ORION

ぺけらんど

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1話 奏神 白

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今は夕暮れ時
世の学生達は帰宅をしている頃だろう
そして
この僕、奏神 白様は今絶賛イジメられ中である
なかなかに不憫。
いじめられている理由?
そうだな...じゃあ今彼らに聞いてみようか!

「犬神君、なぜ僕をいじめるのだい?」

「あぁ?そんなもんお前の髪、肌、全てが真っ白くて気持ち悪いからだろ!」

おっと、とんでもない差別。
白豪主義のオーストラリアもびっくり
いじめの主犯、犬神君とその取り巻きたちは僕がアルビノなのが許せないようだ。

「どうせその、真っ白い肌で色目使ってんだろ!」

アルビノというものは
それは体は弱いし、日光は辛い。
とんでもなく生きづらい病気であるぞ?
敬えや

「いやいや、僕ってば元がイケメンだから...さっ!」

その瞬間やはりと言うべきか拳がとんでくる。

(ぶべらっ!)

血の味が口に滲む。
結構美味しいかも味わい慣れてるからか

「興が冷めた、帰るぞお前ら」

「へい!親分」
「お前、また明日放課後トイレ集合なぁ」

取り巻きの2匹が戯言を吐く
とても憎たらしい

僕はその場に立ち
パンパンッとズボンを払う

さて、自己紹介が遅くなったな。
僕の名前は奏神 白(そうがみ しろ)
しがない高校生だ。

こんなノミのような僕にもひとつ特徴がある。
それはこの真っ白い肌である。
僕は生まれつきアルビノ...という訳では無い
後天性である、いつからは記憶が無いが、僕の親が言うには
高校生に入ってからだと言われている。

まぁ僕は基本的に親の事は信頼していないから定かではないが
いや、親ではなく。今の保護者...だな

おっと..!忘れてたもうひとつ特徴があった
僕ってばいじめられてるのである!

別に僕はいじめられている事は何も問題だとは思わない。

ここから先、もっと辛く過酷な
非日常な僕の日常が待っているのだから。

なぜ僕がこんなにも語り口調であるのかって?
僕は自分の日常を記憶するのが好きなんだ
一種の日記みたいなものだね。

その手段として好都合であるのが語り口調。
この日常を覚えていないといつ非日常が戻ってくるか分からないから
誰かにこの物語を紡ぐまで終わらない。

「さて、今日の日常を語るのは終わりにして今日の非日常に向かうとしますかぁ...」

男子トイレをでて校門へと向かう。

こんなことをしているから、『放課後のトイレの幽霊』なんて噂もたっている

まぁこう何度も男子トイレから出てきていたら仕方がないとは思う。

僕はそのまま自分の家へと真っ直ぐ帰っていく

「今日も実に有意義な一日であった」

「僕の記憶の中の日記コレクションが今日も進んだ」

「僕の日常はつつがなく進行し、僕は幸せであると実感出来よう」

帰路を歩いていると大地が揺れ始める

「この後の出来事さえなければ...ね」
震源は奏神 白の 真下 である

「今日も今日とて非日常の開始だ。
さてとしっかりとお返しさせていただかないとね」

奏神が意気込んでいると
空に亀裂が入り
空っぽな大地から異形の生物が

『あたかもそこに居たかのように活動を開始した』

怪獣は手始めにその辺に居た通行人を食べた。

「えっ!なんで私中に浮い...」

彼女はなぜ自分の胴体が半分になったのかも分からず鮮血と散る

「相変わらず、この世界の住人はこの化け物を認知出来ないようで!」

僕だって聖人な訳じゃない...わざわざ命の危険をかしてまで助けられない...

そんな罪悪感を記憶しているとそこに
公園から少女が走ってくる
「お兄ちゃん!なんでそんな険しい顔してるの?」

「ッッ!」

怪獣は次のターゲットを少女へと定めた
大きな鉤爪を振り下ろしながら

「ッ!馬鹿野郎!」
奏神は少女を抱え、鉤爪を避ける

「ふぇぇ、ご、ごめんなさい」

「あぁ!いや君が悪い訳じゃないんだ...ごめんよ」
(この公園で遊んでいる子供がいたんだ...帰路をまた新しくしないと...)

怪物は彼らの会話など無視し
もう一度鉤爪を振り下ろそうとしている
先程の5倍早く

「そんなこと、考えている場合じゃなかったなっ」
(っ速い..!避けれない!)

「くっそたれっ!!」
奏神は少女を突き飛ばし
容赦なく奏神を貫く鉤爪
「アッグッ!」

「痛ってぇなぁ!!」
鉤爪は奏神の腹に突き刺さったままである。
「けどまぁ...これで捕まえた」
奏神はニコッと邪悪な笑みを浮かべ
叫ぶ

《虚よ!裏の界へと帰れ》

奏神の右目が光。
体が青白い光で覆われていく

《矛盾ッ!!》

奏神がそう叫ぶと
目の光が一層強くなり
奏神が触れている場所から
獣は光となり
虚へ消えていく

獣に食われてしまった
女性も光となり消えた

最初から存在していなかったのように

「お兄ちゃん...?大丈夫...?傷だらけだよ?」
獣も死体もきえたのに
奏神の腹は貫かれた跡があるままであった

「いや...大丈夫だよ」
奏神はこの非日常になれていた
この痛みを知っているのだ

「そっか...よく分かんないけど、お兄ちゃんありがとう!」
そう言いながら少女は公園へと戻っていく

「吹き飛ばされたってのにたくましいもんだ...」
女性を目の前で見捨てて少女を助けるなんて
自分はロリコン何かと思いながら
奏神は立とうとする...が

《拘束》

この一言が聞こえた

その瞬間、奏神の体は光の輪に捕まれ
地面へと押しつぶされた

(ぐはっ...いってぇな...
ダメだ...もう、意識が...)

離れゆく意識の中
奏神が最後に聞いた言葉は
「オリオン・ホルダー確保しました」
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