PK以外に興味なし

えるだ~

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決闘

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 ガイルはドウザキを双剣に戻してチラッとチカを見た。
「なんだチカ生きてたのか?俺が戻るまで持たないと思ってたが」
「舐めんじゃねぇよ・・・でどうする?このままじゃ二対一でも不利だぞ」
「あぁ、もっと体力を削ってから使う予定だったが・・・出し惜しみなしだ」
 チカはニッと笑う。
 そして二人は自身の拳を合わせ、打ち鳴らした。
「《奥義展開》!!」
「《奥義解放》!!」
 二人の奥義が発動する。
「《炎身えんしん》!!」
「《斬裂魔チカチーロ》!!」
 するとガイルの全身は豪炎に纏われ、チカの背には亡霊のような何かがしがみつく様にして顕現した。
「準備万端!」
「ブチ殺してやる!」
 二人は意気揚々と宣言する。
「・・・・・・」
 二人の奥義を見たジャックは、足元に落ちていた石ころを二人に向かってそれぞれ蹴飛ばした。
 石ころは真っ直ぐ飛んで行ったが、ガイルへ飛んで行った石は彼に当たり前に燃え尽き、チカへ飛んで行った石は彼女の背に憑く亡霊が切り裂いて打ち落とした。
「なるほど・・・」
 ジャックは完全に理解した。二人の奥義の効果は接近する敵対物への自動迎撃。その効果を抜けて彼等にダメージを与える為には風や電気の魔法のような非物理系の攻撃を行う必要があるのだろう。だがジャックにそういった攻撃手段はない。
 自分で近付いて攻撃しようにも炎と亡霊に攻撃される。実質四対一な上に内二人は倒しようがない奥義の効果。
 二人はニヤリと笑い、武器を構える。だが、
「8人だ」
 突然ジャックがそう言い、二人は動きを止める。
「ここ二年で俺が殺した奥義使いが8人。内3人はお前達のように俺狙って、お前達と同じような効果の奥義を身に付けていた。1人目は勿論苦戦した。だがそれを得て学習して、俺も対策を身に付けた」
「・・・は?」
 思わずガイルが声を漏らす。するとジャックは背の刀に手を伸ばし、柄を掴んだ。
 そしてゆっくりと鞘から引き抜く。それと同時に彼の身体から血が溢れ出した。その血は彼を覆うように渦巻き、形を変える。
「身を包む奥義は、同じく身を包む奥義で効果を相殺できる」
 血がジャックの装備を補強するように変形して硬化し、彼の鎧となった。ドクロの仮面はより凶悪な形となり、首巻きとフードも赤黒く変わる。
「・・・マジかよ」
 そうして『嚇』が完全に引き抜かれ、奥義の発動が完了した。
「《奥義発動 血闘真具那けっとうマグナ》」
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