異種戦士バトルロイヤル

えるだ~

文字の大きさ
1 / 7

サイボーグVS忍者

しおりを挟む
 何人もの戦士がゴーストタウンに集められ、開催されるバトルロイヤル。開始直後から白熱した戦いが繰り広げられていた。

 セイナは戦場で聞こえる音を聞きながら、敵を探して街を歩いていた。すると、
「おい」
 声が聞こえてセイナは振り返る。そこに立っていたのは如何にも忍者というような格好の男。
「お前、参加者だよな?こんな街に一般人はいないはずだが、無益な殺生は好きでない故確認させてもらう」
 男はセイナを見下ろしながら尋ねる。
「勿論参加者よ。あんたもでしょ?」
 セイナは男を見上げて尋ねた。
「そうだ。俺はトウジャ。我が目的の為、死んでもらう」
 トウジャと名乗った男はそう言うと両手を広げ、手裏剣を構える。
「私はセイナ。あんたの目的が何かは知らないけど、賞金は私が頂くわ!」
 セイナが叫ぶと同時に彼女のマントがはためき、その背中から先端に砲のついたアームが何本も生えてきた。
「サイボーグか」
「古臭い奴は吹き飛べ!」
 そして全てのアームから光線が放たれる。
 だがトウジャは軽々と避け、手に持った手裏剣を投げてくる。
「甘いわ!」
 しかしセイナは飛んできた手裏剣を全て撃ち落とした。
「なるほど、精密性も高いか。・・・遠距離は不利だな」
 トウジャが刀を鞘から取り出す。
「ならば近付くまで」
「来い」
 先に仕掛けたのはトウジャ。彼は目にも止まらぬ速さでセイナに迫る。
「!」
 トウジャの速度を見て狙い撃ちは不可能と考えたセイナは、アームを一ヶ所に集めて極太の光線を撃ち放った。
「むっ!?」
 トウジャはその攻撃に対して大きく横に跳んで避ける。
「ちっ!速い上に勘もいいとは厄介な忍者ね」
 セイナは舌打ちをして呟くと、再びトウジャがセイナに向かって駆け出して来た。
「・・・近付けば勝てるとか思ってるの?」
 するとセイナのアームが変形し、砲がブレードに変わる。
 そしてその刃をトウジャ目掛けて振り下ろした。次の瞬間、
「!?」
 セイナのブレードがバラバラに切り刻まれた。
 トウジャが高速で刀を振り、ブレードを切ったのだ。
「一応超合金のブレードなんですけど!?」
「俺の刀は特別製だ」
 驚くセイナに対し、トウジャは無表情のまま答える。
「次はこっちの番だ」
 そう言ってトウジャは再びセイナに接近し、斬りかかる。
「ぐぅ!」
 セイナは急いでアームを動かし、トウジャの斬撃を防ぐ。だが防御に使ったアームも切り落とされ、残るセイナのアームはあと4本。
 セイナな急いで後方へ飛び退くが、トウジャは速度を落とさず接近してくる。
「くっ!近付くな!」
 アームを砲に変形させ、光線を乱れ撃つ。爆煙が広がり、トウジャの姿が見えなくなった。
「ふぅ、ふぅ」
 これで少し距離を取れたかと思ったその時、煙の中から手裏剣が飛んできた。
 煙の中から投げたとは思えないほど手裏剣は正確にセイナの首へ真っ直ぐ飛んで行く。
「ぬぅっ!」
 セイナは全力で体を反らし、手裏剣を回避する。
「どうなってる!何で見えるんだ!」
 煙の中からトウジャが現れる。
「お前のようなテクノロジーに頼った奴等と俺は違う。戦闘に必要な技術、感覚、全て研ぎ澄ましている」
 トウジャはそう言いながら再び刀を構えた。
(この男、強い!)
 セイナは冷や汗を流しながらアームを集結させる。
「まだやる気か」
「当たり前よ」
「足掻こうが、死ぬのみだぞ」
「あんたがね!」
 セイナは再びアームを動かして極太光線を放つ。が、先程放った光線と同じものではなかっ た。
 太い光線は途中で10の細い光線に分裂し、それぞれが様々な挙動を描いてトウジャを襲った。
「これは・・・!」
 トウジャは驚愕しながらも素早く動き回って回避を試みる。しかし全ての光線を避けきれず、刀で弾き始めた。
「ちっ!」
「うおおぉ!!」
 そして最後に1本の光線がトウジャの肩を貫いた。
「見たか!」
 セイナは喜びの声を上げた。が、トウジャはストンと着地し、何事も無かったかのように立ち上がる。
 トウジャの肩に、穴は空いていなかった。
「・・・は?」
「錯覚を利用した忍術の一つだ。全ては捌けないと思ってな。貴様の狙いがズレるようにした」
「くっ!」
 セイナが再度分裂する光線を放とうとするが、放たれる前にアームの一つが爆発した。
「うわっ!」
「砲が限界みたいだな。煙を吹いているぞ?」
 見ると、4本全てのアームがシューと音を立て白煙を上げていた。
「・・・しゃーなし!」
 セイナがアームを全て体から切り離す。そして右手をトウジャの方へ突き出した。
「ん?」
 セイナの腕が変形し、キャノン砲になる。
「なるほど、身体の方も改造しているのか・・・だが、先程まで使わなかったと言うことは、身体への負荷が大きいのか?」
「・・・さぁね」
 トウジャの言う通りだ。身体変形での攻撃は最悪死に繋がる。が、
「どうせ殺られるなら使うわ」
「そう言うのをな、ヤケクソと言うんだ!」
 トウジャが刀を構え、セイナ目掛けて突貫する。
「食らえぇえ!」
「ふん!」
 セイナの右腕から砲撃が放たれる。真っ直ぐ飛んでいく光線を、トウジャは避けようとしない。そのまま光線がトウジャに直撃するかと思われたが、
「無駄だ!」
 なんとトウジャは光線を切り裂き、そのままセイナに迫る。
「まだだ!」
 すると今度はセイナの左腕が大砲に変わり、0距離で砲撃を撃ち込んだ。が、
「ぬぐっ!」
 トウジャはその光線も、特性の刀で受け止めた。
「ぐぉおおおお!!」
「消し飛べぇええええ!!!」
 トウジャの刀にヒビが入る。
 セイナの肩が割れ、血と何かしらの液体が噴き出す。
「舐めるなクソガキぃ!!」
 トウジャは、セイナの光線を弾き飛ばした。そして刀を大きく振り上げ、トドメの一撃を放つ。
「ぐっ」
 が、その一撃が当たるより速く、セイナが自身のマントをトウジャへ投げた。
 トウジャはマントを振り払い、セイナに刀を突き刺そうと踏み込んだ。
 が、マントの向こうから現れたセイナは右足をトウジャの方へ突き出していた。トウジャは最悪の結果を想像した。
「!」
「バァカ!」
 トウジャの想像通りセイナの足が砲に変形した。
 そして灼熱の光線がトウジャに叩き込まれる。
「消し飛んでろコスプレ野郎が!」
 セイナの光線はトウジャを押し飛ばし、ビルを幾つも貫いた後に大爆発した。
「はぁ」
 セイナはバラバラになった右足と、ほぼ動かない両腕を見て息をついた。

バトルロイヤル トウジャVSセイナ
激戦の末セイナの勝利
残り23人
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

処理中です...