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Falling 1
聖別の儀
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「聖別の儀」
それは、人が天使より能力を授かる神聖な儀式。
この世界では、16歳になる年にこの儀を行い、その内容でその者の一生が左右される。そして俺は今、聖別の儀を執り行うため、同期数十名と共に教会に集められている。
「では、最後に……カイネ・フォン・アイリーンベルク」
大司教様が俺の名を呼ぶ。
「はい!」
授かるギフトの内容は、自身の素質や才能が大きく影響する。
名家の出であり、剣術に座学に全てにおいて血の滲むような努力をした俺は、国中の期待を受けて自信満々に前へ出る。
本物の天使を目にできる一大イベントとあって、教会には国の要人から、よく見知った近所の人達まで大勢の国民が足を運んでいる。
「……あ」
意気揚々と前へ出た俺は、初めて見る天使の美しさに思わず間抜けな声を出してしまった。そんな俺をにっこりと笑って、太陽のような眼差しで見つめる。
ああ、こんなことされたら……まずい。
思わず好きになってしまいそうだ……。
そして、天使の両手が光を放つと、その淡い光が俺の全身を暖かく包み込む。
この段階で、ギフトの授与は完了だ。
儀式を受けた者は、ここでスキルを観衆に見せつけるように披露し、場を盛り上げるのだ。
さあ、今年の大本命である俺の力を見せてやろうか。
そして、皆の熱い期待の眼差しの中、俺が放ったのは……。
「……え?」
俺の手から出てきたのは、黒い泥のようなモヤ。いかにも体に悪そうな排気ガスのような真っ黒い気体。
予想外のモノが飛び出したことに、その場にいた全員がざわつく。そんな戸惑う俺を導くかのように、優しい声が聞こえた。
「フフフ、その力の使い方を教えてあげましょうか?さあ、その手で私の体に触れてみてください」
声の主は、俺にギフトを授けた天使様。
天使様に触れるなど恐れ多いことだが、こんな綺麗な女性に誘われては抗えない。
俺の手は言われるがまま、彼女へ方へと伸びていく。
そして……。
─── パリーンッ!!
俺の禍々しい能力が、天使の体に触れた瞬間、甲高い破裂音が鳴り響いた。
俺は凍り付く、天使以外の全員が凍り付く。
なんと彼女の頭上にあった天使の象徴、光り輝く輪が爆発四散したのだ。
永遠のように感じられた数秒の静寂の後、教会内はとんでもない大騒ぎになった。
「こ、こいつ……!天使様の天輪を破壊しおったぞぉ!!!」
「捕らえろ!捕らえろぉ!!天使様に手をあげるなど、反逆罪だ!!」
「この大罪人め!!大人しく往生しろ!!」
俺は、何が何だが分からないまま衛兵達に取り押さえられる。
「ま、待ってくれ!!俺は天使様の言った通りに……!!」
「ふざけるな!人間に天使様のお声が聞き取れるはずないだろ!」
そうだ。
天使の声は、通常人間には聞こえない。
つまり、あの天使は俺にだけ聞こえるように話しかけてきたのだ。
しかも、当の天使もいつの間にかいなくなっている。
もう弁解の余地がない。
「あ、悪魔よ!悪魔の子よぉ!!もう命で償うしかないわぁ!!」
「何てことをしたんだ……!!お前のせいで国全体が呪われちまう!!」
「この……アイリーンベルク家の恥さらしめッ!!未来永劫、輪廻の輪から外れてしまえぃ!!!」
実父に友人に近所のおばさん。
親しかった全ての人に、最上級の罵倒を浴びせられる。
この国の人々は、常に神を至上として物事を判断する。神の使いである天使に危害を加えるなど、言語道断なのだが、それにしても酷い変わり様だ。
そして、いつになく険しい顔の大司教様が告げる。
「カイネ・フォン・アイリーンベルク!汝を第一級反逆罪として、ヘルヘイム送りとするッ!!」
「ヘ……ヘルヘイム!?い、嫌だ!!誤解だ!!誰か助けてくれえ!!!」
