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第6章 塩会議
第31話 教会の動き
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ハロルド様が屋敷に帰っていくと、ラナは子供たちを連れて神像区画に向かった。我々のテク魔車の隣には町中用のテク魔車が2台用意してある。ラナたちはそれの1台に乗って移動するのであった。
ラナに不具合や足りない物がないか確認するために、午後から公的ギルドへ行くと伝えると、ラナとクレアから小さな子供たちには近づかないように念を押される。
へ、変質者扱いじゃないかぁ!
変な考えはないのだが、警戒されているのは間違いない。
確かに地球でも幼い子供でも、異性との触れ合いは微妙になっている。昔は親娘で一緒に風呂に入っていたが、最近は幼くても問題になりやすい。国によっては虐待として捕まるぐらいである。
この世界では成人年齢も地球より若い。少し慎重にしなければと思いながら、ケモミミを撫でるぐらいにしようと考えるのであった。
そんなことを考えながら、役所関係の生産活動をテク魔車内でしていた。そこにラナを送りに行ったクレアが戻ってきた。
思わず朝のことを思い出し、唾を飲み込む。
ちゅ、中途半端は良くないよね!
クレアも私の視線で何か気付いたようだ。
「だ、旦那様、へ、変な事を考えていませんよね!?」
クレアが私から離れるように一歩下がった。
ダメだ! 警戒させてはダメだ!
「考えていないよ」
できるだけ無表情でクレアに答えると、クレアがホッとした表情になる。
「それより手伝って欲しいことがあるんだけど?」
「なんでしょうか?」
うん、警戒が薄れているようだな。
「少し検証したいことがあるんだ」
「どのような検証でしょうか?」
「実は、役所の準備やハロルド様の追加発注で魔力が大量に減って足りなそうなんだ」
「そうですか……」
クレアは私を心配そうに見つめてくれる。
嘘ではない! でも、少し心が痛む……。
「エルマイスターであれば魔力濃度の高い場所で回復するのだけど、ここにはそんな場所はないよね」
「はい」
「それで今後のことを考えて、魔力回復の方法を検証したい」
クレアは本題を聞いていないので戸惑った表情を見せる。
「魔エッチすると結果的に魔力の回復が早い感じがするんだ」
「えっ」
うん、驚くよね。でも、検証だから……。
「検証に協力してくれるよね?」
よし、スケベな顔ではなく、普通に話せたはずだ!
「だ、旦那様、で、でも、すでに明るくなって、あっ、いや、検証なら、でも……」
クレアは顔を真っ赤にして混乱している。あと一押し!
「魔力回復の方法は必要だと思う。それにクレアがもっと強くなって欲しい!」
うん、クレアは顔を真っ赤にしながらも頷いてくれた。
うん、これは検証だ! スケベなんかじゃない!
自分自身に言い訳をしながら、クレアの手を掴むと優しく寝室にエスコートするのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
その頃、教会では騒ぎが起きていた。
昨日、調査に行った司祭は夜には地図を作製して戻ってきた。獣人たちは多くいたが、予想以上に親切に色々と話してくれたのだ。
神像が置かれた敷地だけでなく、周辺の老朽化した建物も建て替えられていたのである。最初の報告をした男は、散々他の者達に叱られていた。
そして領主が神像を中心に再開発を始めていると、デジテル司教とクレイマン司教も考えたのである。
「再開発と神像の噂を広めて獣人の保護でもしようとしているのでしょう」
クレイマン司教の話にその場にいる全員が頷く。
しかし、そうなると簡単にことは済まないことになる。この国では教会の神託は無視しているし、国の法で差別を明確に禁じているのだ。
教会としても神託を軽視されたと思いながら、国の法に文句は言っているが強制力はない。仕方ないので冒険者ギルドと商業ギルドと協力して、時間を掛けてじわじわと既成事実のように獣人差別を進めていた。しかし、これまではそれほど国や貴族から大きな反発はなかったのである。
これほど明確にグラスニカの領主が教会と敵対してきたことが信じられなかった。
「今後はポーションの提供は停止しましょう。教会に歯向かったらどうなるのか教えるのです!」
クレイマン司教は伝家の宝刀であるポーション提供の停止を打ち出した。しかし、その命令にデジテル司教が意見を言う。
「ク、クレイマン司教、どのような理由で停止するのですか? さすがに理由もなくそんなことをすれば、領主は反発するでしょう。それに、この領ではポーション外交の効果はあまりないのです」
デジテル司教は更に具体的に説明する。グラスニカは比較的平和な領地で、ポーションをそれほど必要としていない。月に数十本だけ領で買い上げているが、ほとんど効果が切れて廃棄されているのが現状であった。
それでも多少買わないと必要な時に数が揃わないと言って、無理に買わせているのである。
冒険者ギルドも商業ギルドもそれほど数は必要ないので、領全体で月に120本ほどしか買ってもらえないのだ。ポーション供給が停止しても大して効果はなく、領主の怒りを買うだけで悪手だと話した。さらにエルマイスターの噂についても話す。
