転生王子の異世界無双

海凪

文字の大きさ
13 / 50
第2章〜冒険者編〜

第12話。アルベールの森

しおりを挟む







 街の中は駆け足。街を出てからは全力疾走で来た為、アルベールの森には約15分程で到着した。
 早速、気配察知を使ってゴブリンを探す。今回は一瞬だけ。その一瞬で範囲を500mまで広げ、群れになっているゴブリンを見つけた。

「12時の方向に5体。2時の方向に8体、か。取り敢えず、依頼分の5体を終わらせよう」

 音をなるべく立てない様、静かに小走りし、5体のゴブリンが集まっている場所に近づく。距離30m程度で止まり、背中の剣を抜いて風属性の魔力を纏わせて構え、一気に振り抜いた。

風刃ふうじん――飛斬ひざん――!」

 俺の剣から風の刃が飛び、ゴブリンの首を狩る。5つのゴブリンの頭が、宙に舞った。自分が死んだことも気づかなかっただろう。

 職業ジョブ、魔法剣士について詳しく説明しよう。
 まず、魔力使用時の媒体は剣。魔法剣士は、剣に魔法を纏わせて戦う。遠距離魔法も一応使えるが、魔力消費が大きい。剣に魔法をまとわせたり、近距離で魔法を使う限り、威力に大きな補正がかかる。地属性の魔力を使って大地を切りつければ、俺なら2m程度軽く割れる。武器の性能がもっと良ければ、小さな山1つだって割れるかもしれない。
 魔法剣士、なかなかにチートである。いや、チートは俺もか。
 纏刃てんじん……刃に属性魔法を纏わせた剣技にも軽く触れておこうか。
 水刃すいじんは高い切断力。風刃ふうじんは見えにくい特性。炎刃えんじんは植物系特攻。土刃どじんは破壊力。光刃こうじんは速度。闇刃あんじんは触れた物を腐らせる。と、それぞれ属性によって性能が違い、使い所を上手く分ける必要がある。

 それら纏刃てんじんを飛ばしたのが飛斬ひざんである。
 魔物死体の放置は禁止なので、炎刃で最初から燃やしたかったが、攻撃範囲が広い飛斬でやると、周囲が燃えかねないのだ。
 なら別の技でやれよ。って思った、そこのあなた。楽、したいよね?
 魔法剣士は接近戦専門。使える遠距離攻撃は飛斬系と、地面に魔力を通して発動出来る、地属性魔法だけなのだ。その地属性魔法ですら、普通は使えない。俺は膨大な魔力でゴリ押ししてるだけだ。たかがゴブリン程度に近接戦闘なんて面倒だし、かといって魔力もそんなに使う気にはならない。
 必然的に、腐特性を持つ闇刃と炎刃は封印。それ以外の飛斬を使って、遠距離から一撃。全滅させてからそれぞれ燃やした方が、楽なのだ。

 絶命したゴブリン5体に近づき、高火力で一気に燃やす。僅か20秒程で骨も残さず消えた。2時の方向の8体の群れも同じ戦法で殲滅し、燃やす。再度500m気配察知を発動、発見、殲滅。それを時間も忘れてひたすら繰り返す。道中、薬草採取も忘れずに。
 ふと、辺りが薄暗くなっているのに気付く。
 この森に着いたのが1時半頃だったので、かれこれ3時間半程夢中になっていたようだ。急いで帰らなくては。普通なら1時間程で終わる依頼だ。きっとエイミーさんが心配しているだろう。
 来た時と同じように、街まで全力疾走。街に入ってからは、ぶつからない程度に急いでギルドに向かう。

