異世界デスゲーム? 優勝は俺で決まりだな……と思ったらクラス単位のチーム戦なのかよ! ぼっちの俺には辛すぎるんですけど!

真名川正志

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1回戦 Sランク冒険者ゲーム38

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 俺のHPが全回復すると、俺達は先に進んだ。

 すると、少し進んだ場所が天井の高い広間のようになっていた。さっきの魔物達はここにいて、俺達の声を聞いて駆けつけたらしく、広間には魔物はいなかった。

 分岐点の先をチェックし、何もないことを確認してから下に降りる通路を進んだ。ここも階段ではなく、ただ斜め下に向かう通路に過ぎなかったので、先ほどの玉突き事故が再発してしまう可能性があった。

「鈴本、今回はお前が先頭になれ。魔物が現れたら、すぐ後ろの俺と立ち位置を交換すればいいから」

 俺はそう頼んだ。

「いやいや、僕のことを信用しなさすぎだろ。僕は同じ間違いは繰り返さない男だぞ」
「その台詞、完全に死亡フラグなんですけど……。さっきは斜面だったからHPが少し減った程度で済んだけど、垂直落下で上から青山達が降ってきて、10人分の体重を受け止めることになっていたら、俺、死んでたかもしれないんだからな。――いいから、ここは俺に任せて先に行け」
「烏丸の方こそ死亡フラグ立てるなよ」

 鈴本はそう言いながら、先頭に立って斜面を降り始めた。

 そう言えば、いつの間にか俺と鈴本はお互いを呼び捨てにするようになってるな。少しは仲良くなれたということなんだろうか。

 なんてことを考えていると、鈴本が突然足を滑らせ、そのまま斜面を転がり落ちていった……。

 俺は溜め息をついて追いかけた。

「鈴本、お前はフラグ回収を怠らない勤勉な男だな」
「うるさい!」

 鈴本が小声で叫ぶという器用なことをした。先ほど大声を出したせいで魔物が駆けつけたことは忘れていない様子だった。

 そのエリアも青スライムや角ウサギやゴブリンを倒しながら、全部見て回ってマッピングをした。

「Gランクの魔物3種をそれぞれ10体以上討伐した奴は、後はケイヴタートスの素材をギルドに納品すれば、昇格条件を満たしてFランクになれるな」

 千野圭吾は嬉しげにそう言った。
 Fランクへの昇格条件は、Gランクの魔物3種のそれぞれ10体以上の討伐と、3種類の依頼をA評価で達成することだった。すでに薬草の納品と角ウサギの納品の常設依頼を達成しているので、俺は今日中にFランクに昇格できそうだった。

 そう言えば、敵チームの平均点はどうなってるかな……と思ってウインドウ画面で確認すると、1.31点になっていた。32人全員がFランクに昇格し、さらにそのうちの10人がEランクに昇格していたら、これくらいの点数になるな。
 敵チームは、現時点で0点の俺達のことをどう思ってるんだろうな……。

 そう考えながら、鈴本を先頭にしてさらに下のエリアに進む。ここでも鈴本は足を滑らせたが、それを予測していた俺は鈴本の防具を掴んで止めてあげた。さすがに3回目ともなると、完全にお約束になっていて予測できるよな。

「あ、ありがとう……」
「うん」

 階層が下がってくると、空気が淀んでくるのを感じた。湿気も多いし、ここに長時間滞在するのはキツそうだ。

 地下3階に相当するエリアも順調に攻略し、安来鮎見の基礎レベルが2に上がった。

「通常スキルの〈遠投Lv.1〉を覚えたよ。61メートル先まで仕掛けを飛ばすスキルなんだって。釣り竿やラインや仕掛けの種類や風に影響されずに遠投できるらしいから、これは凄い能力よ」

 安来鮎見は興奮した様子でそう言ったが、俺にはそのスキルの凄さがいまいちピンとこなかった。だが、米崎作戦には必須の能力であることは確かだ。

「それは凄いな」

 俺はそう褒めておいた。61メートルと中途半端な数字なのは、翻訳魔法がこの世界の長さの単位を地球の単位に換算したせいだろう。

「――っていうか、さっきからお宝が何もないんだけど、どうなってるの? ダンジョンって言ったら、なぜか宝箱が配置してあって、その中に貴重なアイテムが入っているのがお約束なのに」

