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姫乃さんの憂鬱、私バイトします?

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 「ワタクシ、こういう者です!」

 その人は突然現れた?

 突き出された名刺をつい受け取ってしまった姫乃サン⁈


 どうやら芸能事務所のスカウトwomanらしい?

 「はぁ、モデルのお仕事です
か?」





 週に一度、定期検診で五道先生の娘さんが勤務している病院に行った帰りの事でした。


 「姫姉ちゃん、先生なんだって?」

 「お陰様で、良くなって来ているそうです。」

 割と近所にある病院と言う事もアリ、光里サンが一緒に来て下さりました。

 ので途中で「パフェ」を食べましょうと言うことになり、評判の喫茶店に寄り道しようとしたのですが?

 「あっ! あの、そこのアナタ!

 ちょっとお話良いですか?

 モデルとか興味有りませんか?」


 その人は若干目の下にクマが出来て、中々内定がもらえない就活生の様で、
 ヤケになって飛び込んだところが真っ黒だったのかしら、もう後がない感じでした。?


 「…えっ、こ、困ります、私たちコレからを食べるのでスから!」

 「お姉ちゃん、光里はちょっと興味あるよ?」

 「おおっ!妹サンも可愛いですね!

 良ければ、その「パフェ代」私が持ちますから、食べながらでも良いので、お話聞いてもらえませんか!

 私の事、助けると思って!」

 突然路上で、涙を浮かべて懇願する女性?

 このままだと、アスファルトの上で土下座しそう?

 実際、チラチラコチラを見ている人も…?

 「パフェ、オゴってもらうのが、お姉さんを助ける事になるの?」

 「ナリます、なりますから!

 どうかお願いします!」

 何か怪しいけど、悪い人には見えないし、だんだん可哀想に思えて来た光里ちゃん?

 「ねぇ姫姉ちゃん、このお姉ちゃんのお話し聞いてあげようよ。

 このお姉ちゃん、かわいそう?」

 「…光里サン、簡単に人を信じては危険です!

 世の中には自分の娘すら、売り飛ばそうとする私の父の様な人もいるのです。

 ましてや、光里サンほど可愛い女の子は外国のお金持ちにとっても高い値段で売られてしまうかもデス!

 この間読んだ異世界マンガに載ってましたよ!」

 心配するあまり、例えが自分の体験談やラノベのコミカライズとは姫乃サン、知識に偏りが…

 あと、重いデス。



 でも、用心するに越したことはないよね。

 「こういうことはお義姉様たちに相談しないと?」

 「でも、どっちにしても「パフェ」は食べるんだもん、お話しはだし、

 ね、姫姉ちゃん?

 それこそ、何かあったら咲姉ちゃんに言えば何とかしてくれるし!」


 「大丈夫デス!

 何もしません…  あ、あの~、その頼りになりそうなお姉さんって?」

 「えっとね、明日菜姉ちゃんも咲姉ちゃんもモデルさんなんだよ!」


 「相良 咲サンと三条 明日菜サン、ご存知ありませんか?」


 「…そ、それって今十代の女の子に人気のカリスマモデ…?

 そのお身内デスか!」


 「光里は明日菜お姉ちゃんの妹なの!」


 
 絶対、このは成功させないと!


 そう心に誓った、スカウト件マネージャーの彼女、「赤城アカギ 紅葉モミジ」サン!

 
 文系の専門学校を卒業したものの、見事に就活は失敗!

 生きていく為に、以前バイトしていた出版社に泣き付いた結果、とある芸能事務所を紹介された?

 「西堀芸能事務所」

 規模は小さいながらも、歴史は古いらしく、舞台俳優やスタントマン、通販カタログ専門の雑誌モデルなど地味に需要があるタレント事務所だ。


 そして正式に採用するに辺り、試験として見習い期間中に、
 自分が自信を持って推せる逸材をスカウトしてくる事が課せられたのだけど、
 
 今日がその最終日になるのだ!

 もし、コレがダメなら今日事務所に戻った時に今日までのを貰ったらソレでおしまいになってしまう!


 二人が目指していた喫茶店に着くと、早速で「特製パフェ」を注文した。

 「あ、あの、何故姫乃に声をかけてくれたのですか?」


 自分が話をする前に、ソチラから話しを振ってきたので正直助かったモミジさん?

 「そ、それはですね!

 先程、アナタとすれ違った時に、アナタから特別のオーラみたいなモノを感じたんです!

 上手く説明出来ないのですが、独特の空気感があると言うか…

 もちろん、綺麗なお顔立ちだし、美人サンなのは確かですがそれだけでは無い様に感じたんです!」


 「うんうん、姫姉は美人だよね!

 光里もそうおもうもん!」


 「光里ちゃんはまるで向日葵みたいな笑顔で、先程から私を勇気づけてくれました。

 だから、モデルのお仕事をしたら、きっと他の皆さんの事も元気いっぱいにしてくれると思いますよ!」



 自分、何を言っているのかしら?

 でも嘘を言っている訳では無い!

 

 「ほ、本当?

 光里、みんなを元気に出来るかな?」


 やった!

 この少女のに届いたらしい?


 最悪、この子だけでも?


 「…赤城さん、一度このお話し、持ち帰ってもよろしいですか?」


 ま、まずい!

 普段なら、昨日までならソレでいいが、今日は期限の最終日!

 事務所に見学と称して、連れて行かないと!

 所属してくれる、くれないは別として、逸材を見つけて来た実績でも社長に認めてもらわないと!

 「よ、良ければ、こ、この近くですので、じ、事務所に見学に来られませんか?」


 
 急過ぎたか⁈

 「光里、行ってみたい!」

 「き、危険です、光里サン!

 急に事務所に来ないかとか怪しさデスよ!」


 うぅ、確かに。

 でも、ここは押し通すしか無い!

 「事務所件稽古場なんです。

 今の時間なら、役者の誰かが稽古しているかなぁ~って、

 ごめんなさい、確かに急でしたね?」

 嘘は言っていない、誰か台本を覚えるのにいる…よね?

 「…少しお時間を下さい。

 …ひとりに付き添って貰いたいので?」


 「か、構いませんよ!

 この際、一人や二人増えても⁈」







 「お、遅くなりまして、す、すいませんデス。」


 現れたのは…図書室によくいる地味子さん…かしら?
 腐女子とか喪女とか形容される度のキツそうなおっきな眼鏡のオタク女子だった。

 長いスカート、黒いニット帽、地味な黒系の服に、唯一銀の十字架のペンダントが更にオタク度が増している!


 「さ、西島さいとう 信子といいます…。」


 う~ん、この子はな?

 オーラだし、暗くて地味そうだし?



 「ではお友達も来た所で行ってみましょうか、実はウチの事務所、この建物の四階に有るのよ。」



 うぅ、コレでなんとかなりそう~⁈



 パフェ代は経費で後で貰おうっと。






 この時、彼女「赤城 紅葉」は気が付かなかった、

 最後に現れた少女こそ、姫乃や光里の事が心配で駆けつけた、月の満ち欠けの如く、その姿を変えるプロのモデル「LUNA」だとは…


 「フフフ、荒れるし!

 止まらないよ!」


 そう、心の中で呟くノブ…ノンちゃんことルナさんナノです?



 「ルナちゃん、イメチェン?」

 「光里サン、し~デスよ。」



 まさかコッチが本当の…

 いや、今はいいか。
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