「エルマイスターでは効果の高いポーションが、大量に出回っていると噂があります。エルマイスター辺境伯のいるこのタイミングでそのような事をして大丈夫なんでしょうか?」
クレイマン司教は話を聞いて、自分がなぜここに来たのか改めて思い出した。そして、ポーション供給の停止は悪手だと気付いた。
「その通りですね。それに他にも領主が来ているとなると、それこそ悪手になりますね」
クレイマン司教は考え込む。ポーション外交をするなら王都経由か他の貴族を味方につけてからの方が良い。しかし、そうなるとこの手柄は大司教のものになってしまう。
多少強引でも別の方法を選択する。
「それでは強引に神像を手に入れましょう」
そう話すと強引に神像を手に入れる方法をデジテル司教に説明した。動揺するデジテル司教にクレイマン司教は説明する。
「その神像が領主のものとは公言されてません。それなら神像を教会が管理するのに文句を言われることはないでしょう。教会に持ってくれば何か言われても、後は交渉するだけです。神像がこちらにあればどうにでもなります。
それに塩会議で兵士も忙しいでしょう。あなたが堂々と行動すれば、さすがに相手も無理なことはしてこないでしょう。
念のために明日の午前中に警備状況の確認をしてから実行しましょう」
「は、はい……」
デジテル司教は不安だが、反論することもできなかったのだ。
そして午前中に警備状況を確認に行った司祭は、呆然とした表情で帰ってきて報告を始めた。信じられない話で誰もが混乱していた。
「お前は地図まで書いたのに、1日で他の老朽化した建物が全部建て替わったと言っているのか!?」
デジテル司教はあまりにも信じられない報告に、昨日の報告が手抜きだったと思って激怒する。
「は、はい、私も信じられませんでした。獣人にも声を掛けて確認したのですが、笑いながら建て替わったと認めていました!」
司祭は必死に間違いないと訴えるが、デジテル司教は信じていなかった。
クレイマン司教はあまりにも程度の低い連中だと、内心では呆れていた。そしてその報告はそれほど重要ではないと判断する。
「その件は後ほどデジテル司教の方で対処してください。それより警備はどれほどいましたか?」
「えっ、はい、神像のある敷地の隣に3階建ての建物があるのですが、そちらに兵士が出入りしているだけです。門の所で獣人が立っていますが、武器を持っている訳ではありませんでした。
特に出入りの確認をしている雰囲気はなく、人族も普通に出入りしてました」
クレイマン司教は話を聞くと笑顔になる。
「問題なさそうですね。神像に簡単に近づけそうです。デジテル司教は計画通り進めてくださいね」
デジテル司教はクレイマン司教にそう言われて、さらに不安が大きくなる。司祭の報告は失態だと思っていたが、それほど司祭は馬鹿ではない。勘違いする何かがあったのではと、不安と共に考えが膨らんで行くのであった。
「わ、わかりました」
しかし、不安だというだけで、断れる相手ではない。デジテル司教は諦めて、午後から計画通り進めるしかないと返事したのであった。
ラナに不具合や足りない物がないか確認するために、午後から公的ギルドへ行くと伝えると、ラナとクレアから小さな子供たちには近づかないように念を押される。
へ、変質者扱いじゃないかぁ!
変な考えはないのだが、警戒されているのは間違いない。
確かに地球でも幼い子供でも、異性との触れ合いは微妙になっている。昔は親娘で一緒に風呂に入っていたが、最近は幼くても問題になりやすい。国によっては虐待として捕まるぐらいである。
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ちゅ、中途半端は良くないよね!
クレアも私の視線で何か気付いたようだ。
「だ、旦那様、へ、変な事を考えていませんよね!?」
クレアが私から離れるように一歩下がった。
ダメだ! 警戒させてはダメだ!
「考えていないよ」
できるだけ無表情でクレアに答えると、クレアがホッとした表情になる。
「それより手伝って欲しいことがあるんだけど?」
「なんでしょうか?」
うん、警戒が薄れているようだな。
「少し検証したいことがあるんだ」
「どのような検証でしょうか?」
「実は、役所の準備やハロルド様の追加発注で魔力が大量に減って足りなそうなんだ」
「そうですか……」
クレアは私を心配そうに見つめてくれる。
嘘ではない! でも、少し心が痛む……。
「エルマイスターであれば魔力濃度の高い場所で回復するのだけど、ここにはそんな場所はないよね」
「はい」
「それで今後のことを考えて、魔力回復の方法を検証したい」
クレアは本題を聞いていないので戸惑った表情を見せる。
「魔エッチすると結果的に魔力の回復が早い感じがするんだ」
「えっ」
うん、驚くよね。でも、検証だから……。
「検証に協力してくれるよね?」
よし、スケベな顔ではなく、普通に話せたはずだ!
「だ、旦那様、で、でも、すでに明るくなって、あっ、いや、検証なら、でも……」
クレアは顔を真っ赤にして混乱している。あと一押し!
「魔力回復の方法は必要だと思う。それにクレアがもっと強くなって欲しい!」
うん、クレアは顔を真っ赤にしながらも頷いてくれた。
うん、これは検証だ! スケベなんかじゃない!
