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Falling 2
ルガルのお願い
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正直、俺は今すっごいしんどいと思っている。
だって、一城分の質量をまるまる俺の手から出せってことだろ?しかも、形とか種類とか色々微調整しながら。
それでも、まだ俺が頑張る気になれる理由は、自分でも確信はないがきっと……。
こいつらが楽しそうだからだ。
堕天使でも大きな城はワクワクするらしい。
俺がラピスに能力のレクチャーをされている時も、目を輝かせて設計図を見ながらきゃっきゃ騒いでいた。さっきも基本まとまりの無いこの堕天使達が、珍しく一致団結して話し合いをしていた。だから、俺も本当は公民館ぐらいにスケールダウンしようと進言したいところだが、ぐっと堪えて立派な城を建てる方向で頑張ろうとしている。
なのに、このケモ耳ときたら空気も読まずに水差しやがって…。
「ちっ」
「い、今舌打ちされたのか!?わし、来ただけなのに舌打ちされたのか!?」
舌が勝手に鳴ってしまった。
それにしても、いつもテンションの高いルガルだが、今日はそれに輪をかけて高い。
「ま、待って欲しいッス!カイネっち、そちらの方は……?」
初めてルガルを見たラピスは、明らかに動揺しながら俺に説明を求める。
「そっか、ラピスには話してなかったな。こいつはルプスルガル。この辺を縄張りにしてて、最近よく一緒に飯食いにくるんだ。悪魔ってやつで、何か魔王の右だか左腕とか言ってたな」
「右じゃ!右腕じゃ!お箸を持つ方の手!」
ルガルが横でぴょんぴょん跳ねて抗議してくる。
その呑気な光景とは対象的に、ラピスの顔色は青ざめていた。
「やっぱり悪魔!しかも、そんな高位の……!み、みんな!悪魔がどんな存在か、分かっててこんなことしてるんスか!?誰もおかしいと思わないんスか!?」
……もしかしたら、これが天使の一般的な反応なのかもしれない。詳しくは知らないが、大昔に天使と悪魔の大きな戦争があって、その結果戦場となったヘルヘイムは、魔物以外住めない散々な土地になった。
他の面々も多少は後ろめたさがあったのだろうか、言い返せずに俯いている。
「ルルフェル様!大天使の貴方までこんな……」
語気を更に強めたラピスだったが、途中で凄まじい圧を感じて言葉を止めた。
その覇気の出処はルルフェルだ。
顔は穏やかだが瞳の奥に、元破滅の大天使らしい殺気を秘めている。
何がいけなかったのか察したラピスは、すぐに言い直した。
「ル、ル、ル、ルルっちまで、こんな天界の宿敵とつるんじゃだめッスよ!何かあってからじゃ遅いんスよ!」
そう言い放ったラピスは、素早くルガルに向けて手を構えた。
相当焦っていたようだ、自分が能力を失っていたことすら忘れるほどに。
「ラピスちゃん……」
そんなラピスに、ルルフェルが静かに声をかける。
「私達、もう天使じゃないんですよ……?天界から見たら、堕天使も悪魔もそう変わりません。それにルガルさんはもう、ここを一緒に楽園につくり変えていく仲間なんです。仲間外れにしないで、みんな仲良くしなきゃですよ?」
優しく諭すような、それでいて威圧するような大天使感のある口調だった。
ちょっと前までルガルの仲間を食ったり、壁にめり込ませていたやつとは思えない。
「こいつらに手を出さない代わりに、火を出して貰ったり、他の魔物が襲ってこないように、話をつけて貰ってたんだ。ここは相当不便な島だからな、利害の一致ってやつか?」
天界出身のやつにはデリケートな問題らしいから、下界代表として俺がフォローに入った。ラピスもそれ以上は言い返さなかった。
「何じゃあ、こいつ?新しい天使か?いきなり散々言われて、わしもう辛いんじゃが……」
ルガルは、さっきまでのテンションが嘘のようにしゅんとしている。
思えばこいつもよくこんな友好的でいてくれるな、天使とは色々あったろうに。耳もぺたんと垂れ下がって、まるで叱られた仔犬のようだ。
「ちょっと……。ヤドカリとか探してくるッス」
きまりが悪くなったのか、ラピスは訳の分からない理由を添えて向こうへ飛んでいった。
ヘルヘイムにそんなの生息してないのに……。
「ねえ?ルプ姉ぇ、カイ姉ぇに何か用事あったんじゃないの?」
静まり返った空間で、エルが口火を切ってくれた。きっと何も考えてなかったんだろうけど、こういう時の無邪気さはすごい助かる。
「ル、ルプ姉ぇ!?あ、姉になるのか?こ、このわしが……?」
急に姉にされたルガルが、何か嬉しそうに動揺している。
年齢は知らんが、このルックスだもんな。
お姉ちゃん扱いなんかされたことないんだろう。
「……って、そうじゃあ!!お姉ちゃんになっとる場合じゃない!今日はわし、お前らに折り入ってお願いがあって来たんじゃ!!」
お願い……?
