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朝からカリーは、どうかと思う?

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 ルーテシアさんが言った通り、この町には職人と呼べる様な人はいない様だ?

 実際、この町の食事処は宿屋が昼に食堂、夜は酒場と言った様に兼業している店ばかりで、料理も普通の家庭料理に毛が生えた程度、本格的に料理のみで勝負している店は無かった。

 そう、この町には特別な名物料理なんてモノは、本当は無かっ たのだ。

 例の見た目そっくりの「唐辛子たっぷりの味噌ラーメン」も、どうやらで出店していた屋台料理をレシピごと買い取って、この町の名物料理として売り出していたモノらしい?

 やはり、その屋台店主は転生した日本人かも?


 「大体、おかしいと思っていたのですヨ!

 この近くの森林にはの材料に使えそうな薬草や、香辛料代わりに使えそうな植物のタネはおろか、名物の味噌ラーメンに使うハズのトウガラシや辛味のある食材の野菜畑すら無いのですから!

 この町、どうかしてます!」

 ココの料理がカリー料理とふんだ時、メイメイは色々と町の周りも見て調べたのだ。

 事前に調べたのに、無駄で有ったと拍子抜けし、昨晩は八つ当たり気味にヤケ食いしていた、自分が作ったカリーを!

 カンナとメイメイは次の屋台では、辛い料理に慣れているだろうとコチラも辛味で勝負して見たかったらしい?

 真相を知って、呆れてしまったメイメイ、今朝は唇が腫れぼったい。

 触れないで置こう。

 ちなみに今日の朝食は近くの宿屋がやっている食堂で、薄い野菜スープに細長いパスタの様なモノが入った「塩ラーメン」風の料理を食べた。
 
 …パスタだよな?

 メイメイの希望で、朝から辛い料理は遠慮した。



 幸い、自由市場にトウガラシや味噌ラーメンを再現できる食材を持ち込んでくれる屋台があるので、何とか成っている様で、若干のアレンジを加えたモノを各食堂で出している様だ。

 この「塩ラーメン」っぽい料理もそのアレンジの一つらしい?

 「コレだと、まんまる焼きも買いそうね?」

 カンナが心配すると、

 「ヤ~の!マーヤのまんまる焼き、とっちゃやなのー!」

 と、小さなお嬢さまがご立腹!

 「だそうですよ、どうなさいますか、ルーさん?」

 ちょっと意地悪にアズが聞くと、

 「み、皆さん、いじめないで下さい!」

 ルーテシアさんが涙目になる?


 
 「朝からうるさいぞ、君たち。」


 昨晩は、女性陣は皆んなでお風呂に行き、すっかり仲良くなって戻って来た。

 俺やエイジも屋台の片付けをして、広場の隅で宿の準備をしていると、


 「皆さん、ワタクシルーテシアの宅にいらっしゃるのはどうですか?」

 と、お誘いをうけた。



 で、今に至る。


 久しぶりにベットで寝れた。

 
 ルーさんの家は大きな雑貨屋で、俺たちが泊まれる空き部屋も幾つか有ったので、遠慮無く泊まらせてもらった。

 どうやらポーションの納品だけに留まらず、この町の歪な件に一石を投じる事になりそうだ?


 、長い滞在になりそうだ。

 「み、皆さん、今日も市場でご商売をされるのですか?」

 「ソレも有るけど、この先の旅に必要に成りそうなアイテムを買い足そうと思って、出来れば買い物もしたいの。」

 金庫番のカンナが今後の予定を発表する。


 今日は自由市場で売られている物を見てまわりたいそうだ。

 なので、俺はカンナに付いて市場で買い物、他の皆んなは昨日に引き続き、まんまる焼きの販売となった。
 




 まぁ今回は因縁を付けてくるヤクザ者はいないだろう…


 と、思ったのだが、

 「あ、あの、ココでのポーションを売っているって聞いたんだけど!」

 何故か、イチャモンを付けに来たが現れた?

 今日も昨日と同じ場所で屋台営業を始めていると、一人の珍客が現れた。
 

 少しやつれた感のある、美人だが目付きのキツいエルフ女性だ?

 可笑しいな、今回はココ屋台ではポーション販売してないよ?


 しかもなんて?
 

 「あ、あのココではポーションじゃなく、料理を販売しているのですが?」


 「と、惚けないで!

 そちらの獣人の娘が、ギルドに大量に紛い物のポーションをのは知っているのよ!」

 成る程、たしかにギルドにはポーションをに卸したけど?

 とは?


 「聞いたわよ!

 のポーションの三分の一の値段で売りつけたんでしょ!

 そんな安いポーションなんて、紛い物に決まってるわ!

 ソレで無ければ、ワタシが作ったポーションが買い取って貰えないハズないもの!」


 が作った?

 「アナタ、薬剤師なのですか?」

 「誰かよ⁈

 ワタシは錬金術師よ!」


 なんだかな?


 「おばちゃん、メイメイちゃんをいじめないで!」

 「か、可愛い… はっ、いけない!

 アナタ、こんな幼い子にまでの片棒を担がせてるの?

 こんな紛い物を売ら…せて…?

 あら、良い匂い?」


 「おうおう、エルフの姉チャン、言いがかりはよしてくれよ!

 今日も、昨日もココでは「ニクマン」と「まんまる焼き」を販売しているんだゼ!

 何処にのポーションなんて有るんだヨ!」

 ちょっと前まで、ギザギザハートの不良少年だったエイジが凄んで見せたが、


 「あ、あら、

 そうね?

 何処かしら?」

 と、多少効果が有ったのか、

 当人も漸く自分がな事をした事に気がついた様だ?


 屋台の何処にもメイメイの作ったポーションは置いていないのだから。

 「アナタ、ってご存じ?

 余りに酷い事をおっしゃるとで済まさないデスわよ!」

 今度は、仲間のメイメイを侮辱されたと認識したアズが、精一杯

 「みんなケンカだめー!」

 良い子のお叱りのお言葉が轟いた。



 

 その頃、屋台がそんな事になっているとは知らず、俺とカンナはデート気分で市場を巡っていた。

 そう、だ?

 カンナのヤツ、俺の腕に抱き付く様に腕を絡ませて、エヘヘと笑いながら嬉しそうに歩いていた。

 二つのお胸の膨らみにしっかりホールドされたオレの利き手、

 何か有っても良い様に左手にを隠し持っているのは、師匠の教えだ。

 「何か掘り出し物有るといいね、タケル。」

 最近は急に弟や妹が出来て、として頑張っているカンナ、マーヤに至ってはママと呼ばれているし。

 二人っきりの時間は確かに減ってしまい、俺に甘える事なんてのは村を出て、旅を始めた最初の頃ぐらいだ。

 

 「何か欲しいモノ有りそうか?」

 「えっ、買ってくれるの♡?」


 「コレコレ、カンナ?

 本当にデートじゃ無いんだぞ?

 買い出しに来たんだぞ?

 今度、旅の最中に役立ちそうな物を見つけてくれよ?」

 「へへへ、ごめんごめん。

 あっ!

 アレ、古道具の屋台じゃない?

 収納系のアイテムとか有るかな?」


 浮かれモードで買い物を楽しんでいるカンナに対して、この俺は落ち着かなかった。


 最近、どうもとしてカンナの事を意識している様なのだ?

 きっかけは前の町で、エメに猛烈アピールをしてきた元娼婦の娘だ?

 助けてくれたお礼と言って、自分を差し出してくるのだ!

 しかも、それまでは体調を崩して満足にが出来ずにいた訳で、ソレをエメの奴が全て治したら、

 「私には事しか出来ないから!」

 と、言って夜中に寝床に凸っ込んでくる訳ですよ!

 いや、凸っ込むのは本来ならエメなんだろうけど?

 ドラゴンのって、どうなってんだ?


 いやいや、ソレは置いといて、

 何故か、皆さん間違えてのベットに忍び込んでいるんだよなぁ?

 しかも全裸で⁈

 「アレ、聖人エメサマじゃない!」

 って、泣き出す女の子も居てさ?

 その度に、俺とカンナが慰めてたよ?

 エメは朴念仁だから、そういうのに疎いヤツだってね。

 その後は大体、エメに倣って町の復興支援を手伝ってた様だけど。


 まぁその度に色々見せられると、さすがの俺もちょっとはエッチな事も考えてしまう訳で…


 実際、元娼婦のお姉さん達に負けず劣らずカンナは美人で立派なお胸をされている!


 そして、俺の前ではだ、つい触れてしまいそうになる…


 「アッ!
 ねえ、タケル、コレもしかして⁈」
 

 「ん、どうした?」

 カンナがある屋台に目を停めた?

 木の台の上に無雑作に品物が並べられている、刀剣や刃物を扱っている様だが、

 「アレ、タケルのお父さんが作ったじゃない?」

 

 確かによく似ている、俺や師匠が使う「ニホントウ」に。

 「よう兄ちゃんたち、どうだろう、見ていかないか?」

 この人がこの剣を打ったのだろうか?

 いや、どうやらあちらこちらで仕入れて来ているらしい?

 しかし、俺が帯刀しているのが「日本刀ニホントウ」だと気付くと、

 「兄ちゃん、アンタもしかしての御身内かい?」

 「よくわかったな、弟子だよ、その、見せてもらっても?」

 「おお、是非頼むよ、今ウチで1番のだからよ!」


 間違いない…

 「黒刀、波の刃紋、師匠の剣と同じ…しかも親父父さんが打ったモノに間違いない… 

 柄に親父の刻印がある。

 コレを何処で?」


 「仕入れ先かい?

 オリオン子爵の農村で、年に一度のの出店で見つけたお宝だよ。

 やたらな親父と可愛い小ちゃなお嬢ちゃんが店番していたので忘れないさ!」

 「…多分、俺の親父と妹だ。元気そうだったか?」

 「おう、特にお嬢ちゃんはニコニコ笑って、アレはサイフの紐も緩んじまうさ。

 ちなみに隣りでの旦那が酒をかっくらってだぜ!」


 「さすがモニカちゃんだね、

 ソレと師匠も?

 で、どうするの?

 買う、買わない?」

 カンナがニコニコ笑って、訊ねてきた?

 そりゃ、聞くまでも無いさ。




 「では、ギルドでのやり取りを見て、メイメイの事を探していたのですか?」

 「そ、そうよ!

 アナタがなポーションを大量にギルドにで売ったモノだから、私がやっと作ったポーションはもう要らないって言われたのよ!」


 「メイメイさんのポーションはインチキでも紛い物でも有りませんよ、
 私の父の命を救った素晴らしいポーションです。

 なのでこちらのギルドから私たちの町のギルドにポーション納品のクエストが有ったのです。」


 あくまで冷静に話すアズ。

 「ギ、ギルドが?

 まさか?

 この私「錬金術師メイクゥン」がいると言うのに⁇」

 「…誰、ソレ、有名人?

 アズ姐さん、知っているかい?」

 エイジが以前に住んでいて、色々知っているアズに聞いてみた。

 「ごめんなさい、存じあげないわ?
 メイメイさんは?」

 「高名な錬金術師など、本当に数える程しか居ませんが、メイクゥンさんと言う方は知りません?」

 「マーヤもしらない!

 でも、メイメイちゃんと、にてるね!」

 本当に恐ろしいのは、無垢なる魂かも?

 「ナニを言うのですか!

 私の由緒高い名が、そちらのインチキに似ているなんて⁈

 祖父の剣豪「月下のハクメイ」サマから頂いた由緒ある名前デスよ!」


「⁇」

 私も大好きなおじいちゃんから貰った大事な名前なんだけどな?

 ソレに私はでは無いし?

 「エイジ、コイツ嫌いかも?」

 エイジ君が出会った頃のキツイ顔つきになった?

 「エイチにぃに、おっかないおカオ、ダメ!」

 「あいよ、わかったよ。」


 マーヤちゃんが居てくれてよかった。

 そんなふうに思ってたら、アズ姐さんが何やらニコニコしている?

 「立ち話もなんですから、皆さん座りませんか?」

 とさ。
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