恋愛経験ゼロの俺が、一目惚れした天使にストーカーと勘違いされた挙句、男女比1対9のハーレム・シェアハウスで一緒に住むことになった話

永遠光(とわのひかり)

文字の大きさ
52 / 147
第2章 光と陰

第49話 お仕置き

 キャンプの早朝6時、スクリーンタープの中では、明日奈と怜奈とさくらが朝食の準備をしていた。
 怜奈が羽釜でご飯を炊き、さくらは味噌汁を作り、明日奈は野菜炒めを作った。

「おはようございます」
 そこへ祐希がやって来た。

「祐希くんおはよう」
 明日奈と怜奈が挨拶した。

「祐希さん、おはようございます」
 さくらは祐希と視線を合わせず挨拶を返した。

「何か手伝いますか?」
 祐希が気を利かせて言った。

「それじゃ、祐希くんは目玉焼き焼いてくれる?
 フライパンとターナーはそこ、卵とオリーブオイルはこれ使ってね」

「分かりました」

 祐希が目玉焼きを焼き始めると、明日奈が言った。
「昨日は、あの後、大変だったみたいね」

「あ~、里緒奈さんのことですか?」
 祐希が答えた。

「そう、怜奈ちゃんから内容は聞いたけど……
 里緒奈ちゃん、厳しく叱っておくから許してね」

「はい、分かりました。ありがとうございます」
 祐希が返事すると、何事もなかったかのように、みんなは朝ごはんの準備を続けた。

 やがて、未来と琴葉、朱音、瀬奈の順に起きてきた。
「おはようございます。
 朝ごはんの準備手伝いますね」

 みんなは、食器を並べたり、味噌汁をよそったりと準備を手伝った。
 朝食の準備ができても瑞希と里緒奈は起きてくる気配がなかった。

「怜奈ちゃん、悪いんだけど、瑞希ちゃんと里緒奈ちゃん起こしてきてくれる?」
 明日奈が、怜奈に頼んだ。

「分かりました。叩き起こしてきます」
 怜奈は腕まくりして、キャンピングカーの方へ歩いていった。

 それからしばらくして、瑞希と里緒奈が寝癖がついたまま、タープに姿を現した。
「みんな、おはよ~」
 2人は欠伸しながら挨拶した。

「里緒奈、昨日は飲みすぎたね」
 瑞希が言った。

「ホントだね、頭ガンガンする、完全に二日酔いだわ」
 里緒奈は悪びれた様子もなく、朝食の準備が整った席に座ろうとした。

 それを見かねた明日奈が言った。
「ちょっと、そこの二人、遅く起きてきて、言うことはそれだけ?
 早起きして、朝ごはんの準備してくれた人に感謝の言葉は無いわけ?」
 いつも温厚な明日奈にしては珍しく、激怒げきおこ状態だった。

「あ、ごめんなさい、飲みすぎて頭が働いてなくて……
 みんな、ご飯作ってありがとね」
 里緒奈と瑞希は周りの人に頭を下げた。

「二人とも昨日のことは、覚えてないわけ?」

「あ~、確かに飲みすぎて迷惑かけたかも……」

「それだけじゃないでしょ……里緒奈ちゃん」

「え、他に何かありました?」
 里緒奈は、昨日の自分の失言を覚えていなかった。

「呆れたわね……
 里緒奈ちゃん、シェアハウスに帰ったら、オーナー室へいらっしゃい。
 あなたに、言いたいことがあるから……
 この話はこれでお終い。
 せっかくの温かいごはんが冷めてしまうわ。
 さあ、いただきましょう」

 明日奈の合図で、全員が手を合わせ「いただきます」と言った。
 朝の食卓には、何とも言えない気まずい空気が流れた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 その日の午後、シェアハウスに戻った住人たちは、キャンプの後片付けに追われていた。
 それも一段落したその日の夕方、明日奈が里緒奈をオーナー室へ呼び出した。

