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一
PK プレイヤーキル
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現代から約百年後、とあるゲームシステムが開発される。VRの進化系で、意識からゲームの世界に入り込み、まるでゲームの世界に実際に居るかのようにして遊ぶことのできるシステムだ。
そしてそのゲームシステムを使った神ゲーが生まれた。
それが『ゴッドワールド』。一般的なオープンワールドロールプレイングゲームだが、かなり特徴的なシステムがあった。
それはゲームオーバーとなった際に起こるデスペナルティ。それが他のゲームよりも圧倒的に重いのだ。
一度死ぬだけで所持金も装備もレベルもアイテムも0になってしまう鬼畜仕様。だがこの重すぎるペナルティによってゲームに緊張感が生まれ、よりこのゲームの面白さを引き立てる要因となった。
が、これ程ペナルティが重いと出てくるとあるプレイヤー達がいる。
PK(プレイヤーキル)を好んで多く行うゲーム界の殺人鬼達だ。
そしてその殺人鬼プレイヤーの中にはそれを極めに極めた猛者もいたりする・・・。
ゴッドワールド内のとある草原。五人のプレイヤーが武器を構えて慎重に歩いていた。
「罠とかは?」
大柄で鎧を着たリーダーの男が言い、仲間の盗賊が答える。
「いや、今んとこ無いっぽい」
「よーし慎重に行けよ~」
「ホントにそいつ殺しただけで十万ゴールドも貰えるの?」
今度は魔術師がリーダーに聞いた。ちなみにゴールドとはこのゲーム内の通貨のことだ。十万ゴールドはかなりの額。
「いや分からんけどあのドラゴン倒したいなら回復薬ほしいからなぁ~、十万もあれば5スタックは買えるからさあ~」
「待て何か居た!」
射手が叫び、全員がその方向を向く。
遠いが、確かに誰か立っていて、こっちに歩いて来る。
リーダーがそいつをよく見て、自分達を雇ったプレイヤーが言っていたターゲットの特徴を思い出す。
「白いフード付きマントと・・・黒い革鎧・・・身長は標準で・・・骸骨みたいなマスク!」
特徴がピッタリ一致した。
「あいつだ!あいつが『骸』だ!」
リーダーがそう叫んだ瞬間、骸が一直線に走り出した。
(速っ!間違いなくレベルはカンストしてやがる!)
このゲームにはあらゆるものにレベルがある。プレイヤーだってそうだ。そしてレベルの上限は99。奴の身体能力からして間違いなくマックスの99レベだ。
射手が矢を連続で5本放つが、4本避けられ1本は金属製の手甲で弾き落とされた。
「1本ぐらい当たるだろ普通!」
「〈ファイヤーファング〉!」
今度は魔術師が魔法を放ち、炎でできた獣の頭部が骸へ飛んでいって奴に噛み付こうとする。
が、骸はその魔法を殴って消し飛ばした。
「は!?」
この魔術師のレベルは78だ。いくらカンストしていても普通は消せない。だとすると考えられる方法は3つ。
何らかの魔法、スキルによるものか、装備の効果か、
「ステータスをめちゃくちゃ魔法防御に振ってるか」
このゲームではレベルが上がると幾つかあるステータスをより強化することができる。
物理攻撃、物理防御、魔法攻撃、魔法防御、速度、筋力、命中。各ステータスの効果は読んで字のごとく。
奴の場合このステータスを魔法防御にかなり振っている可能があるということだ。
「なら魔法はいらないな」
魔術師が下がり、残りの四人が前に出る。
骸との距離はだいたい二十メートル。
「〈ミラーフィールド〉!」
リーダーのスキル。自身を中心に半径二十メートル内では攻撃魔法が変な方向へ飛んでいってしまうという効果を持っている。
それでも骸が近付いて来ているためおそらく物理攻撃主体のアタッカー。
「なら5対1でタコ殴りだ!」
「〈ブーストアタック〉」
魔術師のバフ魔法で味方全員の物理攻撃力が上がる。そして骸は目の前。
リーダー含む前衛の三人が武器を振りかざした!
(こいつら自分のクラスを隠す気ねぇのか?)
