猫カフェは探偵事務所ではありません〜女子高生店長の奮闘記〜仕方ないなぁ、今回だけですよ。

猫寝 子猫

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魔女の夜会は大騒ぎ〜これ、包んで貰ってもいい?

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 ピピー!充電終了しました!

 『ご馳走様でした。お腹いっぱいです!』

 『そう、ソレは良かったわ。』

 メモに有った番号に連絡してこの子の「充電器」を受け取りに一之瀬を使いに行かせた。

 帰って来た一之瀬は「充電器と取り扱い説明書」を持って帰って来た。

 最近の玩具は中々、準備に面倒なのね?

 もっと一般的な事を学ばないと、この子を失う所でしたわ!

 『アナタがぼくの「マスター」ですか?
 では「名前」を付けて下さい!

 それが「マスター登録」になります。』

 『あら、最近の「おもちゃ」は色々複雑ですのね?』

 『盗難防止なんですって?
 そうプログラムされてます。』

 
 名前?

 三毛猫柄で、
 球体からネコ型ロボットに変形した、不思議な存在。

 この子に最初にプレゼントする「モノ」のだから、良い名前を付けてあげたい!

 『「マルコ」ってどうかしら?』

 
 『機体名「マルコ」登録しました。同時に「マスター登録」を行います。「声紋登録」終了…次に~』

 次々と主人の「固有データ」を登録する「マルコ」。


 

 『「マスター登録」に必要なデータの収集が完了し、「マスター登録」を終了しました。
 この時より、機体名「マルコ」はマスター「ニシキオリ ミヤビ」の「専用機」と成りました。よろしくお願いします、「マスター」。』

 
 何かSF映画に有りそうなシーンだわ?

 でも折角なら、

 『私の事は「マスター」では無くて「ミヤビちゃん」とお呼びなさいな!これは命れ…お願い!
 そう、これは私からの「お願い」よ!よろしくて?』

 『ハイ、「ミヤビちゃん」!』


 

 なんて事が発表会前に有ったのだが、

 今、私はあの「北代 舞華の兄」と一緒に居る!

 その真相を聞く為に!


 一度ロビーに出てから、本日「メイプル」で借りている「来客室」に彼を通した。

 『さぁ、話してもらいますわよ!』
 
 『何を? ってか、腕離してくれ!お嬢様。』


 『!』

 迂闊でしたわ!気付けば一之瀬もいない!

 でも、ここで弱気な所を見せてはダメだ!

 
 掴んでいた腕を離して、

 『貴方、一体どうしてここにいるの? 北代 舞華には「招待券」は送って無いけど?』

 『ん? 俺は「ウチの華」に誘われたから来たんだ!
 アイツに「美味いモノが食べられる」って聞いてな、
 でも三条の叔父さんも言ってたけど、「伊吹亭」の方が美味いぜ!』


 『失礼な! ソレに誰?
 「内野 花」って?』

 『チッチッチッ!そうじゃない!俺の家に住んでる「山王院 華」に誘われてたの!彼女はウチに下宿しているテイなの!』

 
 「山王院 華」!

 私が通う「山代学園」の生徒会長で「北代 舞華」とよく行動を共にしている事で、二人は友人で有る事は承知している。

 だからといってこの兄とも親しいとは?

 …ん? 一緒に住んでいるって事?

 『貴方、彼女の「召使い」なのね?』

 『あ、あのな~?
 なんでそうなるかな?
 俺とアイツは「幼馴染」で、その、なんだ、え~とな、』

 
 何かしら?急に歯切れが悪くなって?

 『何なの!はっきり言いなさい!』

 『あ~ぁ!もう!
ハイハイ、分かりました!
 あのな、俺と「山王院 華」は「婚約」してるんだわ。親達の策略でな! だから、俺はアイツを守る義務が有るんだよ!』


 『あら、そうなの。ソレはご苦労様ね。』

 なるほど、つまりは「婚約者」と名ばかりの体のいい「ボディーガード」なのね。

 よく有る話しね。

 可哀想な人、今まで良いように利用されてたんだわ!


 『何だ?急に憐れむ様な眼差しで見始めて? 嘘じゃないぞ! アイツが泣き出したから、覚悟を決めてだな、 』

 『ええ、そうね。そうなのね。悪かったわ、疑って。』

 『何で涙目で優しく微笑むんだ?』

 そうよ、私くらいは優しくしてあげなくては!

 ソレが上流層の嗜みよね?


