女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう

サイダーボウイ

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第2章

15話

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「あぁ・・・マスター。よかったですぅぅ~! みなさんご無事ですよぉ~!!」

「うん。本当に巻き込まれなくてよかった」

 ゲントがルルムとともにホッと安堵していると。
 突然、ジョネスがなにか思い立ったように近寄ってくる。

「おっさん、悪いが確認させてもらうぞ」

 魔晄に呼びかけると、ジョネスはゲントのステータスをその場に立ち上げた。
 それを目にしてすぐ困惑した声を上げる。

「おい・・・マジか」

「ジョネス! オレサマにも見せやがれ!」

 バヌーもすぐに駆け寄ってきて、光のパネルにかじりつくと目を大きく見開いた。

「んだよ・・・これッ! あり得ねぇーぞ、こんなの・・・!」

 騒ぐバヌーとは異なり、ジョネスは冷静に問い質してくる。

「おっさん、いったいあんたなにした? まず所有してるアビリティの数が尋常じゃないぞ」

「そうなんですか?」

「そうもなにも・・・こんな数、ふつうはあり得ないでしょ」

 口元に手を当てながら、うしろからアウラも現れる。

 彼らの話によれば、アビリティは高レベルに達すると獲得できる特典のようなもので、生涯のうちで入手できる数はせいぜい1つか2つが限界なのだという。

(そういえば、フェルンさんのアビリティも2つだけだったな)

 たしかにやりすぎなくらいモンスターからアビリティを引き抜いていたため、彼らの驚きはゲントも納得だった。

「んなアビリティの話なんざどーでもいい! なんなんだよ、このLv.1064ってのは!? オレサマの見間違いじゃねーよなぁ、お前ら!?」

 慌てたようにバヌーが声を張り上げると、ジョネスもアウラもそれぞれ頷く。

「ほえぇ~? なんかすごい騒がれてますよ!?」

「まぁ・・・。心当たりはあるからね」

 《獲得EXP10倍》なんていう魔剣の武器アビリティのおかげで、レベルが爆速で上がっていることにゲントは気づいていた。

(やっぱりふつうの上がり方じゃないもんなぁ)

 バヌーたちの反応を見て、ゲントは自分がほかの者とはまったく異なるスピードで経験値を獲得していたことを実感する。
 
 ちょうどそんなタイミングで。
 レモンもゲントのもとへ戻ってくる。

「どうやってこんなにレベル上げたの・・・?」

 完全に疑っている目だ。

「えっと・・・。ふつうにモンスター倒してたら、こんな感じになったんですけど・・・」

「いやいや! ふつうにモンスター倒してたらここまでレベルは上がらないって」

「そうなんですか?」

「だって上限をぶち破ってるじゃん。それもめちゃくちゃに!」

 レモンの話によれば、レベルは99より上には上がらないことが確認されているのだという。
 たとえダイヤモンドランカーの冒険者であっても、この壁を越えた者はいないようだ。

「ふぇえ!? マスター、なんかそうみたいですよっ!?」

 驚くルルムとは対照的にゲントは冷静だった。
 これにも心当たりがあったからだ。

(たしか魔剣の武器アビリティに《上限突破》ってのもあったよな?)

 おそらく、そのおかげで上限を越えてレベルが上がっていたのだろうとゲントは思った。

 が。
 
 このことを伝えれば、自然と魔剣についても触れなければならなくなるわけで。

 どう説明しようかとゲントが困っていると、レモンを押しのけてバヌーが鼻息荒く迫ってくる。


「それだけじゃねぇ! おっさんよぉ! んだよ、この魔力ゼロっては!!」

「あー・・・。それですか」

「それですかじゃねーだろぉ!? なんでてめー生きてんだぁぁ?? これこそ一番あり得ねーだろが!! 実はユーレイですとでも言いたいのかよ、てめーは!?」

 バヌーはひとりで興奮しながら盛り上がっている。
 
 その反応も無理はない。
 あのフェルンでさえ、この事実を知って言葉を失っていたくらいなのだ。

「すみません。これについては自分もよくわかってないんです」

 ジョネスもアウラも。
 これまでの勢いを完全に失い、もはや恐怖すら感じている様子だった。

「ステータス画面がバグってるとしか・・・。そうとしか考えられないぞ・・・」

「き、きっとそうよ・・・! そうに決まってる!」

 ジョネスの言葉にアウラが慌てたように同意する。

「ハッ! なるほど・・・そーゆうことか! ったく、驚かせやがって」

 それをバヌーも落としどころとしたようだ。
 ほとんどフェルンと同じような納得の仕方だった。

 結局、そんな風に自分に聞かせない限り、皆この事実を受け入れられないのだろうとゲントは思った。

 それだけ今のゲントは、この異世界におけるルールを完全に逸脱していた。

「あの人・・・。いったい何者なんだよ」

 少し離れたところでレモンはまた小さく呟く。
 彼女だけはまだ事態が飲み込めていない様子だった。



 ***



 ――バヌーSIDE――

「ちょっといいか」

「あん?」

 ジョネスがバヌーを手招く。
 そこにアウラも加わると3人はヒソヒソと話はじめた。

「あのおっさん。使えると思わないか?」

「使える? どーゆう意味だぁ?」

「利用するってことさ」

「そうだねぇ。あのステータスがバグであれ・・・。ダンジョンが目の前で消滅したのは事実なわけだし」

 ジョネスとアウラはゲントの力を半分信じていた。

「俺たちだってこの先、思うように戦果が挙げられるとは限らない。アウラもそう思うだろ?」

「まぁね。最近、ダンジョンの攻略もあまり上手くいってないし。あのオヤジを利用するってのはアタイも賛成さ」

「な? バヌーにとっても悪い話じゃねーと思うんだ」

 『フルゥーヴ伝承洞』は、ロザリア国内のダンジョンでは3本の指に入るほどの高難易度を誇るとしてギルド協会に認定されていた。

 [ヘルファングの煉旗]一行は、その話を聞きつけ、一旗揚げようとやって来たという経緯がある。

「仮にもしもだ。魔境を消し去ったっていう話がブラフじゃないとしたら・・・。あのオヤジ、とんでもない力を持ってることになるね」

「幸い人の良さそうなおっさんだ。利用価値はあるぜ、バヌー」

「フン・・・。なるほどなぁ」

 少し考える素振りを見せたあと、バヌーは白い歯を覗かせる。
 そして、よこしまな高笑いを浮かべた。

「ハハハッ! たしかにお前らの言うとおりだ! ちょっと話してみっか!」

 こうして3人の中で話がひとまとまりするのであった。
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