24 / 31
第二十四話 伝説の鎧
しおりを挟む
国王側に残ってくれた王宮騎士団が最後の結界の塔を守ってくれていたおかげで城はまだ無事だった。だが、陥落寸前だ。急がなければならない。今攻めてきているのはオークの軍勢約1万。おそらく、魔物使いの仕業だ。
もちろん、このオークの軍勢を撃退したとしても、消耗しきったところを反乱軍が襲撃する手はずになっていることだろう。
こちらの兵力は王宮騎士団500と一般兵3000。残りの5万はユダ・ブルータス侯爵側についているものだと思われる。
だが、ユダ一人に、それだけの力があるとは思えない。何か裏があるはずだ。
おそらく、奴の後ろ盾にエムジー国がかかわっている可能性がある。外交上、エムジー国とつながりがあるのは奴だけだ。それに、エムジー国に関しては、内部工作を得意とする精鋭が多いと聞く。
弱みを握られたか、あるいは金で釣られたか、どちらにしても、軍資金を提供しているのは、おそらくエムジー国で間違いないだろう。
もし、エムジー国がこの内戦に手を出してくるようなら、絶望的な兵力がさらに絶望的になる。
さすがにそうなったら通常装備では苦しい。何らかの強化は必要だ。
なので私は、国王を無理やり説得し、メイデンアーマーと呼ばれるフルプレートの鎧を持ち出したのだ。
──メイデンアーマー──
過去、歴戦の姫騎士と呼ばれたコッコ・ローゼ。私の祖母が愛用した最強の鎧。
シルバーのゲルマニウムミスリル合金で作られた世界に一つしかない鎧だ。それが今、私の手元にある。
見た目は普通の鎧だが、内側に謎の突起物が張り巡らされている。実は、その突起物が曲者だ。
この突起物の数は全部で約700個。その全てが人体にある経絡秘孔という謎のツボと同じ場所に位置している。
この鎧はもともと東方の寺に住む昇林寺の老師が作ったものだ。彼は、力を求め、人体の研究を重ねた。
弱い刺激はこれを鼓舞し、適度の刺激はこれを亢進し、強い刺激はこれを抑制し、最も強い刺激はこれを停止する。
老師は、その4大原則を捻じ曲げ、十二の経絡を全て活性化させる方法を見つけた。その方法は、鎧に突起を仕込み、一度にすべての気の流れを調整することだった。それによって、人体の限界なる力を引き出すことに成功したのだ。
老師は、自分の体で鎧の効果を実験した。だが、その痛みに耐えられず、老師は発狂して狂い死ぬ。それ以来、鎧はただの拷問器具として扱われ、時が過ぎてただの骨董となってしまった。
だが、その骨董を入手し、その痛みに耐え、最強の力を得た者がいた。それが、メイデンアーマーの所持者である私の祖母、コッコ・ローゼだ。
実際のところ、祖母は最強になるつもりはなく、ただの拷問マニアだったようだ。たまたまこの鎧を見つけて装着したら、最強になってしまったと言っていたが……
……と、話が横にそれてしまったが、今から私は、その伝説のメイデンアーマーを着用する。
エミリアに、鎧を持たせ、装着を手伝ってもらうことにした。
パーツを装着する度に未知の激痛が襲う。
足を装着する。足の裏が……ふくらはぎが……すねが……膝が……
「はうっ」
続いて腰。尻が……股関節が……
「ウホッ」
そして、胴。ヘソが……胸が……背中が……肋骨が……
「おふぅっ」
さらに、腕と肩。指が……肘が……肩甲骨が……鎖骨が……僧帽筋が……
「うあああああ!」
まるで、体中に杭を打たれたような感覚だ。体をちょっとでも動かせば、その激痛はさらに脳を刺激し、意識が持っていかれそうになる。
「うへへ……うへへへ……」
「教官……もうやめてください!」
エミリアは涙目で、兜を抱えていた。
「ら……だめだ! 最後まで装着しないと、力は得られない! エミリア、頼む。お前の手でその兜を私の頭にかぶせてくれ!」
もう少しで、全ての鎧を装着できる。
「教官……わかりました。じゃあ、いきますよ……せえのっ!」
エミリアは、勢いよく兜を私の頭にかぶせてくれた。
「うぽあっ!」
エミリアのおかげで最後のパーツを装備することができた。
これで、全て装備した。
鼓動が早まる。体中の筋肉が悲鳴を上げる。目にキラキラとした光が見える。
力がみなぎってくる。鎧が服のように軽い。
全ての痛みは、快感へと変換されていく。
もう、突起の痛みは感じない。まるで、鎧と一体化した気分だ。
「ど……どーやら私は、限界を突破した……よ……よーだ。じゃ、オークを蹴散らしてくるー」
声を出しただけで……快感が、止まらない!
