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二
日本晴れ
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ガイルはとある街に訪れ、買い物を済ませると路地裏に入って行った。迷路のように入り組む路地を進み、しばらく歩くと一人のプレイヤーが見えた。
そいつはスズメのような小さい鳥型魔物を飛ばしている。
「よ、サジさん」
「んぉ?あ、ガイルかぁ」
眼鏡を掛けた低身長な男。彼の名前はサジといい、少し有名なプレイヤーだ。
「また、いいプレイヤー探してんの?」
「そうともさ。ほら」
そう言ってガイルはポーチから小袋を取り出し、サジに渡す。中に入っているのは1万ゴールドだ。
「毎度あり~、そんじゃあこんなのはどうかな?」
金を受け取り、サジは一枚の紙を取り出す。それには何か色々と書き込まれていた。
「・・・そいつは?」
「へへへ、聞いて驚け、なんと!元ニホンバレメンバーでエースを名乗ってた女だ!」
「ニホンバレの?」
ニホンバレは日本サーバーで最も有名で最も強いとされるクランのことだ。そこの元メンバーでエースとは。
「・・・中々面白そうだ。なんで元?クランを抜けた理由は?」
クランから一度退会するとそのアカウントは二度とそのクランに戻ることはできない。エースとまで呼ばれるプレイヤーを抜けさせるのはいい判断とは言えないはずだ。
「さぁな?余程のひねくれ野郎だったんじゃねぇの?知らんけど」
「・・・そうか。まぁいい、ありがとな。また来るよ」
「死ぬなよお得意さん」
「あいよ」
ガイルは路地裏を後にした。
ガイルは書類を見直し、最近ターゲットがよく通っているという橋の上で待つことにした。
橋に到着して待つこと数時間、ターゲットが現れた。
「お」
「あ?何かよう?」
金髪ツインテールの小柄な女で、大きな戦斧を背負っている。間違いない。
「お前が元ニホンバレメンバーのテイラだな」
「・・・そうだよ。で、何ようさ?」
ガイルは背に背負っていた双剣を手に取り、テイラを睨みながら兜の下でニヤリと笑う。
「お命頂戴ってことさ」
「あそ、じゃあ殺すよ」
テイラも戦斧を取り出した。そして、
「〈縮地〉!」
テイラがスキルを発動させ、瞬時にガイルとの距離を詰める。
「オンドリャァッ!!」
そして力一杯その巨大な斧を振り下ろす。
「ぬっと!」
ガギンッ!と鈍い金属音が響き渡る。テイラの斧はガイルの双剣によって防がれた。
「〈剛力〉!」
テイラは次のスキルを発動し、自身の筋力を増強させる。そしてガイルに蹴りをお見舞いした。
「うおっ」
ガイルも足を上げて蹴りを足で防ぐが、強化されたその一撃の威力は中々なもので、ガイルは橋の板材を足甲で削りながら橋中央まで滑っていった。
「あいたたた」
大した量ではないが、HPが削られた。一応防御したのだが、そうとは思えない程の減りだ。
「物理攻撃が強いな」
ガイルは構えを変える。
「ならっ!」
そしてブキオリをテイラ目掛けてブン投げた。
「うわっ!」
急に飛んで来た剣に驚きつつも、テイラは戦斧を使ってブキオリを弾き返す。が、
「ん!?」
飛んで来たブキオリの柄には、オレンジに光る縄のようなものが巻き付いていて、その縄はガイルの手に繋がっていた。
「!!」
「ほらよっ!」
そしてガイルは、魔法の縄に繋がれたブキオリを、鎖に繋がれたモーニングスターのようにブンブンと振り回し、遠心力を活かしてテイラに連撃を加えた。
「くっ!」
戦斧での近距離攻撃しか攻撃方法のないテイラは、中距離で武器を振り回すガイルに何かすることは出来ない。
近付こうにもブキオリの連撃が邪魔をする。
「くっ!ぬおっ!?」
少しずつだが、テイラは攻撃を捌き切れず着実しダメージを受けている。ジリ貧だ。
が、その時、
「こんのっ!」
テイラは戦斧から片手を離し、向かってきたブキオリを掴んで受け止めた。
「ぬんっ!」
そして戦斧を持ち上げ、ブキオリに繋がっている魔法の縄を切る。
「よしっ!」
そして顔を上げると、トウワリを握ったガイルが迫って来ていた。
「くっ!」
ガイルのトウワリによる攻撃を、テイラは戦斧で防ごうとした。のだが、
バキャッ!と嫌な音が響いた。
「はっ!?」
なんと、テイラの戦斧がトウワリの一撃によってバラバラに破壊されたのだ。
「バカが!」
ガイルの使用する双剣、『トウワリ』と『ブキオリ』は変形武器と呼ばれる一年前のアップデートで追加された要素の武器で、合体させたりすることで変形し、扱い方を変化させられるという特徴を持つ。
だが、ガイルのトウワリとブキオリの効果はそれだけではない。トウワリには相手の頭に当てた場合のダメージを上げ、ブキオリには武器の破壊を得意とする能力があるのだ。名前の通りに。
盾でもない戦斧でブキオリの攻撃をあれほど受けたのだ、壊れて当然だろう。
「くっ!」
「無駄!」
テイラは腕を使って攻撃を防ごうとするが、ガイルの攻撃力はテイラの肉体の防御力を上回る。
