スマートシステムで異世界革命

小川悟

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第7章

第3話 対策会議

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エルマイスターに戻ってきて数日が経った。

私は毎日のようにスライム溶液の採取と石材や木材の調達に奔走していた。
スライムは例の養殖場へ採取に向かう。本当は領都からの排水が流れ込む池のような場所なのだが、生活ごみや解体で出る廃棄物を撒くことで、スライムの数を調整できるようになったのだ。

毎日のように大量に廃棄物を撒くことで、大量のスライム溶液が確保できている。

その池から水が流れ出る川を更に下ると大きな川に出る。川幅は100メートル近くあると思う。今は水量が少ないのか、真ん中の15メートルくらいしか水は流れていない。両岸には大量の石が転がっていたので、次々と収納する。

川辺には木々もあり大量の木材も確保していく。

夜には公的ギルドの建物を造っては亜空間収納にしまう。
ギルドカードも王族、貴族カードや家臣ギルドカードを作る。兵士ギルドや役人ギルド、使用人ギルドなどのルール作りと専用ギルドカードも作る。他にも色々職種別でギルドカードを作ったが、現状では暫定的なものだ。一緒に作った資料を王子のジョルジュ様やエルマイスター家に配り、改善点や意見などをお願いしている。

私が必死に働いているのに、ハロルド様やジョルジュ様は毎日楽しそうに訓練をしているようだ。近衛騎士やエルマイスターの兵士も交代で参加して、高濃度魔力訓練所に入り浸っている。

まあ、私はグラスニカの時みたいに、行動制限されないだけで良いけどね。

女性陣は正直何をしているのか詳細はよく分からない。クレアだけは時々訓練に参加しているようで、護衛はカルアさんがしてくれている。

今日も私はスライム溶液や石材、木材を調達するのだった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


大賢者屋敷の一室ではある会議が開かれていた。会議に参加しているのはレベッカにラナとクレア、それにラナの妹のメアベルと執事のエマである。

「それではアタル対策会議を始めるわよ」

レベッカが議長のように話した。会議に参加した全員が頷いて答える。

「グラスニカの報告は聞いているわ。戻ってからは特に問題は起こしていないようね」

レベッカがみんなを見回しながら話すと、全員が同意した。

「殿下と妃殿下が滞在なさると聞いたときは心配しました。ですが、殿下はハロルド様といつも行動を共にしていますし、妃殿下はレベッカ様かアリス様が一緒に行動されているようなので、特に旦那様は問題を起こしていません」

ラナが話とレベッカが答える。

「そうね……、問題があるとすれば、魔道具やテク魔車、服や下着を欲しがることくらいかしら?」

「確かにそれは大変です。魔道具やテク魔車は簡単には無理だと言えるのですが……。服や下着はエルマイスターの兵士や役人の家族は買えますから、お二人の分だけにしてくれと言っても納得してくれなくて困っています」

レベッカの話にエマが答えた。そしてレベッカは話を続ける。

「そうねぇ、でも絶対に断りなさい。お付きの人達まで手に入れたとなると、その人達が王都に戻ったら大変なことになるわ。王族だけなら、他の貴族も諦めると思うけど、お付きまで手に入れたとなると、断っても絶対に納得しないわ」

「それと、旦那様が安易に了承しないように、あなた達も監視をしてね。旦那様は深く考えずに引き受けることがあるから」

「「はい!」」

エマがレベッカの話に補足するように、エマやメアベルを見て話した。2人は了承の返事をした。

「他には何かある?」

レベッカの問いにエマが発言する。

「旦那様に新しい嫁を、お迎えできないかと考えています」

エマの発言にクレアも頷く。

「あら、その問題は片付いたのではないかしら。夜の生活も問題なくなったわよね。体力的にも精神的にも問題が無くなった筈だでしょ?
私もエルマイスターに残ることになりそうだし、念のため2ヶ月後ぐらいにはメアベルが出産して妾になることも決まっているでしょ?」

レベッカの問いかけにエマとクレアはお互いに目を合わせると、代表してエマが話し始める。

「すでにシャルやミュウだけでなく旦那様に関わった子供たち、特に獣人はほとんど嫁になると言い出す状態なんです。旦那様は獣人が大好きなんです。グラスニカでも大量に嫁候補ができないように監視するのが大変だったんです!」

