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自ら退路を断つ俺と、新たな道を進む君。

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 「…つまり、コレで晴れて両家公認の仲になった訳だね、よ。」

 普段の仕返しなのだろう?

 「ハイ、今後ともよろしくお願いします、!」


 いつもの公園で、カズ兄さんこと「桜庭 一真」サンとコロッケパンとコーヒー牛乳を食している。

 いつもの報告会なのだが、いつもと違う…?

 
 「あ、このコロッケ美味いな!

 なるほど、牛6:豚4の合い挽き肉を使ったな!」

 と、斗真さん桜庭家長男と、

 「美味いが、足りないな?

 京多、焼きそばパン追加してくれ?」

 と、那由多兄さん三条家長男が加わっていた?


 何故?


 「ごめん、京多くん。

 ココにくる途中で見つかって、付いてくると言うんで…。」

 「奇遇ですね、俺もですよ。」


 日曜の昼下がり、男四人が公園のベンチで、学生の帰り道の買い食いみたいな事をしているのだけど?


 「斗真さんにはスッカリ騙されてましたよ!

 アレが全てだったなんて⁈」

 「仕方なかったんだ、ああでもしないと、本家の旧進派の目は誤魔化せ無かったからね?


 でも、これで姫乃は自由になれたよ。」


 「アレか、例の許嫁の件か、トンちゃん?」

 「ええ、もっともアレは本人の自爆でしたけどね、サンちゃん先輩!」



 えーと、二人は大学の先輩後輩の仲だってさ⁈

 さっき知ったんだけどね?


 「自爆って、何がスキャンダルッスか?」

 そう言えば、玲子サンがなんか年の離れたオッさんと姫乃さんが婚約させられているとか何とか言っていたような?


 「死んだ祖父の悪あがきだよ。死ぬ前に俺や姫乃の婚約者を指名して逝きやがったんだ。


 まぁ、その相手がさぁ、東南アジア某所でに行われている『幼女回春ツアー』に参加してさぁ、タマタマ人権保護や児童擁護を訴える団体のにあってさぁ、身バレする前に本家筋から絶縁されちゃった訳さぁ。」

 …さぁさぁ、耳につくなぁ?

 さらに回春かいしゅんって、オイオイ⁈

 「…あの、失礼を承知で聞きますけど?」

 「何かな?」


 「桜庭のお偉いサンは幼女愛好者ロリコンが多いとかですか?」

 嫌味たっぷりで聞いてやったつもりですがなにか?



 すると、

 「どうやら祖父はそういう嗜好の奴を見抜いて、婚約者に指定したかも知れない。」

 表情を曇らせ斗真サンが語りだした。

 「なんというか『同類、相憐れむ』って事なのかもな、そんな奴程上手く使っていたと言うか、仕事面では優秀だった様で「祖父の部下」には多かったんだよ、そんなタイプがね。」


 「ソレなんか分かるよ!
 確かに爺さんの周りの人、妙に姫乃には優しいのに、僕たちには無関心だったから!」

 カズ兄さんが何か思い出す様な素振りで、同意している?

 何かあったの?



 「可愛い子を愛でるのは当然で有るが、欲望の吐口にするのは言語道断だ!

 …もし光里かそんな目に…

 ダメだ、恐ろしくて想像出来ん⁈」

 突然何を言い出すのだ、ウチの兄は⁇

 「そんな事、考えんでいいから!

 ソレにそんな奴が、近付いて来たら、物理的にも社会的にも抹殺するだけだろ?」

 「京多クン、キミ本気だね?」




 そんな話しをしながら、オレたち四人は親睦を深めた?

 次第に話は「可愛い妹は可愛い」みたいな流れになった?

 姫乃サンと婚約した俺と、俺の姉とお付き合いしている一真さんが、何故か兄達からされる感じで?

 
 「京多クン、くれぐれも姫乃の事を頼むよ、


 今更、兄貴面するなって話しだけど、あの子には幸せになって欲しい。」

  「斗真兄さん、そんなのな心配だよ、京多クンは姫乃の事を大事にしてるよ…

 なんせ、が失敗するかもとボクに相談してくるくらいだからね?」


 ここぞとばかりにカズ兄さんの猛攻が⁈


 「そ、そうなのかい?

