恋愛経験ゼロの俺が、一目惚れした天使にストーカーと勘違いされた挙句、男女比1対9のハーレム・シェアハウスで一緒に住むことになった話

永遠光(とわのひかり)

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第1章 禍福は糾える縄の如し

第15話 スナック茜(2)

 しばらくすると数名の客が来店し、茜ママはその客のもとへ行った。
 里緒奈と瑞希は、そんなことはお構いなしで祐希たちの前にどっしりと腰を据えて話し込んでいた。

「ところで6月のイベントって、またキャンプでしょ。
 今年はどこへ行くのかな?」
 怜奈が聞いた。

「明日奈さんが言ってたけど、長野県に新しくできたキャンプ場らしいわ…
 小さな湖のほとりにあってオートキャンプもできるんだって…」
 里緒奈が答えた。

「あ~、そうそう、明日奈さんキャンピングカー借りるって張り切ってたわよ」
 瑞希が教えてくれた。

「え、キャンピングカー?」

「10人だし、どのみち2台になるから、1台はキャンピングカーにするんだって」

「10人て、僕もメンバーに入ってるんですか?」

「当たり前じゃない、え、入居説明オリエンテーションの時に聞いてないの?」

「2ヶ月ごとに住人全員参加のイベントがあるって聞きましたが、内容までは聞いてません」

「え、明日奈さん、話してないんだ。
 じゃあ、私が教えてあげるね」
 怜奈が隔月イベントの年間スケジュールを教えてくれた。

  2月 旅行(2泊)
  4月 花見
  6月 キャンプ(1泊)
  8月 海水浴(1泊)
 10月 ハロウィーン・パーティ
 12月 クリスマス兼忘年会

「キャンピングカーって1泊2日借りたら、いくらかかるのかしら?」
 瑞希が独り言のように呟いた。

「ネットで調べたら最低6万円はかかるみたいよ」
 里緒奈がスマホを見ながら答えた。

「もう1台は私の車を出すとして、キャンプ場の入場料とかサイト代とか、食材費に飲み物代もかかるでしょ。
 絶対会費で収まらないよね」
 怜奈が心配そうに言った。

 会費は管理費の中から毎月5千円が、イベント費用として自動的に積み立てされているそうだ。
 しかし、そんな金額で収まるはずもなく、明日奈が自腹を切っていると言うのが、彼女たちの一致した意見だった。

「キャンピングカーで寝られるのは、確か6人までのはずだから、4人はテントで寝なきゃならないよね」
 と怜奈が嫌そうな顔で言った。

「そっかー、テントで寝るの嫌だなぁ…」
 瑞希が顔をしかめた。

「ねえ、祐希くん、キャンプってしたことある?」
 里緒奈が言った。

「ありますよ、父がキャンプ好きだったので、毎年春から秋にかけて10泊はしてました」

「へ~、じゃあさ、テントとか建てれるよね」

「もちろん」

「やった~、これでテント建てる心配しなくていいね。
 あたしテント建てるの苦手なのよ」
 せっかく綺麗にしたネイルがボロボロになっちゃうし!
 もう考えただけで萎えるわ」

「あんた、いつもそれね。
 それなら、キャンプ前にネイルサロン行くのやめればいいじゃない」
 瑞希がツッコミを入れた。

「そういうわけにいかないのよ!
 いつどこで、出会いがあるか分からないから、女子力は常にMAXじゃなきゃ意味ないでしょ!」
 里緒奈が不満そうに頬を膨らませた。

「でも、今年は祐希くんがいるから安心だね」

「やっぱり、こういう時に男子がいると心強いわ」
 女子3人は、顔を見合わせ頷き合った。

「ねえねえ、祐希くん、焼き鳥食べたくない?」
 怜奈が小腹が空いたと訴えた。

「え、焼き鳥?出前でも取るんですか?」

「何言ってるの?
 表の看板見えなかった?」
 スナック茜の隣は、茜ママの父親が経営している焼鳥屋で、注文すれば焼きたてを届けてくれるそうだ。

「あ~、あたしも食べた~い
 つくねと砂肝と、あとは豚串がいいな~」
 同じく小腹が空いたと里緒奈が訴えた。

「じゃあ、あたしが適当に注文してくるね」
 怜奈が隣の店へ注文しにいった。

 結局、その日は午前0時過ぎまで飲んだ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 次の日(日曜日)、気が付くと祐希は自分のベッドで寝ていた。
 昨日ハイボールを飲みすぎたせいか、頭がガンガンする。
 完全に二日酔いだ。

 何時だろう、と時計を見ると既に10時を回っていた。
 シャワーでも浴びようと起き上がると、祐希の隣に全裸の女性が寝ていた。
 それは里緒奈だった。

 (えっ!なんでここに里緒奈さんが……)
 祐希は里緒奈の裸を見ないように、タオルケットを掛けた。

 祐希は二日酔いで回らない頭をフル回転させて、昨日の記憶を呼び戻そうとした。
 しかし、何も思い出せない…
 なんで里緒奈さんがここにいるんだ!?
 ひょっとして……あの話の流れで、やっちゃったのか!?
 焦りから頭を掻きむしっていると里緒奈が目を覚ました。

「あ、祐希くん、おはよー」
 里緒奈はタオルケットを手で押さえながら、ベッドの上に起き上がった。

「お、おはようございます。
 な、なんで里緒奈さんがここで寝てるんですか?」

「えっ、あれ、祐希くん昨日のこと覚えてないの?…
 あんなに激しかったのにぃ」

 自分はホントに里緒奈とエッチしてしまったのか?
 祐希は思い出そうとしたが、全く記憶がない。
 祐希のパニクってる様子を見ながら里緒奈はニヤついていた。

「ふふ、冗談よ。
 祐希くんとエッチなんてしてないから…」

「ほ、ホントですか…」

「うん、祐希くんに筆下ろししてあげようと思って部屋に来たら、祐希くんイビキかいて寝てるんだもの…
 それ見たら私まで眠くなって、部屋に戻るの面倒くさかったから、そのまま祐希くんの隣に寝たのよ…
 したいなら、今からでも、しよっか?」
 祐希は、悪戯っぽく笑う里緒奈がなぜか可愛いと思えた。

 その時、祐希のお腹がグーッと鳴り、2人で大笑いした。
「お腹減ったね、ご飯食べに行こっか…」

 里緒奈は、起き上がると祐希に背を向け、パンティとブラジャーを付けた。
 祐希は目のやり場に困り、里緒奈と反対の方を向いた。

「あたし、下着つけてると締め付けられて寝られないんだよね~、だから寝る時はいつも裸なの」
 里緒奈は、祐希の視線など気にもせず平然と服を着た。

「ほら、祐希くんもお腹減ってるんでしょ、ご飯食べに行こ」
 里緒奈はニッコリと笑った。
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