「旦那様は獣人のミミとシッポが大好きなんです。幸い旦那様は子供たちを妹か自分の子供のように愛情を向けているだけなんです。でも、その愛情を勘違いしたミミやシッポを触られた子供たちがどうなると思いますか? これでは5年後、10年後には大量の獣人の嫁が増えてしまいます!」

クレアが真剣な表情でアタルのケモミミ愛を心配して説明する。そして、その場にいる全員が頷いて、その心配はあり得ると思うのであった。

「そこで獣人の嫁さえもらえば、そこで満足してくれるかと思ったんです。前に会った獣人の」

「イーナちゃんね。獣人というだけじゃなく、胸が大きくてアタルの好きそうな子だったわね」

「その子を無理やりとは考えていませんが、そんな感じの子が嫁に居れば、旦那様のあの病気も少しは治まるかと思いまして……」

メアベルとエマはラナの話を聞いてコクコクと何度も頷いている。それを見てレベッカ夫人が笑顔になり話した。

「イーナちゃんもアタルの事を悪くは思っていないみたいよ。姉のルーナさんの話では、イーナちゃんはこれまで男性に何度も怖い思いをさせられたようね。人族だけでなく獣人の男性も苦手だったようだけど、アタルはどちらかと言うと貧弱に見えて、恐くないみたいなのよ。そういうことで、恐がらずにアタルは普通に男性として意識しているみたいなのよねぇ」

「確か姉のルーナも含め仲間たちは、公的ギルドの職員になったと報告にありました」

クレアはそう話した。実はグラスニカに行く前に、彼女たちを公的ギルドに推薦したのはクレアだったのである。

「その事は私にも報告がきてるわ。実は姉のルーナは騎士になりたかったみたいね。これまでは妹や仲間のために、冒険者を続けてきたと言っていたわ。彼女は仲間思いで正義感もある。実力も少し前のクレアと同じぐらいか、それ以上だと思っていたのよ。だからクレアの部下にしてはどうかと真剣に考えていたのねぇ」

レベッカの話にクレアも頷く。クレアも少し前の自分なら勝てなかったかもと思っていたのである。

「それならちょうど良いのではありませんか。仲間の獣人は公的ギルドの職員なら安定した職業だし、仲間がこの地に居れば、騎士として仲間も守れる。妹は上司の嫁なら安心でしょう。みんなで協力してそうなるように努力してみましょうか?」

レベッカの話に全員が賛成する。

そして、それぞれが意見を出し合い、作戦を考えるのであった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


そんな会議が開かれていることを知らないアタルは、領都への帰り道でカルアさんの恋バナを聞いていた。

「アタル様、ついにカルア副隊長に春が訪れたんですよぉ」

おお、それは良い話じゃないか。

「な、なにを言っている。護衛中に変な話をするんじゃない!」

カルアさんは顔を真っ赤にして言った。

「いいじゃないですかぁ。私が一緒なら、不意打ちの心配もありませんし、グラスニカに行っている間にそんなことがあったなんて、詳しく聞きたいなぁ」

「た、た、大した相手では……」

カルアさんが恥ずかしがって言い淀んでいると、他の護衛が話してくれる。

「お相手は、冒険者なんですけど、前に同じ冒険者の奥さんがいたんですよぉ」
「奥さんがダンジョンで亡くなってからも、奥さんを愛してたんですよ~」
「奥さん一筋だったようですよぉ」
「副隊長に奥さんの面影があるようで、それで一目惚れ。ウシシシ」

「べ、別に私を愛している訳ではなく、最愛の奥さんの代わりなだけだ……」

カルアさんは少しだけ悲しそうに話した。それでも他の護衛が話してくれる。

何でも相手は16歳で結婚したが、19歳の時に奥さんを無くしたということだ。子供もなく、それから10年以上独身の30歳の冒険者らしい。実力もあるようで、それなりに稼いでいたが、女にはなびかなかったらしい。

「でも、奥さんの代わりでも、誠実で真面目な彼に惚れたから仕方ないさ」

寂しそうだが真剣な表情でカルアさんは話した。

「それはどうかなぁ~。男は愛する女性はどこか似ている場合があると思うけどねぇ。それに30歳ぐらいになると、先行きも心配になるし、10年以上経ってカルアさんを見て、これから一緒に生きていける相手だと思ったんじゃないかなぁ」

そう話すとカルアさんは少し嬉しそうな表情見せて照れていた。

うん、みんな幸せになって欲しい。
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