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(真)リンカ、お姉ちゃんを頑張る?
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「マーヤ嬢、ワタクシとも一曲踊っていただけませんか?」
「へ? わたしと?」
腹ごなしに、ライン君と義理で踊ってあげて、さてお料理でも食べようかなって、踊りの輪から離れようとした私に数人の若い貴族の男性が近寄って来たの?
「ワタクシとも!」
「いえ、ワタクシと!」
「オレだ!」
「ボクだ!」
…えっと、モテ期?
私、何かやってしまいましたか?
元は孤児で平民の女の子なのですよ?
私より、綺麗で可愛い貴族のご令嬢ならたくさんいるじゃない?
何故か次々とダンスのお誘いを受けるワタクシ?
えっと、そろそろ姫様の警護をしたいのだけど?
助けて、ラインくん?
ん、ライン?
「あ、あのラインハルト様、どうかワタクシとも一曲踊っていただけませんか?」
「す、すまない、そろそろ警護を…⁈」
「何よ、ワタクシが先ですわ!」
「ワタクシですわ!」
「ワタクシよ!」
アンタもかいっ⁈
お城の宝物庫には、有事の際に使われる秘密の隠しトビラと最終兵器が有る?
この事を知っているのは王族のみ…なのだが、
実は長年王族に仕えていたメイドの一人が、偶然その事を知ってしまい、高齢の為、退職した後に息子夫婦と暮らしていたのだけど、孫に寝る前のお伽話の様に、
「お城には秘密の抜け道があってね、悪い人がお城に攻めてきても、その道を通ってお城の外へ逃げる事が出来るんだよ。」
「…って話しを幼い頃、祖母から聞いておりました。」
「…そうなの?
割とユルいのね、お城の秘密は?」
それだけ、信頼されていたのだろう、そのメイドさんは?
「…ソレで、私の兄がその抜け道の「出口」からお城の宝物庫に侵入して、持って来てしまったのがコレなんんです!」
そう言って仲間の一人が、皮袋から取り出したのは大きな紫水晶の首飾りだった。
「…コレを当時、十も満たない子供が持って来ちゃったのね?」
「ハイ、その後この国を離れて別の土地で家族で農家を営んでいたのですが、祖母が兄の隠し持っていたコレを見つけて大変悲しんだのです!」
そりゃそうだろう、長年仕えていた王様にとんでも無い不義理をしてしまった訳だ?
その祖母は今は亡くなって、子供だった兄や自分も大人になったが、子供の頃とはいえ兄は自分のやってしまった事を大変悔やんでいる。
「兄は盗みを働くつもりでこんな事をしたのでは有りません!
祖母の話してくれた事が嘘でないコトを証明する為、お城に行った証として、祖母の好きな紫色のモノを持って来てしまったんだと思います!」
なんでも、子供の時にお祖母さんから聞いた話しを自慢げに村の友達たちに話したら、みんながそんなの嘘だと揶揄われたそうだ?
そのお兄さんも数年前に農村を襲った魔獣に殺されたそうだが…
亡くなった二人が心残りだったこの首飾りをなんとか穏便に返さないだろうか?
偶々知り合った農村の娘、フレアさん。
たった一人で家族が残した田畑を守ってる。
歳は私とさほど変わらない…
現在は一味の隠れ家として、普段の住居として使っている「オンボロ宿屋」の賄い係として働いてもらっている。
一味も暇な時はフレアさんの農作業を手伝ったりしているのだ!
「任せてフレア!
その紫水晶の首飾りは…
私の知り合いの怪盗さんに頼んで、お城の宝物庫にナイショで返して来てもらうわ!」
「…えっ?
どういうコトです、アンジュさん?」
てな訳で、行動を開始した怪盗一味⁈
「…ったく、お嬢の安請け合いで、大仕事になってしまったゼ!」
「だって、お城の抜け道って、数年前に巨獣が王都を襲った時に踏み潰して、壊れて使えないとか知らなかったんだもん!」
王都を襲った巨獣、ソレを退治した鋼鉄の守護神!
お陰で王都の地下水路など、思い切り踏み潰されてましたからね?
でも、その修復工事で大勢の人が仕事にありつけて、王都も色々新しく改善されて便利になったとみんな喜んでるとか?
(えっと、巨獣はマーヤの従魔じゃないからね!
あっ、鋼鉄の守護神は魔の森の機人サンだけど?)
…天の声が聞こえた様な?
幸い、城下の町にまだ無事だった旧地下水路があった。
町の外へには脱出する事は出来なくても、お城から城下の町になら抜け出すことは出来そうだ。
つまりその逆も可能な訳だ。
「さて、そろそろ作戦開始よ!」
作戦とは⁈
今は公園になっている旧伯爵邸跡、そこに有る初代王様の銅像の台座に地下に繋がる秘密の出入り口があるの、そこからお城の宝物庫に侵入して、首飾りを返却!
代わりに別にテキトーな物を持ち出すの。
ワタシはその間、お城のダンスパーティーに現れて騒ぎを起こして、警備の目をコチラに集めて即撤退!
脱出方法は派手に気球を使うわ!
「どう、完璧でしょ!」
「…お嬢、噂の少女テイマーにはお気をつけてくだせいよ?」
「あら、素敵じゃない?
一曲踊ってもらえないかしら?」
(えっと、フラグだよ。)
でね、今踊っているのよ、その天才少女テイマーと!