結果テイラの防御はガイルの攻撃のダメージをろくに軽減せず、テイラは体を袈裟斬りにされて血が噴き出した。
「ぐわぁっ!」
そいつはスズメのような小さい鳥型魔物を飛ばしている。
「よ、サジさん」
「んぉ?あ、ガイルかぁ」
眼鏡を掛けた低身長な男。彼の名前はサジといい、少し有名なプレイヤーだ。
「また、いいプレイヤー探してんの?」
「そうともさ。ほら」
そう言ってガイルはポーチから小袋を取り出し、サジに渡す。中に入っているのは1万ゴールドだ。
「毎度あり~、そんじゃあこんなのはどうかな?」
金を受け取り、サジは一枚の紙を取り出す。それには何か色々と書き込まれていた。
「・・・そいつは?」
「へへへ、聞いて驚け、なんと!元ニホンバレメンバーでエースを名乗ってた女だ!」
「ニホンバレの?」
ニホンバレは日本サーバーで最も有名で最も強いとされるクランのことだ。そこの元メンバーでエースとは。
「・・・中々面白そうだ。なんで元?クランを抜けた理由は?」
クランから一度退会するとそのアカウントは二度とそのクランに戻ることはできない。エースとまで呼ばれるプレイヤーを抜けさせるのはいい判断とは言えないはずだ。
「さぁな?余程のひねくれ野郎だったんじゃねぇの?知らんけど」
「・・・そうか。まぁいい、ありがとな。また来るよ」
「死ぬなよお得意さん」
「あいよ」
ガイルは路地裏を後にした。
ガイルは書類を見直し、最近ターゲットがよく通っているという橋の上で待つことにした。
橋に到着して待つこと数時間、ターゲットが現れた。
「お」
「あ?何かよう?」
金髪ツインテールの小柄な女で、大きな戦斧を背負っている。間違いない。
「お前が元ニホンバレメンバーのテイラだな」
「・・・そうだよ。で、何ようさ?」
ガイルは背に背負っていた双剣を手に取り、テイラを睨みながら兜の下でニヤリと笑う。
「お命頂戴ってことさ」
「あそ、じゃあ殺すよ」
テイラも戦斧を取り出した。そして、
「〈縮地〉!」
テイラがスキルを発動させ、瞬時にガイルとの距離を詰める。
「オンドリャァッ!!」
そして力一杯その巨大な斧を振り下ろす。
「ぬっと!」
ガギンッ!と鈍い金属音が響き渡る。テイラの斧はガイルの双剣によって防がれた。
「〈剛力〉!」
テイラは次のスキルを発動し、自身の筋力を増強させる。そしてガイルに蹴りをお見舞いした。
「うおっ」
ガイルも足を上げて蹴りを足で防ぐが、強化されたその一撃の威力は中々なもので、ガイルは橋の板材を足甲で削りながら橋中央まで滑っていった。
「あいたたた」
大した量ではないが、HPが削られた。一応防御したのだが、そうとは思えない程の減りだ。
「物理攻撃が強いな」
ガイルは構えを変える。
「ならっ!」
そしてブキオリをテイラ目掛けてブン投げた。
「うわっ!」
急に飛んで来た剣に驚きつつも、テイラは戦斧を使ってブキオリを弾き返す。が、
「ん!?」
飛んで来たブキオリの柄には、オレンジに光る縄のようなものが巻き付いていて、その縄はガイルの手に繋がっていた。
「!!」
「ほらよっ!」
そしてガイルは、魔法の縄に繋がれたブキオリを、鎖に繋がれたモーニングスターのようにブンブンと振り回し、遠心力を活かしてテイラに連撃を加えた。
「くっ!」
戦斧での近距離攻撃しか攻撃方法のないテイラは、中距離で武器を振り回すガイルに何かすることは出来ない。
近付こうにもブキオリの連撃が邪魔をする。
「くっ!ぬおっ!?」
少しずつだが、テイラは攻撃を捌き切れず着実しダメージを受けている。ジリ貧だ。
が、その時、
「こんのっ!」
テイラは戦斧から片手を離し、向かってきたブキオリを掴んで受け止めた。
「ぬんっ!」
そして戦斧を持ち上げ、ブキオリに繋がっている魔法の縄を切る。
「よしっ!」
そして顔を上げると、トウワリを握ったガイルが迫って来ていた。
「くっ!」
ガイルのトウワリによる攻撃を、テイラは戦斧で防ごうとした。のだが、
バキャッ!と嫌な音が響いた。
「はっ!?」
なんと、テイラの戦斧がトウワリの一撃によってバラバラに破壊されたのだ。
「バカが!」
ガイルの使用する双剣、『トウワリ』と『ブキオリ』は変形武器と呼ばれる一年前のアップデートで追加された要素の武器で、合体させたりすることで変形し、扱い方を変化させられるという特徴を持つ。
だが、ガイルのトウワリとブキオリの効果はそれだけではない。トウワリには相手の頭に当てた場合のダメージを上げ、ブキオリには武器の破壊を得意とする能力があるのだ。名前の通りに。
盾でもない戦斧でブキオリの攻撃をあれほど受けたのだ、壊れて当然だろう。
「くっ!」
「無駄!」
テイラは腕を使って攻撃を防ごうとするが、ガイルの攻撃力はテイラの肉体の防御力を上回る。
結果テイラの防御はガイルの攻撃のダメージをろくに軽減せず、テイラは体を袈裟斬りにされて血が噴き出した。
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