 『なら、貴方の妹さんは山王院さんから招待券を都合して頂いたのかしら?』

 『んにゃ、「隣りの奥さん」から「いらないからアゲルわ!」って貰ったらしいぞ?』

 『つまりは、「メイプル新作発表会」に招待されたのに参加しない方がいると?
 信じられないわ!
 誰なのかしら、その方は!』


 『ルンナさんって言う、お袋の後輩なんだが、お隣の「沢木さん」に嫁に来た元「お嬢様」だってよ。』

 
 「ルンナ」?

 何処かで聞いた様な?

 ルンナ…ルンナ…!

 『「沖野嶋 ルンナ」! 沖野嶋グループ会長の孫娘よね?』

 確か、高齢を理由に今年引退を表明したけど、まさか?

 『らしいな?親父の親友の「圭叔父」と駆け落ち同然で結婚したらしいからな?
 でも、反対してたのは親戚だけで「お爺ちゃん」は大賛成してたって、聞いたぜ、趣味が合うとかで。』

 


 

 そのルンナさんは、数時間前、

 元沖野嶋グループ会長を誘って、皆んなで釣り堀に来て来た。


 『先生、しばらくですな?どうです、お身体の調子は?』

 『ん~?そうですな?まだ暫くは「お迎え」が来ないようですな?』

 ジジイ二人が並んで釣り糸を垂らしている。

『出来ればオレも「ひ孫」の顔を見るまでカミさんを待たせるつもりですよ。』

 『そうでしょ、そうでしょ!ワシも曾孫の嫁を見るまで死ねないと、最近思いましてな、面倒な「会長職」を甥に押し付けましたわ!ぶはははは!』


 『ジジ様たち、うるさいのだ。お魚逃げちゃうのだ、なぁ修ちゃん。』

 『ジっちゃん、めっ!』

 『おお、これはすまない。』





 何してんだか?

 孫、ひ孫と余生を楽しむ。

 ひとつの幸せのカタチですけど、

 「孫たちと遊べるなら、この「釣り堀」買っちまうか?」

 なんで考えてる沖野嶋元会長⁉︎

 『修ちゃんのジジ様、何考えてる? サカナ引いてるぞ!』

 『おお!本当じゃ!』

 なんて楽しい時間を過ごしてましたよ、ルンナさん達はね!




 『…ってらしいぞ。』

 『…そうなの。何か釈然としないけど分かったわ。』

 招待状は顧客リストの特に高額購入者や近年「発信力」の有る著名人に送っている。

 こう言う事は想定内だが、

 新作発表会が年寄りの付き添いでキャンセルされて、近所の子に招待券を譲渡するとは?

 『つまり、その人達には「メイプルの新作」は価値が無いに等しいと言う事ね。』

 『価値なんて人それぞれだろ?まぁ「客商売」なら仕方ないのか?周りの反応ってのは。』

 
 『その通りよ。だから招待客は「発信力」の有る人を選んだつもりよ。』

 
 『発信力なぁ?』

 その時、

 『お嬢様!ご無事ですか⁉︎』

 『あら、一之瀬。遅いじゃない。』

 いくら古流武術の達人でも側に居なくては「用心棒」の意味は無い。

 『貴様!お嬢様から離れろ!
 この下郎め!』

 『ゲロゲろり? 何か勘違いしてるけど、イイぜ!相手になってもらおうか!』

 
 えっ?貴方達、何を始めるつもり?

 二人共、構えを取る!

 『ちょっと、一之瀬! 北代兄も!やめなさい!』

 『フゥッ!』

 『ご心配無く、お嬢様!
 この不埒者はこの「一之瀬イチノセ  摩矢マヤ」が仕置きしまっス~ん⁉︎』

 ドカッ

 『弱っ‼︎』

 北代兄!
 一之瀬の口上が終わる直前に正面から「キック蹴り技」で攻撃!

 まるで「しなるムチ」の様な攻撃が一之瀬の「顎」をかすめた。

 そのまま白目を剥いて背後に倒れる一之瀬?

 幸い壁に寄りかかる形で頭は床に打ち付けなかった。
 
 構える前にネクタイを緩めていた一之瀬さん、

 何か胸元が不自然だ?

『ん?
 なぁ、コイツって…女?』

 『えぇそうだけど。
 いくら一之瀬の勘違いとは言え、コレはやりすぎでは? 
 一応、これでも彼女、「一之瀬流 免許皆伝」らしいわ?』

 もっとも私も一之瀬が倒される所なんて初めて見た。

 『北代兄、貴方、何者?』


 『お~い?しっかりしろー!
 あーもー!仕方ない!』

 北代兄、彼が内ポケットから取り出したのは、色違いだが、見覚えのある球体だった。

 『これ、ナイショな!』

 彼が取り出した球体は3つ!


