迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ

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1章

第11話

 冒険者ギルドを出て、ゼノはティナに言われた言葉を振り返っていた。

「今回のクエストを達成できなかった場合は、マスクスのギルドで依頼を受けることができなくなるんだ」

 つまり、失敗は許されないということ。

 だが、その不安よりも、ゼノの中ではティナがクエストを紹介してくれたという事実が、何よりも嬉しかった。

「せっかく、ティナさんが俺にクエストを紹介してくれたんだ。なんとしても達成したいな」

 それからゼノは、道具屋へ寄ってポーションを数個購入する。
 ソロで行動するのだから、これくらいの事前準備は当然と言えた。

「ポーションも買ったし、準備は万全だな。あとは……」

 ゼノは一度裏路地へ入ると、周りに誰もいないことを確認して、魔導袋の中から青クリスタルを1つ取り出す。

「今日も忘れないうちに、〔魔導ガチャ〕で魔石を召喚しておこう」

 魔法陣を発生させると、かけ声とともに青クリスタルを足元へと落とす。

「〔魔導ガチャ〕――発動」

 シュピーン!

 すると、青色のサークルが周囲に現れ、魔石が10個浮かび上がった。

----------

〇ガチャ結果

①New! ☆1《減量》
②New! ☆1《温度調整》
③New! ☆1《快馬》
④New! ☆1《ダンプ》
⑤New! ☆1《疲れ知らず》
⑥New! ☆1《ベーカリー》
⑦New! ☆1《発見》
⑧New! ☆1《点呼》
⑨New! ☆1《掃除》
⑩New! ☆2《氷焉の斬鉄アイスジャベリン

----------

「よしっ! 今日も☆2の魔石が出たぞ! 多分、これも攻撃魔法だな」

 魔石をすべて魔導袋の中へしまうと、念のためにステータス上で一度確認しておく。

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☆2《氷焉の斬鉄アイスジャベリン
内容:対象相手に氷魔法によるダメージ小/1回

----------

「うん。やっぱり攻撃魔法だ。今度は氷属性か」

 依然として☆3は出ないが、今日はダブりもなく、順調に魔石を召喚できているという実感をゼノは得た。

「さてと……。魔石も召喚したことだし。さっそく、ワイド山へ向かうとしよう」

 ゼノはティナから受け取ったワイド山の場所が記されたファイフ領の地図を開く。

「フォーゲラングの村まで戻って、領都のラヴニカを越えて……って、え……? マスクスからかなり離れてるぞ……」

 呑気に徒歩で行っていたら、間違いなく日没までには戻って来られない。
 
「……となれば、馬を使うしかないな。たしか、町の入口で乗用馬を貸し出していたと思ったけど」

 昨日、いろいろと見て回った際に、この町では貸し馬があることをゼノは調べていた。
 馬車を使うという手も考えられたが、乗用馬を使った方が速く目的地へ到着することができる。

 また、馬の扱いなら、ゼノは慣れていた。
 幼少期からハワード家の家庭教師により、みっちり指導されてきたからだ。 

 駆け足で町の入口まで向かうと、ゼノは馬小屋の前にいる厩役の男に声をかけた。

「すみません。乗用馬を1日借りたいのですが」

「おう、あんた冒険者かい?」

「はい。昨日、登録を終えたばかりのFランク冒険者です。今日が初クエストでして」

「ほうほう。そりゃめでたいな。ウチの馬が必要なら、銅貨3枚で貸し出せるが……ビギナーさんは特別だ。今回はタダで貸し出すよ」

「え? いいんですか?」

「冒険者には、日頃から世話になってるからね。今後もウチの愛馬たちを贔屓にしてくれってことで、初回はタダで貸し出しているのさ。だから、気にせずに使ってくれ」

「ありがとうございます!」

 ゼノは厩役の男に頭を下げると、馬小屋にいる1体の白馬を引き取る。

「そいつはなかなかに優秀でね。足腰も丈夫で体力もあるから、きっとあんたの役に立つはずさ」

「そうなんですね。それじゃ少しの間、こちらのお馬をお借りします」

「おう! 気をつけてな」

「はい、行ってきます!」

 手綱を手に取ると、ゼノは白馬と共にマスクスの町を飛び出した。



 ◆



 白馬に乗りながら、しばらく田園地帯を走り続けたところで、ゼノはふと思う。

(たしかに、厩役さんが言うようにこの馬は速いけど……)