私は、その快感に任せてオークの群れへと突っ込んでいった。
もちろん、このオークの軍勢を撃退したとしても、消耗しきったところを反乱軍が襲撃する手はずになっていることだろう。
こちらの兵力は王宮騎士団500と一般兵3000。残りの5万はユダ・ブルータス侯爵側についているものだと思われる。
だが、ユダ一人に、それだけの力があるとは思えない。何か裏があるはずだ。
おそらく、奴の後ろ盾にエムジー国がかかわっている可能性がある。外交上、エムジー国とつながりがあるのは奴だけだ。それに、エムジー国に関しては、内部工作を得意とする精鋭が多いと聞く。
弱みを握られたか、あるいは金で釣られたか、どちらにしても、軍資金を提供しているのは、おそらくエムジー国で間違いないだろう。
もし、エムジー国がこの内戦に手を出してくるようなら、絶望的な兵力がさらに絶望的になる。
さすがにそうなったら通常装備では苦しい。何らかの強化は必要だ。
なので私は、国王を無理やり説得し、メイデンアーマーと呼ばれるフルプレートの鎧を持ち出したのだ。
──メイデンアーマー──
過去、歴戦の姫騎士と呼ばれたコッコ・ローゼ。私の祖母が愛用した最強の鎧。
シルバーのゲルマニウムミスリル合金で作られた世界に一つしかない鎧だ。それが今、私の手元にある。
見た目は普通の鎧だが、内側に謎の突起物が張り巡らされている。実は、その突起物が曲者だ。
この突起物の数は全部で約700個。その全てが人体にある経絡秘孔という謎のツボと同じ場所に位置している。
この鎧はもともと東方の寺に住む昇林寺の老師が作ったものだ。彼は、力を求め、人体の研究を重ねた。
弱い刺激はこれを鼓舞し、適度の刺激はこれを亢進し、強い刺激はこれを抑制し、最も強い刺激はこれを停止する。
老師は、その4大原則を捻じ曲げ、十二の経絡を全て活性化させる方法を見つけた。その方法は、鎧に突起を仕込み、一度にすべての気の流れを調整することだった。それによって、人体の限界なる力を引き出すことに成功したのだ。
老師は、自分の体で鎧の効果を実験した。だが、その痛みに耐えられず、老師は発狂して狂い死ぬ。それ以来、鎧はただの拷問器具として扱われ、時が過ぎてただの骨董となってしまった。
だが、その骨董を入手し、その痛みに耐え、最強の力を得た者がいた。それが、メイデンアーマーの所持者である私の祖母、コッコ・ローゼだ。
実際のところ、祖母は最強になるつもりはなく、ただの拷問マニアだったようだ。たまたまこの鎧を見つけて装着したら、最強になってしまったと言っていたが……
……と、話が横にそれてしまったが、今から私は、その伝説のメイデンアーマーを着用する。
エミリアに、鎧を持たせ、装着を手伝ってもらうことにした。
パーツを装着する度に未知の激痛が襲う。
足を装着する。足の裏が……ふくらはぎが……すねが……膝が……
「はうっ」
続いて腰。尻が……股関節が……
「ウホッ」
そして、胴。ヘソが……胸が……背中が……肋骨が……
「おふぅっ」
さらに、腕と肩。指が……肘が……肩甲骨が……鎖骨が……僧帽筋が……
「うあああああ!」
まるで、体中に杭を打たれたような感覚だ。体をちょっとでも動かせば、その激痛はさらに脳を刺激し、意識が持っていかれそうになる。
「うへへ……うへへへ……」
「教官……もうやめてください!」
エミリアは涙目で、兜を抱えていた。
「ら……だめだ! 最後まで装着しないと、力は得られない! エミリア、頼む。お前の手でその兜を私の頭にかぶせてくれ!」
もう少しで、全ての鎧を装着できる。
「教官……わかりました。じゃあ、いきますよ……せえのっ!」
エミリアは、勢いよく兜を私の頭にかぶせてくれた。
「うぽあっ!」
エミリアのおかげで最後のパーツを装備することができた。
これで、全て装備した。
鼓動が早まる。体中の筋肉が悲鳴を上げる。目にキラキラとした光が見える。
力がみなぎってくる。鎧が服のように軽い。
全ての痛みは、快感へと変換されていく。
もう、突起の痛みは感じない。まるで、鎧と一体化した気分だ。
「ど……どーやら私は、限界を突破した……よ……よーだ。じゃ、オークを蹴散らしてくるー」
声を出しただけで……快感が、止まらない!
私は、その快感に任せてオークの群れへと突っ込んでいった。
0
あなたにおすすめの小説
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした
黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。
地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。
魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。
これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。
「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
異世界に無一文投下!?鑑定士ナギの至福拠点作り
花垣 雷
ファンタジー
「何もないなら、創ればいい。等価交換(ルール)は俺が書き換える!」
一文無しで異世界へ放り出された日本人・ナギ。
彼が持つ唯一の武器は、万物を解析し組み替える【鑑定】と【等価交換】のスキルだった。
ナギは行き倒れ寸前で出会った、最強の女騎士エリスと出会う。現代知識とチート能力を駆使して愛する家族と仲間たちのために「至福の居場所」を築き上げる、異世界拠点ファンタジーストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる