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第1章 禍福は糾える縄の如し
第6話 美女たちの洗礼
祐希はラウンジ中央のソファに座ると、さっそく3人の美女に囲まれ、質問攻めにされることになった。
主に質問の矢を放ってくるのは、里緒奈と朱音である。
「出身はどこなの?」と里緒奈が尋ねた。
「札幌です」
「未来ちゃんと祐希くんは、どんな関係なの?」
と朱音が続く。
「幼馴染です。
小さい頃は家が隣で、よく遊んでました」
「へぇー。じゃあ、彼女はいる?」
悪戯っぽく笑う里緒奈のストレートな質問に、祐希は思わずピザを喉に詰まらせそうになった。
「えっ、い、いないです……」
祐希が答えると、少し離れた場所から「へぇー」という声が聞こえた気がした。
ネットテレビの恋愛リアリティショーを見ながらも、聞き耳を立てている他の5人の視線が背中に突き刺さる。
「じゃあさ、好きな女性のタイプは?」
朱音が身を乗り出してくる。
「ん~、価値観が近くて趣味が合う人、かな」
と祐希は答え、思わずさくらの方を見た。
朱音はニヤリと笑い、さくらの方を見た。
「なるほどね~、さくらちゃんみたいな子がタイプなんだ!
祐希くんって、分かりやすいなぁ」
名指しされたさくらは、びくっと肩を揺らし、慌てて顔を伏せた。
質問はさらにエスカレートしていく。
「今までの経験人数は?」と里緒奈が切り込んできた。
「えっ! そ、それって、答えないとダメですか?」
「んー、しょうがないなぁ。
じゃあ質問を変えるね。今まで付き合った女性の数は?」
「ぜ、ゼロです……」
「え、そうなの? ってことは童貞か~。
21歳で童貞は貴重かもね…」
まんまと彼女たちの誘導尋問に引っ掛かってしまった。
「いい大学に通ってるし、これだけハイスペックな物件、なかなか見つからないと思うんだけどなぁ」
朱音が面白そうに祐希を品定めした。
「ねえ、童貞ってことは…
溜まったら、自分で処理するの?」
里緒奈が追い打ちをかけた。
「そ、それはノーコメントでお願いします……」
さすがに「はい」とは言えず、祐希の顔は耳まで真っ赤になった。
「そっか~、男って大変よねぇ。
何なら、私が処理してあげよっか?」
里緒奈は艶っぽく微笑み、Gカップはあろうかという胸の谷間をわざと見せつけた。
「け、結構です」
さすがにその場に居た堪れなくなり、祐希は大急ぎで食事を終えた。
「実家に電話しなきゃならないので、そろそろ部屋に戻ります、ご馳走様でした」
祐希は逃げるようにその場を立ち去った。
「ちょっと、あんた達、あまり祐希くんをイジメちゃ駄目よ」
里緒奈と朱音をたしなめたのは、黙ってやり取りを聞いていた天野瑞希(23歳)だった。
このシェアハウスで2番目に年長のOL美女だ。
「は~い」
その夜、祐希は一目惚れした少女が自分の部屋の上に住んでいるという事実に、目が冴えてなかなか寝付けなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日、祐希が目覚めるとすでに8時を回っていた。
慌てて身支度をしてラウンジへ出ると、ちょうどさくらが2階から降りて来たところだった。
「おはようございます」
祐希が緊張しながら挨拶した。
「おはようございます」
さくらも緊張気味に挨拶してくれた。
「昨日はストーカーと勘違いしてごめんなさい」
さくらは深々と頭を下げた。
「いえいえ、勘違いさせた僕も悪いんで気にしないで下さい」
「あの~、篠宮さん…
私の方が年下なので敬語は止めて下さい」
「あ、そうだね。
出来るだけ普通に喋るよう頑張るよ」
「はい、お願いします」
そう言ってさくらはニッコリと笑った。
朝の陽射しを背に受けたその笑顔は、直視できないほど眩しかった。
透き通るような肌に、ふわりと揺れるストレートヘア。
朝の眩しい光の中で、完璧な容姿で微笑むさくらを見て、祐希は「マジ天使」と思った。
「もしかして、今までもストーカー被害に遭ってるっての?」
「そうなんです。
ほぼ毎週誰かに後を付けられてて、怖いんです」
(毎週だって……?)
