僕の愛しの王子様

平凡なにんじん

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……あっつい。
俺は今とてつもなく暑い。



ひとつは今はもう夏だから。つまり暑いのは当たり前。

もひとつは今俺の後ろに引っ付いてる男が原因である。

暑い+暑いでさらに暑い。


「おい世良離れろ」

「う~ん?」

「う~んじゃない。暑いのに引っ付いてくんなお前」

「僕は全然だよ?有馬くん冷たくて気持ちい」

「そういう問題じゃない。俺は暑い」

そう言って頭をわしゃわしゃするとむぅと言って世良は離れる。
最近世良はやたらと俺に引っ付いてくる。男子共はまたやってるよと最早恒例行事のように見ているが、女子からの目が痛い。

「世良の体温は熱いんだよ」

「そうなのかな?ドキドキしてるからかな?」

「いやなんでだよ」


この数ヶ月で世良のことをだいぶ分かったつもりでいたがまだまだのようだ。昔世良に会っていたっていうのもまだ思い出せないままだしな。


「でもそしたら冬は暖かいね」

「抱きつくことは決まってるんだな」

まぁ俺は寒がりだからそれはいいんじゃないないかと思う時点でだいぶこいつ世良に絆されているのだろうか。
俺は思わず苦笑する。

「っ!有馬くんかわいい」

「はぁ」

世良がボソッと呟く。

「かわいいって言われても全く嬉しくないんだが」

「有馬くんはかっこよくもあるよ!僕にとっての王子様だよ!」

ずいっと顔を近づけてくる。世良のキラキラが増したように見えるのは気のせいだろうか。

「嫌味か。本物の王子様に言われてもそんなに嬉しくねーよ」

「ホントのことなのに…」


拗ねたように世良は頬を膨らませた。さすがはイケメン。俺が同じ顔もやってもただの変顔になるだけだろう。教室内から無数の連写音が聞こえる。

そんな音も世良には聞こえてないのかはたまた気にしていないのか机にうつ伏せになり俺を見上げる。

……こいつ犬みたいだな。
俺はなんとなく綺麗なブロンドの頭を撫でた。

「!!有馬くんっ?!!」

「あ、ごめん。嫌だったか?」

世良のあまりの驚きように俺までびっくりする。もしかして自分から触りにいくのはいいけど他人から触られるのは嫌だったとかか?


「ちがっ!違くてっ、急だったからびっくりしただけで、決して嫌だった訳じゃないし、その……」


俺が少し落ち込んでいるのを感じ取ったのか、世良は慌てて弁明する。


「寧ろ有馬くんから触れてもらえるのは嬉しいっていうかもっと撫でて欲しい……です……」


その声は段々と小さくなっていく。

「ふふっ、あはははははっ」

世良のあまりの必死さに腹の底から笑いが込み上げてくる。

「あ、有馬くん?うわっ」

まだ笑いが収まりきらないまま俺は世良の頭を撫で回す。

「あー面白い世良……ふふっ」

「あ、あ、あり、まくん」


慌てたようなエメラルドと視線が交わる。


「君はほんとずるいよ……」



真っ赤に染った耳に彼は気が付かなかった。






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