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第45話 教会の真実
「一人だけ肉を食っているだろう?」
フォルテの指摘に一斉に教祖であろう人物の方に信者達の顔が向いた。
信者達が痩せ細っているのに対して、教祖はでっぷりと腹が出ている。
自分達と教祖であろう人物を見比べて、だんだんと疑いが深くなっていく。
「ば、バカを言ってはいけません。私は特にエルフ様をお慕いしているのですから___」
「では、建物の中を見ても大丈夫か?」
フォルテの質問に、教祖であろう人物は玉のような汗をかいて口を閉ざしてしまう。
信者達の中でざわざわと憶測が広がっていく中、孤児院の前に馬車が止まった。
馬車から降りてきたのは、この街の領主であった。
「ケミーニア様もここを訪れていましたか。素晴らしいでしょう。皆がエルフ様の様になる為の生活をしている。この教会は素晴らしい場所です」
領主の言葉に、教祖であろう人物はしめたとばかりに領主の言葉に続いた。
「そうでしょうとも。領主様の懸命な判断のおかげでこの街はエルフの里の様に素晴らしい街になる」
領主がその言葉にうんうんと頷くが、エルフの里など文明の遅れた森の掘立小屋である。
フォルテは錬金術を使って生活していたが、大半のエルフは非文明的な生活をしている。
想像だけで、美化してしまっているのだろう。
「マッヂィーノ男爵、この教会は貴方が?」
「ええ。素晴らしきエルフ様達のように暮らす為の一歩でしょう。私は毎日ここに来て祈りを捧げております。勿論、ケミーニア様を想像しながら」
ケミーニアを崇拝の目で見ながら、領主は胸を張って答えた。
「マッヂィーノ男爵、この場所は孤児院であるはず。私も報告書を見て、寄付額が多いのは子供達の為にマッヂィーノ男爵が寄付額を大きくしているからだと聞いた。貴様はここに居るはずの孤児達がどのような扱いを受けているか知ってあるのか? 目の前の領民達が痩せ細り、衣装を着せたスラム民のようでも何も感じないのか?」
ケミーニアの言葉を聞いて、集まっていた信者達はフォルテやケミーニアと自分達の体を改めて見比べた。
エルフのスラリとした神秘的な美しさとは異なり、自分達は骨と皮のようで、肌もボロボロ。
美しさとは正反対の、見窄らしい姿に、今更ながらに気づいた。
ただ漠然と想像していた細くて美しいエルフに近づいていると思っていた自分達の姿がこれ程までに醜いのかと、絶望で体が震えた。
しかし、とうのマッヂィーノ男爵は、悪びれもせずに、返事をした。
「エルフ様は神よりも尊いのです。孤児などすぐに死ぬ者達を育てるよりも、今いる領民達をエルフ様のように長命にすれば、街はもっと発展する! その方法を、教祖様は持っているのです!」
マッヂィーノ男爵の主張は、聞くに耐えなかった。
「フォルテ様、手枷をお願いしても?」
「猿轡も必要だな」
領主と教祖であろう人物を、ケミーニアが制圧して、フォルテが手枷足枷猿轡をつけて、領主が乗ってきた馬車に押し込んだ。
「ケミーニア・フロストの名において命じる、この2人を牢に放り込め!」
主人より上位の爵位を持ったケミーニアの命令により、御者は慌てて馬車を動かして領主館への道を戻って行った。
残った信者達は、エルフへの盲信が解けていそうなので、孤児院の中で話を聞く事にした。
「本当に、奥に孤児達は居ないのですか?」
信者達は、孤児達は奥で自分達の仕事をしていると聞かされていたようだ。
盗みに関しても子供のいたずら程度の認識であった。
孤児院の中を見て回ると、中の職員達は教祖とまではいかないまでも、カロリーを蓄えた体型の者達で、厨房には大量に高級な肉が置かれていた。
その状況を見て、職員を全員捉えた。
この状況から、知らなかったでは済まない為、後で領主や教祖のような人物共々尋問である。
そして事実を知った信者達は、自分達の行いと、それにともなって孤児達に行われた非道を目の当たりにして項垂れ、後悔した。
「お前たち、後悔などしても何にもならん!これからの事を考えろ」
「しかしエルフ様、このような私達に何ができると言うのでしょう」
「それは俺が教えてやろう。エルフになど近づかなくとも、これからお前達と孤児達が共に幸せに生きる方法があると言う事をな」