 『流星丸はメディカルチェック、紅丸は華を呼んで来てくれ。賢狼丸はモバイル形態で待機。』

 キューーン

 北代兄の言葉に答える様に起動音がするとそれぞれ変形!

 ヒト型の流星丸、
 鳥型の紅丸、
 狼型の賢狼丸、
 
 行動を開始する‼︎

『ミヤビちゃん、僕もお手伝いしますか?』

 『あ!マルコ!いいの?出てきても?』

 

 『緊急事態ですから!』


 『ヘェ~?そんな機体も居たんだな。』

 『それより、一之瀬は大丈夫なの?』

 『「ミヤビちゃん」、一之瀬さんは「軽い脳震盪」だから、しばらく安静にって、「流星丸くん」が教えてくれました。』

 『まぁ!マルコに「お友達」が出来たのね!』

 『「マルコ」? 今日もお母さんに会えないけど、健気に旅する少年の様な「素敵なお名前」だな? オレとも「友達」になってくれ!』

 『ハイ。』

 『ソレは良いけど、一之瀬はこのままで良いの?』

 『下手に動かさないで、目を覚ますのを待つ。
 軽度の脳震盪は、目を覚まして、頭痛や目眩がなければ、殆ど後遺症も残らないから、

 …?

 なぁ、彼女、サラシまいてないか? 胸を圧迫していると回復を遅くするぞ?』

 
 『そうね、なら貴方外してあげて。私、よくわからないから。』

 
 『ナヌ?』





 『舞斗、大丈夫なの!クーちゃんをむかえに…遣すな…んて?…』

 紅丸に案内され、「来客室」に入ってみるとそこには、

 男装をしていると思き、錦織嬢の付き人の胸部を弄ってる舞斗を目撃した!


 『舞斗!貴方はなん…!』

 『おぅ華!助けてくれ!彼女が脳震盪を起こしてしまって!
 彼女、サラシを巻いているので胸が圧迫されている。
 でな、早い回復をさせてあげたいのでシャツのボタンを外し…』


 『もうー、ドキなさい!
 大体わかったから落ち着いて。
 後は私に任せなさい。』

 まぁそんな事だよね。舞斗の事だから。

 子供の頃から「一文字の道場」でよく見ているから、この手の介抱は慣れている!

 『舞斗、アッチ向いてなさい!』

 『もう向いてるさ。』
 
 『ナニを剥いているの?』

 『雅さん!
 彼女は貴女の「護衛」でしょ?
 ハンカチを冷やして額に当てるとか、貴女が介抱しなくてどうするの!』

 『その「北代兄」がナニもしなくていいって!』

 ソレにしてもよ、雅さん?

 この人の事、心配なら何かしてあげたいとか…無いのね。


 ここで普通の男子高校生なら、女性の胸元に釘付けとかアタフタするだろうけど、

 『まぁ舞斗だしね。安心、安心。』

 決して女性に興味が無い訳では無い!

 ただ、今はそんな場合では無いと強く意識しているので「エッチな」気持ちにはならないのよ!

 と華ちゃんは解析する。

 程なく眼を覚ます一之瀬さんだけど、サラシが外されてる事や外したのが私だと言う事、舞斗に何故負けたのか分からない等慌てている。

 頭痛や目眩、記憶もハッキリしている様で、心配なさそう。



 『錦織 雅殿! 俺の妹が君を殴ったそうで、申し訳無い事をした!この通りだ!すまなかった、許してくれ!』

 舞斗が深々と頭を下げて彼女に謝罪する。

 『ソレと一之瀬さんも、もっと配慮すべきだった。女人を足蹴にするとは俺は卑怯者だーーーー!』

 『馬鹿、うるさいのよ。一之瀬さんの頭に響くでしょ!』


 『あの、もう大体平気ですから。』

 『それにしても、「北代キタシロ  舞華マイカ」はヒドイ人ね?』
 
 『お、お嬢様!』
 
 『いいのよ、一之瀬さん。言わせてあげて。』


 『自分の兄に謝罪させて、当人は何処に居るのかしら!』

 『この会場にいるわ、家族と来て今ステージを楽しんでいるわよ。#普通に____#ね。』

 『普通にって? 彼女が⁉︎』

 『ええ、私たち二人に比べたら「発表会本来の楽しみ方」のハズよ。
 実際に、其方の舞斗の様に食べ物に釣られたり、私の様に「著名人との交流営業活動」の為に…あ、そうね、私もその「著名人エサ」のなのね。貴女方の思惑では?』