自分自身に言い訳をしながら、クレアの手を掴むと優しく寝室にエスコートするのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
その頃、教会では騒ぎが起きていた。
昨日、調査に行った司祭は夜には地図を作製して戻ってきた。獣人たちは多くいたが、予想以上に親切に色々と話してくれたのだ。
神像が置かれた敷地だけでなく、周辺の老朽化した建物も建て替えられていたのである。最初の報告をした男は、散々他の者達に叱られていた。
そして領主が神像を中心に再開発を始めていると、デジテル司教とクレイマン司教も考えたのである。
「再開発と神像の噂を広めて獣人の保護でもしようとしているのでしょう」
クレイマン司教の話にその場にいる全員が頷く。
しかし、そうなると簡単にことは済まないことになる。この国では教会の神託は無視しているし、国の法で差別を明確に禁じているのだ。
教会としても神託を軽視されたと思いながら、国の法に文句は言っているが強制力はない。仕方ないので冒険者ギルドと商業ギルドと協力して、時間を掛けてじわじわと既成事実のように獣人差別を進めていた。しかし、これまではそれほど国や貴族から大きな反発はなかったのである。
これほど明確にグラスニカの領主が教会と敵対してきたことが信じられなかった。
「今後はポーションの提供は停止しましょう。教会に歯向かったらどうなるのか教えるのです!」
クレイマン司教は伝家の宝刀であるポーション提供の停止を打ち出した。しかし、その命令にデジテル司教が意見を言う。
「ク、クレイマン司教、どのような理由で停止するのですか? さすがに理由もなくそんなことをすれば、領主は反発するでしょう。それに、この領ではポーション外交の効果はあまりないのです」
デジテル司教は更に具体的に説明する。グラスニカは比較的平和な領地で、ポーションをそれほど必要としていない。月に数十本だけ領で買い上げているが、ほとんど効果が切れて廃棄されているのが現状であった。
それでも多少買わないと必要な時に数が揃わないと言って、無理に買わせているのである。
冒険者ギルドも商業ギルドもそれほど数は必要ないので、領全体で月に120本ほどしか買ってもらえないのだ。ポーション供給が停止しても大して効果はなく、領主の怒りを買うだけで悪手だと話した。さらにエルマイスターの噂についても話す。
「エルマイスターでは効果の高いポーションが、大量に出回っていると噂があります。エルマイスター辺境伯のいるこのタイミングでそのような事をして大丈夫なんでしょうか?」
クレイマン司教は話を聞いて、自分がなぜここに来たのか改めて思い出した。そして、ポーション供給の停止は悪手だと気付いた。
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クレイマン司教は考え込む。ポーション外交をするなら王都経由か他の貴族を味方につけてからの方が良い。しかし、そうなるとこの手柄は大司教のものになってしまう。
多少強引でも別の方法を選択する。
「それでは強引に神像を手に入れましょう」
そう話すと強引に神像を手に入れる方法をデジテル司教に説明した。動揺するデジテル司教にクレイマン司教は説明する。
「その神像が領主のものとは公言されてません。それなら神像を教会が管理するのに文句を言われることはないでしょう。教会に持ってくれば何か言われても、後は交渉するだけです。神像がこちらにあればどうにでもなります。
それに塩会議で兵士も忙しいでしょう。あなたが堂々と行動すれば、さすがに相手も無理なことはしてこないでしょう。
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「は、はい……」
デジテル司教は不安だが、反論することもできなかったのだ。
そして午前中に警備状況を確認に行った司祭は、呆然とした表情で帰ってきて報告を始めた。信じられない話で誰もが混乱していた。
「お前は地図まで書いたのに、1日で他の老朽化した建物が全部建て替わったと言っているのか!?」
デジテル司教はあまりにも信じられない報告に、昨日の報告が手抜きだったと思って激怒する。
「は、はい、私も信じられませんでした。獣人にも声を掛けて確認したのですが、笑いながら建て替わったと認めていました!」
司祭は必死に間違いないと訴えるが、デジテル司教は信じていなかった。
クレイマン司教はあまりにも程度の低い連中だと、内心では呆れていた。そしてその報告はそれほど重要ではないと判断する。
「その件は後ほどデジテル司教の方で対処してください。それより警備はどれほどいましたか?」
「えっ、はい、神像のある敷地の隣に3階建ての建物があるのですが、そちらに兵士が出入りしているだけです。門の所で獣人が立っていますが、武器を持っている訳ではありませんでした。
特に出入りの確認をしている雰囲気はなく、人族も普通に出入りしてました」
クレイマン司教は話を聞くと笑顔になる。
「問題なさそうですね。神像に簡単に近づけそうです。デジテル司教は計画通り進めてくださいね」
デジテル司教はクレイマン司教にそう言われて、さらに不安が大きくなる。司祭の報告は失態だと思っていたが、それほど司祭は馬鹿ではない。勘違いする何かがあったのではと、不安と共に考えが膨らんで行くのであった。
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