スマートシステムで異世界革命

小川悟

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第4章 ダンジョン

第16話 魔道具と和解

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テントに戻ると魔道具造りを始めることにする。

先程の感じなら、護衛のみなさんも色々と考え直してくれるだろう。それに、クレアは責任感が強く、真面目で能力も基本的には高い。

自慢の奥さんだから、期待に応えてくれるはずだ!


   ◇   ◇   ◇   ◇


まずは魔力の補充をどうするか考える。
魔砂が採取できるので、魔砂から魔力を補充して使えば良いが、効率的な方法を考えなければならない。

スライム溶液に魔砂を溶かして魔法溶液を作る。
検証するために、スライム溶液と魔砂の配合を変えて魔法溶液を作る。

スライム溶液10:魔砂1にすれば、魔法溶液として魔法陣を書くのに問題ない。

魔砂の比率を増やすことで、魔法陣に蓄積できる魔力量が増え、魔法陣の効力が強くなった。

スライム溶液10:魔砂10が最大の能力を発揮することがわかり、それ以上はスライム溶液に魔砂が溶けなかった。

驚いたのはスライム溶液10:魔砂10で混ぜても、質量はスライム溶液10から変化がなかったのだ。

地球の法則で考えるのは止めよう……。

魔砂の割合を変えた魔法溶液を、魔法溶液1~魔法溶液10と呼ぶことにした。

魔法溶液5以上になると、魔石と同じように使えるようになる。その魔法溶液5をボタン電池型にスライム溶液で密閉して、ボタン魔石5と呼び、細かな検証を始める。

ボタン魔石5は完全に魔石と同じ事が出来ることが分かった。

しかし、魔力を使い切ると魔石とは結果が少し違った。
魔石は魔力を使い切ると魔石自体が消えてしまうけど、ボタン魔石5は付与した効果は無くなるが、魔法溶液が消えることはなかった。そして魔力を補給してやれば、付与効果は消えたままだが、また魔石と同じように使えるようになった。

魔石のときと同じように、魔力が残り5%になると魔力放出を止め、魔力が95%になるまで魔力を周りから吸収させるようにする。

魔力が残り5%のボタン魔石5を、魔砂に入れてすぐに出してみると、魔力が95%になっていた。

瞬間充魔システムやぁ~!

これで魔力の補充の目処がついた。

次にポンプの設計をベースにして、魔砂や塩を抽出できるよう改造する。

最初のポンプは頑丈に出来ていなかったので。魔鉄などを使って簡単に壊れないようにする。

魔法ポンプで汲み上げたダンジョン水から魔砂を抽出して、専用の亜空間に収納する。次にダンジョン塩1号を抽出して、こちらも専用の亜空間に収納する。さらに水を抽出して排水パイプに流し、最後の残った物質も専用の亜空間に収納する。

魔道具は50セメル程の足場を作って設置するようにして、その足場の内部にペットボトルの太さのスライム溶液パイプを設置する。その中に直径1セメルほどのスライム溶液の管を通す。

中心の管には魔砂を入れ、10%ほど減ると自動で亜空間から補充させるようにする。その周りを魔法溶液10で満たして密閉すると、亜空間に魔砂がある限り、永遠に魔力が補充される魔導バッテリーの完成である。

ミスリルの糸でポンプと繋げば完成である。

起動と停止はセキュリティで作成者か登録した管理者だけにする。

管理パネルも表示できるようにして、抽出した時間や量、亜空間内の量も確認できるようにした。

時間を確認すると朝6時を過ぎていたので、テントから出て検証することにした。


   ◇   ◇   ◇   ◇


テントから出ると周りは明るくなっていた。

海?を見てみると真っ青な水がどこまでも続いて見えた。

実際はどれぐらいの広さがあるのかなぁ?

気になるが、先に石材などの状況を確認してみる。

スライム溶液を浸透させた素材は、昨晩と変わりなく残っていた。しかし、スライム溶液を浸透させた素材の上に置いた普通の石は無くなっている。

ダンジョンに触れてなくても消えて無くなるようだ。

少し考えてから、スライム溶液を浸透させた木箱に、普通の石を入れて蓋する。さらに空間拡張した木箱に普通の石を入れて、蓋をしたものと蓋をしないものを置いておく。

そして端まで行って完成させた魔道具を設置したが、ホースを下に伸ばしていくのが恐怖であった。

昨日は暗くて見えなかったけど、見えると足がすくんじゃうよぉ~!

アソコがスースーとして縮み上がってしまったが、何とか魔道具の設置が終わり使えるようになった。

「お、おはようございます」

クレアは遠慮がちに声を掛けてきたが、実は金玉が完全に縮み上がってしまった。

「やあ、おはよう。少し待ってくれるかい?」

「はい!」

ビビったことを気付かれないようにしながら、魔道具を動かしてみる。

自分にしか見えない管理パネルを確認していると、驚くほどすぐにダンジョン水のくみ上げが始まり、予定通りの動作をしているようだ。

大体1分間に2トラムほどの水を汲み上げているから、1時間で120トラム!?

単純計算で塩は1時間12トラム抽出できるのか!?

いやいや、濃度が変わるだろうし、暫く様子をみないと何とも……。

エルマイスター領でどれぐらいの塩が消費されてるのかなぁ~?

気になる事や検証すべきことも多いし、長時間稼働で問題が出ないか心配でもある。

しかし、想定以上の結果が出ていると思う。後はどれぐらい継続して抽出できるかだなぁ。

そんな事を考えながら振り向くと、クレアだけでなく護衛のみなさんが整列していた。


   ◇   ◇   ◇   ◇


「みなさん、おはようございます!」

「「「おはようございます!」」」

うん、みんな浮ついた感じもなく、気合の入った良い顔をしているな!

「アタル様、今日の予定を説明させて頂いて宜しいでしょうか?」

クレアが隊長の顔になっている。

大丈夫だね。

「いえ、その必要はありません。すべてクレアに任せます!」

「えっ」

なんでそんなに驚いているの?

「私は護衛してもらえれば問題ありません。護衛の事も訓練の事も全てクレアに任せます!」

「で、ですが、昨日アタル様に命令されたので報告しないと……」

クレアは戸惑っている感じだ。

「はははは、私はクレアを命令する権限はありませんよ。あの状態だと危険なことになると心配して、命令する振りをしただけです。
今のみなさんの表情を見れば、私がとやかく言わなくても大丈夫ですよね?」

「よ、よろしいのでしょうか?」

「よろしいです! 私の自慢の妻は冷静になれば優秀ですから」

私がそう話すと、クレアは一気に顔が真っ赤になり、他のみなさんはニヤニヤと笑顔を見せている。

「わ、わかりました。それでは、もう一度言わせてください。昨日は冷静な判断が出来ませんでした。本当に申し訳ありません!」

「「「申し訳ありません!」」」

もう大丈夫でしょう。

「では、クレアには罰を与えます!」

「えっ、はい!」

どこか抜けている感じが可愛らしいなぁ。

「今晩は私のテントで寝てもらいます」

「ええっ!」

クレアの頭の上に湯気が見えるぅ。

少し拗ねた表情で睨まないで下さい。

それがまた可愛くて……、我慢できそうにありません!

徹夜明けで私はテンションが高くなっているのかもしれないなぁ。
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