「里緒奈です」
 神妙な面持ちで里緒奈がノックすると、中から返事があった。

「はい、どうぞ」

「失礼します」
 里緒奈が中へ入ると、明日奈の隣には祐希が座っていた。

「そこへ掛けて」
 里緒奈は明日奈に促され、向かいの席へ座った。

「今日は、このシェアハウスの管理人として、祐希くんにも同席してもらうから……
 里緒奈、どうして私に呼び出されたか分かる?」

「はい、キャンプで羽目を外して、酔っ払って迷惑掛けたからだと思います」

「確かに、それもあるわ。
 でもあなた……大事なことが分かってないから、こうしてわざわざ来てもらったの……」

「は、はい」
 里緒奈は、小さな声で答えた。

「何が分かってないと思う?」

「……分かりません」

「まず一つ目は、プライバシーの侵害……
 今回の件、怜奈ちゃんから詳しく聞いたけど……
 本人の同意もなく、勝手に他人のプライベートを言いふらしたわよね?
 酔っ払ってたからといって、決して許されることじゃないわ!」

「……その通りです……」

「二つ目。あなた、パワハラが過ぎるわよ。
 祐希くんの先輩だからって、嫌がる彼を無理やりスナックに連れていったりしたわよね。
 それも一度や二度じゃないはずよ」

「……はい」

「三つ目。これが一番呆れたんだけど……セクハラ発言よ。
 祐希くんに『経験ある?』って聞いたり、本人が否定しているのに『しちゃったんでしょ』と決めつけたり……。
 それは立派なセクハラだし、人として一線を越えてるわ!
 しかも、自分が言ったことも覚えてないなんて、言語道断よ!
 それから、一番の問題はお酒よ。あなたね、毎回飲みすぎ!」
 明日奈は畳み掛けるように言った。

「……はい……」
 図星を突かれ、里緒奈は返す言葉もなかった。

「里緒奈ちゃん、あなたもう22歳でしょ。
 もう少し分別ある大人の振る舞いをしなさい!
 祐希くんは、大学の後輩でもあるんでしょ?
 後輩といえども節度を持って接するべきよ。
『親しき中にも礼儀あり』って言葉、知ってるわよね?」

「は、はい……」

「あなたにとっては、お酒の席での『楽しい』出来事かもしれないけど……
 巻き込まれた側にとっては『楽しくない』、ただの後味の悪い嫌な思い出にしかならないの。
 それが分からないようじゃ、いつかお酒で失敗するわよ」
 明日奈の言葉は、鋭い刃物のように里緒奈の心に突き刺さった。

「昔から言うでしょ、『酒は飲んでも飲まれるな』って。
 あなたの酒癖の悪さは、これまでも何度か注意してきたわよね?
 その度に『気をつけます』って言ってたけど、今回は流石にひどすぎるわ。
 これ以上、見過ごすわけにはいかないの」

「……申し訳ありません」
 里緒奈は完全に萎縮し、小さくなっていた。

「年下の後輩たちのこと、もっと尊重してあげなさい。
 先輩としての威厳を見せるのは、お酒の量じゃなくて、気遣いと態度なんだから」

「はい……肝に銘じます」

「今回は厳重注意としておくけど……
 今後、同様の問題を起こしたら……その時は退去してもらうことになるから……
 そのつもりでいてね」

「た、退去ですか!?……」
 シェアハウスを追い出されると聞いて、里緒奈の顔から血の気が引いた。

「そう、退去です」
 明日奈は冷たく言い放った。

「わ、分かりました……
 明日奈さんの言葉を肝に銘じて、問題を起こさないよう気をつけます……」

「分かればよろしい。
 祐希くんや他の住人への謝罪は、後でちゃんとしておくこと。
 話は以上よ、下がっていいわ」

「はい……色々とご迷惑をおかけしました……」
 里緒奈は深々と頭を下げると、重い足取りで部屋を出ていった。
 その背中は、入ってきた時よりも一回りも二回りも小さく見え、完全にうなだれていた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

洗脳機械で理想のヒロインを作ったら、俺の人生が変わりすぎた

里奈使徒
キャラ文芸
 白石翔太は、いじめから逃れるため禁断の選択をした。  財閥令嬢に自作小説のヒロインの記憶を移植し、自分への愛情を植え付けたのだ。  計画は完璧に成功し、絶世の美女は彼を慕うようになる。  しかし、彼女の愛情が深くなるほど、翔太の罪悪感も膨らんでいく。  これは愛なのか、それとも支配なのか?  偽りの記憶から生まれた感情に真実はあるのか?  マッチポンプ(自作自演)の愛に苦悩する少年の、複雑な心理を描く現代ファンタジー。 「愛されたい」という願いが引き起こした、予想外の結末とは——

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。