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第2章 光と陰
第33話 未亡人明日奈(2)
シェアハウスの入居条件に、オーナーとの面接を入れた。
応募は女性限定だったが、驚くほどの設備の良さと家賃の安さに申し込みが殺到した。
その中から明日奈のお眼鏡に適ったのが、今の入居者たちだ。
しかし、1階の0号室だけは、募集の対象外とした。
そこは、大希の弟である祐希のために最初から空けていたからだ。
彼は兄と同じ星城大学が第1志望と聞いていたので、入学が決まったら連絡して入居を勧めようと思っていたのだ。
しかし、祐希はインフルエンザに罹り、一浪することとなった。
思いがけない事態に、明日奈はシェアハウス入居の件を、祐希に話せなくなってしまった。
翌年、同じ時期に義父に電話してみると、祐希は既に星城大学に推薦で合格し、早々とアパートを決めていた。
明日奈は、またしてもシェアハウス入居の件を、祐希に言い出す機会を失ってしまった。
それから、1年あまりが経過したある日、所用で義父に電話を掛けてみると、祐希のアパートが火事になって入居先を探していると聞いた。
明日奈は、義父に事情を話し、すぐに祐希に電話した。
そして自分のシェアハウスに空き部屋があるから、見に来ないかと話した。
それからは、明日奈の思惑通りに話が進み、祐希が0号室に入居することとなったのだ。
4年ぶりに会った祐希を見て明日奈は驚いた。
それは祐希が、大学時代に出会った頃の大希と、容姿も話し方もそっくりだったからだ。
明日奈は、祐希を見て自分の心がトキメいているのを感じた。
ダメよ明日奈、祐希くんは義弟なんだから……
明日奈は、義弟にトキメク自分を戒めた。
祐希が入居してから、シェアハウスの雰囲気は明らかに変わった。
入居者の女子たちが、爽やか系イケメン男子を放っておくはずがない。
祐希の入居と時を同じくして、ストーカー騒動が勃発した。
彼は被害者であるさくらのボディガードを務め、真摯な態度でシェアハウスのメンバーから信頼を獲得していった。
明日奈は、表面上は年上の物わかりの良い義姉として祐希に接していた。
しかし、内心では他の女子たちと同じように騒いでいた。
今となっては、祐希のいない生活など考えられない。
しかし7歳も年上の明日奈が、義弟である祐希の心を、自分に振り向かせることなど、当然できるわけもない。
祐希にしても、義姉である明日奈は恋愛の対象外であろう。
最近、さくらや未来と2人きりで、映画に出かけている祐希の姿を見かける。
それを微笑ましいと思う反面、心の奥底では嫉妬に似た感情が沸き上がるのを、明日奈は感じていた。
そして、厄介なのは自分の身体だった。
27歳の女盛りである明日奈は、生理前の1週間ほど、理由のない性欲を覚えるのだ。
動物で言えば発情期とも言えるその時期をやり過ごすには、自分を自分で慰めるしか方法はなかった。
大希が生きていた頃、2人は何度も愛し合い、肌を重ねていた。
その喜びを知ってしまった身体は、実に正直だ。
明日奈の美貌を持ってすれば、夜の街で相手を見つけることも不可能ではない。
しかし、見知らぬ男と身体を合わせることは、明日奈のプライドが許さなかった。
だから、その時期をやり過ごす方法は、いつも決まっていた。
当初は、大希との甘い記憶を辿りながら、込み上げる疼きを鎮めていた。
しかし、最近脳裏に浮かぶのは、亡き夫ではない。
あの爽やかな笑顔、優しい声……義理の弟である祐希の姿だった。
明日奈は罪悪感を感じながらも、その行為が止められなかった。
「ダメ……彼は、祐希くんは、大希じゃない……義弟なのよ……」
頭では罪悪感に苛まれながらも、一度火がついた身体の疼きは止められない。
明日奈は、シーツを強く握りしめ、許されない想いに身をよじった。
「……祐希くん……」 漏れた吐息に混じったのは、呼んではいけない名前だった。
「祐希くん……祐希くん……っ。
来て…来て、私……。……ああ……祐希くん……っ」
明日奈は、自分で自分を止められなかった。
その夜、明日奈の部屋のドアが、僅かに開いているのを彼女は知らなかった。
その隙間から漏れた声が祐希に聞かれていようとは、明日奈は思いもしなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日曜日の深夜0時過ぎ、ラウンジは既に灯りが消され、常夜灯の灯りのみが点灯していた。
冷蔵庫に飲み物を取りに来た祐希は、明日奈の部屋のドアが開いており、中から明かりが漏れているのに気付いた。
「明日奈さん、ドア閉め忘れたのかな?」
親切心から、ドアを閉めてやろうと明日奈の部屋に近づいたその時、中から苦しそうな呻き声が聞こえた。
ドアの隙間から耳を澄ませて聞くと、明日奈の息も絶え絶えの声が聞こえた。
「祐希くん……祐希くん……っ。
来て……来て、私……。……ああ……祐希くん……っ」