こうして俺は、理不尽にも命を拒絶する地、地上の冥府と呼ばれる隔離域「ヘルヘイム」に島流しされることになってしまったのだ……。
それは、人が天使より能力を授かる神聖な儀式。
この世界では、16歳になる年にこの儀を行い、その内容でその者の一生が左右される。そして俺は今、聖別の儀を執り行うため、同期数十名と共に教会に集められている。
「では、最後に……カイネ・フォン・アイリーンベルク」
大司教様が俺の名を呼ぶ。
「はい!」
授かるギフトの内容は、自身の素質や才能が大きく影響する。
名家の出であり、剣術に座学に全てにおいて血の滲むような努力をした俺は、国中の期待を受けて自信満々に前へ出る。
本物の天使を目にできる一大イベントとあって、教会には国の要人から、よく見知った近所の人達まで大勢の国民が足を運んでいる。
「……あ」
意気揚々と前へ出た俺は、初めて見る天使の美しさに思わず間抜けな声を出してしまった。そんな俺をにっこりと笑って、太陽のような眼差しで見つめる。
ああ、こんなことされたら……まずい。
思わず好きになってしまいそうだ……。
そして、天使の両手が光を放つと、その淡い光が俺の全身を暖かく包み込む。
この段階で、ギフトの授与は完了だ。
儀式を受けた者は、ここでスキルを観衆に見せつけるように披露し、場を盛り上げるのだ。
さあ、今年の大本命である俺の力を見せてやろうか。
そして、皆の熱い期待の眼差しの中、俺が放ったのは……。
「……え?」
俺の手から出てきたのは、黒い泥のようなモヤ。いかにも体に悪そうな排気ガスのような真っ黒い気体。
予想外のモノが飛び出したことに、その場にいた全員がざわつく。そんな戸惑う俺を導くかのように、優しい声が聞こえた。
「フフフ、その力の使い方を教えてあげましょうか?さあ、その手で私の体に触れてみてください」
声の主は、俺にギフトを授けた天使様。
天使様に触れるなど恐れ多いことだが、こんな綺麗な女性に誘われては抗えない。
俺の手は言われるがまま、彼女へ方へと伸びていく。
そして……。
─── パリーンッ!!
俺の禍々しい能力が、天使の体に触れた瞬間、甲高い破裂音が鳴り響いた。
俺は凍り付く、天使以外の全員が凍り付く。
なんと彼女の頭上にあった天使の象徴、光り輝く輪が爆発四散したのだ。
永遠のように感じられた数秒の静寂の後、教会内はとんでもない大騒ぎになった。
「こ、こいつ……!天使様の天輪を破壊しおったぞぉ!!!」
「捕らえろ!捕らえろぉ!!天使様に手をあげるなど、反逆罪だ!!」
「この大罪人め!!大人しく往生しろ!!」
俺は、何が何だが分からないまま衛兵達に取り押さえられる。
「ま、待ってくれ!!俺は天使様の言った通りに……!!」
「ふざけるな!人間に天使様のお声が聞き取れるはずないだろ!」
そうだ。
天使の声は、通常人間には聞こえない。
つまり、あの天使は俺にだけ聞こえるように話しかけてきたのだ。
しかも、当の天使もいつの間にかいなくなっている。
もう弁解の余地がない。
「あ、悪魔よ!悪魔の子よぉ!!もう命で償うしかないわぁ!!」
「何てことをしたんだ……!!お前のせいで国全体が呪われちまう!!」
「この……アイリーンベルク家の恥さらしめッ!!未来永劫、輪廻の輪から外れてしまえぃ!!!」
実父に友人に近所のおばさん。
親しかった全ての人に、最上級の罵倒を浴びせられる。
この国の人々は、常に神を至上として物事を判断する。神の使いである天使に危害を加えるなど、言語道断なのだが、それにしても酷い変わり様だ。
そして、いつになく険しい顔の大司教様が告げる。
「カイネ・フォン・アイリーンベルク!汝を第一級反逆罪として、ヘルヘイム送りとするッ!!」
「ヘ……ヘルヘイム!?い、嫌だ!!誤解だ!!誰か助けてくれえ!!!」
こうして俺は、理不尽にも命を拒絶する地、地上の冥府と呼ばれる隔離域「ヘルヘイム」に島流しされることになってしまったのだ……。
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