フォルテへ絶望する信者達にそう言ってニヤリと笑いかけた。
フォルテの指摘に一斉に教祖であろう人物の方に信者達の顔が向いた。
信者達が痩せ細っているのに対して、教祖はでっぷりと腹が出ている。
自分達と教祖であろう人物を見比べて、だんだんと疑いが深くなっていく。
「ば、バカを言ってはいけません。私は特にエルフ様をお慕いしているのですから___」
「では、建物の中を見ても大丈夫か?」
フォルテの質問に、教祖であろう人物は玉のような汗をかいて口を閉ざしてしまう。
信者達の中でざわざわと憶測が広がっていく中、孤児院の前に馬車が止まった。
馬車から降りてきたのは、この街の領主であった。
「ケミーニア様もここを訪れていましたか。素晴らしいでしょう。皆がエルフ様の様になる為の生活をしている。この教会は素晴らしい場所です」
領主の言葉に、教祖であろう人物はしめたとばかりに領主の言葉に続いた。
「そうでしょうとも。領主様の懸命な判断のおかげでこの街はエルフの里の様に素晴らしい街になる」
領主がその言葉にうんうんと頷くが、エルフの里など文明の遅れた森の掘立小屋である。
フォルテは錬金術を使って生活していたが、大半のエルフは非文明的な生活をしている。
想像だけで、美化してしまっているのだろう。
「マッヂィーノ男爵、この教会は貴方が?」
「ええ。素晴らしきエルフ様達のように暮らす為の一歩でしょう。私は毎日ここに来て祈りを捧げております。勿論、ケミーニア様を想像しながら」
ケミーニアを崇拝の目で見ながら、領主は胸を張って答えた。
「マッヂィーノ男爵、この場所は孤児院であるはず。私も報告書を見て、寄付額が多いのは子供達の為にマッヂィーノ男爵が寄付額を大きくしているからだと聞いた。貴様はここに居るはずの孤児達がどのような扱いを受けているか知ってあるのか? 目の前の領民達が痩せ細り、衣装を着せたスラム民のようでも何も感じないのか?」
ケミーニアの言葉を聞いて、集まっていた信者達はフォルテやケミーニアと自分達の体を改めて見比べた。
エルフのスラリとした神秘的な美しさとは異なり、自分達は骨と皮のようで、肌もボロボロ。
美しさとは正反対の、見窄らしい姿に、今更ながらに気づいた。
ただ漠然と想像していた細くて美しいエルフに近づいていると思っていた自分達の姿がこれ程までに醜いのかと、絶望で体が震えた。
しかし、とうのマッヂィーノ男爵は、悪びれもせずに、返事をした。
「エルフ様は神よりも尊いのです。孤児などすぐに死ぬ者達を育てるよりも、今いる領民達をエルフ様のように長命にすれば、街はもっと発展する! その方法を、教祖様は持っているのです!」
マッヂィーノ男爵の主張は、聞くに耐えなかった。
「フォルテ様、手枷をお願いしても?」
「猿轡も必要だな」
領主と教祖であろう人物を、ケミーニアが制圧して、フォルテが手枷足枷猿轡をつけて、領主が乗ってきた馬車に押し込んだ。
「ケミーニア・フロストの名において命じる、この2人を牢に放り込め!」
主人より上位の爵位を持ったケミーニアの命令により、御者は慌てて馬車を動かして領主館への道を戻って行った。
残った信者達は、エルフへの盲信が解けていそうなので、孤児院の中で話を聞く事にした。
「本当に、奥に孤児達は居ないのですか?」
信者達は、孤児達は奥で自分達の仕事をしていると聞かされていたようだ。
盗みに関しても子供のいたずら程度の認識であった。
孤児院の中を見て回ると、中の職員達は教祖とまではいかないまでも、カロリーを蓄えた体型の者達で、厨房には大量に高級な肉が置かれていた。
その状況を見て、職員を全員捉えた。
この状況から、知らなかったでは済まない為、後で領主や教祖のような人物共々尋問である。
そして事実を知った信者達は、自分達の行いと、それにともなって孤児達に行われた非道を目の当たりにして項垂れ、後悔した。
「お前たち、後悔などしても何にもならん!これからの事を考えろ」
「しかしエルフ様、このような私達に何ができると言うのでしょう」
「それは俺が教えてやろう。エルフになど近づかなくとも、これからお前達と孤児達が共に幸せに生きる方法があると言う事をな」
フォルテへ絶望する信者達にそう言ってニヤリと笑いかけた。
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