 『な、何を根拠にそんな事を! いくら「山王院のお嬢様」でも失礼よ!』

 『先日の貴女よりは「ソフト」なつもりだけど。ソレとも舞華かの様に本心でお話ししたら信じてもらえるのかしら?』

 あくまで淡々と話す華に恐れを感じる雅。

 『本心って?わたしが「誰かを侮辱した」っと言って罵倒され暴行された件かしら?』

 『何か盛ってないか?』
 『す、すまない。お嬢様は少し大袈裟に表現する傾向があるんだ…デス。』

 
 何事かと主人あるじたちを見守る、流星丸やマルコ。

 『ねぇ雅さん、貴女なら「ご家族や親しい人」が罵られたり、傷付けらたらどうする?』

 『そんなの決まってますわ!一之瀬に粛正させま…せんわね?
 今となっては、難しい。
 上には上がいるのですから…。』
 
 『貴女自身があらがわないのですか?
 あの日の舞華の様に?』

 『そ、それは!でも、』

 『舞華は相手が誰でも恐れはしない、そこに私や舞斗が居なくても、 ね。』


 『あのさ、「錦織のお嬢様」。コレには理由が有るんだわ。もう「トラウマ」に近い理由がな。』

 北代兄が此方を見てる、悲しそうに?

 『「理由」?きっと面白くも無い些細な事なのでしょう?』

 『確かに「面白く」は無いな。』

 『ほら、ご覧な…』
 『目の前でな、姉の様に慕っていた女の子が大怪我をしたんだ。舞華を守る為に。
 小学生の頃だよ、傷は額に大きく残り、その場にいた児童の中にはあまりの酷さに失禁した子もいたらしい。

 当時から何でもこなす凄い妹だけどな、 自分の「有能さ」に過信して、イジメをしている上級生を煽るカタチになってしまった。その油断から助けるハズの友達に怪我を追わす事になったんだ。

 本人はイジメをしている上級生をヤリ込めるつもりだったのに、とっさの事態に対処出来ず、

 それからは自分の事はさて置き、自分の大切なモノに「敵意」とか「害意」とか向けられると、咄嗟に行動しちまうだわ。』

 結構長い詳細を語ると錦織嬢が居た堪れない表情をしていた。

 『ソレで私を叩いたって言うの? わからないわ?』

 『アイツなら上級生を上手く遇らう事も出来たのに、 
 だから、大事なモノを守る為には子難しい事は考えず、「直感」で動く様になったんだ。君の時は少し違う様だけど?』

 『何よ、ソレ! やっぱりわからないわよ。』

 
 『お嬢様…。』


 あら、わからないって言う割には大人しくなっちゃって。

 頃合いかしら?

 
 『ねぇ雅さん、貴女「友達」はいる?
 その人の悪口を言われていて、頭が沸騰するくらい怒りに支配された事は有るかしら?』


 『…無いわ、何方どちらも。貴女はいらっしゃるのね。そんな方々が。』

 「方々」、複数いるのでしょうって言いたいのだろう。

 『一之瀬さんは違うのかしら?貴女の事、相当大切にしている様だけど?』

 『一之瀬はボディーガードよ。貴女と「北代兄」と同じ様に。』


 『ん?舞斗の事? 舞斗は私の「片翼」よ。もう一つの「片翼」は舞華だもの。
 だって、二人揃わないと私は飛べないの、「この先の戦場」を!』

 
 『華?お前の例え方は重い!重い翼は中一で終わりにしなさい!』

 『あら、そうかしら?
 
 ねぇ雅さん、決着は今度の「コスプレコンテストの決勝戦」で付ける事にしない?』

 ここで華から以外な提案が⁉︎


 『投票の結果、貴女が舞華に勝ったらステージ上で貴女に舞華が「土下座」して謝罪させるわ。どうかしら?』



 『な、なんて事を⁉︎
 本人の居ない所でそんな事決めていいの?』

 『舞華にはから後で話すから問題無いわ。』

 北代兄に視線を向けると、

 『あぁ、いいと思うぞ。』

 なんて言うし?

 何かの罠かしら?

 『私が負けたらどうなるの?』

 『ソレは舞華に決めさせるわ。それが目的だから。』

 『貴女の事だから、既に私が負ける様に仕掛けてあるのでしょ? その手には乗らないわ!』

 『そう?でも本人はヤル気みたいよ。ね、舞華。』

 ばーん!