骸は目の前の5人組に接近しながらそう思った。
クラスとは職業のことだ。クラスがバレた場合対策がされやすく、対策をされた場合苦戦を強いられるものだ。
このゲームでは正反対の装備を着ると逆に能力が下がったりする。つまり防御特化のタンクが魔法特化の魔術師の服を着たりするのはデメリットしかないということだ。
だが微妙な装備を着て誤魔化すことはできる。魔術師が敢えて軽装の鎧を着たり、タンクが敢えてモンクなどの着る僧服をきたりなど。
こいつらにはそんな工夫が一切ない。隊列もスキルも全てさらけ出している。
つまり彼の敵ではない。
骸の手甲から隠されていた刃が出てくる。
そして三人の攻撃を意図も簡単に受け流し、反撃する。
血のエフェクトが飛び散り、軽装だった二人が倒れ、タンクが数歩下がる。
(3割ぐらいは削ったかな)
無論HPのことだ。
「はぁ!?マジかよこいつ!」
(タンクの俺のHPを数発で半分近く削ってきやがった!?)
「んん?妙に驚いてるなぁ?動きも悪かったし、もしかして鎧の弱点っていう要素ご存知ない?」
「は?弱点?」
「このゲームの魔物にもさ、攻撃するとダメージが倍ほど入る部位ってあるだろ?それがプレイヤーの鎧にも設定されてるんだよ」
「〈ヒーリング〉」
魔術師がリーダーに回復の魔法を掛けるが、骸は構わず話を続ける。
「攻撃力の低いプレイヤーでも防御の硬いプレイヤーを倒せるように実装された要素だ。外見からも弱点が分かりやすくなってる。お前の場合は」
骸が自分の脇腹辺りをツンツンと指差す。
「胸部の装甲と腹部の装甲の境目」
リーダーがその位置を見る。確かにその位置にはプレートがなく、他の部位に比べて柔らかそうだ。
などと考えていると、
「!」
骸がまた接近してきた。が、今度はどこを狙ってくるのか分かっている。対策は容易。
リーダーは骸の来る位置を予測して大剣を大きく振った。
だが骸の居る位置は予想と大きく外れた。奴はジャンプして跳んできたのだ。
(大丈夫だ落ち着け!1、2発なら耐えられる!)
そして骸が腕のブレードをリーダーに突き刺した。
(!!?)
リーダーの予想は外れ、先程よりも大きくHPが減少した。
骸はリーダーの被っている兜にある覗き穴にブレードを突き刺していた。
「弱点は一つじゃねぇんだよバァカ!」
今度は弱点+頭に当たったことによるヘッドショットの判定が付き、大きなダメージを喰らうこととなったのだ。
「ぐぅっ!」
リーダーが骸を振り払い、また両者に距離があく。
「くっ!回復を──」
「〈縮地〉!」
リーダーが魔術師に回復して貰おうとした瞬間、骸がスキルを使って一瞬にしてリーダーとの距離を詰めた。
「クッソ!」
リーダーが剣を振ろうとするがもう遅い。骸の突き出したブレードがリーダーの首を貫き、リーダーはゲームオーバーとなって消えていった。
「くっ!」
射手が矢を放とうと引き絞るが、放つより先に骸が接近し、射手を切り裂いた。
「ぐぉっ!?」
そして射手は消えていった。残るは魔術師だけ。
「ええっうっそぉ!?え、マジ頼む見逃してくれよぉ!頑張ってレベル上げたばっかなんだよぉ!」
骸がゆっくりと魔術師に近付く。
「お、俺の拠点にあるレジェンダリーアイテムとか持ってくるからさぁ!頼むよ!」
「・・・関係ないね」
骸がニヤけた声でそう答える。
「クッソ!」
魔術師が杖を構えて特攻してくる。
骸は魔術師の振り下ろした杖をかわしつつ、すれ違い様に魔術師を切り裂いた。
「マジ、かよ!」
魔術師は悔しそうな声をあげて消えていった。
残ったのは骸と、あいつらの装備やらが入っている血のついた袋だけ。
骸は炎属性の魔石を取り出し、それを強く握ってヒビを入れ、草原に放った。
草はドンドン燃えていき、レッドバックも燃やして消して行った。こうすればレッドバック内のアイテムや装備は完全消滅し、二度と手に入れることはできない。
