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5章 嵐は…

1話 夢

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   知らない天井だ。


   どこだここ?

   手を伸ばすと、視界に入ったのはちっちゃなちっちゃな紅葉のような手。

   赤ちゃん?私今赤ちゃんなのか?パニクりそうになった時聞き覚えのある声がした。

『あら、ー ー ー 目が覚めたのね』

   何?よく聞き取れない。ピンク色の髪がふわりと落ちた。あ、やっぱママンだ。ママンいつ見ても美人だよな。

『目が覚めたのか?』

   この声はパパンか。

『ほーら、ー ー ー ちゃん、パパでちゅよ~』

   相変わらずだなパパン、て言うかパパン髭はどうした?髭ないしなんか若いぞ。

『ほら、ー ー ーちゃん、お前のお姉ちゃんだよ。◯◯◯◯◯、ー ー ーはお前の妹だ、仲良くするんだぞ~」

   パパンが腕に抱いた女の子の手を持って振っている。

『あいっ』

   女の子は勢いよく返事をした。

   パパンの腕に抱かれた小さな女の子、というか1歳くらいの幼女だがすっげー可愛い、天使か?柔らかな銀の髪に菫色の瞳…

   あれ?もしかして◯◯◯◯◯?

   なんで目の前に◯◯◯◯◯が、あれなんか視界がかすむ、よく見えないよ。ねえ…




   なんか真っ暗だ。目の前に手を掲げる。うん手は見えるぽっちゃりお手手、さっきよりは成長してる?でも子供の手だ。

『ー ー ー!ー ー ー !』

   ん?誰か呼んだ?

『ダメ、そっちへ行ってはダメよ!ー ー ー戻ってらっしゃい』

   なんかママンが必死な顔で手を伸ばしてる。あ、パパンも真っ青な顔して、具合でも悪いのかな?

   パパンがママンを羽交い締めにして、2人してなにプレイなの、子供の前でやめてよね~

   さて、この身体動くかな、あ、ハイハイ出来そう。ママン達のところへ……あれ?なんか浮遊感が。
   振り向くと真っ黒な穴。なんか吸い込まれてるような?まさかね。
   頑張ってハイハイしてママンとパパンのところへ…
   おかしいな。前じゃなく後ろに進んでる。ママンとパパンがこっちに手を伸ばしてる、ママン達の足元にいる銀髪の幼女もこっちに手を伸ばしてる。あれを掴まないと。うん、頑張れちっちゃな私。       
   ほら頑張らないとママンが泣いてるヨ?

   ねえ



   ねえ━━━━━━━━






   真っ直ぐに伸ばした手の先には


「宿の天井だ」

   何度目だ、天井見て呟くの。

「オネーちゃん、怖い夢でも見たんでちゅか?」

   隣に寝ていたウリュ君が心配そうに覗き込む、その向こうでアレクス君が「まだ、まだ食べる~」と寝言を言っていた。

「なんだろ、夢見てたのかな、覚えてないけど。どうして?」

   そっとウリュ君が目元を拭ってくれる。

「だってオネーちゃん、泣いてる」

   瞬きをした途端、顳?莵を雫が伝う冷たい感覚、そして枕に落ちた。

「ほんとだ、泣いてる、なんでだろ?」


   涙の理由、エルにはわからなかった。





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