 地下4階に相当するエリアに降りたところで、夏目理乃は不満げにそう言った。

「自分で『なぜか』って言ってる時点で、答えが出てるよね」

 朝倉夜桜がコンちゃんを見ながらそう呟いた。コンちゃんがうんうんと頷く。
 こいつはどんな状況でもマイペースだなあ。いつの間にかコンちゃんのことを、矢を射るときに手を保護するための手袋の弓懸ゆがけみたいにして使いこなしているし。まさかそのために3種類の武器の中から弓を選んだんじゃないだろうな。

「一応、ダンジョン内で亡くなった冒険者の遺品とか、冒険者が強い魔物から逃げるときに捨てた物とか、魔物が外で拾ってきたアイテムとかがダンジョンで見つかることはよくあるらしいよ。でも、このダンジョンは初心者向けだからここで死ぬような冒険者は滅多にいないし、街から近いせいで攻略の頻度も高いし、お宝なんて見つからないと思っておいた方がいいよ」

 鈴本はそう解説した。

「え? 宝物がないのは最初から分かってたの? なら、何のために今まで、下に向かう通路を見つけた後も他の分かれ道の先をチェックしてたの?」

 有希は不思議そうな顔でそう訊いた。

「何でって……こういうダンジョンでは全部の部屋や通路を回ってマッピングしたくなるじゃないか」

 俺はまるで言い訳をするようにそう言った。俺も宝がないだろうということには気付いていたからな。

「分かる」「分かるぞ」「当然のたしなみだよな」

 鈴本、青山、千野圭吾が即座に同意してくれた。

「いや、全然分かんないんだけど。ただの時間の無駄っしょ?」

 有希は納得できない様子でそう言った。

「うん。全然分かんない」「時間がもったいないよね」

 安来鮎見と夏目理乃は有希の方に同意した。

 くそう……。俺には「烏丸Pって、有能だけど、効率を求めすぎるところがあるよね」とか言ってたくせに、有希達だって効率厨じゃないか。

「有希だって、新しい服屋に入ったら、ひとまず店内を全部見て回りたくなるだろ? それと同じだよ」

 俺はそう説得した。

「ああ……。それなら分かるけど、ここはアパレルショップじゃないし。暗くてジメジメしてるし、魔物も出るし、下に向かう通路を見つけたらさっさと降りようよ」
「国吉さんは分かるよな? 新しい本屋に入ったら、ひとまず店内を全部見て回りたくなるよな?」

 俺は、さっき有希に同意しなかった国吉文絵を説得しようと試みた。

「ええ。本屋なら絶対に全部見て回るし、ダンジョンでも全部見て回りたいわよ。でも、今はデスゲームの真っ最中で、少しでも時間を節約したいんだから諦めましょう」

 国吉文絵は残念そうに言った。

 これ以上説得するのは困難だったので、俺達は泣く泣く、下に向かう通路を発見したらすぐに先に進むことになった。

「烏丸は頑張ったぞ」

 青山は俺の肩に手を置いてそう言った。

「うん……」
「そう言えば、鈴本くんはこのダンジョンの地図を見てないの?」

 夏目理乃が猜疑心に満ちた口調でそう訊いた。

「さっき、ギルドの図書室の地図帳を見てきたよ」
「じゃあ、下に向かう通路の位置も最初から知ってたんじゃない?」
「知ってたけど、こういう洞窟は新しい穴が開いたり、天井が崩落して通路が埋まったりしている場合もあるから、いつ誰が書いたか分からない地図を過信するのは危険で……」
「言い訳はいいから、最短距離でケイヴタートスがいるところまで向かいましょう」

 夏目理乃は怖い顔でそう言った。

「はい……」

 鈴本は夏目理乃の気迫に負けてそう言った。

「今度からは、あまり鈴本くんに頼りすぎずに、私達も事前に地図くらいは確認してこないとね」

 夏目理乃は有希や安来鮎見に向かってそう言い、有希達は頷いていた。

 そして、ダンジョンに入ってから1時間以上が経過し、俺達はこのダンジョンの最下層である、地下7階に相当するエリアに到着した。

「ここにケイヴタートスが生息しているはずだ。今までの魔物より強いから気を付けろよ」

 鈴本がそう言った途端、曲がり角からケイヴタートスが現れた。
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