「クククッ」
骸は燃え広がる草原に寝そべった。
「スカッとするぜぇ」
彼は殺人鬼プレイヤーを極めた猛者。もはやこれでしか快感を得られなくなった変態だ。
これはそんな変態殺人鬼ガチプレイヤーである彼について語る物語である。
そしてそのゲームシステムを使った神ゲーが生まれた。
それが『ゴッドワールド』。一般的なオープンワールドロールプレイングゲームだが、かなり特徴的なシステムがあった。
それはゲームオーバーとなった際に起こるデスペナルティ。それが他のゲームよりも圧倒的に重いのだ。
一度死ぬだけで所持金も装備もレベルもアイテムも0になってしまう鬼畜仕様。だがこの重すぎるペナルティによってゲームに緊張感が生まれ、よりこのゲームの面白さを引き立てる要因となった。
が、これ程ペナルティが重いと出てくるとあるプレイヤー達がいる。
PK(プレイヤーキル)を好んで多く行うゲーム界の殺人鬼達だ。
そしてその殺人鬼プレイヤーの中にはそれを極めに極めた猛者もいたりする・・・。
ゴッドワールド内のとある草原。五人のプレイヤーが武器を構えて慎重に歩いていた。
「罠とかは?」
大柄で鎧を着たリーダーの男が言い、仲間の盗賊が答える。
「いや、今んとこ無いっぽい」
「よーし慎重に行けよ~」
「ホントにそいつ殺しただけで十万ゴールドも貰えるの?」
今度は魔術師がリーダーに聞いた。ちなみにゴールドとはこのゲーム内の通貨のことだ。十万ゴールドはかなりの額。
「いや分からんけどあのドラゴン倒したいなら回復薬ほしいからなぁ~、十万もあれば5スタックは買えるからさあ~」
「待て何か居た!」
射手が叫び、全員がその方向を向く。
遠いが、確かに誰か立っていて、こっちに歩いて来る。
リーダーがそいつをよく見て、自分達を雇ったプレイヤーが言っていたターゲットの特徴を思い出す。
「白いフード付きマントと・・・黒い革鎧・・・身長は標準で・・・骸骨みたいなマスク!」
特徴がピッタリ一致した。
「あいつだ!あいつが『骸』だ!」
リーダーがそう叫んだ瞬間、骸が一直線に走り出した。
(速っ!間違いなくレベルはカンストしてやがる!)
このゲームにはあらゆるものにレベルがある。プレイヤーだってそうだ。そしてレベルの上限は99。奴の身体能力からして間違いなくマックスの99レベだ。
射手が矢を連続で5本放つが、4本避けられ1本は金属製の手甲で弾き落とされた。
「1本ぐらい当たるだろ普通!」
「〈ファイヤーファング〉!」
今度は魔術師が魔法を放ち、炎でできた獣の頭部が骸へ飛んでいって奴に噛み付こうとする。
が、骸はその魔法を殴って消し飛ばした。
「は!?」
この魔術師のレベルは78だ。いくらカンストしていても普通は消せない。だとすると考えられる方法は3つ。
何らかの魔法、スキルによるものか、装備の効果か、
「ステータスをめちゃくちゃ魔法防御に振ってるか」
このゲームではレベルが上がると幾つかあるステータスをより強化することができる。
物理攻撃、物理防御、魔法攻撃、魔法防御、速度、筋力、命中。各ステータスの効果は読んで字のごとく。
奴の場合このステータスを魔法防御にかなり振っている可能があるということだ。
「なら魔法はいらないな」
魔術師が下がり、残りの四人が前に出る。
骸との距離はだいたい二十メートル。
「〈ミラーフィールド〉!」
リーダーのスキル。自身を中心に半径二十メートル内では攻撃魔法が変な方向へ飛んでいってしまうという効果を持っている。
それでも骸が近付いて来ているためおそらく物理攻撃主体のアタッカー。
「なら5対1でタコ殴りだ!」
「〈ブーストアタック〉」
魔術師のバフ魔法で味方全員の物理攻撃力が上がる。そして骸は目の前。
リーダー含む前衛の三人が武器を振りかざした!
(こいつら自分のクラスを隠す気ねぇのか?)
