ある古書店販売員の日常。

猫寝 子猫

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その三十参 その頃しおりちゃんは?

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 「おはよう、しおりちゃん!」

 幼馴染でクラスメイトのが話しかけてきたデス。

 「おは、ヒロミちゃん、今日も可愛いデスね。」

 そう、よく女の子と間違われるくらいヒロミちゃんは可愛い、身長も私と同じくらいで、制服を着ていないと性別の判別が難しいくらいに⁈

 「もう、しおりちゃんってば!
 僕の名前は「ひろおみ広海」だってば!
 あと、可愛いは余計だよ!」


 ほぼ毎朝のルーティンな会話なのだけど、が無いと一日が始まった気がしません。


 彼、ヒロミちゃん…広海くんは幼稚園の頃からの付き合いで、一応の様な間柄なのデス。


 私の従姉妹のお姉さんと広海くんの従兄弟のお兄さんは結婚していて、どうやら私たちが縁結びのキッカケらしいのですヨ。

 覚えていませんが?


 「じゃあ、せめて「ヒロ君」にしてよ!
 ソレと、馬鹿にされるから、絶対先輩の前では「ヒロミちゃん」って呼ばないでよ!
 約束したからね!」

 そんなトコロが可愛いのだと、ナゼわからないのだ⁈

 「おやおや、もお年頃ですか?

 しかも歳上の女性が気になるとは?

 …で、その先輩とは誰デス?

 漫研にそんな先輩いましたか?」


 私たちは高校の漫画同好会、通称「漫研」に所属しているのですが、メンバーは八割女子生徒で、漫画好きな男子は大抵「アニメ部」に行ってしまいます。


 多分、私がいなかったらヒロくんもソッチに行っていたでしょう。

 でも、もう手遅れかもしれません。

 きっと先輩お姉様方がヒロくんを手放さないでしょう。

 「何言ってるの、しおりちゃん?

 小森先輩だよ!

 しおりちゃんちのでバイトしてる「小森 りく」先輩だよ、ネコの写真集の!」


 ……   えっ?


 「…こもり…りく?」

 ネコさんのフルネーム、いや本名!

 初めて聞きました⁈


 「えっ、もしかしてだけど…
 知らなかったの、しおりちゃん?」


 「本当にナニ言ってんだよ、お前!」

 って、みたいな顔でヒロくんが私を見ています?


 「はい、知りませんでした。

 てっきり「猫〇〇」みたいな、猫が名前につくのかと、予想はしていたのですが、予想外でした。」


 「そういうトコ、本当しおりだよね。」

 何気にマウントを取られ、ドヤ顔のヒロくんがに見えました。

 そのウチ、ひまりんが作ったちゃん用の「ニチアサ」コスプレ衣装を着せて、漫研のお姉様方にもて遊バレればイイのですよ!


 「ネコさんのご本名がわかった事はに喜びましょう、でもナゼ「小森」なのですか?

 確か、ネコさんは山代学園とか言うトコロの卒業で、私たち高校とは…ま、まさかヒロくんはW大学狙いですか?」


 「ナニ言ってるの、しおりちゃん?

 確かにW大に進学出来たら良いけど、その頃には小森先輩は大学を卒業してるよ。」

 「…では?」

 「いや、僕先週からしおりちゃんちでバイト始めたんだけど…

 まさか、気付いてない?」



 「…ハイ、そうなんですか?」


 「一階でしおりちゃんののお手伝いとか、キュウちゃまのが落ちてないか、ハンディーモップで掃除したり、そうそう陽毬お姉さんや京本キョンお姉さん、理央お姉さんともお話したりするよ。」


 …また知らないワードが?

 キョウモトお姉さんって誰ですか?


 「しおりちゃん!
 ナニ固まってるの!そのままだと遅刻しにゃうよ!」


 
 二人は知らない、この小ちゃな寸劇夫婦漫才の様な光景が、一部の女子上級生から尊まれている事に!

 更にごく一部で広海くんを「男の娘化計画」なるモノがのアニキたちの間で囁かれている…らしい?


 コイツら、絶対にバイト先で理央さん達と絡んだらアカン!

 混ぜたら危険だ!

 ヒロオミくんが!


 


 そして、その週の祭日。

 「今日は頑張ろうね、しおりちゃん!」

 「ナゼ、ここにヒロくんが?」


 2階のコミックコーナーでは、しおりちゃんとヒロくんがバイトしている?

 本来なら、今日はしおりん、お休みだったのに?

 急にシオタさんが体調を崩してお休みしているからだ。
 
 おや~?


 「ハロ~、しぃちゃん。

 おや、おぼっちゃま君も一緒かい?」

 「ユッキー、しばらく。」

 「ユッキーさんだ!お久しぶりです!」


 ユッキーは元はココのバイトスタッフで、この店にネコさんを連れてきたでも有る。

 「ユッキーさん、ご実家を継いだんですってね?
 何をやってるお店なんですか?」

 ヒロ君がな質問をする。

 そういう子なのだ。


 「都内でも少ない宿だよ。」
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