 『え?』

 勢いよく扉を開けて入ってきたのは、

 『その勝負、受けて立つわ!錦鯉さん!』

 『舞ちゃん、舞ちゃん!「錦織」!ニシキオリね!』

 『あ、ごめん!』

 『もう台無し!』

 真琴とゆたかを従えて、堂々登場の我等が舞華ちゃんだった!



 『いいよ、錦織さん!その条件で勝負しよ!卑怯な事なんてしないから!』

 『本気ですの?ならもう一つ付け加えましょう!
 負けた方が勝った方の「召使い」になるって言うのはどう?
 期間は学園を卒業するまでにしてあげるわ!』

 『いいよ、それで!
 その代わり、この事は学園の皆んなにはナイショね。』

 『負けた時の保険かしら?いいわ、そのくらい。』


 『アンタ、馬鹿なの? 
 舞姉はアンタの事を心配して言ってんの!
 そんな事バレたら少なくとも「学園の皆んな」は舞姉に味方して、投票するのは「舞華姉一択」なの絶対でしょ?
 アンタ、友達居なそうだし!』

 容赦なく言い負かすゆたか!

 結構ムッとしている様。

 『どうする?舞斗は何か言わないの?』

 真琴の心配を余所に

 『別に無い。』

 と言いきる北代兄。

 『いや、有った!』

 『な、何よ!もうこの条件で勝負することにしたんだから!』

 もう条件なんかどうでもいいから早く終わらせてよ!

 『そろそろ、その「北代」って辞めてくれないか?
 俺のことは「舞斗」って呼んでくれ!』

 『は? えぇ、いいわよ、「舞斗」…でいいかしら。…それだけ?』

 『おう!コレでスッキリした』

 確かに自分も煩わしいとは思っていたが、こちらから提案するのは…    恥ずかしい。


 『じゃ、話しもまとまった所で会場に戻りましょう!ショーの後半が再開するのでしょう?』

 そうだ!

 途中休憩を入れたのは、

 自分の「わがまま」で有るデザイナーの作った「新作」を自分が着る為に「付け足した」部分だから!


 『そ、そうよ!心して観なさいな!』


 舞斗たちが会場に戻って行った後、一之瀬が伺ってきた。

 『お嬢様?』

 『お願い、言わないで!』

 『あんな条件を追加したのは、やっぱり…。』

 『そうよ!だってああ言えば、「召使い」とか追加すれば、最初の土下座するとか妙な賭けを取り下げると思ったからよ! でも、でもでも!』

 『舞華さん、「ノリノリ」でしたね。』

 そう、目をキラキラさせて楽しそうにしていたけど?

 『本当に何なの?あの方々は!』

 『で、お嬢様が負ければ「召使い」ですよ?よろしかったのですか?』

 『…私が負けると言いたいの?』


 『その自信は称賛に値しますが。』

 そう、このお嬢様は「山代学園」に入学以来ついついこの調子であちこちで揉めている。

 引くに引けない性格が災いし、友達が出来ない!

 小中学まではよかった、長年の間に彼女の性格を理解した優しい友達が居たので…

 そのまま付属の高等部に進学すれば良いと思えたが、

 「新しい環境で新しい友達を作ろう!」と考えたのかは、わからないが見事に山代学園に受験合格した。

 『で、現在では友達0人ですよね?この事を知らなくてもお嬢様に投票しないと思いますが…。』

 『五月蝿いわ、一之瀬! 貴女こと「舞斗」にあっさり負けたクセに!』

 『そうですね。
その通りです、「格の違い」を知りました。 そろそろご準備下さい、お嬢様。後半の「ショー」を成功させましょうか!』

 『当たり前よ! 』

 それでも自分はお嬢様に付いて行こう!

 そう決めたのだから。

 だって、こんな危な気な「妹分」をほっとけないし。

 『さぁ一之瀬!貴女が衣装でお父様たちの目を覚ます時が来たのよ!』

 『お嬢様こそ、ウェスト大丈夫ですよね?今度の衣装はミリ単位で計算されてますからね!』

 その日、ラストステージを観た「著名人」はメイプルの新しい「デザイナー」と「モデル」を各々の「発信力」で賞賛するのだった。

 もちろん、ソレを見ている舞華たちも?

 『アレ?これ、やっチャッたかな?』

 『同じこと、イベントでやられたら面白いな!っと沸くぞ!』


 悪気無い舞斗の言葉が舞華を不安にさせた  が、

 『舞華、貴女まさか自分が勝つ事しか考えてない?真琴君やゆたかも参加してる事忘れてるでしょ?』
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