こんなスリムな子が、そんな頻度で恐怖に晒されているなんて。
いくら魅力的だからといって、相手を怖がらせていい理由にはならない。
祐希の胸に、静かな憤りが湧いた。
こんな清楚で天使みたいな美少女がいたら、思わず後を付けたくなるのは男として分からなくもない。
でもそれがエスカレートすれば、やはりそれは犯罪だ。
「あの、授業に遅れそうなので失礼します」
さくらは頭を下げると、そそくさと玄関を出て行った。
祐希は手早くトイレと洗顔を済ませた。
洗面所でメイクする女性たちを見て、ここは自分以外全員女性なのだと改めて思い知らされた。
シェアハウスでの生活は、祐希の想像を超えるものだった。
今まで友達と言えば男ばかりで、女子と付き合ったこともない祐希にとって、別世界の出来事のように感じられた。
ラウンジには、女性特有の甘い香りが漂っていた。
朝は洗面所の占有率が高く、かち合うことも多い。
念入りにメイクする意識高めの女子が多い証拠だろう。
「祐希くん、お早う」
「祐希さん、おはようございます」
などとみんな挨拶してくれる。
今までと全く違った環境での生活が、いよいよ始まった。
主に質問の矢を放ってくるのは、里緒奈と朱音である。
「出身はどこなの?」と里緒奈が尋ねた。
「札幌です」
「未来ちゃんと祐希くんは、どんな関係なの?」
と朱音が続く。
「幼馴染です。
小さい頃は家が隣で、よく遊んでました」
「へぇー。じゃあ、彼女はいる?」
悪戯っぽく笑う里緒奈のストレートな質問に、祐希は思わずピザを喉に詰まらせそうになった。
「えっ、い、いないです……」
祐希が答えると、少し離れた場所から「へぇー」という声が聞こえた気がした。
ネットテレビの恋愛リアリティショーを見ながらも、聞き耳を立てている他の5人の視線が背中に突き刺さる。
「じゃあさ、好きな女性のタイプは?」
朱音が身を乗り出してくる。
「ん~、価値観が近くて趣味が合う人、かな」
と祐希は答え、思わずさくらの方を見た。
朱音はニヤリと笑い、さくらの方を見た。
「なるほどね~、さくらちゃんみたいな子がタイプなんだ!
祐希くんって、分かりやすいなぁ」
名指しされたさくらは、びくっと肩を揺らし、慌てて顔を伏せた。
質問はさらにエスカレートしていく。
「今までの経験人数は?」と里緒奈が切り込んできた。
「えっ! そ、それって、答えないとダメですか?」
「んー、しょうがないなぁ。
じゃあ質問を変えるね。今まで付き合った女性の数は?」
「ぜ、ゼロです……」
「え、そうなの? ってことは童貞か~。
21歳で童貞は貴重かもね…」
まんまと彼女たちの誘導尋問に引っ掛かってしまった。
「いい大学に通ってるし、これだけハイスペックな物件、なかなか見つからないと思うんだけどなぁ」
朱音が面白そうに祐希を品定めした。
「ねえ、童貞ってことは…
溜まったら、自分で処理するの?」
里緒奈が追い打ちをかけた。
「そ、それはノーコメントでお願いします……」
さすがに「はい」とは言えず、祐希の顔は耳まで真っ赤になった。
「そっか~、男って大変よねぇ。
何なら、私が処理してあげよっか?」
里緒奈は艶っぽく微笑み、Gカップはあろうかという胸の谷間をわざと見せつけた。
「け、結構です」
さすがにその場に居た堪れなくなり、祐希は大急ぎで食事を終えた。
「実家に電話しなきゃならないので、そろそろ部屋に戻ります、ご馳走様でした」
祐希は逃げるようにその場を立ち去った。
「ちょっと、あんた達、あまり祐希くんをイジメちゃ駄目よ」
里緒奈と朱音をたしなめたのは、黙ってやり取りを聞いていた天野瑞希(23歳)だった。
このシェアハウスで2番目に年長のOL美女だ。
「は~い」
その夜、祐希は一目惚れした少女が自分の部屋の上に住んでいるという事実に、目が冴えてなかなか寝付けなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日、祐希が目覚めるとすでに8時を回っていた。
慌てて身支度をしてラウンジへ出ると、ちょうどさくらが2階から降りて来たところだった。
「おはようございます」
祐希が緊張しながら挨拶した。
「おはようございます」
さくらも緊張気味に挨拶してくれた。
「昨日はストーカーと勘違いしてごめんなさい」
さくらは深々と頭を下げた。
「いえいえ、勘違いさせた僕も悪いんで気にしないで下さい」
「あの~、篠宮さん…
私の方が年下なので敬語は止めて下さい」
「あ、そうだね。
出来るだけ普通に喋るよう頑張るよ」
「はい、お願いします」
そう言ってさくらはニッコリと笑った。
朝の陽射しを背に受けたその笑顔は、直視できないほど眩しかった。
透き通るような肌に、ふわりと揺れるストレートヘア。
朝の眩しい光の中で、完璧な容姿で微笑むさくらを見て、祐希は「マジ天使」と思った。
「もしかして、今までもストーカー被害に遭ってるっての?」
「そうなんです。
ほぼ毎週誰かに後を付けられてて、怖いんです」
(毎週だって……?)
こんなスリムな子が、そんな頻度で恐怖に晒されているなんて。
いくら魅力的だからといって、相手を怖がらせていい理由にはならない。
祐希の胸に、静かな憤りが湧いた。
こんな清楚で天使みたいな美少女がいたら、思わず後を付けたくなるのは男として分からなくもない。
でもそれがエスカレートすれば、やはりそれは犯罪だ。
「あの、授業に遅れそうなので失礼します」
さくらは頭を下げると、そそくさと玄関を出て行った。
祐希は手早くトイレと洗顔を済ませた。
洗面所でメイクする女性たちを見て、ここは自分以外全員女性なのだと改めて思い知らされた。
シェアハウスでの生活は、祐希の想像を超えるものだった。
今まで友達と言えば男ばかりで、女子と付き合ったこともない祐希にとって、別世界の出来事のように感じられた。
ラウンジには、女性特有の甘い香りが漂っていた。
朝は洗面所の占有率が高く、かち合うことも多い。
念入りにメイクする意識高めの女子が多い証拠だろう。
「祐希くん、お早う」
「祐希さん、おはようございます」
などとみんな挨拶してくれる。
今までと全く違った環境での生活が、いよいよ始まった。
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