PK以外に興味なし

えるだ~

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集団PK

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「〈ワンダリングカダバー〉」
 大男の横にいた魔術師が魔法を唱える。すると、周囲に転がっている無数のレッドバッグからブクブクと肉のような物が溢れだし、肉体を作り出した。
 現れたのはゾンビだ。
「死体操作の魔術か、面倒だな」
 本来の死体操作は、レベルが少し高ければ抵抗できる上、生まれるゾンビは雑魚なのであまり使われない魔術だが、死体が抵抗すらしない上に大量にあるなら話は別だ。
「ブガァアア」「グゥウウ」「ブォオオオ」
 何十体ものゾンビがゆっくりと動き出し、ジャックへ向かってくる。
 ジャックはそのゾンビ達も次々と切り捌くが、それと同時にプレイヤーも攻撃してくるし、そのプレイヤーがまた新しいゾンビになる。キリがない。
「ちっ、面倒臭い」
「グブオオォ!」
 大柄のプレイヤーのゾンビがジャックに襲い掛かるが、ジャックの回し蹴りが顔面にヒットし、頭が吹き飛ぶ。すると、
「ぬぉおお!」
 バラバラと消えて行くゾンビの後ろからあの大男が現れ、ハンマーを力強く振るった。
 ジャックは回避しようと体を動かすが、
「とりゃ!」
「!」
 プレイヤーの一人がジャックに飛び付き動きを止める。
「ちっ!」
 ジャックは咄嗟に刀を前に出してハンマーの一撃を受けるが、あまりのパワーに吹き飛ばされ、建物を一軒突き破ってその奥の建物に激突する。
「ぐっ、クソッ」
 ジャックは瓦礫を押し退けて立ち上がり、刀を構える。
「行くぞ!」
 大男は地を蹴りジャックに近付く。
「〈破壊〉!」
 そしてスキルを乗せたハンマーを思い切り振り下ろした。
「〈血爪〉!」
 ジャックはハンマーを避けて強化したブレードを使い一撃食らわせるが、大男は止まらない。
「〈破壊・連〉!」
 ハンマーを持ち上げて、大男は先程の強力な攻撃を連打した。
 が、ジャックは落ち着いてこの連打を全て避ける。
「なっ!?」
「動きが単調だな」
 ジャックは地面にめり込んだらハンマーを踏んづけ、大男に接近する。
「〈刃脚〉」
 そしてジャックの強力な回し蹴りが奴の頭にぶち当たるが、大男は止まらずジャックを掴もうと手を伸ばす。
「〈切断〉!」
 その手をスキルで切るが、腕は切り落とされない。対策はしているようだ。だがダメージは入る。
「〈血射刃〉!」
 ジャックは血で円ノコギリのような刃を作り出し、それを飛ばして大男を切り付ける。
 それでも大男は止まらない。ジャックの踏んづけるハンマーを無理矢理持ち上げてみせた。
「・・・幾らなんでもタフ過ぎるな」
 怪しく思ったジャックが奴と周囲をよく見る。
「やっちまえ~」「やれやれー」「叩き潰せ~」
 屋根上のプレイヤー達がそんな事を叫んでいた。のだが、
「・・・なるほど」
 奴の種を理解したジャックは、大男を無視して屋根上に飛び上がった。
「うぇっ!?」
 予想通りプレイヤー達は逃げ出す。先程まではあんなに群がって来たのきだ。
「〈縮地〉〈吸血〉」
 ジャックはプレイヤーの一人に接近し、ブレードを突き刺して血を吸い取った。
「やばっ!」「逃げろ!」
「〈燕血〉!」
 逃げるプレイヤーは後五人。それを確認したジャックは血の燕を五匹放ち、ほぼ同時に五人のプレイヤーを貫かせた。
 全員が死んだことを確認し、ジャックは屋根から下にいる大男を見下ろす。
 明らかに表情が変わっていた。絶望の顔だ。
「やっぱり合ってたか」
 ジャックは足元にあったレッドバッグからアイテムを一つ取り出す。それは御札のようなレアアイテムだった。
「呪傷符。範囲内にいる呪福符を持つ者の受けたダメージを肩代わりするアイテムだな。妙に敵の減りが早いと思ったら」
 最初は何十人もいたプレイヤーがいつの間にか六人にまで減っていたのだ。流石に気付く。
「で、呪福符はお前が持ってるんだな」
 ジャックは屋根からピョンッと飛び降り、大男の前に立つ。
「お前等の敗けだよ」
「───!!うるせぇ!」
 大男はハンマーを振り上げ、そして振り下ろす。が、それは意図も容易く避けられる。
「〈螺旋血拳〉」
 そしてスキルを乗せた拳が大男に叩き込まれた。
「ぐふっ!──まだ!終わりじゃねぇぞぉ!」
 大男はそう叫びながら消えて行った。
「・・・終わりだよ」
 ジャックはポーチから回復薬を取り出し、使用しようとした。そして、
 ジャックはそれを察知し、飛来した物体を掴んで止めた。
 手に握られていたのは矢だ。
「・・・矢?」
 しかもただの矢ではなかった。
 ピカッと矢の先端が光り、次の瞬間爆発した。
「・・・いてぇなぁ」
 爆煙を振り払ったジャックが、矢の飛んできた方向を見る。そこには、
 四人のプレイヤーが屋根上に立っていた。
「お久しぶりだね、血骨君」
 その内の一人、僧侶のようなハゲ頭が声を出した。
 
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