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第3章 準備を整えよう
第26話 黒装束の男
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しばらく休んでいると、視界に黒装束をまとった男が映った。
──いつの間に!
警戒を緩めすぎて彼の存在に気がつくのが遅れた。明らかに怪しい。やつらの仲間なのだろうか。男は、こちらに気づに、独り言をつぶやきながら歩いていた。
「ちっ……余計な事をするからだ。手間が増えた……」
そんな怪しい男に、俺は後ろから話しかけた。
「あの……あなたはいったい、誰ですか?」
男は、びっくりした様子で振り向き、言葉を返す。
「はっ……いつからそこに……。俺は……ギルドの依頼で街娘を助けに来た、そうそう、冒険者……冒険者だよ。来てみれば……既に救い出された後じゃないですかあ……もう参ったね」
「ああ、そうか……悪いな。俺たちも、身内が捕まってたんだ」
「そうだったんですかぁ。それじゃあ、仕方ないですよねぇ」
そう言って、その男は食虫植物の花の部分を剣で叩き割ると、中から紫色の水晶を取り出した。俺は、紫色の水晶が気になったので、それが何なのかを問いただした。
「その水晶、何ですか?」
黒装束の男は答える。
「ああ、そうそう。この『シバリカズラ』には、たまにレアがあって、この水晶が入ってることがあるんですよ」
そう言いながら、本来なら助ける予定の町娘に見向きもせず、町娘を捕らえていた食虫植物の花を割って、次々と紫色の水晶を取り出していた。
「レアな割には水晶が沢山取れるね。実は、そんなにレアじゃなかったり?」
気まずい顔をして、水晶を袋に詰めている。やはり、その紫色の水晶には、何かありそうだ。
「レアだと思ったんだけどねぇ……実はコモンだったりするのかな」
男は、話をごまかし始めた。俺の、昔から備わっているパッシブスキル『疑心』は、この不自然な言葉の変化を見逃さなかった。
「実は、水晶なんて、元からないんだよね……それはいったい何の水晶なのかな?」
疑いの声で問い詰めた。いわゆる鎌かけだ。
「いるんだよね、こういう勘のいいやつ。そして、その勘の良さで命を縮めるやつ」
男は、黒装束を脱ぐ。その姿は、黒光りする龍のような鎧を着た、金髪のイケメンな青年だった。すさまじい闘気を放っている。
勘が当たりすぎるのも困りものだ。どうやら、聞いてはいけないことを聞いてしまったらしい。
黒装束の男は剣を抜いた。そして、俺に切りかかってくる。
「【カウンターディフェンド】!」
俺は、すぐに立ち上がり、防御のスキルを張った。光輝く障壁が俺を包む。
スキルを張ったことに気づいたのか、男は、攻撃をしようとした剣を止める。
「物理防壁か……あんた、守護騎士だな」
そう言うと、男は俺に剣先を向け、力を集中し始めた。
「じゃあ、これで攻撃するだけだ」
男の周囲から、冷やリとした空気が漂ってくる。まるで、やつの剣に、冷気が集まっているようだ。
「【冷剣アイスソード】!」
剣に集まっていく冷気は、やがて形を成し、ドリルのような氷のやりになった。もし、この攻撃がスキルによるものなら、今の俺には、スキルで防ぐ手段はない。
──その時だ!
「【グラバテンション】!」
ファリスのスキル発動の声が響き渡った。ファリスが戻ってきたということは、ケンタ君は無事、荷車に搬送したということか。
男は、苦しそうにファリスの方を向き、声を上げる。
「チッ、強制的に注意を引くスキルか!」
操られるかのように、男は、ファリスの方へと足を向けた。その顔を確認したファリスは、ものすごい目つきで男を睨みつけ、声をあげた。
「お前、『アラン』だな」
「誰かと思えば……死神ファリスか。久しぶりだな」
──2人は、知り合いなのか!?
「なぜお前がここにいる!」
「そりゃーこっちのセリフだぜ。まだ『ツンダーラ帝国』の犬をやってるのか」
「あっしにはそんなつもりはない。今はあるじに仕える身だ」
「あるじ? まさか、こいつの事じゃないだろうな」
アランは、俺を指さした。確かに、俺は弱いかもしれない。少しムカついたが、ここは冷静に話を聞いてみる事にした。
「黙れ! あっしのあるじをこいつ呼ばわりするな!」
「弱いあるじを持つと苦労するって、前に教えたはずなんだけどねぇ」
「あるじは弱くはない! それより、なぜあの時ファイナルエンドを撃った!」
「ファイナルエンド? ああ、思い出した。邪神ソディカ討伐の事だな」
「なぜ、味方を巻き込んだ!」
2人の雰囲気は、親しげのようで、それでいて、険悪な雰囲気が漂っている。おそらく、知り合い以上の関係なことは確かだ。過去に何かあったのだろうか。会話はその後も続いた。
──いつの間に!
