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タライ 十四個目
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────7月31日(月曜日) 午前11時00分
母親に聞いた話によると、僕のじいさんは、タライ落とし職人だということがわかった。
そして、昔やっていたコント番組『タライでショー』の、タライ落とし職人だったそうだ。
本当に初耳だ……。
その頃は、タライ落とし職人の需要が増え、一時的にタライ落とし職人養成所まで作られたそうだ。
さらにじいさんは、ある特権を与えられていた。タライ落としのアドリブをする特権だ。
テレビ局内では、その特権持ちのことを、タライ落とし師範と呼んでいたらしい。
タライ落とし師範ともなれば、『タライでショー』の番組内で、ネタのスベリがあった場合、任意にタライを落とすことができるようになるそうだ。当時、じいさんの他に2人の師範がいたらしい。
だが、じいさん以外の二人は、他のテレビ局に引き抜かれ、僕のじいさんだけが古株になってしまったっようだ。
その後、『タライでショー』以外の番組でもタライが落ちるシーンが増え、活気づいたのだが、他のテレビ局のお笑い番組での事故。
タライ落とし技術の未熟な人間が、無理なタライ落としをしたせいだ。アルポリテレビの人たちは、事故を起こさないように徹底していたのに……。
もし、これが僕の死んだじいさんの呪いというのなら、わかる気はするが、そこまでじいさんは呪うだろうか……あの温厚だったじいさんが……。
──ふと、零子の言葉を思い出す。
『つくも神』……そうだ、この線もある……だとしたら、どうしてタライは恨みを持った……どうしてギャグで落ちてくるんだ……。
まだ、わからないことだらけだ……もう少し突っ込んだ調査が必要だ。
僕は、母親に死んだじいさん、『落合光男』の職場の場所を聞いた。当然、アルポリテレビのテレビ局だ。
とりあえず、アルポリテレビの見学ということで、テレビ局側に電話をしてみた。じいさんの名前を出したら、すぐに見学オーケーということになった。
──さすが、タライ落とし師範だ……影響力が半端ない。
目的は、じいさんが落としていたタライ、もしくは、関わりのあるタライ。もし、タライの呪いがあるのなら、おそらくそれが関係している可能性があると、僕は踏んだ。
零子に電話をかける。
「もしもし、正人だけど」
「あ、正人くん。どうしたの」
「タライのことを調べにアルポリテレビの見学にいくんだけど、一緒にきてくれないか?」
「偶然ね、私も気になってたの……そして、正人くんのおじいさんが関係してるんじゃないかってことも調べた」
「マ・ジ・デ・ス・カ……」
当事者じゃないのに、どうやってそこまで調べた!? 恐るべしは零子のような気がしてきた……まあ、事情を知っているなら動きやすい。
僕は、零子と次の土曜日に、アルポリテレビのテレビ局に行くことにした。
母親に聞いた話によると、僕のじいさんは、タライ落とし職人だということがわかった。
そして、昔やっていたコント番組『タライでショー』の、タライ落とし職人だったそうだ。
本当に初耳だ……。
その頃は、タライ落とし職人の需要が増え、一時的にタライ落とし職人養成所まで作られたそうだ。
さらにじいさんは、ある特権を与えられていた。タライ落としのアドリブをする特権だ。
テレビ局内では、その特権持ちのことを、タライ落とし師範と呼んでいたらしい。
タライ落とし師範ともなれば、『タライでショー』の番組内で、ネタのスベリがあった場合、任意にタライを落とすことができるようになるそうだ。当時、じいさんの他に2人の師範がいたらしい。
だが、じいさん以外の二人は、他のテレビ局に引き抜かれ、僕のじいさんだけが古株になってしまったっようだ。
その後、『タライでショー』以外の番組でもタライが落ちるシーンが増え、活気づいたのだが、他のテレビ局のお笑い番組での事故。
タライ落とし技術の未熟な人間が、無理なタライ落としをしたせいだ。アルポリテレビの人たちは、事故を起こさないように徹底していたのに……。
もし、これが僕の死んだじいさんの呪いというのなら、わかる気はするが、そこまでじいさんは呪うだろうか……あの温厚だったじいさんが……。
──ふと、零子の言葉を思い出す。
『つくも神』……そうだ、この線もある……だとしたら、どうしてタライは恨みを持った……どうしてギャグで落ちてくるんだ……。
まだ、わからないことだらけだ……もう少し突っ込んだ調査が必要だ。
僕は、母親に死んだじいさん、『落合光男』の職場の場所を聞いた。当然、アルポリテレビのテレビ局だ。
とりあえず、アルポリテレビの見学ということで、テレビ局側に電話をしてみた。じいさんの名前を出したら、すぐに見学オーケーということになった。
──さすが、タライ落とし師範だ……影響力が半端ない。
目的は、じいさんが落としていたタライ、もしくは、関わりのあるタライ。もし、タライの呪いがあるのなら、おそらくそれが関係している可能性があると、僕は踏んだ。
零子に電話をかける。
「もしもし、正人だけど」
「あ、正人くん。どうしたの」
「タライのことを調べにアルポリテレビの見学にいくんだけど、一緒にきてくれないか?」
「偶然ね、私も気になってたの……そして、正人くんのおじいさんが関係してるんじゃないかってことも調べた」
「マ・ジ・デ・ス・カ……」
当事者じゃないのに、どうやってそこまで調べた!? 恐るべしは零子のような気がしてきた……まあ、事情を知っているなら動きやすい。
僕は、零子と次の土曜日に、アルポリテレビのテレビ局に行くことにした。
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表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
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