「へ? わたしと?」
腹ごなしに、ライン君と義理で踊ってあげて、さてお料理でも食べようかなって、踊りの輪から離れようとした私に数人の若い貴族の男性が近寄って来たの?
「ワタクシとも!」
「いえ、ワタクシと!」
「オレだ!」
「ボクだ!」
…えっと、モテ期?
私、何かやってしまいましたか?
元は孤児で平民の女の子なのですよ?
私より、綺麗で可愛い貴族のご令嬢ならたくさんいるじゃない?
何故か次々とダンスのお誘いを受けるワタクシ?
えっと、そろそろ姫様の警護をしたいのだけど?
助けて、ラインくん?
ん、ライン?
「あ、あのラインハルト様、どうかワタクシとも一曲踊っていただけませんか?」
「す、すまない、そろそろ警護を…⁈」
「何よ、ワタクシが先ですわ!」
「ワタクシですわ!」
「ワタクシよ!」
アンタもかいっ⁈
お城の宝物庫には、有事の際に使われる秘密の隠しトビラと最終兵器が有る?
この事を知っているのは王族のみ…なのだが、
実は長年王族に仕えていたメイドの一人が、偶然その事を知ってしまい、高齢の為、退職した後に息子夫婦と暮らしていたのだけど、孫に寝る前のお伽話の様に、
「お城には秘密の抜け道があってね、悪い人がお城に攻めてきても、その道を通ってお城の外へ逃げる事が出来るんだよ。」
「…って話しを幼い頃、祖母から聞いておりました。」
「…そうなの?
割とユルいのね、お城の秘密は?」
それだけ、信頼されていたのだろう、そのメイドさんは?
「…ソレで、私の兄がその抜け道の「出口」からお城の宝物庫に侵入して、持って来てしまったのがコレなんんです!」
そう言って仲間の一人が、皮袋から取り出したのは大きな紫水晶の首飾りだった。
「…コレを当時、十も満たない子供が持って来ちゃったのね?」
「ハイ、その後この国を離れて別の土地で家族で農家を営んでいたのですが、祖母が兄の隠し持っていたコレを見つけて大変悲しんだのです!」
そりゃそうだろう、長年仕えていた王様にとんでも無い不義理をしてしまった訳だ?
その祖母は今は亡くなって、子供だった兄や自分も大人になったが、子供の頃とはいえ兄は自分のやってしまった事を大変悔やんでいる。
「兄は盗みを働くつもりでこんな事をしたのでは有りません!
祖母の話してくれた事が嘘でないコトを証明する為、お城に行った証として、祖母の好きな紫色のモノを持って来てしまったんだと思います!」
なんでも、子供の時にお祖母さんから聞いた話しを自慢げに村の友達たちに話したら、みんながそんなの嘘だと揶揄われたそうだ?
そのお兄さんも数年前に農村を襲った魔獣に殺されたそうだが…
亡くなった二人が心残りだったこの首飾りをなんとか穏便に返さないだろうか?
偶々知り合った農村の娘、フレアさん。
たった一人で家族が残した田畑を守ってる。
歳は私とさほど変わらない…
現在は一味の隠れ家として、普段の住居として使っている「オンボロ宿屋」の賄い係として働いてもらっている。
一味も暇な時はフレアさんの農作業を手伝ったりしているのだ!
「任せてフレア!
その紫水晶の首飾りは…
私の知り合いの怪盗さんに頼んで、お城の宝物庫にナイショで返して来てもらうわ!」
「…えっ?
どういうコトです、アンジュさん?」
てな訳で、行動を開始した怪盗一味⁈
「…ったく、お嬢の安請け合いで、大仕事になってしまったゼ!」
「だって、お城の抜け道って、数年前に巨獣が王都を襲った時に踏み潰して、壊れて使えないとか知らなかったんだもん!」
王都を襲った巨獣、ソレを退治した鋼鉄の守護神!
お陰で王都の地下水路など、思い切り踏み潰されてましたからね?
でも、その修復工事で大勢の人が仕事にありつけて、王都も色々新しく改善されて便利になったとみんな喜んでるとか?
(えっと、巨獣はマーヤの従魔じゃないからね!
あっ、鋼鉄の守護神は魔の森の機人サンだけど?)
…天の声が聞こえた様な?
幸い、城下の町にまだ無事だった旧地下水路があった。
町の外へには脱出する事は出来なくても、お城から城下の町になら抜け出すことは出来そうだ。
つまりその逆も可能な訳だ。
「さて、そろそろ作戦開始よ!」
作戦とは⁈
今は公園になっている旧伯爵邸跡、そこに有る初代王様の銅像の台座に地下に繋がる秘密の出入り口があるの、そこからお城の宝物庫に侵入して、首飾りを返却!
代わりに別にテキトーな物を持ち出すの。
ワタシはその間、お城のダンスパーティーに現れて騒ぎを起こして、警備の目をコチラに集めて即撤退!
脱出方法は派手に気球を使うわ!
「どう、完璧でしょ!」
「…お嬢、噂の少女テイマーにはお気をつけてくだせいよ?」
「あら、素敵じゃない?
一曲踊ってもらえないかしら?」
(えっと、フラグだよ。)
でね、今踊っているのよ、その天才少女テイマーと!
応援ありがとうございます!
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