スマートシステムで異世界革命

小川悟

文字の大きさ
80 / 224
第3章 大賢者の遺産

閑話6 神々の文化交流③

しおりを挟む
はぁ~、イヤになっちゃうわ!

生命の女神は溜息を付く。

転生の女神様が次々と問題を起こしてくれて、主神であるノバ様が直接アタル様に神託を出す事態に発展してしまったのだ。

「転生の女神様、これ以上問題を起こさないで下さいね」

「な、なにを言うのじゃ! 妾が問題など起こすはずが無かろう!」

はぁ~、この女神《バカ》は全然自覚してないの!?

「まさか、我々がアタル様の様子を伺っていたとか、心を読んでいたとか、地球の彼の資産を我々が利用しているとか。ぜ~んぶ、転生の女神様が原因で、アタル様にバレてしまった事を忘れたというのですか!」

自分から噴き出す負のオーラに、転生の女神様も唾を飲み込んで言い訳を始める。

「ま、待つのじゃ! た、確かに妾のミスもあったのじゃ。でも、お主もミスをしたではないか!?」

私を責めるのですかぁ!?

「そうですかぁ、転生の女神様は、私が悪いと責めすのですね。ふふふっ」

あぁ~、全身から何かが噴き出してくるわぁ~。

転生の女神様が何かを感じたのか、突然土下座を始める。

「す、すまんのじゃ! すべて妾に責任がある。だ、だから、その、その負のオーラを妾に向けないで欲しいのじゃーーー!」

あらあら、自分では気が付かなかったけど、負のオーラが転生の女神様のオーラを押しのけようと全身を包み始めている。

「これは申し訳ありません。まさか、日々転生の女神様の為にすべてを捧げた私に、責任転嫁するとは思わなかったもので、無意識に、」

(無意識に、負のオーラで妾を侵食しようとするでない!)

まあ、今回は謝罪をして頂いたので、許すとしましょう!

全身から吹き出る負のオーラを体に戻す。

「お、お主は、そんなオーラ《もの》をよく仕舞っておけるのじゃな……?」

心配そうに尋ねてくる転生の女神様を無視して、他の話を始める。

「そんな事より急ぎますよ。これから文化交流隊の入替です」

「おおそうじゃった。じゃが、今回の文化交流隊の神選《じんせん》は納得できん! なんで脳筋のあんな神《やつ》らを選んだのじゃ?」

先程の事はもう忘れてプンプンと転生の女神は文句を言う。

「これまでの文化交流では、彼らのような戦や武術などに関する神々はどちらかと言うと遠慮して頂きましたが、これからは様々な方面の文化や歴史を学ぶ必要がありますから」

「それにしても極端すぎないか? 神《やつ》らだけでは問題を起こしそうではないか?」

ははぁ~ん、要するに自分も行きたいのだろう。

転生の女神の意図がわかり、生命の女神は悪戯心に火が付いた。

「それでは転生の女神様も一緒に行かれて、脳筋神々《かれら》を管理して頂けますか? 脳筋神々《かれら》を抑えられるのは光の女神様ぐらいだと思ったのですが、転生の女神様が代わりに行って頂けるのですか?」

「そ、それは、妾だけでは無理じゃ! じゃ、じゃが光の女神だけに頼むのも申し訳なかろう?」

そう言って地球《むこう》へ行っても、光の女神様の手伝いなどせずに遊び惚けるつもりだろう。しかし……。

「そうですわね。では、今回は転生の女神様にも逝って貰いましょうか?」

「本当か!? 本当に行って良いのか!?」

「もちろんでございます。脳筋神々《かれら》の管理は大変と思いますが、転生の女神様が逝って頂けるのなら安心ですわ!」

嬉しそうな表情をする転生の女神であったが、すぐに疑うような顔をして質問をしてくる。

「何か変じゃ! 生命の女神よ、なぜお主の負のオーラが見え隠れしておるのじゃ? なにか妾に話していない事は無いか!?」

チッ、珍しく勘の良い!