いつもはお供のヘルウルフを連れてくるのに、なぜか今日は1人で来たし、何かあるんだろうなとは思っていたが……。
そうか、テンションが2割り増しだったのは、何かをおねだりしに来たからだったのか。
「何だよ、お願いって?」
どうせ、こいつのことだ。
食べ物関連のお願いだろうと、俺は軽い気持ちで聞き返したが、ルガルの口にした内容は、俺の構えていたミットを大きく外したものだった。
「天使に像にされた他の悪魔を……。わしの仲間を助けて欲しいんじゃ!!」
ふわふわの尻尾をぴーんと立てて、縋るような目で懇願するルガル。
悪魔について何も話してこないなと思っていたが、やっぱりいたらしい。
こいつ以外にも眠っている悪魔が。
だって、一城分の質量をまるまる俺の手から出せってことだろ?しかも、形とか種類とか色々微調整しながら。
それでも、まだ俺が頑張る気になれる理由は、自分でも確信はないがきっと……。
こいつらが楽しそうだからだ。
堕天使でも大きな城はワクワクするらしい。
俺がラピスに能力のレクチャーをされている時も、目を輝かせて設計図を見ながらきゃっきゃ騒いでいた。さっきも基本まとまりの無いこの堕天使達が、珍しく一致団結して話し合いをしていた。だから、俺も本当は公民館ぐらいにスケールダウンしようと進言したいところだが、ぐっと堪えて立派な城を建てる方向で頑張ろうとしている。
なのに、このケモ耳ときたら空気も読まずに水差しやがって…。
「ちっ」
「い、今舌打ちされたのか!?わし、来ただけなのに舌打ちされたのか!?」
舌が勝手に鳴ってしまった。
それにしても、いつもテンションの高いルガルだが、今日はそれに輪をかけて高い。
「ま、待って欲しいッス!カイネっち、そちらの方は……?」
初めてルガルを見たラピスは、明らかに動揺しながら俺に説明を求める。
「そっか、ラピスには話してなかったな。こいつはルプスルガル。この辺を縄張りにしてて、最近よく一緒に飯食いにくるんだ。悪魔ってやつで、何か魔王の右だか左腕とか言ってたな」
「右じゃ!右腕じゃ!お箸を持つ方の手!」
ルガルが横でぴょんぴょん跳ねて抗議してくる。
その呑気な光景とは対象的に、ラピスの顔色は青ざめていた。
「やっぱり悪魔!しかも、そんな高位の……!み、みんな!悪魔がどんな存在か、分かっててこんなことしてるんスか!?誰もおかしいと思わないんスか!?」
……もしかしたら、これが天使の一般的な反応なのかもしれない。詳しくは知らないが、大昔に天使と悪魔の大きな戦争があって、その結果戦場となったヘルヘイムは、魔物以外住めない散々な土地になった。
他の面々も多少は後ろめたさがあったのだろうか、言い返せずに俯いている。
「ルルフェル様!大天使の貴方までこんな……」
語気を更に強めたラピスだったが、途中で凄まじい圧を感じて言葉を止めた。
その覇気の出処はルルフェルだ。
顔は穏やかだが瞳の奥に、元破滅の大天使らしい殺気を秘めている。
何がいけなかったのか察したラピスは、すぐに言い直した。
「ル、ル、ル、ルルっちまで、こんな天界の宿敵とつるんじゃだめッスよ!何かあってからじゃ遅いんスよ!」
そう言い放ったラピスは、素早くルガルに向けて手を構えた。
相当焦っていたようだ、自分が能力を失っていたことすら忘れるほどに。
「ラピスちゃん……」
そんなラピスに、ルルフェルが静かに声をかける。
「私達、もう天使じゃないんですよ……?天界から見たら、堕天使も悪魔もそう変わりません。それにルガルさんはもう、ここを一緒に楽園につくり変えていく仲間なんです。仲間外れにしないで、みんな仲良くしなきゃですよ?」
優しく諭すような、それでいて威圧するような大天使感のある口調だった。
ちょっと前までルガルの仲間を食ったり、壁にめり込ませていたやつとは思えない。
「こいつらに手を出さない代わりに、火を出して貰ったり、他の魔物が襲ってこないように、話をつけて貰ってたんだ。ここは相当不便な島だからな、利害の一致ってやつか?」
天界出身のやつにはデリケートな問題らしいから、下界代表として俺がフォローに入った。ラピスもそれ以上は言い返さなかった。
「何じゃあ、こいつ?新しい天使か?いきなり散々言われて、わしもう辛いんじゃが……」
ルガルは、さっきまでのテンションが嘘のようにしゅんとしている。
思えばこいつもよくこんな友好的でいてくれるな、天使とは色々あったろうに。耳もぺたんと垂れ下がって、まるで叱られた仔犬のようだ。
「ちょっと……。ヤドカリとか探してくるッス」
きまりが悪くなったのか、ラピスは訳の分からない理由を添えて向こうへ飛んでいった。
ヘルヘイムにそんなの生息してないのに……。
「ねえ?ルプ姉ぇ、カイ姉ぇに何か用事あったんじゃないの?」
静まり返った空間で、エルが口火を切ってくれた。きっと何も考えてなかったんだろうけど、こういう時の無邪気さはすごい助かる。
「ル、ルプ姉ぇ!?あ、姉になるのか?こ、このわしが……?」
急に姉にされたルガルが、何か嬉しそうに動揺している。
年齢は知らんが、このルックスだもんな。
お姉ちゃん扱いなんかされたことないんだろう。
「……って、そうじゃあ!!お姉ちゃんになっとる場合じゃない!今日はわし、お前らに折り入ってお願いがあって来たんじゃ!!」
お願い……?
いつもはお供のヘルウルフを連れてくるのに、なぜか今日は1人で来たし、何かあるんだろうなとは思っていたが……。
そうか、テンションが2割り増しだったのは、何かをおねだりしに来たからだったのか。
「何だよ、お願いって?」
どうせ、こいつのことだ。
食べ物関連のお願いだろうと、俺は軽い気持ちで聞き返したが、ルガルの口にした内容は、俺の構えていたミットを大きく外したものだった。
「天使に像にされた他の悪魔を……。わしの仲間を助けて欲しいんじゃ!!」
ふわふわの尻尾をぴーんと立てて、縋るような目で懇願するルガル。
悪魔について何も話してこないなと思っていたが、やっぱりいたらしい。
こいつ以外にも眠っている悪魔が。
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