明日奈が、自分の名前を呼んでいるように思えた。
応募は女性限定だったが、驚くほどの設備の良さと家賃の安さに申し込みが殺到した。
その中から明日奈のお眼鏡に適ったのが、今の入居者たちだ。
しかし、1階の0号室だけは、募集の対象外とした。
そこは、大希の弟である祐希のために最初から空けていたからだ。
彼は兄と同じ星城大学が第1志望と聞いていたので、入学が決まったら連絡して入居を勧めようと思っていたのだ。
しかし、祐希はインフルエンザに罹り、一浪することとなった。
思いがけない事態に、明日奈はシェアハウス入居の件を、祐希に話せなくなってしまった。
翌年、同じ時期に義父に電話してみると、祐希は既に星城大学に推薦で合格し、早々とアパートを決めていた。
明日奈は、またしてもシェアハウス入居の件を、祐希に言い出す機会を失ってしまった。
それから、1年あまりが経過したある日、所用で義父に電話を掛けてみると、祐希のアパートが火事になって入居先を探していると聞いた。
明日奈は、義父に事情を話し、すぐに祐希に電話した。
そして自分のシェアハウスに空き部屋があるから、見に来ないかと話した。
それからは、明日奈の思惑通りに話が進み、祐希が0号室に入居することとなったのだ。
4年ぶりに会った祐希を見て明日奈は驚いた。
それは祐希が、大学時代に出会った頃の大希と、容姿も話し方もそっくりだったからだ。
明日奈は、祐希を見て自分の心がトキメいているのを感じた。
ダメよ明日奈、祐希くんは義弟なんだから……
明日奈は、義弟にトキメク自分を戒めた。
祐希が入居してから、シェアハウスの雰囲気は明らかに変わった。
入居者の女子たちが、爽やか系イケメン男子を放っておくはずがない。
祐希の入居と時を同じくして、ストーカー騒動が勃発した。
彼は被害者であるさくらのボディガードを務め、真摯な態度でシェアハウスのメンバーから信頼を獲得していった。
明日奈は、表面上は年上の物わかりの良い義姉として祐希に接していた。
しかし、内心では他の女子たちと同じように騒いでいた。
今となっては、祐希のいない生活など考えられない。
しかし7歳も年上の明日奈が、義弟である祐希の心を、自分に振り向かせることなど、当然できるわけもない。
祐希にしても、義姉である明日奈は恋愛の対象外であろう。
最近、さくらや未来と2人きりで、映画に出かけている祐希の姿を見かける。
それを微笑ましいと思う反面、心の奥底では嫉妬に似た感情が沸き上がるのを、明日奈は感じていた。
そして、厄介なのは自分の身体だった。
27歳の女盛りである明日奈は、生理前の1週間ほど、理由のない性欲を覚えるのだ。
動物で言えば発情期とも言えるその時期をやり過ごすには、自分を自分で慰めるしか方法はなかった。
大希が生きていた頃、2人は何度も愛し合い、肌を重ねていた。
その喜びを知ってしまった身体は、実に正直だ。
明日奈の美貌を持ってすれば、夜の街で相手を見つけることも不可能ではない。
しかし、見知らぬ男と身体を合わせることは、明日奈のプライドが許さなかった。
だから、その時期をやり過ごす方法は、いつも決まっていた。
当初は、大希との甘い記憶を辿りながら、込み上げる疼きを鎮めていた。
しかし、最近脳裏に浮かぶのは、亡き夫ではない。
あの爽やかな笑顔、優しい声……義理の弟である祐希の姿だった。
明日奈は罪悪感を感じながらも、その行為が止められなかった。
「ダメ……彼は、祐希くんは、大希じゃない……義弟なのよ……」
頭では罪悪感に苛まれながらも、一度火がついた身体の疼きは止められない。
明日奈は、シーツを強く握りしめ、許されない想いに身をよじった。
「……祐希くん……」 漏れた吐息に混じったのは、呼んではいけない名前だった。
「祐希くん……祐希くん……っ。
来て…来て、私……。……ああ……祐希くん……っ」
明日奈は、自分で自分を止められなかった。
その夜、明日奈の部屋のドアが、僅かに開いているのを彼女は知らなかった。
その隙間から漏れた声が祐希に聞かれていようとは、明日奈は思いもしなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日曜日の深夜0時過ぎ、ラウンジは既に灯りが消され、常夜灯の灯りのみが点灯していた。
冷蔵庫に飲み物を取りに来た祐希は、明日奈の部屋のドアが開いており、中から明かりが漏れているのに気付いた。
「明日奈さん、ドア閉め忘れたのかな?」
親切心から、ドアを閉めてやろうと明日奈の部屋に近づいたその時、中から苦しそうな呻き声が聞こえた。
ドアの隙間から耳を澄ませて聞くと、明日奈の息も絶え絶えの声が聞こえた。
「祐希くん……祐希くん……っ。
来て……来て、私……。……ああ……祐希くん……っ」
明日奈が、自分の名前を呼んでいるように思えた。
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