「ホッホッホ、まさかそのような事は……、あっ、そう言えばお伝えしていましたかしら?」

「なんじゃ?」

「今回の文化交流隊には地球の主神様がおいでになられるそうですわ」

転生の女神様は驚いたように口を開けた後、下唇を噛みジト目で私を睨んでくる。

「お、お主は怖いのぉ~、あと少しで騙される所じゃった。妾が地球の主神様を苦手な事は知っているはずなのに、それを……」

「エエ~、ソウナンデスネ」

「白々しい事を言うのぅ。妾を子ども扱いする地球の主神様が苦手な事を知っておきながら、それに地球の主神様がおいでになれば、接待をせねば、はっ! そう言う事か!? 脳筋神々《かれら》を送り込むのは接待を考えてか!」

「いえいえ、先程もお答えしたように、様々な方面の文化や歴史を学ぶ必要がありますからですわ」

「お、お主は怖いのぉ~」

ジト目で私を睨んだまま、転生の女神様は呆れたように呟くのであった。

「それで? 転生の女神様も一緒に行かれますか?」

「行くわけが無かろう!」

「そうですか。それでは皆さんお待ちですので急いで向かいましょう」


   ◇   ◇   ◇   ◇


転生の女神たちが交流の間に入ると、これまでにないほど暑苦しい雰囲気が部屋全体に広がっていた。

交流の間には筋肉ムキムキの男神が、自分達の筋肉を自慢し合っていた。一人だけ雰囲気の違う叡智の神だけが暑苦しそうにしながらもニヤついて一緒に居る。

「おう、転生の女神よ、粋な計らいをしてくれて嬉しく思うぞ!」

「「「うおぉーーー!」」」

戦の神がそう言うと、脳筋神々《かれら》とその眷属が大きな声を上げて、更に暑苦しさが増した。

「お主たちにも文化交流は必要じゃ。しっかりとお役目を果たしてくれ! ……ボソッ、生贄になって貰うのじゃがな」

「「「うおぉーーーーー!」」」

転生の女神の発言に更に大きな声で歓声を上げた為、転生の女神の最後の呟きは、彼らには聞こえていなかった。

「はいはい、騒がないでくださーーーい! 向こうで問題を起こすと、今後は文化交流隊に入れなくなりますよぉ!」

「生命の女神よ、その事は全員に言い聞かせてある。安心して任せろ!」

「「「うおぉーーーーーーー!」」」

さらに興奮が最高潮に達して、暑苦しさも同様に最高潮になる。

「はい、真ん中に集まって下さーーーい。端に居ると置いてきぼりになりますよぉ!」

驚くほど素直に、彼らは交流の間の真ん中に集まる。

き、気持ち悪いわぁ~。

身体を寄せ合うように真ん中に集まった筋肉神を見てそう思う。

「はい時間です!」

生命の女神がそう言うと、転生の女神の眷属が祈り始めると、それまでそこにいた暑苦しい脳筋神々《かれら》が居なくなり、光の女神と『第1回新文化交流隊』が姿を現した。

「皆さまお疲れ様です。皆様には今回の文化交流について後日報告書を出して頂きます。内容次第では、文化交流への参加頻度が減ることになりますのでしっかりと報告してください。
取り敢えず今日の所はゆっくりとお休みください!」

神々と眷属はそれを聞いて交流の間を出て行くのだった。

隊長の光の女神様と森の女神様、農業の女神様が私達の方に近づいて来て話しかけて来た。

「先に報告したいことがあるわ。商人の神がもう少し資産管理で時間が掛かるみたい。それと、権能の神がアタルの能力について向こうで調べたいと言い出したわ。取り敢えず向こうに残してきたが、構わないわよね?」

「あぁ、おつまみも地球の主神様には必要という事ね」

「そういうことよ。「ふふふっ」」

生命の女神と光の女神はそう話すと、お互いの顔を見て微笑んだ。

転生の女神はそれを聞いて背中に冷たい物を感じる。

(生命の女神の思惑に気が付かなければ、私も……)

「う~ん、権能の神様にはアタル様からスマートスキルのバージョンアップの依頼が来ているのよねぇ。まあ、アタル様にはもう少し待ってもらいましょう。
それで、光の女神様も脳筋神々《かれら》の管理をお願いしたと思うんですけど?」

「その事だけど、この二神《ふたり》も連れて行きたいわ。地球の主神様に美味しい物を食べさせたいので、この二神《ふたり》も必要なのよぉ」

生命の女神は少し考えてから答える。

「そうですねぇ、私も少しだけ若返りたいので神力を使いましょう」

「それは助かるわ!」

光の女神様達は嬉しそうに答えた。

直ぐに光の女神達を、生命の女神の神力だけで門《ゲート》を開いて地球に送り込む。

眷属しかいなくなった交流の間に、少しだけ若返った生命の女神を、無言で見つめるしかない転生の女神だった。





これで第3章終了です。次の投稿から第4章になります。
次回の投稿から、毎日夜7時の投稿となります。
今後ともよろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...