黙ってついて行くとすぐにある部屋の前に着いた。

案内してくれた女性は扉をノックしてから、

「ノバの神《かた》がいらっしゃいました」

「待っていたよ~、すぐに案内して~」

部屋の中から声が聞こえた。案内の女性は扉を開けて中に入るように促す。

「いや~転子ちゃんおひさー! あらあらあら♪ 可愛らしくなっちゃって~♪」

部屋の中には筋肉質の男性がいたのだが、その仕草や話し方はまるで女性みたいだ。

「地球の主神様お久しぶりなのじゃ。報告に来るのが遅くなり、申し訳ないのじゃ!」

転生の女神はそういうと頭を下げた。

「そうよ~♪ 召喚が行われたのを気付いていたから、もっと早く報告に来ると思ったのに~♪」

「そのことなのじゃが……地球の主神様には謝罪しないとダメなのじゃ!」

転生の女神は目に涙を溜め、しっかりと地球の主神様と目を合わせて話をする。

「あら~、それはどういうことかしら~?」

地球の主神も少し様子を伺うように聞いてくる。

「じ、実は妾が候補者探しに来ていたのじゃが、残念ながら良い候補者が見つからなかったのじゃ。
それでノバに戻ろうと門《ゲート》を利用しようとしたのじゃが、……事故で今回の召喚になってしまったのじゃ。
すべての責任は妾にあるのじゃ!」

地球の主神の雰囲気が剣呑となり目を細めて、

「それは召喚の承諾をしなかったということかしら?」

「地球の主神様、確かに今回の召喚は不慮の事故により発生したものです。
ですが、ノバに転生する前に本人の承諾をして頂きました。説明や承諾をして頂くのに時間が掛かったので報告が遅くなりました」

「そうなのじゃ~! 最終的に承諾はして貰ったのじゃ。
し、しかし召喚前に承諾は貰ってなかったのじゃ~!
その責任はすべて妾にあるのじゃ~!
罰は妾が、…えぐっ…受ける覚悟ぉ…出来て…のじゃ~!」

生命の女神は冷静に説明したが、転生の女神のほうは最後には泣き出してしまった。

「あらあらあら♪ だったら何も問題ないじゃな~い♪
召喚の承諾は必要と言っていたけど、事前に必要なんて言った覚えもないし~♪
転子ちゃんそんなこと気にして泣いているの~、全然無問題モウマンタイよぉ~♪」

そう言って転生の女神を抱きしめて頭を撫でる地球の主神だった。

そして転生の女神が落ち着くと地球の主神は、

「そ・れ・に~♪ 召喚された彼は偶然にも最高の適任者じゃない♪
知識も豊富で少し変わった才能も有ったようだし~♪
少しヘタレみたいだけど~、むしろその方が良かったんじゃないの~♪」

「そうなのじゃ~! 最初はただの変態かと思ったのじゃ!
転生する頃には他の神《みな》も気に入っておったのじゃ!」

「今後の交流にも最適じゃない♪ 資産も非常に多いみたいだし~♪
そうだ! 確か彼には人里離れた住まいが有ったわよね♪
そこを聖域に指定してノバと門《ゲート》を固定しておくから、拠点として使えば良いわよぉ♪
聖域に指定すれば、そちらの神々も聖域内なら神の力が少し使えると思うし~、私も遊びに行けるから素敵な男神《おとこ》を紹介してもらえるから最高じゃな~い♪」

「本当に!? それは妾からお願いしようと思っていたのじゃ!
実は召喚された彼にインターネットを可能なら利用できればと相談されて……、さすがに妾は無理じゃと話したのじゃが、それを叡智の神が地球で神力を少し使えれば、さすがにリアルタイムで利用はできないが定期的に更新は可能じゃと話してしもうたのじゃ、なので可能ならお願いしようと思っていたのじゃ!
なんと! 不思議なほど何もかも理想的な方向に進むのじゃ!」

「転子ちゃんの日頃の頑張りが、この結果に繋がっているのよぉ♪」

「ムフッー! 地球の主神様もそう思われるか! やはり妾は最高なのじゃ!」

少し調子に乗り始める転生の女神を、生温かい目で見る生命の女神。

その後は女子トークに暫く盛り上がるのであった。

「転生の女神様、そろそろお戻りになりませんと」

「そうじゃのう、あっ大切なことを忘れるところであったのじゃ!
地球の主神様、召喚された彼に家族のことを頼まれておったのじゃ!
できれば時々で良いので様子を見てやってはくれまいか!」

「そんなのはお安い御用よ~♪ 今のところ問題は無いみたいよん♪
何かあれば報せるから交流で来たときに貴方たちでサポートもできるでしょう♪」

「ありがとうなのじゃ!」

そう言ってふたりはノバに帰っていった。

   ◇   ◇   ◇   ◇

2人の姿が見えなくなると、地球の主神の隣には白い髭を生やした老人が姿を現した。

「ノバ様、作戦通りに事が運びましたねぇ♪ 転子ちゃんが泣いたときには、少し可哀想かと思いましたが~、それも可愛くて楽しくなっちゃいましたけどぅ♪」

「地球殿にはお手数をお掛けして申し訳なかったのぅ。あやつも最初は候補者探しをまじめにやっておったのだがのぅ。
良い候補者が中々見つからない状況になると、ほとんど地球での買い物に興じてたから、その罰も含めて地球殿に協力してもらって助かったのぅ」

「私も暇つぶしになって楽しかったから最高よ~♪ でも~、一緒に来た眷属の神は落ち着いていたわねぇ?」

「あの者には事前にすべて話していたからのぅ。
転子の奴はパニックになると何を仕出かすか解ったもんじゃないからのぅ。
フォッフォッフォ~」

そして2人で更に笑うのであった。

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