恋愛経験ゼロの俺が、一目惚れした天使にストーカーと勘違いされた挙句、男女比1対9のハーレム・シェアハウスで一緒に住むことになった話

永遠光(とわのひかり)

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第1章 禍福は糾える縄の如し

第28話 初デート(さくら編1)

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 土曜日、午前10時30分。
 シェアハウスの玄関ホールで、祐希はさくらを待っていた。

 今日の祐希は、鮮やかなロイヤルブルーのカラーシャツに、ボトムスはアイボリーのチノパン、靴は白のレザースニーカーだ。
 肩にかけた白いサマーニットがアクセントとなっている。
 見た目にも爽やかな初夏のコーデだ。

 階段を降りてくる軽やかな足音が聞こえ、緊張した面持ちのさくらが現れた。
 その姿を見て、祐希は思わず息を呑んだ。
 トップスは淡いピンク色で、柔らかなパフスリーブとスクエアネックが可愛らしい。

 スカート部分はふわりと広がる白のAラインで、ウエストにはアクセントとなる濃いピンク色のリボンが結ばれている。
 腰まである艶やかな黒髪はストレートにおろされ、耳にはパールのイヤリングが光っていた。
 今日のコーデは、さくらの清楚な印象と可愛いさを、より一層引き立てていた。

「祐希さん、おはようございます。
 お待たせして、ごめんなさい」

「僕も少し前に来たところ…
 ………今日の服、可愛いね」

「あ、ありがとうございます…」
 さくらは頬を赤く染め、嬉しそうに俯いた。

「祐希さんも、素敵です」

 初々しい空気が流れる中、2人はシェアハウスを出た。
 途中、コンビニ帰りの明日奈と会った。
「あら、2人でお出かけ?」

「はい、映画を見に行ってきます」

「いいわね。
 天気もいいし、最高の日和じゃない。
 、楽しんでらっしゃい」

 明日奈は2人に手を振り、にこやかに歩いていった。
 (え、これってデートなのか、2人で映画見に行くだけなのに……僕がさくらさんとデート!?)
 祐希は明日奈が言ったデートという言葉に動揺した。

 (え、なんで? 2人で映画を見に行くのはデートなの?)
 さくらは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 2人は動揺しながら、駅への道を歩いた。
「きょ、今日は本当にいい天気だね」
 祐希が沈黙を破ろうと、天気の話をした。

「ほ、ほんと暑くなりそうですね」
 さくらも話を合わせたが、2人とも緊張してそれ以上話が膨らまない。

 祐希が話題を探しながら歩いていると、さくらの胸元に目が行った。
 今日、さくらが着ているワンピースは、胸元が広めに空いている。
 背が高い祐希から隣を歩くさくらを見ると、胸の谷間がはっきりと見えてしまうのだ。
 (さくらさん、意外と胸大きいんだ!)
 意識すればするほど、胸の谷間に目が行ってしまう。
 (ダメだ…見ちゃだめなんだ)
 生真面目な祐希は、自分にそう言い聞かせながら歩いた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 2人は柏琳台駅から電車に乗り、途中駅で乗り換えて「よこはまみらい駅」に到着した。
 改札を抜け、エスカレーターで地上に出ると、目の前に近未来的な高層ビル群と、抜けるような青空が広がっていた。
「うわぁ……! すごい……!」
 さくらは小走りに階段を駆け上り、初めて見る「よこはまみらい」の景色に、目をキラキラと輝かせた。

 その時、強いビル風が吹きつけ、さくらのスカートが太ももまでめくれ上がった。
「きゃっ!」
 さくらは顔を真っ赤にしながら、慌ててスカートを押さえつけた。
 普段は見えない彼女の太ももが露わになり、階段を上っていた祐希は、とっさに目を逸らした。

 (下着、見えちゃったよ…)
 祐希は、一瞬見えたピンクの花柄パンティーが目に焼き付いて離れなかった。

「さくらさん、大丈夫?」

「もぉ~、ここ風強すぎですよ」
 さくらは、頬を膨らませスカートを両手で押さえながら歩いた。

「そ、そうだね…」

 しばらく進むと海が見えてきた。
「カフェ、こっちみたいだね。
 テラス席もあるらしいよ」
 祐希が地図アプリを確認しながら言った。

「はい! 楽しみです!」

 2人は、おしゃれなショップが並ぶクイーンズスクエアを抜け、目的のカフェレストラン「シーサイドテラスDolphin」へと向かった。
 海沿いの遊歩道に面したガラス張りの店構えで、おしゃれなテラス席もあった。

 店内に入ると、大きな窓から明るい日差しが差し込み、目の前には煌めく海の景色が広がっていた。
 幸運にも、2人は2階の窓際の席へ案内された。

「わぁ……本当に海が見えるんですね…素敵…」
 さくらがうっとりと窓の外を眺めた。

 メニューブックを開き、迷いながらようやく注文を決めた。
 さくらは魚介のクリームパスタ、祐希はアラビアータを選んだ。
 もちろん、デザートとドリンクもセットだ。

 運ばれてきた料理は、見た目も美しく、とても美味しかった。
「このパスタ、ゆで加減も味付けも絶妙ですね!」

「うん、カフェ・バレンシアのパスタにも負けてないと思うよ!」

 最初は緊張気味だったさくらも、美味しい料理と素晴らしい景色、そして祐希との楽しい会話で、次第にリラックスしてきた。

「ところでさくらさん、聖女の天使って、知ってる?」

「え、聖女の天使、ですか?
 いえ、初めて聞きました…」
 さくらは、きょとんとした顔をして首を傾げた。

「うちの学生の間で噂になってるんだけど、天使のように清楚で美しい1年生が聖女にいるって、友達から聞いたんだ」

「そうなんですか……」

「…もしかしたら、さくらさんのことじゃないかなって、思ったんだけど…」

「えぇっ!? 違いますよ。
 そ、そんなわけないじゃないですか!
 やめてください、祐希さん!」
 突然の言葉に、さくらは顔を真っ赤にして慌てて両手を振った。

「あはは、ごめんごめん。
 でも、さくらさんなら、そう呼ばれてもおかしくないかなって思ったんだよ」
 祐希が悪戯っぽく笑った。

「もう…祐希さん、からかわないでください…」
 さくらは恥ずかしそうに俯いた。
 その反応が可愛らしく、祐希は自然と笑みがこぼれた。

 話題は、さくらの大学のピアノレッスンの話、祐希の地元の札幌の話、さくらの故郷の秋田の話、さくらの父親への愚痴、シェアハウスでの出来事など、自然と会話が弾んだ。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、映画の上映時刻が近づいてきた。
 祐希は伝票を手に取った。
「じゃあ、そろそろ行こうか」

「あ、ここは私が払います!
 映画に誘ったのは私ですから!」

「いやここは、やっぱり年上の僕が払うよ。
 それに映画のチケット代は、さくらさんが払ってくれたからね……」
 祐希はそう言うと、伝票を持ってレジへ向かった。
 そしてスマホをかざし、電子マネーで支払った。

「え、もう、払ったんですか?」
 支払うタイミングを逃したさくらは、申し訳なさそうに祐希に礼を言った。
「申し訳ありません。
 祐希さん、ごちそうさまでした」
 
「どういたしまして、映画楽しみだね」
 さりげなく、スマートに支払ってくれた彼の優しさに、少しドキドキしながらも、さくらは素直に嬉しさを感じていた。
(祐希さん、やっぱり優しいな…)
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