警戒を緩めすぎて彼の存在に気がつくのが遅れた。明らかに怪しい。やつらの仲間なのだろうか。男は、こちらに気づに、独り言をつぶやきながら歩いていた。
「ちっ……余計な事をするからだ。手間が増えた……」
そんな怪しい男に、俺は後ろから話しかけた。
「あの……あなたはいったい、誰ですか?」
男は、びっくりした様子で振り向き、言葉を返す。
「はっ……いつからそこに……。俺は……ギルドの依頼で街娘を助けに来た、そうそう、冒険者……冒険者だよ。来てみれば……既に救い出された後じゃないですかあ……もう参ったね」
「ああ、そうか……悪いな。俺たちも、身内が捕まってたんだ」
「そうだったんですかぁ。それじゃあ、仕方ないですよねぇ」
そう言って、その男は食虫植物の花の部分を剣で叩き割ると、中から紫色の水晶を取り出した。俺は、紫色の水晶が気になったので、それが何なのかを問いただした。
「その水晶、何ですか?」
黒装束の男は答える。
「ああ、そうそう。この『シバリカズラ』には、たまにレアがあって、この水晶が入ってることがあるんですよ」
そう言いながら、本来なら助ける予定の町娘に見向きもせず、町娘を捕らえていた食虫植物の花を割って、次々と紫色の水晶を取り出していた。
「レアな割には水晶が沢山取れるね。実は、そんなにレアじゃなかったり?」
気まずい顔をして、水晶を袋に詰めている。やはり、その紫色の水晶には、何かありそうだ。
「レアだと思ったんだけどねぇ……実はコモンだったりするのかな」
男は、話をごまかし始めた。俺の、昔から備わっているパッシブスキル『疑心』は、この不自然な言葉の変化を見逃さなかった。
「実は、水晶なんて、元からないんだよね……それはいったい何の水晶なのかな?」
疑いの声で問い詰めた。いわゆる鎌かけだ。
「いるんだよね、こういう勘のいいやつ。そして、その勘の良さで命を縮めるやつ」
男は、黒装束を脱ぐ。その姿は、黒光りする龍のような鎧を着た、金髪のイケメンな青年だった。すさまじい闘気を放っている。
勘が当たりすぎるのも困りものだ。どうやら、聞いてはいけないことを聞いてしまったらしい。
黒装束の男は剣を抜いた。そして、俺に切りかかってくる。
「【カウンターディフェンド】!」
俺は、すぐに立ち上がり、防御のスキルを張った。光輝く障壁が俺を包む。
スキルを張ったことに気づいたのか、男は、攻撃をしようとした剣を止める。
「物理防壁か……あんた、守護騎士だな」
そう言うと、男は俺に剣先を向け、力を集中し始めた。
「じゃあ、これで攻撃するだけだ」
男の周囲から、冷やリとした空気が漂ってくる。まるで、やつの剣に、冷気が集まっているようだ。
「【冷剣アイスソード】!」
剣に集まっていく冷気は、やがて形を成し、ドリルのような氷のやりになった。もし、この攻撃がスキルによるものなら、今の俺には、スキルで防ぐ手段はない。
──その時だ!
「【グラバテンション】!」
ファリスのスキル発動の声が響き渡った。ファリスが戻ってきたということは、ケンタ君は無事、荷車に搬送したということか。
男は、苦しそうにファリスの方を向き、声を上げる。
「チッ、強制的に注意を引くスキルか!」
操られるかのように、男は、ファリスの方へと足を向けた。その顔を確認したファリスは、ものすごい目つきで男を睨みつけ、声をあげた。
「お前、『アラン』だな」
「誰かと思えば……死神ファリスか。久しぶりだな」
──2人は、知り合いなのか!?
「なぜお前がここにいる!」
「そりゃーこっちのセリフだぜ。まだ『ツンダーラ帝国』の犬をやってるのか」
「あっしにはそんなつもりはない。今はあるじに仕える身だ」
「あるじ? まさか、こいつの事じゃないだろうな」
アランは、俺を指さした。確かに、俺は弱いかもしれない。少しムカついたが、ここは冷静に話を聞いてみる事にした。
「黙れ! あっしのあるじをこいつ呼ばわりするな!」
「弱いあるじを持つと苦労するって、前に教えたはずなんだけどねぇ」
「あるじは弱くはない! それより、なぜあの時ファイナルエンドを撃った!」
「ファイナルエンド? ああ、思い出した。邪神ソディカ討伐の事だな」
「なぜ、味方を巻き込んだ!」
2人の雰囲気は、親しげのようで、それでいて、険悪な雰囲気が漂っている。おそらく、知り合い以上の関係なことは確かだ。過去に何かあったのだろうか。会話はその後も続いた。
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