骸は目の前の5人組に接近しながらそう思った。
クラスとは職業のことだ。クラスがバレた場合対策がされやすく、対策をされた場合苦戦を強いられるものだ。
このゲームでは正反対の装備を着ると逆に能力が下がったりする。つまり防御特化のタンクが魔法特化の魔術師の服を着たりするのはデメリットしかないということだ。
だが微妙な装備を着て誤魔化すことはできる。魔術師が敢えて軽装の鎧を着たり、タンクが敢えてモンクなどの着る僧服をきたりなど。
こいつらにはそんな工夫が一切ない。隊列もスキルも全てさらけ出している。
つまり彼の敵ではない。
骸の手甲から隠されていた刃が出てくる。
そして三人の攻撃を意図も簡単に受け流し、反撃する。
血のエフェクトが飛び散り、軽装だった二人が倒れ、タンクが数歩下がる。
(3割ぐらいは削ったかな)
無論HPのことだ。
「はぁ!?マジかよこいつ!」
(タンクの俺のHPを数発で半分近く削ってきやがった!?)
「んん?妙に驚いてるなぁ?動きも悪かったし、もしかして鎧の弱点っていう要素ご存知ない?」
「は?弱点?」
「このゲームの魔物にもさ、攻撃するとダメージが倍ほど入る部位ってあるだろ?それがプレイヤーの鎧にも設定されてるんだよ」
「〈ヒーリング〉」
魔術師がリーダーに回復の魔法を掛けるが、骸は構わず話を続ける。
「攻撃力の低いプレイヤーでも防御の硬いプレイヤーを倒せるように実装された要素だ。外見からも弱点が分かりやすくなってる。お前の場合は」
骸が自分の脇腹辺りをツンツンと指差す。
「胸部の装甲と腹部の装甲の境目」
リーダーがその位置を見る。確かにその位置にはプレートがなく、他の部位に比べて柔らかそうだ。
などと考えていると、
「!」
骸がまた接近してきた。が、今度はどこを狙ってくるのか分かっている。対策は容易。
リーダーは骸の来る位置を予測して大剣を大きく振った。
だが骸の居る位置は予想と大きく外れた。奴はジャンプして跳んできたのだ。
(大丈夫だ落ち着け!1、2発なら耐えられる!)
そして骸が腕のブレードをリーダーに突き刺した。
(!!?)
リーダーの予想は外れ、先程よりも大きくHPが減少した。
骸はリーダーの被っている兜にある覗き穴にブレードを突き刺していた。
「弱点は一つじゃねぇんだよバァカ!」
今度は弱点+頭に当たったことによるヘッドショットの判定が付き、大きなダメージを喰らうこととなったのだ。
「ぐぅっ!」
リーダーが骸を振り払い、また両者に距離があく。
「くっ!回復を──」
「〈縮地〉!」
リーダーが魔術師に回復して貰おうとした瞬間、骸がスキルを使って一瞬にしてリーダーとの距離を詰めた。
「クッソ!」
リーダーが剣を振ろうとするがもう遅い。骸の突き出したブレードがリーダーの首を貫き、リーダーはゲームオーバーとなって消えていった。
「くっ!」
射手が矢を放とうと引き絞るが、放つより先に骸が接近し、射手を切り裂いた。
「ぐぉっ!?」
そして射手は消えていった。残るは魔術師だけ。
「ええっうっそぉ!?え、マジ頼む見逃してくれよぉ!頑張ってレベル上げたばっかなんだよぉ!」
骸がゆっくりと魔術師に近付く。
「お、俺の拠点にあるレジェンダリーアイテムとか持ってくるからさぁ!頼むよ!」
「・・・関係ないね」
骸がニヤけた声でそう答える。
「クッソ!」
魔術師が杖を構えて特攻してくる。
骸は魔術師の振り下ろした杖をかわしつつ、すれ違い様に魔術師を切り裂いた。
「マジ、かよ!」
魔術師は悔しそうな声をあげて消えていった。
残ったのは骸と、あいつらの装備やらが入っている血のついた袋だけ。
骸は炎属性の魔石を取り出し、それを強く握ってヒビを入れ、草原に放った。
草はドンドン燃えていき、レッドバックも燃やして消して行った。こうすればレッドバック内のアイテムや装備は完全消滅し、二度と手に入れることはできない。
「クククッ」
骸は燃え広がる草原に寝そべった。
「スカッとするぜぇ」
彼は殺人鬼プレイヤーを極めた猛者。もはやこれでしか快感を得られなくなった変態だ。
これはそんな変態殺人鬼ガチプレイヤーである彼について語る物語である。
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