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11.レベッカ
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舞踏会会場に音楽が流れた時だった。これからダンスが始まり、舞踏会がより盛り上がる直前だったにも関わらず、ある出来事が辺りを騒然とさせる。
会場の中央で一人の女性が倒れていた。傍にはワイングラスが倒れており、当然ワインが飛び散っている。その騒がしい空間を抜けるように『あのフードの人』はみんなの視線が移っている隙を縫ってその場を逃げ出そうとした。
「ナターシャと皇后を連れて安全な場所へ避難したまえ」
皇帝はそう皇太子に命令する。皇太子は深く頷いてナターシャ姉様の腕を優しく引っ張った。
「マリア嬢!君も一緒に来るんだ」
皇太子は手招きをする。
でも、私はあのフードの人…レベッカの姉であるあの人を追わなければ。皇宮舞踏会に来ているのも不自然だし、あの慌てよう…絶対何かがあるはず。
「申し訳ありません皇太子殿下!私は大丈夫ですので早く皇后陛下と姉様を!」
「わかった。君も早くパートナーと逃げるのだぞ」
良かった。皇太子は、私がパートナーを探して遠慮したのだと思ってくれているようだ。
私はサディと一旦合流してレベッカの姉のことを簡潔に伝える。
「平民は貴族のパートナーか、皇室から直々に招待が無いとこの舞踏会には参加できません。なので恐らく侵入か、先ほどの倒れたご令嬢と何か関係があるという説が濃厚でしょうか」
皇宮舞踏会だからか、警備はより固く行われていたはずだ。しかも、一人の女性などそう簡単には侵入できないはず。
「魔道具を使っているかもしれませんね」
魔道具。その名の通り魔法が刻まれた道具であり、それは魔力を持たない者も持つ者も平等に扱うことが出来る代物だ。だが、それはこの世界でごく少ない魔力を持つ者しか作ることが出来ず、ごく少量しか生産されることが出来ない。だから、かなり高価なものだ。それを貴族でもない少女が入手できるものなのか…。不明な点はいくつも出てくる。
その時、「捕まえたぞ!」という声と共に一人の少女が取り押さえられていた。
「レベッカ…!」
水色の髪で赤色の目。小説の表紙で見た着飾っているレベッカではなくとも、あれは確実にレベッカ本人だ。
「目撃者は多数いる!言い逃れはできない」
「ちょっと待ってください…!」
もしもレベッカが犯人だとして、ご令嬢のグラスに何か仕掛けたのは何故…?そもそも皇宮舞踏会でこれほどまでに騒ぎを起こすのは賢いレベッカならそんなことしないはず。
「もし彼女が犯人だとしても乱暴な真似はしないでください。この国では反論も許されていないのですか?」
「マリア様…。それは…」
公爵家は皇族の次に権力のある家門だ。そう簡単には私の意見を無視することはできない。
取り押さえている男性はレベッカの手を離した。蹲っているレベッカに近づくと、瞳に微かに涙の膜が張っている。
「レベッカさま…。もう大丈夫です。ゆっくりで良いので話していただけますか」
レベッカはやっていない。
確信がある訳でもないのに当然のように私はそれを信じていた。しかし、レベッカの口から出た言葉は以外にも自信の罪を認める言葉であった。
会場の中央で一人の女性が倒れていた。傍にはワイングラスが倒れており、当然ワインが飛び散っている。その騒がしい空間を抜けるように『あのフードの人』はみんなの視線が移っている隙を縫ってその場を逃げ出そうとした。
「ナターシャと皇后を連れて安全な場所へ避難したまえ」
皇帝はそう皇太子に命令する。皇太子は深く頷いてナターシャ姉様の腕を優しく引っ張った。
「マリア嬢!君も一緒に来るんだ」
皇太子は手招きをする。
でも、私はあのフードの人…レベッカの姉であるあの人を追わなければ。皇宮舞踏会に来ているのも不自然だし、あの慌てよう…絶対何かがあるはず。
「申し訳ありません皇太子殿下!私は大丈夫ですので早く皇后陛下と姉様を!」
「わかった。君も早くパートナーと逃げるのだぞ」
良かった。皇太子は、私がパートナーを探して遠慮したのだと思ってくれているようだ。
私はサディと一旦合流してレベッカの姉のことを簡潔に伝える。
「平民は貴族のパートナーか、皇室から直々に招待が無いとこの舞踏会には参加できません。なので恐らく侵入か、先ほどの倒れたご令嬢と何か関係があるという説が濃厚でしょうか」
皇宮舞踏会だからか、警備はより固く行われていたはずだ。しかも、一人の女性などそう簡単には侵入できないはず。
「魔道具を使っているかもしれませんね」
魔道具。その名の通り魔法が刻まれた道具であり、それは魔力を持たない者も持つ者も平等に扱うことが出来る代物だ。だが、それはこの世界でごく少ない魔力を持つ者しか作ることが出来ず、ごく少量しか生産されることが出来ない。だから、かなり高価なものだ。それを貴族でもない少女が入手できるものなのか…。不明な点はいくつも出てくる。
その時、「捕まえたぞ!」という声と共に一人の少女が取り押さえられていた。
「レベッカ…!」
水色の髪で赤色の目。小説の表紙で見た着飾っているレベッカではなくとも、あれは確実にレベッカ本人だ。
「目撃者は多数いる!言い逃れはできない」
「ちょっと待ってください…!」
もしもレベッカが犯人だとして、ご令嬢のグラスに何か仕掛けたのは何故…?そもそも皇宮舞踏会でこれほどまでに騒ぎを起こすのは賢いレベッカならそんなことしないはず。
「もし彼女が犯人だとしても乱暴な真似はしないでください。この国では反論も許されていないのですか?」
「マリア様…。それは…」
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取り押さえている男性はレベッカの手を離した。蹲っているレベッカに近づくと、瞳に微かに涙の膜が張っている。
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レベッカはやっていない。
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