ある古書店販売員の日常。

猫寝 子猫

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その二十六 大人の都合って?

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 「今度、アダルトコーナーにの業者さんから仕入れた商品を置く事にしたからね!」

 店長の鶴の一言で決まったのは、安価でDVDプレイヤーでもゲーム出来る「DVDプレイゲーム」!

 アダルトパソコンゲームに比べると、操作性が簡単で定価が安い。

 過去に販売されたパソコンゲームを再編集したモノから、CGアニメがヌルヌル動く実用性が高いモノまで様々、販売元はあまり聞かないメーカーさん?

 エロゲに詳しいオオタ君も知らないメーカーらしい?


 値段も千円前後と、普通のアダルトDVDより安い。

 別にいいんだけど、急だった?

 

 「へぇ、パソコン無くても出来るのか?
 しかも、千五百円なら安いし、に買ってみるか?」

 なんて、お客様が割といた。


 意外と多いなぁ、買う人?

 ウチの客層でも18禁アニメみたいなモンだし、そっちでも需要が有るのかも?


 「へぇ、ゲーム機で無くてもヤレるんだ、このゲーム?」

 意外な人が、興味を持ってしまった様だ?

 「理央さん、アニメキャラにライバル心ですか?」

 「そんなんじゃないわよ、あと変な事言ってバラさないでよね?」

 「そもそもアダルトコーナーに来る事が、ヤバいでしょ?」


 「ソレはソレ、コレは面白そうだから!」

 あ~、そうですか?

 知りませんからね。




 「こここ、ななな何ヤッテるんですか!理央ちゃん!」

 「あ、ひなっち、待ってたぞ!」

 「待ってたのはコッチです!
 探しにきたんです!コミックコーナーで、ずっと待ってたのに!」


 「あ!見て見て!
 ホラ、可愛いアニメの子がエッチしてるゲーム!」

 「ソレ、返して早く下の売り場コミックコーナーに行きますよ!」

 「え~、面白そうなのに~?」






 そんな事も有りながら、安価で簡単なゲームソフトは先ず先ずの売れ行きだった。

 「そうか、売れてるか。

 よしよし。」

 店長はご満悦。


 まぁ、ご自分が仕入れを決めた品物ですしね?


 「でもコレって、この辺りのお店アダルトショップでも扱ってたりします?」

 俺は予感がした?

 「そうだね、そんな事言ってたかも?

 ソレがどうかしたかい?」


 そうだな、言っといた方がいいかな?


 「このソフトって、ですよね?」

 「そうだね、だから纏めてたくさん買ってくれる人がいるじゃない?」

 「ソレって、飽きたり、面白くなかったりしたら、ウチに持って来ますよね?

 買い取りしているのは、この辺だとウチぐらいですよね?

 アダルトショップは中古買い取りはしてないし……。」



 「……どういう事?」

 「しばらくしたら、大量に買い取りに持ち込まれますよ?

 それに買い取りしたモノを中古で売り出せば…。」

 同じ商品なら新品を買うか、さらに安い中古品を買うかは、お客様次第だけど…

 コレだとウチで仕入れた新品が売れなくなるよね?

 「そんなまさか?」





 安いとはそういうもんだよ。

 買いやすく、売りやすい。

 高い品物は手放すのに、それなりに未練が有る。

 

 でも、使モノはいらない訳で?


 「そんなホイホイ売り飛ばすかな?」


 「まぁその時になってみないと、わからないですが?」


 すると、予想通りの事が起こってしまった。

 例のソフトをの状態で持ち込む人が現れた。

 しかも、一度に同じソフトを十数本、数種類まとめて持ち込まれた。

 お客様に聞いたところ、

 「ディスカウントショップで非常に安く、で販売していたので、もしかしたら買った値段よりかもと思い、大量買いして持ち込んだ。」

 だ、そうなんだけど、実際は左程高くは査定されていない。

 ちなみに持ち込んで来たのは、六十代無職のオジサンでした?

 元が安いからね。

 ディスカウントショップで販売されてるって事は、どうやら既に何処かで値崩れを起こしているみたいだ?

 「〇〇社のゲームソフトは在庫過多で買い取り出来ない事、早めに告知した方がよくないですか?」


 「そこまで具体的にすると、名誉毀損とか言われたりしないかな?」

 「業者さんと相談してくださいよ、店長。」
 

 「うん、そうする。」


 とりあえず、持ち込まれてもが安いのと在庫過多なので、通常のDVDソフト一枚の査定額よりめちゃくちゃ安い金額で買い取りする事になりました。

 仕方ないって事だよね。
 
 
 今後タイミングを伺って、件の新規業者さんとは仕入れを止める事になりそうだ。

 

 それにしても、何でこんな妖しい商品仕入れたんだ?

 
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