「エイミーさん、只今戻り――――」

「エミル君!  よかったぁぁぁ。もう!  すっごく心配してたのよ!  まさかゴブリンにやられちゃったのかと……」

「うっ……すみません、ホントに。依頼は無事達成して来ました。かなりの数ゴブリン倒したので、確認お願いします」

「あんまり心配させないでよね。カード貸してもらえる?  読み取るから」

「はい、どうぞ」

 俺ギルドカードを、エイミーさんがタブレット型端末に翳し、目を見開く。

「っはぁ!?  ゴブリン420体討伐!?」

「そんなにやってました?  つい夢中になって」

「ねぇ、エミル君。」

「はい?  なんでしょうか?」

「ゴブリンは、群れてた?」

「群れてましたよ。多いのは8。少ないのは4でした」

「そう。ありがとう。とっても重要な情報よ。
 恐らく、アルベールの森で、ゴブリンの上位個体が発生している可能性があるわ。ゴブリンは基本群れないから、ほぼ確実ね。それに、これだけ数が増えているのを考えると、ゴブリンジェネラル。最悪、キングが居るかも。私はギルドマスターに、この事を伝えないと 悪いんだけどエミル君、報酬とランク試験の話は隣の受付嬢の所に行ってもらえる?」

「急ぎなら仕方ありません。大丈夫です」

「本当にごめんね。また明日」

 ゴブリンジェネラル、最悪キングか。これはテンプレ展開来た?  来ちゃった??  っと、ふざけてる場合じゃないな。
 ジェネラルがどれくらい強いのかわからないけど、一目見たい。贅沢言うなら闘ってみたい。超レア魔物だし、今回を逃すと、あと十何年かは出現しないかもしれない。キングだったら数十年に1度ペースだ。

「すみません、エイミーさんがギルマスにお話に行ってしまったので、今回の報酬とランク試験について聞きたいんですけど」

「エミル君ですね?  私はアリーゼ。エイミーから情報が送られてきています。依頼報酬の4千5百イル。追加報酬の29万4千イル。合わせて29万8千5百イルですが、預けますか?」

「はい、お願いします」

「かしこまりました。では、試験についてです。
 2日後、数名の受験者と一緒に、Bランク冒険者と模擬戦をして頂きます。その結果次第で、Cランク3級に昇格出来ます。合格基準は極秘ですのでお話できません。試験時間は前日にお知らせします」

「説明ありがとうございます。
 ところで、ゴブリンジェネラルが居るかもしれないってことは、討伐隊が組まれるんですよね?俺って参加出来ますか?」

「いいえ。大規模討伐に参加できるのは、Cランク1級からです。経験不足の冒険者が参加しても、足手まといですから。諦めてください」

「そう、ですか……」

 アリーゼさんは、瓶底メガネをかけたお堅い感じの美人で、淡々とした話し方をする。ちょっと怖い。
 これはさっさと退散するに限る。手短に別れの挨拶を済ませ、ギルドの外に出る。

「このまま宿屋に行ってもいいけど、早く弓欲しいなぁ。寄っちゃおっかなぁ。寄っちゃおぉ。おー!」

 なんかちょっと急に変なテンションになって、大きな独り言を言ってしまった。近くにいた数人が、俺を微笑ましいものでも見るかのような目で見てきて、スーパー恥ずかしい。ここもさっさと退散しよう。

 視線から逃れて走ってきたので、鍛冶屋にはすぐついてしまった。軽く息を整え、鍛冶屋のドアを開く。

「ごめんくだ――――」

「帰れ。ここはガキの居場所じゃねぇ」

 鍛冶屋に入らずドアを閉じて、ドアに張り付きながら、鍛冶屋の看板を確認する。
 うん。間違ってない。ちゃんと鍛冶屋だ。
 再びドアを開く。
 厳つい顔をしたドワーフが仁王立ちしている。
 再びドアを閉じる。
 うん。めっちゃ怖い。入れない。

 昨日来た時、カリーナさんが、気難しいドワーフと夫婦で、この鍛冶屋を経営していると言っていた。気難しいという表現では生温い気がするほど気難しい人だが、多分あの人がその夫だろう。今カリーナさんは、不在なのだろうか?  とにかく、カリーナさんが居ないと、あの人とは会話ができない気がする。

 今日は諦めて宿屋に戻ろうと踵を返した時、遠くの方に今最も求めている女性が目に入った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...