 なら、いっそプロの方に手解きしてもらうのはどうかな?

 最後の一線は超えない様にアチラには頼んでおくから、近々その手のお店に…」

 「何を言っているんですか、斗真サン?

 オレ、高校生なんですよ⁈

 ヘビーな道にのめり込んだらどうするんですか⁈」

 「…京多くん…すまないが、」

 「はぁ?」

 「兄さんと呼んで良いからね。」


 アンタもかよ!


 「京多ァー?」

 「何だよ、兄貴?」


 「そういうことは実のに相談してくれよ!」

 「相手の都合も考えず、お腹が膨らます様な事した馬鹿アニキに相談なんかできるか⁈」

 「良かったじゃないか、京多クン!

 こういう話しをしたかったって言ってたよね!」

 チ、チクショ~




 ソレにしても斗真サンには、してやられた。


 桜庭家の旧進派のお偉い方を騙す為に、彼らにいい様に担ぎ上げられた「天才ぶった馬鹿」を演じていたそうだ。

 自身はその裏で同志と共に、新組織を立ち上げの準備を進めていたらしい。

 まぁ何となく、気づいていましたよ?

 斗真サン、光里宛てにお菓子の詰め合わせ缶とか度々送ってくれてたでしょ。

 何故か、アレに点数稼ぎと下施しとかの企み感は感じなかったから、光里は本当に喜んでお礼のお手紙とか出して様だし?


 「…で、斗真は本当に好きな人とはどうなんですか?

 子供の頃に結婚の約束をしたんですよね?」

 「…にいちゃん…かぁ、いいねソレ、距離が近い気がして!」


 冷かしたつもりが喜んでるし?


 何でも、斗真サンは住み込みの家政婦サンの娘サンと恋仲だったそうだ。

 祖父が決めた婚約者も嫌いではないが、お互い「恋愛」的な気持ちは無かったそうで、その辺は自由恋愛を楽しんでいたらしい?

 言わば「親友」とか「共闘者」だったそうだ?


 え、どういう意味?


 「…じゃあ、サクラバフーズは継がないのですか?」

 新組織って、新会社っ事?

 「…うーむ、一真お前が継げ。」

 「えっ、嫌だよ。」

 即答だ。

 「じゃあ、京多クンだな?」

 「何でですか⁇」

 部外者だろ、オレ?


 「姫乃と結婚するなら、当然その資格が…」

 「姫乃さん、桜庭の家とは縁を切ったんでは?」

 「主だった連中は、徐々にてるからが一人前になったら…」


 「陰謀の匂いがするんですけど?」
 

 「冗談だよ、サクラバフーズはその内、新体制になるよ。

 膿みは出し切る、生まれ変わるよ。」

 
 うん、オレの義務の兄ちゃん、カッコイイ!



 「…ソレで京多クン、姫乃の部活動の件なんだが?」


 「あ、やっぱり…

 お菓子とか食品系は桜庭のしている会社でしたから、もしかしてとは思ってましたよ?」

 「ああ、動画も見たよ。

 姫乃、可愛いかったなぁ。」


 えっ、斗真サンって妹萌属性の人?


 「芸能活動を部活にしたのは、姫乃の身体を気遣っての事だろ?」

 「さすがお兄さん、気がついてましたか?」


 「えっ、どういう事?」

 カズ兄さんは何の事かわからない様子だ。


 「随分と良くなったとは言え、姫乃の虚弱体質は簡単には治らないだろ?

 そんな子が厳しい芸能の仕事は無理だろう。

 だから、学校活動に取り込まれていれば、隠れて無茶な芸能活動なんてさせないだろうし、
 下校時間までなら「適度な運動」の範中だ。

 しかも、あのなら馬鹿騒ぎはしても鹿な真似はさせないだろうしね。」


 よくご存知で…

 もしかして卒業生ですか?


 「でも、芸能事務所を買い取って社長になるのはやりすぎだな!」

 「ソレはオレも同感でし。


 でも、その件はウチの姉の友達も関係していて…」


 「相良貿易のお嬢さんだろ?

 知っているよ、ウチとも取り引きが有るからね。


 そう言えば、今度あのお嬢さん、ウチの旧進派の一人とお見合いするらしいよ?」


 「へ?」
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