 だがそれでも、山を登って降りて日没までにマスクスへ帰って来るなら、もっとペースを上げなければ間に合わない可能性があった。

 一度、白馬を路肩に止めると、ゼノは「ステータスオープン」と唱えて光のディスプレイを表示させる。

----------

【ゼノ・ウィンザー】
[Lv]24
[魔力値]0 [術値]0
[力]12 [守]6
[魔攻]170 [速]9
[スキル]〔魔導ガチャ〕
[魔石コンプ率]029/666
[所持魔石]
☆1《減量》 ☆1《温度調整》
☆1《快馬》 ☆1《ダンプ》
☆1《疲れ知らず》 ☆1《ベーカリー》
☆1《発見》 ☆1《点呼》
☆1《掃除》 ☆2《怒号の火球マグマボール
☆2《氷焉の斬鉄アイスジャベリン
[所持クリスタル]青クリスタル×47
[Ωカウンター]000.35%

----------

 そのまま《快馬》の項目をタップし、魔石の情報を確認した。

----------

☆1《快馬》 
内容:対象馬に負担をかけることなく快速に走らせる/1日

----------

「やっぱり、思った通りの魔法だ」

 実は、ゼノが乗用馬を使おうと思ったのは、この魔石を手に入れたからでもあった。
 このタイミングで《快馬》の魔石を召喚できたことはかなり運がいい、とゼノは思う。

 ホルスターから聖剣クレイモアを抜き取ると、ゼノは魔導袋から取り出した《快馬》の魔石をそこにはめる。

「《快馬》」

 片手で手綱を持ち、光り輝く剣を振りかざしながらそう唱えると、白馬はものすごいスピードで駆け出していく。

「うぉぉおっ!?」

 ズビューーーン!

 それから、白馬はファイフ領の平原を駆け抜け、ゼノはあっという間にワイド山の麓へと到着するのだった。



 ◆



 ワイド山は、なだらかな斜面にゴツゴツとした岩が転がる岩山であった。
 山頂部分には、霧氷が付着した針葉樹林が広がっているのがかすかに確認できる。

「……なるほど。山頂付近にしかベリー草が分布していない理由がこれか」

 ティナによると、そこまで険しい山ではないという話であったが、なかなかに登るのが大変そうな岩山だ。
 足元に十分注意して登る必要がありそうだった。

「悪いけど、少しの間、ここで待っていてくれ」

 ゼノは、白馬の頭を撫でながら、ロープを大木に括り付けると、改めてワイド山を見上げる。
 日没までにマスクスへ戻るとなると、山頂付近までなるべく早く登る必要があった。

「結構、時間に余裕がないクエストだよなぁー」

 そんなことを思いつつも、ゼノはティナが今回のクエストを紹介してきたことに、まるで疑問を抱いていなかった。
 今は、ギルドの期待に応えることが何よりも大切だと考えていたからである。

「うーん。体力には、ある程度自信があるけど……」

 エメラルドの修行によって、基礎的な体力は鍛えられている。
 けれど、時間制限があるとなると話は別だった。

「この魔法を使ってみようかな」

 魔導袋の中から《疲れ知らず》という魔石を取り出す。
 これも、先程のガチャで召喚した魔石であった。

「《疲れ知らず》」

 聖剣に魔石をはめ込んでそう詠唱すると、一瞬のうちに変化が起こる。

「ぬぉっ!? 体がめちゃくちゃ軽くなったぞ?」

 これなら、どんどん登れそうだ。

 岩場に足を踏み入れると、ゼノは軽快な足取りでワイド山を登っていくのだった。
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